既にターンは4、ここに至って残りはたったの6機。そして今は機体がやばい、大ピンチ…

「こうなりゃ奥の手を隠してる場合じゃない、ってな…
 うーーーーーーうおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーっっっっっ!!!!!!!」

かッ!!

ダイアイオーの目が光り、風もないのにスカーフとマントが赤くはためいた。

「超・愛・絶・紹・RANGERああああああ、ユニバアアアアアアアアアアアス!!!!!!!」

その技名はないだろうという技名を叫びながら、華一郎はダイアイオーを、複雑怪奇に膨れ上がったフリューゲルへと突撃させた。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーーッッ!!!!!」

機体が紅く燃え上がる。まさに乾坤一擲、最終奥義!!!

ちゅどーーーーん!!!!

「爆・砕ッ!!!!!」

爆風を背にスカーフ、マントが上に跳ね上げられる。

だが。

「!?」

めぎっ。

機体から直接脳天に響く音、いや、震動。

「ばかなっ・・・・!!??」

ロボットに乗っているからには一度は言ってみたいセリフである。

『ドラゴン・ブレイブ…スラーーーーーーーーーーーッシュ!!!!!!!』

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!!!」

めりめりめきめきとコクピットにまでめり込んでくるヤバイ一撃。白熱した剣が至近距離に見え、咄嗟に緊急脱出レバーを引いた。一度は言ってみたいセリフ、叫んでみたいセリフとはいっても、それを言っちゃあおしめえよ、の、やられ役ゼリフだ。

勇龍王ドランナーベの、砲撃・ドラゴンブレスから白兵必殺・ドラゴンブレイブスラッシュのスペシャルフィニッシュコンボが、フリューゲルを落としたまさにそのタイミングを狙って打ち込まれたのだ。

(あれほど警戒していたはずが…!!!!!)

こと、ここに至ればもはやみんな主人公機気分→やられ役のオンパレード。

「いてっ」

転がり落ちながら見上げると、ドランナーベの後ろには、あの、杖を携えた発掘兵器…医心号の姿があった。

『馬鹿なっ!?』

声がスピーカーから漏れてくる。あ、さっきまでの俺とおんなじだ、と思いながら華一郎は、医心号がメスで器用にドランナーベの動力パイプを切断しているのを見た。

「うお、うお、あぶ、あぶねえーーーーーっ!!!」

ごろりんと発掘兵器の残骸に逃げこむ華一郎。動けなくなったドランナーベが、医心号の杖の連撃によってなす術なく崩れ落ちていく。やはり離脱してくる龍鍋ユウ。医心号に乗っているのは、よけ藩国の安東西護。

「ここまでかっ…!」

見ると、そこには猫髭号が、ここまで耐えに耐え抜いてきた最後の重装甲型発掘兵器、アイアン・ハートをバリアーによって粉砕しているところだった。飛び出てきたのはつい最近立国したばかりの悪童連盟はヨルサク。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

ずるずると、華一郎が落としたフリューゲルから出てきた劉輝も一緒に
集まり、医療班が駆けつけてくるのを待ちながら、戦場を見守っていた。

猫髭号と、医心号。

ついに残った2体による、最後の一騎討ちが、始まろうとしていた。


(文責:城 華一郎)

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最終更新:2008年01月29日 00:08