『冒険者VS錬金の戦士』-4
作者・大魔女グランディーヌ
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湾岸に出たサイレンビルダーが海上から援護攻撃する中、
壮烈な空中戦を繰り広げるアルティメットダイボウケンとクエスターロボ。
一方、地上では早坂姉弟と中村剛太の3人が、
プレシャス横取りを狙い押しかけて来た
一条総司令率いる連邦軍部隊を力ずくで押し留めていた。
すでに銃火器で武装した部隊の半数以上の兵士達は
ボコボコにされて横に倒れてのびている。
一条「何だお前たちは?」
桜花「ここから先に通す訳にはいかなくてよ!」
一条「貴様らもサージェスの回し者か。
大人しくプレシャスを渡した方が身のためだぞ」
剛太「アンタたち軍人だろ!
目の前のクエスターロボはほっといていいのかよ?」
一条「フン、あれはサージェスとネガティブの
私闘に過ぎん。いちいち地球連邦軍の関知するところではないわ!
もし周囲に被害が出たとしても、それは奴らの責任だ」
秋水「なんて奴らだ…!?」
軍用ジープの上から堂々と臆面もなく言い放つ一条に、
怒りを通り越して半ば呆れる早坂姉弟と剛太。
一条「お前たち、何をボーッとしている!
早く奴らからプレシャスを没収せんか!」
兵士「し、しかし総司令、あいつらは妙な武器を使います!」
一条「構わん。発砲を許可する」
兵士「そんな…まだ高校生くらいの子供を相手に…」
一条「これは命令だ! 撃て! 撃ち殺せ!!」
剛太「くっ…どうしてもやるってのか!」
――が、その時。
電光石火の如き素早さで横から割って入り、
桜花の持つジェラルミンケースを奪う謎の人影が!?
桜花「――!? しまった!!」
秋水「何者だ!?」
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アマゾンキラー「………」
いきなり現れケースを奪った人影――その女は、
中世のアマゾネスを思わせるような軽武装の鎧に身を固めていた。
一条「…き、貴様、何者だ!?
見るからに異星人! さてはGショッカーの手の者か!?」
アマゾンキラー「フッ…だったら何です?」
一条「ますば貴様から血祭りだ!
一斉射撃だ! あの女を蜂の巣にしろ!」
兵士達の放つ銃弾がアマゾンキラーに襲い掛かるが、
無論、そんなものが彼女に効くはずもない。
銃弾を軽くあしらうと、稲妻を放って一条たちを攻撃する。
一条「ぐわあああっっ!!」
アマゾンキラー「フン、そこでしばらく痺れていなさい!」
秋水「何者だ!?」
アマゾンキラー「はじめまして錬金の戦士の皆さん。
我が名は銀河無宿、アマゾンキラー!!
Gショッカー
闇女王同盟の重鎮ヘドリアン女王様の お側近くにお仕えするものです」
剛太「Gショッカーだと!?」
桜花「闇女王同盟…?」
すかさず先程奪ったケースを開けて
中身を確認するアマゾンキラー。
桜花「あっ、それは!?」
アマゾンキラー「――むっ、これは!!」
アマゾンキラーはケースから壷を取り出した途端、
一目見るや、いきなり壷を足元に叩き割った。
秋水「何をする!?」
アマゾンキラー「これは偽物です!」
剛太「なんだって!!」
アマゾンキラー「かつて宇宙海賊として宇宙の星々を渡り歩き、
ありとあらゆる財宝を奪ってきたこの私が言うのだから
間違いありません。これはプレシャスなどではありません!」
???「――その通りだ!!」
今度は突然男の声がした。
見上げると、すぐ横の倉庫の屋根の上から
こちらを見下ろす凶暴そうな面構えの若い男の姿が…。
その男は口元で煙草を燻らしていた。
剛太「火渡戦士長!?」
火渡「よぉ~お前ら、任務ご苦労!」
目線を合わせる火渡とアマゾンキラー。
アマゾンキラー「そうか、そういう事でしたか。
この取引自体が囮だったのですね!」
剛太「何だって!?」
火渡「御名答だ、そこの妙なカッコの姐ちゃん」
火渡に詰め寄る早坂姉弟。
桜花「どういうこと?」
秋水「説明してもらいたいな」
火渡「ケッ、説明も何も、お前たちは文字通りの囮だ。
今頃は別の場所で本物のプレシャスの引渡しが行なわれている
事だろうぜ!」
剛太「そりゃないすよ、戦士長」
火渡「悪く思うな。"敵を欺くにはまず味方から"って
昔からよく言うだろうが!」
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アマゾンキラー「どうやら今回は我々がしてやられたようですね。
クエスター、退きなさい! もうプレシャスはここにはありません!」
空中で戦闘中のクエスターロボに向かって叫ぶアマゾンキラー。
ガイ「何だと!?」
レイ「チッ、俺のリサーチに不備があったというのか!!」
ガイ「ならもうここに用はねえ!
