「【蓬莱山輝夜の五つの難題】特設」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

【蓬莱山輝夜の五つの難題】特設 - (2007/10/13 (土) 23:50:51) の最新版との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*【蓬莱山輝夜の五つの難題】特設 このページは、約五時間に渡り繰り広げられた全六問、総レス数約700の超大作問題にして、 後の【伊吹萃香の百万鬼の扉】や【五つの罪等】の超大作の走りとなった 【蓬莱山輝夜の五つの難題】と出題者たる月の姫に敬意を表し、記録するためのページです。 なお、六問ともウミガメのスープ形式です。 ***永琳の中ボス戦~紅魔館強盗事件~ [[12スレ目718~784>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1173535964.html#718]] 【問題】 「おじゃまするわよ」 「……本当に邪魔ね」 そう言って、紅魔館にやってきたのは、蓬莱山輝夜だった。 しかし、にこやかに言う彼女の後ろには、ぐるぐると目を回している門番がいた。 ナイフを取り出して臨戦態勢をとる咲夜とは対照的に、輝夜は優雅に微笑んでいた。 「ところで、本日はどのような御用時で?」 「強盗よ」 その言葉と共に、双方のスペルカードが爆発する。 そして、優雅な笑みを変えずに、強盗犯の姫は高らかに宣言したのだった。 「紅魔館にある、もっとも希少で美しいお宝を貰っていくわよ!!」 【解説】(反転して見て下さい) &color(#ffffff){場所は変わって永遠亭。} &color(#ffffff){「師匠? 姫の姿が見えませんが……もうすぐお昼ご飯なのに……」} &color(#ffffff){「姫なら、出かけたわよ」} &color(#ffffff){「妹紅さんのところへですか?」} &color(#ffffff){「いえ、紅魔館だそうよ。なんでも、『#ロイヤルダイヤモンドリング』って言うお宝があるって……新聞持って、飛んで行ったわ」} &color(#ffffff){「はぁ……でも、ダイヤモンドなんて、姫なら腐るほどもっているでしょうに」} &color(#ffffff){「うどんげ。貴方はもう少し見識を広めたほうがいいわね」} &color(#ffffff){ロイヤルダイヤモンドリングとは、日食の前後に、太陽の様子がダイヤの指輪のようになる現象のことである。} &color(#ffffff){「たしかに、希少だし世界最大だし、何より手に入れられるものじゃないからね。きっと、難題にふさわしい、と思ったんじゃないかしら?」} &color(#ffffff){「はぁ……でも、あまりゴタゴタするのは嫌なんですけどね……」} &color(#ffffff){「まあ、いいじゃない。楽しければ」} &color(#ffffff){「それもそうですね」} &color(#ffffff){その後。スペルカードを奪われたパチュリー率いる紅魔館と永遠亭の仁義無き戦いが勃発し、それが博麗の巫女によって鎮圧されることになるのだが、それは別のお話。} ***第一の難題~紅魔館の姉妹~ [[12スレ目792~966>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1173535964.html#792]] 【問題】 最近の紅魔館は、いろいろと忙しない。何故ならば……最近になり、レミリアの妹であるフランドールの狂気の精神が大分安定するようになったからだ。 それゆえ、彼女も徐々に外に出るようになり、その世話のためにメイドの仕事の量も徐々に増えていた。 さて、ある土曜日の夜のこと。 今日は書斎(にしてはやけに大きすぎるのだが……)で本を読んでいたフランだったのだが、そこにレミリアがやってきた。 「フラン、明日はどこかに出かけようと思うのだけれど、どうかしら?」 「行く行く! 行くわ!!」 「そう。でも、まだ何処に行こうか、決めかねているの。フランは何処へ行きたい?」 「お姉さまとなら、外なら何処でもいいけど……魔理沙と一緒に遊びたいから、魔理沙の家に行きたいわ」 「まあ、それは素敵ね。そうしましょう」 そして、次の日曜日。 咲夜を伴って、にこやかに魔法の森へでかけたスカーレット姉妹だったが、帰ってきたとき、妹は満面の笑みだったのにも関わらず、姉は憮然とした表情だった。 なお、帰ってきたレミリアは、ぶつぶつと以下のようにつぶやいていたという。 