『冒険者VS錬金の戦士!!』-2
作者・大魔女グランディーヌ
122
第三埠頭***
人気(ひとけ)のない早朝…。
とある港のはとばで、伊能真墨、最上蒼太、高丘映士、
そしてプレシャスの収納されたジェラルミンケースを大事そうに抱えている
間宮菜月の4人は、ずっと誰かの到着を待っていた。
映士「しっかし納得いかねえなあ。
俺サマたちがこれまで命がけで集めてきたプレシャスを、
なんでどこの馬の骨ともわからねえ連中に預けなきゃ
ならねえんだ?」
真墨「………」
蒼太「仕方ないさ。サージェスもこれ以上
プレシャスの存在を秘匿し続けるのが難しくなってきている。
それとも大人しく三輪長官に渡した方がよかった?」
映士「悪い冗談はよせ! それよりも新人はどうした?」
菜月「そういえば新人くんたち遅いね」
真墨「…おい、来たぞ」
埠頭の向こう側から歩いて近づいてくる3人の人影。
一人はアロハシャツ、もう一人は剣道着を着た容姿端麗な少年、
そして最後の一人は、長いロングストレートヘアの少女、
着用しているどこかの学校の学生服姿から女子高生のようである。
桜花「ボウケンジャーの皆さんですね?」
映士「なんだ…錬金の戦士とか言うから
どんな奴らかと思ったら、まだガキじゃねえか」
剛太「なんだと!!」
蒼太「――おっとストップ! ごめんね、君。
彼今ちょっとイラだってるんだよ。ここは聞き流してもらえないかな?」
映士の暴言に食って掛かろうとした
アロハシャツの少年――剛太の前に割って入り、
なんとか宥める蒼太。
映士「フン…」
剛太「………」
秋水「こちらもそちらの事情は知っているつもりだ。お察しする…」
桜花「それで、プレシャスは?」
123
真墨「菜月」
菜月「うん!」
真墨に促された菜月が、長い黒髪の少女――桜花に
プレシャス「メリクリウスの器」が収納された
ジェラルミンケースを大事そうに手渡そうとする。
菜月「大事に扱ってね」
――が、その時!
どこかから光線が直撃し、その衝撃で
その場にいた全員が吹っ飛ぶ。
蒼太「うわあっ!」
菜月「きゃあああっ!」
剛太「誰だ!?」
状況を確認しようとする彼らの目の前に立っていたのは、
一人は黒い鋼鉄の体に緑色の模様を宿し、頭部の形状はライオンに近い怪人。
そしてもう一人は同じく黒い体に黄色の模様を宿し、
頭部の形状はより虎に近い怪人だった。
ガイ「久しぶりだったなあ。
元気してたか、高丘のぉ~!」
レイ「………」
蒼太「お前たちは!?」
菜月「そんな…まさか!!」
映士「ガイ!…レイ!」
秋水「何者なのか知っているのか?」
真墨「クエスター……プレシャスを狙っているネガティブの一つだ!」
ガイ「俺たちクエスターは再び地獄から舞い戻ってきたぜ!」
映士「ガイ!…レイ! 何しに来やがった!?」
レイ「知れた事。メリクリウスの器をこちらの手に
返してもらう。そもそもそのプレシャスを先に発掘したのは
確か我々だったはずだからな…」
映士「何だと!」
真墨「また性懲りもなくホムンクルスを創りだすつもりか!?」
ガイ「違うなぁ。ちょうど骨董品を欲しがりそうな婆さんを知ってるんでな!
その御方へのプレゼントさ!」
真墨「なにぃ!! どういうことだ!?」
レイ「ボウケンジャー、それにそこにいる錬金の戦士よ、よく聞け。
所詮お前たちは組織の末端として使われる駒に過ぎない。
だが我々クエスターは違う」
ガイ「いずれは全ての悪に君臨するBIGになってみせるって事よ~!!」
二丁拳銃・グレイブラスターの引き金を引くガイ。
だがそれより一瞬早く変身するボウケンジャー!!