命拾いしたなボウケンジャー!!」
急速に戦場から離脱していくクエスターロボ。
ピンク「待て! このまま逃がすと思うのか!?」
ブラック「深追いはするな。俺たちの第一の任務は戦闘じゃない」
ピンク「…くっ、わかった」
ブルー「しかしやられたね」
レッド「まさかせっかくの初任務が、まさか囮だったなんて…」
がっくりと肩を落とす新人レッド。
ブルー「まあ気を落とすなよ。組織ってのは
どこも現場の下っ端には肝心な情報は何も教えないもんさ」
ピンク「私たちが入る以前にもこんな事があったのか?」
イエロー「まあね…」
ピンク「…そうか。あなたたちも苦労しているのだな」
何か深く考え込んでいるブラック。
イエロー「どうしたの、真墨?」
ブラック「どうも気になることがある。
クエスターの奴らはカースを使っていた。
…という事はもしかすると」
一方、地上では…。
アマゾンキラー「フン……。
いずれ縁があればまたどこかでお会いしましょう」
クエスターの撤退を確認すると、
アマゾンキラーもテレポートで去っていった。
火渡「あの姐ちゃん…なかなかできるようだな」
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一条「くっ…貴様ら何をしている!
早くこの私を保護せんか!」
アマゾンキラーの電撃光線を浴びて、
先程から倒れたまま身体が痺れて動けないままの一条総司令。
火渡「あー? いったいどの口が言ってんだ!?」
一条の腹部に容赦ない蹴りを食らわす火渡。
一条「――げほっ!!」
火渡「さあ、こんな奴らはほっといて、とっとと帰るぞてめーら」
秋水「このまま奴らを放置して大丈夫なのか?」
火渡「時間が経てばそのうち動けるようになんだろ」
一条「くっ……おのれ、この屈辱、決して忘れんぞ!!」
銀成市・銀成高校寄宿舎前***
牧野「ではこれがメリクリウスの器です」
牧野の指示でサージェスの係員達が、
鋼鉄製の箱の中に何重にも厳重に保管された
本物のメリクリウスの器を、ここの寄宿舎の管理人風の男に引き渡す。
防人「確かに」
牧野「それにしても真墨君たちには
また悪い事をしてしまいました…」
防人「プレシャスを悪意を持つ者たちに渡さないためです。
きっと彼らもわかってくれるでしょう」
牧野「では、我々はこれにて」
防人「どうもご苦労様でした」
サージェスのトラックが学校から引き上げて行くのと入れ違いに、
寄宿舎に二人の生徒が戻ってきた。
カズキ「ただいまブラボー」
防人「おう、おかえり。どうだった二人とも、
バイトの初日は?」
カズキ「いろいろあったけど楽しかったよ。
現場の先輩達もいい人ばかりでさ」
斗貴子「戦士長には今のバイトを紹介してもらって感謝しています。
これで当面は学費と生活費の心配は要りません」
防人「なあ、斗貴子。前にも話したが、
たとえ戦士を引退したとしても、お前が成人するまでは
戦団からは奨学金が支給される。別に無理にバイトなどしなくても…」
斗貴子「戦団にばかり甘える訳にもいきません。
カズキ、キミも無理に私に付き合わなくてもいいんだぞ」
カズキ「何言ってるの斗貴子さん!
