本編258~262

『饗宴の序曲』-2

 作者・シャドームーン
258

喫茶アミーゴ&立花レーシング前***



美獣ケンプ「ビューティフル・レインボー!」

両手から虹色の光線を放つケンプ。
光線はレッドファルコンとライダーJの頭上で橋を象り、
高エネルギーのシャワーを降らせる。

ドバッ  ドワッ  ドバァーンッ!

レッドファルコン&ライダーJ「うおっ!!」
美獣ケンプ「ハハハハ、どうだ比類無き強さと美しさを
 兼ね備えた美獣ケンプの力を見たかァ!」
ライダーJ「…どこが美しいんだか。青毛の怪人め!」
美獣ケンプ「うるさい! お前のような醜いバッタ男が
 ヒーローなどとは虫唾が走るわ!
 受けるがいい、ビューティフル・アイ!!」

今度はハート形の光弾がケンプの閉じた目から放たれ、
二人は背筋にゾゾゾ、と悪寒を感じながらジャンプで
これを回避した。光弾が地面で弾け爆発する。

ドオンッ!

レッドファルコン「よせ、気色の悪いウィンク飛ばすんじゃねー!」
ライダーJ「レッドファルコン、危ないっ!」

――ドガガガガガガッ!!

猛烈な連射を放ち、二人に向かって火を噴くガッシュガン。
ライダーJは咄嗟にファルコンを庇い、数発食らってしまう。

レッドファルコン「ライダーJーッ! すまない、俺のせいで…」
ライダーJ「グゥ…大丈夫さ、これくらい…!」

ライダーJは呼吸を整え、ファイティングポーズをとりガッシュと睨み合う。
その時、背後からケンプがギガゾメタル製の剣を振り上げ、空中から
鬼気迫る表情で斬りかかって来た。

美獣ケンプ「こういう知性を感じさせないセリフは好まんが…
 くたばれーッ!!」

―カキィィ―ッン―

レッドファルコンも即座に反応し、ファルコンセイバーでケンプの斬撃を退け
反撃に出た。空中で、地上で何度も二人の剣が火花を散らし交差する。
一方、ライダーJは攻守ともに隙がないガッシュに苦戦していた。

ガッシュ「そこか…」
ライダーJ「うわっ! …く、手強い!」
美獣ケンプ「ジタバタするなライブマン! お前らのような戦士が何人か
 いたところでGショッカーはビクともせんぞ! もう観念したらどうだ!?」
レッドファルコン「一番ジタバタしてるのは…お前じゃないかケンプ?」
美獣ケンプ「な…何だとっ!」
レッドファルコン「例え生き返ったとしても、大教授ビアスに忠誠を誓うのは
 もうお前とガッシュだけだろう。ボルトの戦力も勢力も、Gショッカーの中じゃ
 ずっと小さいはずだ。それで何とか戦功を上げようと焦ってる、違うか!?
 俺が一人でいる時間を調べて二人連れで襲うぐらいだもんなぁッ!」
美獣ケンプ「おのれっ、言わせておけば痛いところを突きおってッ!!」
ガッシュ「…遠からず当たっているな」

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この瞬間、元々プライドが高く激高し易い性格でもあるケンプと、
レッドファルコンに台所事情の厳しさを的確に指摘されて反応
してしまったガッシュに油断が生まれた。

レッドファルコン「今だ、ファルコンブレイク!!」
ライダーJ「―トォッ!!」

ズバッ ザシュッ! ドガァッ!

レッドファルコンの太刀筋がケンプの肩骨を断ち割り、ライダーJのチョップが
ガッシュの銃を破壊し、続け様にライダーパンチを炸裂させた。
切り裂かれた肩を抑えて仰け反るケンプと、口を覆っているマスクの一部が
砕けて機械部品が露出し、吹っ飛ぶガッシュ。

美獣ケンプ「ぐわわぁぁぁぁあああ~!」
ガッシュ「グォ…ッ!」

藤兵衛「こ、こら! 近寄っちゃいかん、危ないぞ戻りなさいっ!」

追撃に出ようとする二人を、なんとあろうことか通行人の数人が
飛び出して遮った。彼らは邪悪な笑みを浮かべると、一斉に服を
脱ぎ去って武装頭脳軍ボルトの尖兵と化した。