「くそっ、あの店主……気が利かないわね……」 【解説】 &color(#ffffff){意気揚々と魔法の森に出かけたスカーレットご一行だったが、残念ながら魔理沙は家にはいなかった。} &color(#ffffff){「どうしよう……」} &color(#ffffff){「このまま帰るのも味気ないけど、かといってこれからあちこち飛び回るのも嫌ね……咲夜、このへんに、面白い所とかはないかしら?」} &color(#ffffff){「でしたら、丁度よいところがありますよ」} &color(#ffffff){そう言って、咲夜がスカーレット姉妹を連れて行ったのは、魔法の森の外れにある道具屋。香霖堂だった。} &color(#ffffff){「こんにちは、店主さん」} &color(#ffffff){「おや、これはこれは……何かご入用ですか? と、そちらのお嬢さんはここへは初めてですね?」} &color(#ffffff){「私の妹のフランよ」} &color(#ffffff){「こんにちは……始めまして。フランドール・スカーレットよ」} &color(#ffffff){「僕は香霖堂の店主の、森近霖之助です。以後お見知りおきを」} &color(#ffffff){「ところで、香霖堂さん。何か、面白いものはありませんか?」} &color(#ffffff){ふむ、と考えた店主は、そこのお嬢さんにぴったりのものがある、と言い、店の奥へ引っ込み、そして戻ってきたときには、何枚かの硬貨を持ってきた。} &color(#ffffff){「あら綺麗。銀色だけど、銀じゃないわね……プラチナかしら?」} &color(#ffffff){「いえ、これは鉄とニッケルでできています」} &color(#ffffff){「それじゃあ、あまり価値は無いわね……」} &color(#ffffff){「そうですね。ですが、きっとお嬢さんには気に入っていただけると思いますよ。何しろ、これは『#1フラン硬貨』ですから」} &color(#ffffff){自分の名前が通貨になっている、と知り、大喜びで硬貨を玩ぶフランドール。} &color(#ffffff){それを笑顔で見守る店主の肩を、レミリアがつついた。} &color(#ffffff){「ねえ、店主さん……他にも、1レミリア硬貨とか、1レミリアサマ硬貨とか、1レミリャ硬貨とか、そんなのは無いのかしら?」} &color(#ffffff){「残念ながら……そういったお金は、見たこと無いですね」} &color(#ffffff){その夜。不機嫌になって部屋に閉じこもっていたレミリアは、突然咲夜を呼び出して言ったのだった。} &color(#ffffff){「無いものは作ればいいのよ!! 幻想郷に、レミリア通貨を流通させるわよ!!」} &color(#ffffff){もちろん、そのあと失敗して、レミリアは霊夢にしこたま怒られたのだった。} ***第二の難題~三途の川の死神~ [[13スレ目12~116>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1175353136.html#112]] 【問題】 その日、死神・小野塚小町は、やる気がでないのを振り絞って、朝からがんばって霊を送っていた。 「うう、だるい……でもなぁ……」 自分の上司の顔を思い浮かべて。彼女は、また霊を送るのだった。 【解説】 &color(#ffffff){『#エイプリルフール』} &color(#ffffff){それは、嘘をついても笑って許してあげる、嘘をついても許される日である。} &color(#ffffff){しかし、それは生真面目な閻魔にとって、とても辛い日でもある。} &color(#ffffff){死者は裁判だから嘘は許さないが、それ以外の者が平気で嘘をつくのを、笑って許さなければならないのだから……} &color(#ffffff){昔、エイプリルフールが幻想郷にやってきた日。} &color(#ffffff){いつものように、サボっていた小町は、映姫に見つかった。} &color(#ffffff){そして、これまたいつものように、いろいろと言い訳をした小町に、あろうことか、映姫は笑って、「そう、がんばってね」とねぎらってきたのだった。} &color(#ffffff){映姫が嘘を見破れないはずが無い。びっくりした小町は、映姫の口元がひくついていたのを見逃さず、そして、あとでエイプリルフールのことを思い出して、深く後悔したのだった。