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東方怪獣王

ズシン――――ズシン――――ズシン――――

断続的な振動が、地の底を揺らす。
最早地震と十分に呼べるほどの強さを持ったそれが、テーブルの上のカップを激しく振動されるが、
地の底の主たる少女は対して気にした風も無くカップを手に取り、口を付けた。

「……確かに、私も最初は驚いたけれどね」

全ての発端はこの地震だった。
突如として、局所的な地震が幻想郷を襲った。
それは、地震と呼ぶにはあまりにも奇妙な物。
『小規模ながら、数分おきにわたって延々と大地を揺らし続ける地震』などと言う物を、異変と呼ばずして何と呼ぼうか。
かくして、楽園の素敵な巫女はいつもの様に異変解決を目指し動き出す運びとなった訳である。
地震と言う物が者だけに、またもや性懲りもなくあの有頂天人が何かやらかしたのか、と天まで飛んでは見た物の、結局は空振り。
思わせぶりな態度を取って思う存分フルボッコにされたあのドえm……もとい不良天人は、あっさりと『今回は無関係である』と知らぬ存ぜぬを通した。
それだけならまだウソの可能性もあったが、空気を読む事に定評のある付き人もまた主に同意した為に信用せざるを得なくなった。
となれば次に怪しいのは、震源地たる地の底―――地霊殿。
地の底を突き進むにつれ、地の揺れのみならず奇妙な地鳴りまでもが観測され、
やはり元凶はここか、よもやかの地霊殿の主がついに異変を引き起こしたか―と勢い勇んで来てみれば。
『心を読む程度の能力』を持った彼女はこちらが言う前から「ええ、確かにあなたの思ってる通りとも言えるわ」とあっさりと非を認める(?)発言をした挙句、
「まぁ御掛けなさいな」とイスを出し、わざわざ紅茶を用意するほどの落ち着きっぷりだ。
もちろん一連の流れの中でも振動や奇妙な地鳴りは続き、二、三個のティーカップが犠牲になった事が妙に印象的だった。

「これでも飲んで、待っていましょう。その内に『見えてくる』でしょうから」

と、呑気にお茶やお茶菓子を楽しむ地霊殿の主を訝しがりつつも、貰える物は貰っておこうと同じくお茶菓子に舌鼓を撃っていたところ―――


『それ』は、地の果てからゆっくりとその姿を現した。


「ええ、アレよ。アレがこの地震と地鳴りの原因」

あまりにもあんまりな、非常識が常の幻想郷でも更に非常識な前に唖然としていると、ご丁寧に心を呼んだ彼女が解説を始めた。
こう言う時、この能力は便利だと思う。滅多に無い機会ではあるが。

「見て分かる通り、あれは幻想郷のモノでは無いわ。外で生まれ、外から流れてきた存在」

……むしろそっちの方が驚く。外の世界と言うのは予想以上に非常識な世界だったのか?

「ともかく、『外の世界で居場所を無くした彼』は、幻想郷へと至る権利を手に入れ、この地霊殿へと辿りついた」

出来れば来ないで欲しかった。幾らなんでも、アレを異変の元凶としてどうにかするのは……どうみても『スペルカード云々』は通じ無さそうだ。
それでも、こちらには夢想天生と言う力があるために『負け』は無いと言えるだろうが。
…………こちらの攻撃がアレに効くのか?

「無理ね。我が地霊殿の全兵力を持って彼に戦いを挑んでは見たけれど、ピンピンしていたわ」

何故それを嬉しそうに言う。


「まぁ、私の能力のお陰で意思疎通自体は可能だったから。ダメで元々、どうにか和平交渉を持ち込んでみたの。
 そしたらその過程で、私のペットの一匹がどうも彼に興味を持った、というか気にいってしまったみたいで」

能力に何か近い物を感じたのかしらね、と何とはなしに言いながら、紅茶を一口啜る。

「だから―――――」

ふぅ、と一息ついた後に彼女がティーカップを再び置いた。振動が地面を襲った。カップが倒れた。こっちに少し紅茶が掛った。クリーニング代寄こせ。

「――――――思い切って新しいペットとして迎え入れちゃった♪」



「よーし行けーーーー!!私たちの最強っぷりを思いっきり見せつけてやろーーーーーーー!!」
「GUAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!」



ついさっきからこの地面を揺らし、咆哮という名の地鳴りを起こしている『ソレ』―――外の世界で『怪獣王』と呼ばれた二足歩行の黒いトカゲと、
その頭上に陣取りながらノリノリで叫んでいる先の異変の主犯であった鳥頭の姿を見ながら、巫女はわずかに自分の意識が遠のくのを感じた。







「あ、別に心配しないでも大丈夫よ?彼、ああ見えて子供好きの凄く優しい性格だから」
「嘘ぉぉぉぉぉぉ!?」


※しかも『もはや過去の遺物として出番なしであろう』昭和後期バージョン。

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最終更新:2009年07月11日 22:04
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