akiharu国のイグドラシルから発見された発掘兵器、それらの中でも最強のものを選び抜くためのバトルロイヤルが、今、始まろうとしていた。

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一旦都築と別れ、ガイダンスを受け終えた華一郎は、コックピットの中で手に汗握りながら操縦桿を握りしめている。コパイはさんざやったがこの男、パイロットになったことはない。発掘兵器ということで、それぞれ必要人数が不明なため、各機体ごとに補助用にバックアップがついているが、パイロット席からの眺めというのは、なかなかに真新しいものがあった。

いつものように威勢良く声を張り上げながらデータをまとめるだけじゃない。しかも、自分ひとりだ。

まあ、サーラがいるんで負傷に関しては全然心配してないが、緊張しないわけじゃない。オリジナルイベントなので別にパイロットアイドレスがあろうがなかろうが、他のみんなもおっかなびっくり機体に乗り込んでいるだろうことは、もっと間違いないのだ。それを考えると、少し、落ち着いてきた。

「ふー…」

会場は広い。とりとりの機体がひしめきながら、動きを確かめていた。

見渡せば、化け物じみた装甲をした、あんなんどうやって倒せっていうんだというような機体もあれば、ずば抜けた破壊力を誇る、近寄りたくない機体もあり、パラメーター的に特に特徴のないダイアイオーだけに、どこまで勝ち抜けるか、少々心もとないが、腹さえ決めてしまえば後はやるだけだ。

『始め!』

の一言で、一気に周りが動き始める。咄嗟に操縦桿を繰り、機体を退かせた。早い。が、早すぎはしない。実戦さながらの唐突さだが、最強の機体を決めようってんだ、それでおかしいと文句をつける方がつまらねえ。にやり、笑って、獲物を見定める。

そこにはのたうつような機体が、偵察機らしい機体へ向けて踊りかかっていた。はる参謀長のガンダーラだ。先制攻撃で機先を何より制する、なるほど参謀らしい機体で作戦だ。だが…!

「先に潰しあってくれるのはバンバンザイ!」

もらったあ!と、F/7シルバープリンセスが撃破された直後を狙い、拳を繰り出す。ダイアイオーの拳は見事にガンダーラの薄い装甲を突き破り戦闘不能にした。

「敵はっ!?」

同じやり方でやられてはたまらない。戦況を見定めるために即座にレーダーに目を落とす。

あたりはすさまじい激闘になっていた。やはり先ほど身震いした装甲の持ち主は、いかにも強烈そうな、死神とも、道化師とも見える大鎌を携えた機体の一撃を容易に受け切ってゆるぎない。

(あの機体、一体どうやって落とせばいい…!?)

燃料タンクもたっぷり、勝ち残っていく限り、いつかあの機体との激突は避けられない。

「!?」

その機体があっさり変な丸いフォルムのドリル付き機体に粉砕される。

「なるほど、同時攻撃されれば分厚い装甲もなんということはないということだな…!」

ドリル恐るべし。ドリルといえばナニワアームズだったが、猛牛号と名づけられたその丸い機体に乗っているのは、法官の辻斬燕丸だった。ドリルの広まり方、あなどるべからず、か。

一方で連撃を受けてすら微動だにしない更なる怪物的装甲の持ち主が、デイダラと共同戦線を張って敵を撃破するシーンが目に飛び込んできた。

ぶおん!とデイダラの馬鹿でかい剣が空を裂き、血振りのように地に突き立つ。

「都築さん、まずは生き残ったか…!」

どごおおおおおん…!!

爆音とともに砲撃が放たれる。

機体を振り返らせると、剣と盾が一体化した特殊兵装で、どちらかといえば敵メカっぽい自動兵器型の機体にとどめを刺す、勇龍王ドランナーベの雄姿も、そこにはそびえていた。

またたく間に同時攻撃などが重なり、機体は半分近くにまで減っている。幸いこちらに二撃目が飛んでくることがなかったのは、ただの幸運だろう。不意を突かれて沈んだ機体は山ほどあったのだ。敵を倒したはいいが道連れというケースすらある。

「へっ、勝負はまだまだこれからってか…!」


(文責:城 華一郎)

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最終更新:2008年01月29日 00:07