} &color(#ffffff){なにしろ、あの閻魔の少女は、怒ることよりも、怒ることを我慢することの方に、ストレスを貯めるタイプなのだから……} &color(#ffffff){それ以来、小町はエイプリルフールだけは、体調が悪いときでなければ、絶対に仕事をサボらないようにしているのだった。} &color(#ffffff){「えーきさまのためならえんやらこーー!! しくしく」} &color(#ffffff){そんな彼女を、四季映姫はため息をつきながら見守っていた。} &color(#ffffff){「やれやれ、いつもこのくらい仕事をしてくれるといいのですが……」} &color(#ffffff){しかし嬉しさを隠し切れなかったのか、そう言う映姫の顔は晴れやかだった。} ***第三の難題~巫女と魔女の見解~ [[13スレ目128~161>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1175353136.html#128]] 【問題】 霊夢は言った。 「いや、あれは絶対にムリね」 それに対して、魔理沙は言ったのだった。 「いや、ムリじゃないと思うぜ」 【解説】 &color(#ffffff){伊吹萃香のスペルカード、『#疎符「六里霧中」』} &color(#ffffff){スペルカードには、時々読み方が分からないスペルカードが存在するが、このスペルもその一つだった。} &color(#ffffff){そして、その読み方について……霊夢と魔理沙は争っていたのだった。} &color(#ffffff){「だから、アレは『ムリ』でしょう? ムリムチュウ。こっちの方が語呂がいいじゃない」} &color(#ffffff){「いち、に、さん、し、ご、の次に、む、と数えるか? アレは絶対に、ロクリムチュウだ」} &color(#ffffff){そんな感じで言い争っていた二人だったが、キリが無かったので本人に聞くことにしたのだった。} &color(#ffffff){が……彼女の口は重かった。} &color(#ffffff){「あー、あー……なんというか……言いたくても言えないというか……隠しているわけじゃないんだけどね……」} &color(#ffffff){「なによ、ケチね!!」} &color(#ffffff){「しょうがないじゃないか!!」} &color(#ffffff){なにしろ、それを断言できるのは、神主しかいないのだから――} ***第四の難題~マヨヒガの黒猫~ [[13スレ目178~281>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1175353136.html#178]] 【問題】 とある日の、マヨヒガの縁側。 境界の妖怪・八雲紫と、その式・八雲藍は、日向ぼっこをしながらお茶をすすっていた。 「いい天気ねー」 「そうですねー」 こんな日がいつまでも続けばいい。 そんなことを思っていた二人だったが、それは突然破られたのだった。 「らんさまーーーーーーーー!!」 飛び重ね鱗のごとく回転しながらつっこんできたのは、藍の式・橙だった。 「なんだなんだ。どうしたんだ、橙?」 「私……こーりんとか言う男に、弄ばれてしまったんです……!!」 「「な、なんだってーーーー!!」」 ぶー、と茶を噴出す紫と藍。 「魔理沙が、『おもしろいことがあるぜ』って言ってて、付いていったら、その男がいきなり……! 1時間くらいたっぷり遊ばれてから、さらに1時間、今度は魔理沙まで加わって……!!」 「く、くそっ、あいつら殺す!!」 そう言って、藍はものすごい勢いで飛んでいったのだった。 【解説】 &color(#ffffff){ことは、その昨日のことだった。} &color(#ffffff){「で、いきなり呼び出して。なんのようだ?」} &color(#ffffff){「ああ、実は、これを見て欲しいんだ」} &color(#ffffff){そう言って、霖之助がとりだしたのは、灰色の丸みを帯びた物体。} &color(#ffffff){「なんじゃこりゃ?」} &color(#ffffff){「これは、式神を操る道具で、名を『#マウス』と言う」} &color(#ffffff){だが、これを使っても、店の式神は動かなくてね。と霖之助は続ける。} &color(#ffffff){「ネズミ、と名前が付くからには畜生の式神ならば動かせるかも知れないと思ってね。君の知り合いの式神使いか式に心当たりは無いか?」} &color(#ffffff){それに、魔理沙は笑って答えたのだった。