その日、私の目の前からすべてが消えてしまった。
賑やかだけど平和な街
星に詳しくてかーなーり強いお父さん
コーヒーを淹れるのがうまいお母さん
運が悪いけどしっかりしている叔父さん
何もかも、何もかも消えてしまった。あいつらのせいで。
次に気づいたとき、私は向日葵畑のど真ん中にいた。はて、今は向日葵の季節だったっけ?
一面に広がる向日葵を眺めながら、ふとお母さんの事を思い出す。
そういえば、お母さんはお花も好きだったっけ……
あれ? そういえばお母さんの顔が思い出せない?
それだけじゃない、お父さんも、叔父さんの顔も思い出せない。
一番忘れちゃいけない事を度忘れして、パニックを起こしている私を止めたのは、不意に私の顔を掠める日傘。
「私の向日葵畑で、あんまり暴れないで頂戴」
日傘を私に突きつけた目の前の女性は、表情こそにこやかだが醸し出す威圧感は常人の比ではなかった。
「幻想郷に住んでる人間で、ここで暴れようなんて愚かな人間はいないわ。あなた……外の世界の人間ね?」
まるで自分が人間じゃないような物言いだ。それに……幻想郷? 外の世界?
どうやら、この向日葵畑は消えた私の世界とは違う場所のものらしい。
最終更新:2009年03月28日 13:09