真墨たち「――ボウケンジャー、スタート・アップ!!」
124
ボウケンシルバー「ちょうどむしゃくしゃしてたところだ。
もう一度地獄に送り返してやるぜ!!」
ガイ「それはこっちの台詞だ高岡の!」
ガイの相手はボウケンジャーがする一方で、
剛太、桜花、秋水ら3人の錬金の戦士はレイと対峙する。
レイ「フッ…!」
レイは掌から小石をを取り出し、
剛太たちに向かって放り投げた。すると瞬く間に岩石人間兵士・
カースが数十体と躍り出る!
カースたち「……!!」
剛太が叫ぶ。
剛太「チャクラムの武装錬金! モォーターギアッッ!!」
ナイフと専用の銃を手に襲い掛かってくる
カースの大群が、何かの力で吹っ飛び、
壊れた細かく崩れた岩石の土砂へと変わる。
レイ「ほう…それが錬金の戦士が使う武装錬金か。
遠隔爆破…いや、瞬間移動か」
剛太「………」
レイ「…違うな。小型の何かを高速で打ち出し、
両脇は視界の外から迂回させてぶつけたか」
剛太「チッ…」
桜花「アーチェリーの武装錬金!」
エンゼル御前「エンゼル御前っ!!」
秋水「日本刀の武装錬金! ソードサムライX!!」
桜花が弓矢を射ると同時に自律型の自動人形が飛び出し、
高度な精密射撃がレイを襲う。
そして秋水も両刃の小烏造の刀身で、レイのグレイボンバーと切り結ぶ。
レイ「ガイ、そろそろ頃合だ」
ガイ「おう!」
ボウケンブラック「何をするつもりだ!?」
ガイが合図をすると突然雷鳴が轟き、
天空より戦闘機の姿を模したらしき漆黒の巨大ロボットが舞い降りた。
まさしくそれは大神官ガジャが開発した巨神ガガドムの原理を元にして、
その後クエスターの二人が自分達だけで独自に開発した最新鋭の戦闘兵器、
クエスターロボ/疾(ターボ)だったのである!
ボウケンブルー「そんな…クエスターロボまで再生していたとは!?」
ガイ「さすがにこいつまで俺たち同様自然に黄泉還って来た訳じゃねえが、
Gショッカーの超生産設備を借りれば、こいつを再生するなんてのは朝飯前よ!」
レイ「ボウケンレッドとボウケンピンクがいない今、
ダイボウケンは合体出来まい?」
ボウケンシルバー「ふざけんな!! だったらこの俺様が
サイレンビルダーで相手をしてやる!!」
125
???「――ちょっとまったあああっ!!!!!」
シルバーがサイレンビルダーを呼ぼうとした時、
突然高い方より声がした。
一同「――!!」
その場にいた一同全員が声をした方へと振り返ると、
目の前の倉庫の屋根に立っていた二人の人影があった。
ガイ「――な!! て、てめえらは!?」
レイ「馬鹿な!?」
その二人の姿を見て驚くクエスター。
それもそのはず。屋根の上に敢然と立っていたのは
あのボウケンレッドとボウケンピンクだったのである!!
しかし――。
ボウケンレッド「熱き冒険者ぁぁっ! ボウケンレッドォォ~ッ!!」
ボウケンピンク「ふ、深き冒険者…ボ…ボウケンピンク……」
以前に比べて何故か妙にノリノリな名乗りポーズを取るボウケンレッド。
そして、いかにも恥ずかしそうに嫌々ながら名乗りを上げている、
どことなくギコちない感じのボウケンピンクである。
ガイ「貴様ら確か二人仲良く
宇宙に旅立ったんじゃなかったのかあっ!?」
レイ「待て、ガイ。どうも様子がおかしい…」
ガイ「なにっ?」
屋根の上ではレッドとピンクの二人が
何やらコソコソ話をしている。
ボウケンレッド「ダメでしょ斗貴子さん! もっと大きな声で、
ポーズはきちんと取らなきゃ! みんなで何度も練習したじゃないか!」
ボウケンピンク「あんな派手なポーズを恥ずかしげもなく
堂々とやれるのは、キミとイエローくらいだ。
第一、ミッション中はコードネームだろ。今はその名で呼ぶな」
ボウケンレッド「あっ、あんなところに剛太や先輩達がいる!