} &color(#ffffff){「おう、そりゃいい。丁度、いるぜ。猫の式神がな」} &color(#ffffff){そして、橙が藍に助けを求め、藍が血相を変えて飛び去り、数時間後。} &color(#ffffff){「弄ばれたーーーーー!!」} &color(#ffffff){そう言って、飛翔役小角のごとく藍が飛びかえってきたのだった。} &color(#ffffff){あきれた目で見る紫に、藍は涙目で反論する。} &color(#ffffff){「だって……あっちへチョロチョロ~、こっちへチョロチョロ~って動くんですよ!! 私には、あんなの耐えられません!!」} &color(#ffffff){そのとおりです!! と橙が同意し、ひしと抱き合う式二匹。} &color(#ffffff){それを半眼で見つめて、八雲紫は、はぁ、とため息をついたのだった。} ***最後の難題~彼女のコンプレックス~ [[13スレ目298~471>http://jbbs.livedoor.jp/computer/6306/storage/1175353136.html#298]] 【問題】 彼女は、自分の名前が嫌いだった。誰かがその名前を呼ぶたび、嫌な気分になった。 そう、彼女は、自分の名前にコンプレックスを抱いていたのだ―― 【解説】 &color(#ffffff){兎は、子沢山なものだが、彼女の母親もまた、沢山子供を生んだ。} &color(#ffffff){正確な数は彼女自身も知らないし、彼女の母親ですら知らなかったという。} &color(#ffffff){それくらいの、子沢山だった。} &color(#ffffff){そうなると、困るのが名前である。多いものだから、レパートリーもどんどん少なくなっていく。} &color(#ffffff){太郎、次郎、三郎、春夏秋冬子丑寅卯……} &color(#ffffff){そして、それは多くなればなるほど安直になり……} &color(#ffffff){彼女が生まれて、彼女の母親は言ったのだった。} &color(#ffffff){あんた達の名前は、右から順に、『#甲乙丙丁』ね、と。} &color(#ffffff){そうして、右から4番目にいた彼女は、てゐと言う名を授かったのだった。} &color(#ffffff){そして、彼女はしばらくの間ずっと、適当に付けられた自分の名前に悩まされることになったのだ。} &color(#ffffff){「んー、ちょっと待って」} &color(#ffffff){そう言って、鈴仙はてゐの話を遮った。} &color(#ffffff){「いままで、ずっと過去形で話してるけど、それじゃあ、今は嫌いじゃないの?」} &color(#ffffff){「そうだよ」} &color(#ffffff){「なんで?」} &color(#ffffff){「そりゃあ、だって……私の名前は適当に付けられたものだけど、だからこそ、それだけ苦労するくらい、兄弟が多かったことの証明でもあるからね」} &color(#ffffff){私も、随分永く生きてきたから。もう、兄弟達は、みんな死んじゃったけど。} &color(#ffffff){この名前自体が、今はもういない兄弟達が存在していたことを示していると思うと、そう悪くは無い。} &color(#ffffff){と、因幡てゐは苦笑したのだった。} &color(#ffffff){「ところで、今日ってエイプリルフールだけど、それって本当のこと?」} &color(#ffffff){「さーねー☆」}
&aname(T1,option=nolink){アンケート番号}[[T1>良問アンケート/大作1~10問目#1]] *【蓬莱山輝夜の五つの難題】特設 このページは、約五時間に渡り繰り広げられた全六問、総レス数約700の超大作問題にして、 後の【伊吹萃香の百万鬼の扉】や【五つの罪等】の超大作の走りとなった 【蓬莱山輝夜の五つの難題】と出題者たる月の姫に敬意を表し、記録するためのページです。 なお、六問ともウミガメのスープ形式です。 &aname(T1-1,option=nolink){アンケート番号}[[T1-1>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***永琳の中ボス戦 ~紅魔館強盗事件~ [[12スレ目718~784>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame12.html#R718]] 【問題】 「おじゃまするわよ」 「……本当に邪魔ね」 そう言って、紅魔館にやってきたのは、蓬莱山輝夜だった。 