レッドファルコン「ダミーマン! ジンマーが人々に化けていたのか!」
美獣ケンプ「ぐぬう~~…やれい、やってしまえ!!」

アシュラ三人衆「シュラー!」

ジンマー達が攻撃を開始しようとした時、突然三つの影が現れ
彼らの中に飛び込み、ジンマーを片っ端から蹴散らし始める。

レッドファルコン「こいつらは…アシュラ三人衆!」
アシュラ「毒島嵐・見参!! 見つけたぜ、ボルトめ!」

ライダーJ「何だ、新しい敵か!?」
レッドファルコン「毒島…」
美獣ケンプ「アシュラ貴様…一度はビアス様に多大なる恩を
 受けながら、我らの邪魔をするというのか!!」
アシュラ「何が恩だ、ふざけるんじゃねえ! いいか、ビアスに伝えとけ。
 全然殴り足りねえから、今度会ったらギタギタにブチのめしてやるとな!」
シュラー三人衆「…トナ!!」
美獣ケンプ「チィ、――ガッシュ!」

ケンプが頭脳核を取り出し空中へ投げる。合図を受けたガッシュが
カオスファントムエネルギーを送り込み、頭脳獣を造り出そうとするが――

「ライオンバズーカ!」
「ドルフィンアロー!」

ガッシュ「カオス・……グォッ!?」

ドガァンッ ――ズドッ!

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カオスファントムを放射しようとしたガッシュだが、何者かに爆撃され
エネルギーの発射方向を誤ってしまう。残った頭脳核にも矢が命中し、
爆散させられ頭脳獣の誕生は阻止された。

コロン「勇介~、大丈夫?」

すでにレッドファルコンからの通信を受けていたコロンが四輪駆動車
ライブクーガーを運転して駆けつける。助手席と後部座席から飛び出した
黄色と青の光体がそれぞれイエローライオン、ブルードルフィンとなり、
レッドファルコンに駆け寄った。息の合った三人は言葉を交わすより先に、
素早くそれぞれの武器を合体させケンプに照準を合わせる。

ライブマン「トリプルバズーカッ!!」

ズドォォ―ン!!!

美獣ケンプ「ぐわぁ~~~っ!! …がはッ」

絶叫を発して派手に倒れるケンプ。深いダメージを負わされ苦痛に
顔を歪めながらも、持ち前のプライドが敗北を許さない。

美獣ケンプ「き、貴様ら~…やっとこの世に戻れたというのに、
 危うくあの世の入口に逆戻りするところだったぞ…」

ブルードルフィン「ファルコン、遅れてごめんね」
イエローライオン「すまねぇ! 俺はちょっと大事な用があったんで…」
レッドファルコン「俺は大丈夫だ。何しろ心強い味方が傍にいたからな。
 紹介するぜ、仮面ライダーJだ!」
ライダーJ「よろしく。あなた達もライブマンですね」
イエローライオン「か、仮面ライダー!? うおっ、マジかよ~」
ブルードルフィン「皆さんのご活躍は聞いています、お会いできるなんて…」
レッドファルコン「そう、三人揃って…もとい、五人揃って超獣戦隊ライブマンだ!
 で…コロン。バイソンとサイはどうしたんだ?」
コロン「二人ともライブボクサーの調整にドロテ博士の元へ行ってるコロン」
イエローライオン「(あいつら…うまいことサボりやがったな!)」

美獣ケンプ「うくく…折角の頭脳核を…おのれライブマン!!」
アシュラ「ケンプ! ビアスの前に、お前も気合い入れてその
 腐った性根を俺達が叩き直してやるぜ!」
シュラー三人衆「…ヤルゼ!」
イエローライオン「ケンプにガッシュにアシュラ…黄泉帰りのことは
 聞いていたが、実際戦って死んだ奴らを目の前にするってのは…」
ブルードルフィン「ええ…何だかとても哀しいわ」
美獣ケンプ「こうなれば、恐獣ケンプとなって貴様らを一人残らず
 地獄に送り届けてやるッ!!」

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怒り狂い、荒ぶるさらなる強化変身に入ろうと身構えるケンプ。
だがそんな彼を無視して、ガッシュは用は済んだとばかりに無言で
その場を立ち去ろうとしていた。

ガチャッ ガチャッ ガチャッ……

美獣ケンプ「ま、まて! 何処へ行くガッシュ!?」
ガッシュ「潮時だ。挨拶ならこのあたりでいいだろう…」
美獣ケンプ「バカなッ 落ちこぼれ共にコケにされて黙って引き下がれるか!
 お前にはボルトの、天才の誇りはないのか!?」
ガッシュ「それが天才のお前の、唯一褒められないところだ…」
美獣ケンプ「ぐ…!」
ガッシュ「早く引き揚げたほうが身のためだ。あれを見ろ」

ガッシュが指差した方角に、こちらへ駆け着けて来る車とオートバイが見えた。
騒ぎを聞いた城茂や剣流星達が、積もる話も切り上げて急いでアミーゴに
急行していたのである。さらに反対の方角からは、本郷猛達も帰国した
後輩達を集めて、沢村大らを伴ってアミーゴに向かっていたのだった。

美獣ケンプ「チッ…さすがに今戦ってもこちらが不利か。
 くう…ライブマン、それに仮面ライダー! おぼえていろ!!」
レッドファルコン「月形…これがお前のやり直したかった人生か?」
美獣ケンプ「……フン。そうだ!」

一瞬だけ顔を曇らせたケンプだが、やはり変わらぬ捨てセリフを残し
彼は姿を消した―――

レッドファルコン「大バカ野郎ッッ……!」
ブルードルフィン「勇介…」
イエローライオン「あいつにはやっぱり、俺達の心は届かないのか…」
アシュラ「あいつは頭が良過ぎる…可哀想な奴だぜ。
 俺みたいな学のねえ奴でも、もう一度人生をやり直せたら
 何か違う生き方ってもんを探すのによ…」

レッドファルコンには再び背を向けたかつての
友の変わり果てた姿が、何処か儚く寂しいものに感じられるのだった。
ファルコンは赤いグローブを強く、強く握り締めていた……


△毒島嵐/ドクターアシュラ→ライブマンとボルトの戦いに乱入、サイバー分身で
 アシュラ三人衆を使いジンマー達を蹴散らす。
○天宮勇介/レッドファルコン→美獣ケンプをトリプルバズーカで敗退に追い込む。
○大原丈/イエローライオン→レッドファルコンの応援に駆けつける
○岬めぐみ/ブルードルフィン→レッドファルコンの応援に駆けつける
○コロン→ライブクーガーでレッドファルコンの応援に駆けつける
○瀬川耕司/ライダーJ→ガードノイド・ガッシュと戦う。

●ドクターケンプ→レッドファルコンと戦う。形勢不利と見て撤退する。
●ガッシュ→仮面ライダーJと戦う。頭脳獣を誕生させようとして失敗、撤退する。

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【今回の新規登場】
○大原丈=イエローライオン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミアに在籍していた天宮勇介の学友で、ひょうきんものの熱血漢。
 情に脆く、ドクターオブラーと化した尾村豪を何かと気にかけ、ドクターマゼンダが
 捨てた仙田ルイの優しさと愛する心の化身であるレイに本気で恋をしたこともある。
 メンバーが五人となってからは責任感が強くなり、サブリーダー格として活躍した。
 スケートボードが大得意。武器は「ライオンパンチ」と「ライオンバズーカ」。

○岬めぐみ=ブルードルフィン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミアに在籍していた天宮勇介の学友で、心優しいメンバーの紅一点。
 最下位争いをしていた勇介、丈とは異なり成績優秀でしっかり者な性格で、
 おっちょこちょいで呑気な男二人を特訓でビシビシしごくまとめ役である。
 水泳と縄跳びが得意で自転車ロードレースの選手でもある。
 武器はアーチェリーの弓矢「ドルフィンアロー」。

○コロン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミア校長であり、ライブマンスーツやライブロボを開発した星博士に
 よって造られた女性型サポートロイド。博士亡き後、ライブマンの司令塔として
 海底移動要塞グラントータス内から指示や事件の分析結果を送っている。
 自らも積極的に行動してライブマンを支援し、マシンの運転やロボの操縦もこなす。
 人なつっこく、人間の年頃の女性らしい心や温かい感情も持ち合わせており、
 かつての学友達と悲壮な覚悟で戦うライブマンにとって心の拠り所とも言える存在。

△毒島嵐=ドクターアシュラ(超獣戦隊ライブマン)
 ゴロツキ達に恐れられる暗黒街のボスだったが、頭脳獣すら力で捻じ伏せ
 従わせる人間離れした強さを大教授ビアスに見込まれ、ビアスの教育によって
 能力が開眼、ボルトの新幹部ドクターアシュラとなる。実はケンプらの当て馬
 としてビアスに人工的に生み出された偽の天才であり、同じく偽の記憶を
 刷り込まれて散ったブッチーらの最期を見て反旗を翻した。その強さとタフさで
 ビアスに抵抗、最後はバトルズノーを道連れに壮絶な爆死を遂げた。

△アシュラ三人衆シュラー(超獣戦隊ライブマン)
 ドクターアシュラが分身システム「サイバー分身」で生み出した戦士達。
 頭はたてがみを生やし、白い仮面を付けている。三位一体の連携攻撃で
 ライブマンを苦しめたが、レッドファルコンのファルコンブレイクで全員倒された。

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最終更新:2020年11月08日 15:32