そんなこと気にする事全然ないってば。
ちょうどオレも何か適当なバイトがないか探してたトコだし」
斗貴子「いや、しかし…」
カズキ「ところでブラボー、さっきから気になってたんだけど、
それなあに?」
強引に斗貴子の言葉を遮り、カズキが指差した先には、
大きな鋼鉄製のケースが…。
防人「――うっ!? こ、これはだな…
…なんでもない。気にするな」
カズキ「ふ~ん……??」
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無幻城・闇女王同盟後宮***
ガジャ「クエスターの奴らは結局しくじったようだな。
だから言ったではないか。奴らなど当てには出来ぬとな」
アマゾンキラー「おや、私の記憶ではガジャ殿は
ご自分の創造したクエスターの事を随分と自慢していたと思いましたが?」
ガジャ「勘違いするでない。私が言ったのは
クエスターの奴らに埋め込まれている我がゴードムエンジンの凄さなのだ」
アマゾンキラー「フン、それもどうだか…」
疑いの眼差しを向けつつ鼻で笑うアマゾンキラーだが、
ガジャは構わず話を続ける。
ガジャ「聞けば女王陛下は本来は壷のような骨董品なんぞではなく、
宝石や金銀のような光る財宝の方がお好みとか。今度はこの
大神官ガジャ自らが女王のために一肌脱ごうではないか」
アマゾンキラー「まあ期待しないで待っていましょう」
ガジャ「……(フン、闇女王同盟で絶大な権勢を振るうという
ヘドリアン女王とその一派。我がゴードムが闇の頂点に立つために
せいぜい利用させてもらおう)」
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○火渡赤馬→実は今回の引渡しは敵の目を欺く囮の取引であったと
早坂姉弟と中村剛太の前に告げに現れる。
○ボウケンブラック→クエスターがカースを使っていた事から、
ゴードムの大神官ガジャの復活を予見。
○牧野森男→本物のメリクリウスの器を、銀成高校で防人衛に引き渡す。
○防人衛→銀成高校で牧野からメリクリウスの器を引き取る。
武藤カズキと津村斗貴子の二人に、何かのバイトを紹介していた?
●一条総司令→プレシャス横取りに失敗。アマゾンキラーの電撃を浴び、
部下の兵士達と共に身体が痺れたまま現場に放置される。
●アマゾンキラー→クエスターの加勢に駆けつけるが、
今回のボウケンジャーと錬金戦団の接触を囮の取引と見破り撤退。
ガジャの事はクエスターと同様にあまり信用していない様子。
●クエスターガイ、クエスターレイ→戦闘の決着がつかぬまま撤退。
●大神官ガジャ→封印の眠りから再び復活していた。
ヘドリアン女王一派に取り入り、何事かを企んでいる。
【今回の新規登場】
○火渡赤馬(武装錬金)
錬金戦団の戦士長。性格・性質に難があり。火を操り、
錬金戦団最強の攻撃力を持つと称されている。ヘビースモーカー。
言動も凶暴で荒々しく、時には悪人のように非道な手段を選ぶ事もいとわない
現在は銀成学園で英語教師を務める。武器は焼夷弾「ブレイズオブグローリー」。
○防人衛=キャプテンブラボー(武装錬金)
錬金戦団の戦士長であり、表向きは銀成学園寄宿舎の管理人。
武器は防護服「シルバースキン」。
○武藤カズキ(武装錬金)
銀成学園高校2年B組。かなりの熱血漢・正義漢だが
やや天然ボケ気味の少年。ホムンクルスによって重傷を負わされ
一度命を落としたが、津村斗貴子によって心臓の代わりに
核金を移植され、錬金の戦士となった。武器は突撃槍「サンライトハート」。
○津村斗貴子(武装錬金)
銀成学園高校で武藤カズキと同じクラスに通う女子高生で錬金の戦士。
過去にホムンクルスに襲撃され壊滅した瀬戸内海の島・赤銅島の
小学校の生き残り。戦闘時の口癖は「臓物(ハラワタ)をブチ撒けろ!」。
武器は処刑鎌「バルキリースカート」。
●大神官ガジャ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
4万年前に存在した超古代科学文明・ゴードム文明の大神官。
巨神ゴードムとともに封印から目覚めてからは、ゴードム文明を再興させるために
プレシャスを利用しようと暗躍。不気味な呪文を唱えて、石くれからカースを生みだしたり、
敵を石で縛ったり、人間を催眠術で操ったりと、いろいろな呪術を使うことが可能。
最終更新:2020年10月29日 10:36