しかし、にこやかに言う彼女の後ろには、ぐるぐると目を回している門番がいた。 ナイフを取り出して臨戦態勢をとる咲夜とは対照的に、輝夜は優雅に微笑んでいた。 「ところで、本日はどのような御用時で?」 「強盗よ」 その言葉と共に、双方のスペルカードが爆発する。 そして、優雅な笑みを変えずに、強盗犯の姫は高らかに宣言したのだった。 「紅魔館にある、もっとも希少で美しいお宝を貰っていくわよ!!」 #openclose(show=解答を表示) { 場所は変わって永遠亭。 「師匠? 姫の姿が見えませんが……もうすぐお昼ご飯なのに……」 「姫なら、出かけたわよ」 「妹紅さんのところへですか?」 「いえ、紅魔館だそうよ。なんでも、『#ロイヤルダイヤモンドリング』って言うお宝があるって……新聞持って、飛んで行ったわ」 「はぁ……でも、ダイヤモンドなんて、姫なら腐るほどもっているでしょうに」 「うどんげ。貴方はもう少し見識を広めたほうがいいわね」 ロイヤルダイヤモンドリングとは、日食の前後に、太陽の様子がダイヤの指輪のようになる現象のことである。 「たしかに、希少だし世界最大だし、何より手に入れられるものじゃないからね。きっと、難題にふさわしい、と思ったんじゃないかしら?」 「はぁ……でも、あまりゴタゴタするのは嫌なんですけどね……」 「まあ、いいじゃない。楽しければ」 「それもそうですね」 その後。スペルカードを奪われたパチュリー率いる紅魔館と永遠亭の仁義無き戦いが勃発し、それが博麗の巫女によって鎮圧されることになるのだが、それは別のお話。 } &aname(T1-2,option=nolink){アンケート番号}[[T1-2>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***第一の難題 ~紅魔館の姉妹~ [[12スレ目792~966>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame12.html#R792]] 【問題】 最近の紅魔館は、いろいろと忙しない。何故ならば……最近になり、レミリアの妹であるフランドールの狂気の精神が大分安定するようになったからだ。 それゆえ、彼女も徐々に外に出るようになり、その世話のためにメイドの仕事の量も徐々に増えていた。 さて、ある土曜日の夜のこと。 今日は書斎(にしてはやけに大きすぎるのだが……)で本を読んでいたフランだったのだが、そこにレミリアがやってきた。 「フラン、明日はどこかに出かけようと思うのだけれど、どうかしら?」 「行く行く! 行くわ!!」 「そう。でも、まだ何処に行こうか、決めかねているの。フランは何処へ行きたい?」 「お姉さまとなら、外なら何処でもいいけど……魔理沙と一緒に遊びたいから、魔理沙の家に行きたいわ」 「まあ、それは素敵ね。そうしましょう」 そして、次の日曜日。 咲夜を伴って、にこやかに魔法の森へでかけたスカーレット姉妹だったが、帰ってきたとき、妹は満面の笑みだったのにも関わらず、姉は憮然とした表情だった。 なお、帰ってきたレミリアは、ぶつぶつと以下のようにつぶやいていたという。 「くそっ、あの店主……気が利かないわね……」 #openclose(show=解答を表示) { 意気揚々と魔法の森に出かけたスカーレットご一行だったが、残念ながら魔理沙は家にはいなかった。 「どうしよう……」 「このまま帰るのも味気ないけど、かといってこれからあちこち飛び回るのも嫌ね……咲夜、このへんに、面白い所とかはないかしら?」 「でしたら、丁度よいところがありますよ」 そう言って、咲夜がスカーレット姉妹を連れて行ったのは、魔法の森の外れにある道具屋。香霖堂だった。 「こんにちは、店主さん」 「おや、これはこれは……何かご入用ですか? と、そちらのお嬢さんはここへは初めてですね?」 「私の妹のフランよ」 「こんにちは……始めまして。フランドール・スカーレットよ」 「僕は香霖堂の店主の、森近霖之助です。以後お見知りおきを」 「ところで、香霖堂さん。何か、面白いものはありませんか?」 ふむ、と考えた店主は、そこのお嬢さんにぴったりのものがある、と言い、店の奥へ引っ込み、そして戻ってきたときには、何枚かの硬貨を持ってきた。 「あら綺麗。銀色だけど、銀じゃないわね……プラチナかしら?」 「いえ、これは鉄とニッケルでできています」 「それじゃあ、あまり価値は無いわね……」 「そうですね。