お~い、みんなぁ~!!」
ピンクがいきなりレッドに肘鉄を食らわす。
ボウケンレッド「――げほっ!!」
ボウケンピンク「バカっ! 正体がバレるだろうが!
余計なお喋りをするとブチ撒けるぞ!!」
桜花「あの人…今こちらに向かって
手を振らなかったかしら?」
剛太「さあ、気のせいじゃないスか?」
屋根からジャンプして飛び降り、
地上に着地して他の仲間と合流するレッドとピンク。
ボウケンブラック「遅いぞ新人! 何やってた!?」
ボウケンピンク「すまない。遅くなった」
ボウケンブルー「お小言はあとあと。それじゃあ新人レッドくん、頼むよ!」
ボウケンレッド「了解です先輩! ゴーゴービークル、発進!!」
126
○伊能真墨、最上蒼太、間宮菜月、高丘映士→ミスター・ボイスの命令で、
プレシャス「メリクリウスの器」を錬金戦団に引き渡すべく、
第三埠頭で待ち合わせをしていたが、クエスターと遭遇し戦闘に突入。
○中村剛太、早坂桜花、早坂秋水→坂口照星からの命令で、
プレシャス「メリクリウスの器」をサージェス財団から受け取るべく、
待ち合わせ場所の第三埠頭に現れるが、クエスターと遭遇し戦闘に突入。
●クエスター・ガイ、クエスター・レイ→サージェス財団から錬金戦団への
プレシャス引渡しの情報をどこからか入手し、その奪取を目論んで
引渡し場所を襲撃する。
○ボウケンレット?、ボウケンピンク?→「轟轟戦隊ボウケンジャー」最終話で、
明石暁と西堀さくらの二人はダイボイジャーと共に宇宙へと旅立ったはず。
…だとすると、この二人は果たして何者か?
【今回の新規登場】
○伊能真墨=ボウケンブラック(轟轟戦隊ボウケンジャー)
ボウケンジャーの斬り込み隊長で現チーフ。トレジャーハンターとしては、
前ボウケンレッド=明石暁にひけをとらないほどのテクニックの持ち主。
明石には強いライバル意識を持っている。性格は野生的でヒートアップするタイプ。
人を信じることに素直になれないナイーブな一面もあり。
○最上蒼太=ボウケンブルー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
ボウケンジャーの情報担当で、元フリーのエージェント。
メカに強く、パソコンを駆使しての情報収集のプロ。明るい性格で、
常にコロンをつけて出動する洒落者でもある。ちょっとナルシストな気もあり。
普段はよくしゃべり軟派な性格だが、任務遂行には厳しい姿勢で挑む。
○間宮菜月=ボウケンイエロー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
ボウケンジャーの明るく元気なムードメーカー。至ってマイペースで
我が道を行くタイプの性格で、不思議ちゃんな一面も。キュートな見かけからは
想像できないほどの怪力の持ち主。実は十万年前に滅亡したレムリア文明の末裔で、
本名はリリーナ。
○高丘映士=ボウケンシルバー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
人類とは別の進化を辿った高等生物アシュを監視する高丘流の末裔で、
自身は人間とアシュの混血。 普段はサージェスレスキューとして活動する傍ら、
ボウケンジャー本来の任務であるプレシャス探索も手伝っている
○中村剛太(武装錬金)
錬金戦団の戦士で、津村斗貴子の後輩。赤ん坊の頃に両親をホムンクルスに殺され、
以後錬金戦団の養護施設で育つ。先輩である斗貴子に以前は思いを寄せていたが、
現在は身を引く。戦輪(チャクラム)の武装錬金「モーターギア」を操る。
○早坂桜花(武装錬金)
銀成学園生徒会長で、元L.X.E.超常選民同盟の信奉者。秋水の双子の姉。
アーチェリーの武装錬金「エンゼル御前」による精密高速射撃を操る。
○早坂秋水(武装錬金)
銀成学園生徒会副会長で、元L.X.E.超常選民同盟の信奉者。桜花の双子の弟。
日本刀の武装錬金「ソードサムライX」を操る。
○エンゼル御前(武装錬金)
早坂桜花の武装錬金「エンゼル御前」付属の自動人形(オートマトン)。
自分の意思を持ち、言語機能をONにする事で会話も可能。
最終更新:2020年10月29日 10:29