時間とは砂の様なものである。儚く、流れていくものだ。
その流れの中で、人は己が時を刻み続ける。
・・・本来ならば。
時間を壊す存在 『イマジン』。
何処から現れたとも知れぬ、砂で形作られる怪人達は人の望みを歪んだ方法で叶え、その代償として、過去を蹂躙する。
時の運行を守る戦士は存在していた。
彼は戦う。戦い続ける。だから、今までの敵とは比較にならない、凄まじい存在が待ち構えていることなど、知る由も無かった。
そして
選ばれた者が、幻想郷から降臨する――――
といったことは無く、無関係な第三者が―――ゆくゆくは時間を、幻想郷を巡る―――大事件に突然放り出されたのであった。
――良太郎!!
――え、モモタロス?突然どうしたの?
――イマジンだ!! イマジンの匂いがすんだよ!!
――えぇーーー!?
霊夢は考えていた。
いや、間を取りたかったと言うべきか。
とにかく考えてはいた。
まあ・・・今日はよくあるような日よね?
「コルァ!!降りて来い!!」
魔理沙に叩き起こされて、朝食をとりつつ魔理沙に押し付けられた怪しげな箱を開けたら爆発して、そんな馬鹿を撃退して軽く休んで、
ふらふら飛んでいたら空が裂けて呑み込まれた。
「飛べるからって飛ぶのは卑怯だろが!!」
- よくあるというのは無理か。起きた辺りの展開で最早よくあるも何もない。
あー・・・ありとあらゆる手段で間を取ってみたい。
爪を切り顔を洗い髪に櫛を入れリボンを結び酒を飲み・・・
「返事しやがれそこの紅白!!聞こえてんだろ!?・・・聞えてるよね?」
さて。
眼下の見なれない街では、これまた見なれない赤いヨロイが騒いでいる。
(正直・・・今朝のことと「コレ」でいっぱいいっぱいなんだけど・・・)
だから現実逃避していたのだが。
『ねえ・・・モモタロス?』
と、何やらへなへなした少年の声が聞えた。(「聞えた」と表現できるかは微妙だが)
「ん?何だよ!?」
『その娘・・・格好が巫女なのは変だけど、どう見てもイマジンじゃないような気が・・・』
「イマジンの匂いがあのガキンチョからするんだよ!!イマジンが憑いてんだろ!!」
『だからって空を飛ぶかなぁ』
「・・・」
会話が止まる。
ぼんやりと、そんなことを考えた霊夢は
(―――!)
本能に頭を叩かれて、横に飛んだ――その動作を超える速度で、光刃が飛来する!
「っ―――!」
回避できたのは奇跡に近かった。
動くと同時に僅かに身を捩ったため直撃は避けられたが、光刃は髪を少し裂いていた。
「おっと!?・・・へへ、今度こそ”来やがった”か!?」
と、赤ヨロイが言っているが気に留めていられない。
「い、今の何なのよ!?」
霊夢は戦慄していた。
幻想郷では弾幕ごっこが常で、本気で戦うなど滅多に無いことだが・・・
あの光刃は殺し合いで使われる力の中でも、到底楽観視できるレベルでは無かった。
グ~・・・
「・・・」
腹の音が鳴った。
「てめえ!緊張感台無しじゃねえか!!」
「いや~・・・お昼まだだったの」
ポリポリと頬を掻いて言う霊夢。
「急に甘い匂いが漂ってきたもんだから」
「は?甘い匂い?」
『モモタロス・・・!』
はっと後ろを振り向く赤ヨロイ。
と・・・
足音を響かせ、ビルの陰からそれはやって来た。
「クックックック・・・」
笑っている。
「えっと・・・」
「それ」が先程の光刃を放ったのだろうと、霊夢は見当をつけた――いや、そんなことはどうでもいい。
菓子のような匂いが接近してきたのは、つまり菓子のような怪人がやって来たからだった。
見たままを言えば、
チョコでできた魔女がチョコで武装している。
そうとしか言い様が無かった。
魔女らしい服のような部分は、ビターチョコだ、多分。
手に持っている鎌の刃は、やっぱりホワイトチョコだろうか。
ん?肌は何だかビスケットのような・・・
とりあえず、その格好で歩こうと考えるだけでしばらく笑いものになりそうな代物だった。
いわんや街中を移動するなど、愚昧を超越して崇拝の対象になりかねない。
「オイオイ、また随分ハデなのが来たじゃねえか!」
と、喜んでいる真っ赤なヨロイ。
「アンタの格好も凄いわよ」
と半眼で突っ込む。
(ん・・・?)
博霊の巫女の血が、何かを捉えた。
不意に霊夢の表情が、猛禽類を彷彿とさせる色を帯びる・・・
(この”匂い”・・・どこかで・・・?)
――匂い?――甘い匂い――おとといアリスが持ってきたお菓子は美味しかった じゃなくて・・・
―――そんなに前の記憶じゃない――つい最近――なにか鼻がむず痒くなる―――――――
――そうだ、魔理沙が持ってきた箱! 開けたら爆発して、そのときの粉塵が――――白い粉が――――それが、
あの魔女、それにそう、赤いヨロイの”匂い”と同じだ――――
ケイクウィッチイマジン
モチーフは「ヘンゼルとグレーテル」の魔女、さらにチョコレート。
バレンタインデーでチョコが貰えなかったとある少年の
「この世からチョコが無くなって欲しい」という願いを叶えようと
少年の目につく範囲のチョコを、人や店ごと消し飛ばす。
他の強力なイマジンと同じく光の刃を放つが、それ以外の能力はまだ不明。
何らかの力によって、童話の登場人物以外のイメージが混成された新たなイマジン。
思いつきで書いたらこれ以上書けなかった
最終更新:2009年03月27日 20:38