ですが、きっとお嬢さんには気に入っていただけると思いますよ。何しろ、これは『#1フラン硬貨』ですから」 自分の名前が通貨になっている、と知り、大喜びで硬貨を玩ぶフランドール。 それを笑顔で見守る店主の肩を、レミリアがつついた。 「ねえ、店主さん……他にも、1レミリア硬貨とか、1レミリアサマ硬貨とか、1レミリャ硬貨とか、そんなのは無いのかしら?」 「残念ながら……そういったお金は、見たこと無いですね」 その夜。不機嫌になって部屋に閉じこもっていたレミリアは、突然咲夜を呼び出して言ったのだった。 「無いものは作ればいいのよ!! 幻想郷に、レミリア通貨を流通させるわよ!!」 もちろん、そのあと失敗して、レミリアは霊夢にしこたま怒られたのだった。 } &aname(T1-3,option=nolink){アンケート番号}[[T1-3>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***第二の難題 ~三途の川の死神~ [[13スレ目12~116>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame13.html#R12]] 【問題】 その日、死神・小野塚小町は、やる気がでないのを振り絞って、朝からがんばって霊を送っていた。 「うう、だるい……でもなぁ……」 自分の上司の顔を思い浮かべて。彼女は、また霊を送るのだった。 #openclose(show=解答を表示) { 『#エイプリルフール』 それは、嘘をついても笑って許してあげる、嘘をついても許される日である。 しかし、それは生真面目な閻魔にとって、とても辛い日でもある。 死者は裁判だから嘘は許さないが、それ以外の者が平気で嘘をつくのを、笑って許さなければならないのだから…… 昔、エイプリルフールが幻想郷にやってきた日。 いつものように、サボっていた小町は、映姫に見つかった。 そして、これまたいつものように、いろいろと言い訳をした小町に、あろうことか、映姫は笑って、「そう、がんばってね」とねぎらってきたのだった。 映姫が嘘を見破れないはずが無い。びっくりした小町は、映姫の口元がひくついていたのを見逃さず、そして、あとでエイプリルフールのことを思い出して、深く後悔したのだった。 なにしろ、あの閻魔の少女は、怒ることよりも、怒ることを我慢することの方に、ストレスを貯めるタイプなのだから…… それ以来、小町はエイプリルフールだけは、体調が悪いときでなければ、絶対に仕事をサボらないようにしているのだった。 「えーきさまのためならえんやらこーー!! しくしく」 そんな彼女を、四季映姫はため息をつきながら見守っていた。 「やれやれ、いつもこのくらい仕事をしてくれるといいのですが……」 しかし嬉しさを隠し切れなかったのか、そう言う映姫の顔は晴れやかだった。 } &aname(T1-4,option=nolink){アンケート番号}[[T1-4>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***第三の難題 ~巫女と魔女の見解~ [[13スレ目128~161>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame13.html#R128]] 【問題】 霊夢は言った。 「いや、あれは絶対にムリね」 それに対して、魔理沙は言ったのだった。 「いや、ムリじゃないと思うぜ」 #openclose(show=解答を表示) { 伊吹萃香のスペルカード、『#疎符「六里霧中」』 スペルカードには、時々読み方が分からないスペルカードが存在するが、このスペルもその一つだった。 そして、その読み方について……霊夢と魔理沙は争っていたのだった。 「だから、アレは『ムリ』でしょう? ムリムチュウ。こっちの方が語呂がいいじゃない」 「いち、に、さん、し、ご、の次に、む、と数えるか? アレは絶対に、ロクリムチュウだ」 そんな感じで言い争っていた二人だったが、キリが無かったので本人に聞くことにしたのだった。 が……彼女の口は重かった。 「あー、あー……なんというか……言いたくても言えないというか……隠しているわけじゃないんだけどね……」 「なによ、ケチね!!」 「しょうがないじゃないか!!」 