『もう一つの闇』-1
作者・大魔女グランディーヌ
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スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***
琢磨「――い、痛いっ! 何をするんですか!!
放せ! 放してくださいっ! ……)))))ガクガクブルブル」
レオ「………」
現場作業員姿の琢磨逸郎が、村上社長直属の用心棒・レオに耳を引っ張られて
村上の待つ社長室へと連れ込まれた。
村上「随分と探しましたよ、琢磨さん……」
琢磨「む、村上さん!?」
村上「一体何ですかその姿は? かつては栄誉あるラッキー・クローバーの
一員であったはずの貴方が……」
琢磨「僕はもう残りの人生を人間として生きていく事を決めたんです!
僕の事はもうほっといてください!」
バチンッ!!と琢磨の頬を平手で叩く村上……。
琢磨「い、いきなり何をするんですかぁ~っ!?」
村上「下の下……以下ですね!!」
琢磨「……)))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
村上「琢磨さん、よく考え直してご覧なさい。愚かなナチュラルどもが、
これまで我々オルフェノクに対して行なってきた数々の仕打ちを……。
そもそもナチュラルはオルフェノクを人間としては認めていません。
ナチュラルは閉鎖的で差別的な生き物なのです。それは歴史が証明するところでしょう……。
オルフェノクがナチュラル――いや、人間と共存して暮らす事など、
未来永劫絶対に不可能なのです」
そこへスマートレディが何かを知らせに
村上のところへとやって来る。
スマートレディ「社長さん、お客様がおいでですわ。
──どうやら、お迎えに来られたみたいです……(ニコニコ)」
村上「……そうですか、すぐにお通ししてください。
くれぐれも失礼の無いように」
同本社ビル内・応接間***
村上が入室すると、ソファから一人の
黒いサングラスをかけた初老の紳士風の男が立ち上がる。
村上「これはこれは……わざわざお出迎えに来ていただけるとは
光栄です、天王路さん……」
天王路「当然のことだよ……早速だが、出発のご準備を。
他の皆さんももうお待ちだ」
村上「承知しました。すぐに今日の予定を全てキャンセルの上、
ご同行しましょう」
応接室を出てエレベーターに向かう2人。途中でレオも合流し、
エレベーターに乗り込む。
村上「ヒューマンアンデットは適合者を作る際、
犠牲者を生んでしまった。銀の時代の始まりですよ……。
彼らは死に、異形の者として再び生を得ることから、
冥界を見たオルフェウスと、永遠の命を持つエノクを合わせた、
オルフェノクと名付けられた……。
覚醒後の灰色の身体は、銀の時代といわれた所以です……」
天王路「そしてさらに、銅の時代が来る。
ヒューマンの子とオルフェノクとの戦いの時代だ。
オルフェノクは、永遠の命を断ち切る武器を生み出した。
3本のベルトの誕生だ。ヒューマンの子は、
全て命尽きる人間になった。鉄の時代が始まったのだ…」
村上「…そして今、到る所に時空の門が開かれた事をきっかけに、
新たな時代が訪れようとしています……。そして新たなバトルファイトもね……。
天王路さん、そのバトルファイトに最後まで勝ち抜いたただ一人の
世紀王候補――次期創世王のみに与えられるという万能なる力……
……貴方は何にお使いになりますか?」
天王路「……フッ…君と同じだよ…村上君。
私の願いは愚かな旧人類を全て滅ぼし、一から理想郷とも言える新世界を
この手で創造し直すことだ……。無論、この私が支配者となってね…」
エレベーターの中で会話を続ける二人。
天王路「……本郷猛をはじめとする虫けら(ワーム)どもが
次々と帰国しているのはご存知か?」
村上「……!! いえ、初耳ですね。海外における我が社の拠点を
全て潰してくれた者たち……」
村上は冷静を装っているが、拳は堅く握られている。
天王路「……どうやら、乾巧と接触するために戻って来ている模様……
フフ、ご心配なく……こちらで既に手は打ってある。
それに、無幻城へ行けば面白いものも見られるだろう。
フフフフ……」
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△琢磨逸郎→強引にスマートブレインに連れ戻される。
●天王路博史→スマートブレイン本社に村上を出迎えに現れる。
●村上峡児→Gショッカーの召喚に応じる。
【今回の新規登場】
△琢磨逸郎=センチピードオルフェノク(仮面ライダー555)
ラッキークローバーの一人。ウィリアム・バトラー・イェイツの詩を愛す知性派。
●レオ=仮面ライダーサイガ(劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト)
村上社長直属の用心棒。
●天王路博史=ケルベロスⅡ(仮面ライダー剣)
人類基盤史研究所「BOARD」の元理事長。
最終更新:2020年10月29日 10:25