なにしろ、それを断言できるのは、神主しかいないのだから―― } &aname(T1-5,option=nolink){アンケート番号}[[T1-5>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***第四の難題 ~マヨヒガの黒猫~ [[13スレ目178~281>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame13.html#R178]] 【問題】 とある日の、マヨヒガの縁側。 境界の妖怪・八雲紫と、その式・八雲藍は、日向ぼっこをしながらお茶をすすっていた。 「いい天気ねー」 「そうですねー」 こんな日がいつまでも続けばいい。 そんなことを思っていた二人だったが、それは突然破られたのだった。 「らんさまーーーーーーーー!!」 飛び重ね鱗のごとく回転しながらつっこんできたのは、藍の式・橙だった。 「なんだなんだ。どうしたんだ、橙?」 「私……こーりんとか言う男に、弄ばれてしまったんです……!!」 「「な、なんだってーーーー!!」」 ぶー、と茶を噴出す紫と藍。 「魔理沙が、『おもしろいことがあるぜ』って言ってて、付いていったら、その男がいきなり……! 1時間くらいたっぷり遊ばれてから、さらに1時間、今度は魔理沙まで加わって……!!」 「く、くそっ、あいつら殺す!!」 そう言って、藍はものすごい勢いで飛んでいったのだった。 #openclose(show=解答を表示) { ことは、その昨日のことだった。 「で、いきなり呼び出して。なんのようだ?」 「ああ、実は、これを見て欲しいんだ」 そう言って、霖之助がとりだしたのは、灰色の丸みを帯びた物体。 「なんじゃこりゃ?」 「これは、式神を操る道具で、名を『#マウス』と言う」 だが、これを使っても、店の式神は動かなくてね。と霖之助は続ける。 「ネズミ、と名前が付くからには畜生の式神ならば動かせるかも知れないと思ってね。君の知り合いの式神使いか式に心当たりは無いか?」 それに、魔理沙は笑って答えたのだった。 「おう、そりゃいい。丁度、いるぜ。猫の式神がな」 そして、橙が藍に助けを求め、藍が血相を変えて飛び去り、数時間後。 「弄ばれたーーーーー!!」 そう言って、飛翔役小角のごとく藍が飛びかえってきたのだった。 あきれた目で見る紫に、藍は涙目で反論する。 「だって……あっちへチョロチョロ~、こっちへチョロチョロ~って動くんですよ!! 私には、あんなの耐えられません!!」 そのとおりです!! と橙が同意し、ひしと抱き合う式二匹。 それを半眼で見つめて、八雲紫は、はぁ、とため息をついたのだった。 } &aname(T1-6,option=nolink){アンケート番号}[[T1-6>良問アンケート/大作1~10問目#1]] ***最後の難題 ~彼女のコンプレックス~ [[13スレ目298~471>http://gensokyotekiumigame.web.fc2.com/thread/umigame13.html#R298]] 【問題】 彼女は、自分の名前が嫌いだった。誰かがその名前を呼ぶたび、嫌な気分になった。 そう、彼女は、自分の名前にコンプレックスを抱いていたのだ―― #openclose(show=解答を表示) { 兎は、子沢山なものだが、彼女の母親もまた、沢山子供を生んだ。 正確な数は彼女自身も知らないし、彼女の母親ですら知らなかったという。 それくらいの、子沢山だった。 そうなると、困るのが名前である。多いものだから、レパートリーもどんどん少なくなっていく。 太郎、次郎、三郎、春夏秋冬子丑寅卯…… そして、それは多くなればなるほど安直になり…… 彼女が生まれて、彼女の母親は言ったのだった。 あんた達の名前は、右から順に、『#甲乙丙丁』ね、と。 そうして、右から4番目にいた彼女は、てゐと言う名を授かったのだった。 そして、彼女はしばらくの間ずっと、適当に付けられた自分の名前に悩まされることになったのだ。 「んー、ちょっと待って」 そう言って、鈴仙はてゐの話を遮った。 「いままで、ずっと過去形で話してるけど、それじゃあ、今は嫌いじゃないの?」 「そうだよ」 「なんで?」 「そりゃあ、だって……私の名前は適当に付けられたものだけど、だからこそ、それだけ苦労するくらい、兄弟が多かったことの証明でもあるからね」 私も、随分永く生きてきたから。もう、兄弟達は、みんな死んじゃったけど。 この名前自体が、今はもういない兄弟達が存在していたことを示していると思うと、そう悪くは無い。 と、因幡てゐは苦笑したのだった。 「ところで、今日ってエイプリルフールだけど、それって本当のこと?」 「さーねー☆」 } ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー