『友よ、君は何故再び…!?』
作者・シャドームーン
291-21
???跡地***
ケンプ「ええい! どうやってもダメか…クッ、このポンコツめ!
ギルドス、そっちはどうだ?」
ギルドス「……何とかいけそうだ」
ケンプ「そうか! 残念だが回収して使えそうなのはその機体だけだな。
できれば二体とも再生してビアス様に御覧頂きたかったが…仕方あるまい。
俺が苦心して開発した、新エネルギー元素が詰まったこの動力コアはまだ
二つしかない貴重品だ。一つはギガボルトに組み込むとして……
あとの一つはどうやらそれに決まった。では急ぎ、回収して戻るぞ」
サアー…アーーー…アー…ーー
無常の雨に打たれる、激しい戦闘の後に放置された鉄の残骸たち。
ケンプとギルドスは「兵どもが夢の址」とでも言うべき変わり果てた巨大建造物
の跡地で、無惨な姿を晒しているそれらを何やら物色していた…。
◇ ◇
ケンプ「フフ…このドクターケンプが、今お前に新しい命と力を与えてやる!
さあ起きろ。そして愚かな人間どもが創ったモノを徹底的に破壊するのだッ!!」
ギュィン!
ズノーベースの格納庫で、巨大な影の両目に光が宿る…
喫茶アミーゴ&立花レーシング***
藤兵衛「なんじゃーこの機械はっ! 何の役にもたたんではないかー!!」
発明ショップ・エジソンから試しに通販で買った「ゴキブリキャッチャー」
の作動不良に怒る藤兵衛。例によって小山大五郎が作ったアイテムである。
勇介「まあまあおやっさん。どれ、貸してみな…」
勇介が工具を使って少し弄ると、ゴキブリキャッチャーはデタラメな動きが
直り、スムーズに動くようになった。感心する藤兵衛。
藤兵衛「おー! いやあ、勇介クンがこんなに器用とは思わんかったよ」
めぐみ「そーゆーのだけは、得意なんだから!」
勇介「だけとはなんだだけとは! おやっさんも酷いなあ~こう見えても、
ジェットファルコンやライブクーガーを作ったのは俺なんですよ!?」
藤兵衛「ワハハハ、そうだったのかそりゃスマン!」
そうなのである。世界中から天才が集まる科学アカデミアに在籍していたせいで、
成績的には埋もれていったが天宮勇介も一般の基準で言えば充分秀才なのだ。
トップレベルにあったあの月形剣史も、入学当初は勇介の気さくな友人であった。
二人はよく一緒に、新しい機械や薬品の研究もしていた。
あの頃の剣史は、自分の研究が人類の発展に役立つことに誇りを持っていた。
闘病中の少女のために、ケンジローズを開発して無償で届けもした。
そして勇介のバカな冗談にも笑顔で付き合う、良き学友だった…。
何が彼をああまで極端に変え、道を誤らせたのか?
〝友よ、君たちは何故、悪魔に魂を売ったのか―――〟
勇介「剣史のやつも、昔はよくこんな妙なメカを作っては失敗して…
でも心底楽しそうに笑っていたっけな……」
八荒「剣史ってあのケンプとかいうキザな悪党でしょ? 嫌な奴だなーあいつ!
俺もワルやってたけど、あんな鼻持ちならない上から目線の臭い野郎は
初めて見たぜ。俗に言う“ゲロ以下の臭いがプンプンする”奴ってのは
ああいう男のことを言うんだろうね!」
舞「…八荒さん!」
八荒「あ…すいません、言い過ぎかな?」
勇介「いや、君の言う通りさ。あいつはもう…。一つしかない命を、
二度も無駄に使うような大バカ野郎だよ、ケンプの奴は!」
めぐみ「でも…もしかしたら、あの時に剣史を救えたかもしれない…」
291-22
大教授ビアスの発表した成績表で最下位になった時、焦るケンプは自らの命を
賭けた恐獣変身に挑んだ。その時一度だけ、科学アカデミアに入学する前の
月形剣史に記憶が戻ったことがあった。めぐみはそんな剣史を真人間に更正
させるため体を張って奮闘したが、結局その想いが果たされることはなかったのだ。
めぐみ「剣史は可哀想な人ね…。きっと誰からも、本気で叱ってもらえた
ことがなかったんだわ…。もっと早く出会えていたら、違う結果になって
いたでしょうに……」
勇介「よさないかめぐみ! もう、過ぎたことだ…あいつが自分で選択した
人生だ…それも二度もな。ケンプは憎むべきGショッカーの復活した
ボルトの幹部。俺たちはライブマンとしてもう一度、あいつと対決しなければ
ならないんだ…ッ! そして絶対、勝たなくちゃならない!!」
めぐみ「ええ、そうね……」
丈「そういえば、豪もあれからどうしてっかなあ……」
大原丈は今は消息を絶っている親友・尾村豪のことが気がかりだった。
ボルトへ走った友人の内、唯一救えたかけがえの無い友である。
黄泉帰りやGショッカーという混乱情勢が続く現在、優秀な頭脳を持つ豪が
再び悪の魔手に堕ちていないとも限らない。丈は豪が、亡き仙田ルイや
科学アカデミアの学友たちの菩提を弔いながら、何処かで無事でいてくれる
ことを願ってやまなかった。
ジャーーーーーーーー…
奥の炊事場では、毒島嵐が皆が食べた食器の後片づけをやらされていた。
仕掛け人は「働かざる者食うべからず」ときつく説教しためぐみとコロンである。
さっきまではブツクサ文句を言いながら皿洗いをしていた嵐だが、
何やら今はゴキゲンな様子で鼻歌交じりに仕事をこなしている。
嵐「キラリ☆かーがーやーけーアシュラマン♪…ってかフッフッフ~。
Gショッカーか…聞けば聞くほどドえらい大組織だぜ。そいつの頂点に
上りつめりゃあ、地球どころか全宇宙の大ボスになれるってわけかい!
クククッ、暗黒街のトップを目指した俺に相応しい場所かもしれねえ……
何しろボスになれば全世界、全宇宙の莫大な富が俺のモノッ!!
もうセコい銀行強盗なんざする必要もねえ! …美人のねーちゃんも侍らし放題、
うはははは、何というチャンス! こりゃあたまらん黄泉帰り様様だぜえッ!」
ジャー…キュッ キュッ。
一人、怪しくニヤけながら妄想にふける嵐。頭の中はGショッカーの帝王となり、
美女たちや子分に囲まれて玉座にふんぞりかえっている己の姿で満たされていたが、
皿を洗う手は休むことなく器用に動いている。
嵐「俺は腕ッぷしだけで暗黒街をのし上がった…やってやれねえことはねえッ!
熱い☆を掴むのさ~♪ってね! だがよ…やっぱあれだな、そういうデカい組織に
上手く入り込むには伝手がいるぜ。昔馴染みといやあ…ビアスだけじゃねえか。
あの野郎に今さら頭を下げて頼むってのは俺の男が絶対許さねえしなぁ。
何とかケンプのやつに取り成して……いやいやまてまて、もう戦ったっけか。
ついビアス憎しで飛び出しちまったが………………マズったか?」
291-23
東京都市部***
ドォォーンッ!!
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ドガァァンッ!!
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ノ. ..:;;.;.ノ | ::::::::::::::::::::/ \\\
( ,.‐''~ ワー | ::::/\:::::\ . .\\\丿ヽノヾ/丶)
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)ノ__ '|ロロ|/ \∪.___.|ロロ|/ \/ヽ ヽ\ )ノノ*☆
_|田|_|ロロ|_| ロロ|_|田|.|ロロ|_| ロロ|_ (.:;;.;;丶 丿ソ ☆ ))
突如攻撃を受ける都市。圧倒的な破壊力でビルを薙ぎ倒している巨大ロボ―
あろうことか、それは改造実験帝国メスの襲来から地球を守り抜いた平和の砦!!
ギルドス@フラッシュキング「フム…こうか?」
超AI@ギガボルト「ギガガガガ…」
ズバッ!!
ズ、ズ、ズ、ズ……ドォォンッ!
ギルドスとジンマー4人が操縦するフラッシュキングが、巨大剣コズモソードで
高層ビルを豆腐のように斬り倒してしまう。剣はオリジナルではなく、
ケンプがギガボルト再生に合わせてスーパーギガゾメタルで拵えたレプリカである。
人工知能搭載のギガボルトも、巨大スピアでビルを串刺しにしていく。
耕司「何てことだ…本郷先輩が予見していた、強大な悪とはこのことだったのか!
…あっ、危ないッ!!」
パトロールに出ていた瀬川耕司は、都市で破壊の限りを尽くすフラッシュキングと
ギガボルトを目撃していた。崩れ落ちる建物の破片から、逃げ惑う人々を庇い守る。
喫茶アミーゴ&立花レーシング***
グラントータスに戻っていたコロンから、勇介たちに緊急通信が入る。
コロン「大変よ! 街を破壊してるのは、フラッシュキングよ!!」
勇介「何だって!!?」
丈「ちょ…何でフラッシュマンたちが…」
めぐみ「いいえ。フラッシュマンは今地球にいないはずよ…ということは」
勇介「Gショッカーどもの仕業かっ!!」
コロン「ライブロボを合体状態で緊急発進させるわ。皆急いでコロン!」
勇介「よし、行くぜ皆!!」
291-24
だが外へ飛び出した三人を待ち構えていたのは、地獄谷で生を受けた
最強にして最恐の頭脳獣だった!!
ヒーローに辛酸を舐めて来た幾多の怪人たちの、復讐の炎と燃えるその
赤い両目から灼熱のビームを放つネオ恐獣ズノー。
ネオ恐獣ズノー「ゴルルル…グァーッ!!」
ビビイイイ――ドドンッ!!
めぐみ「きゃあっ!!」
丈「うわっ!!」
勇介「うう…頭脳獣! ということは…ッ!!」
ケンプ「ハハハ! ライブマンの諸君、我が最高傑作のネオ恐獣ズノーの
力は如何かな?」
勇介「やはりケンプ!! 都市を破壊しているフラッシュキングもお前の仕業かッ!?」
ケンプ「その通り。フラッシュ星人の遺産であろうとも、我らボルトの手にかかれば
即座に破壊兵器に早変わりよ! フラッシュマンとやらもバカな連中だな、
大事な戦力を地球に棄てていくとは。さらにそれを粗大ゴミの如く今日まで
何の対策も取らず、放置していた人間どものバカさ加減にもほとほと反吐がでるぜ…クククク」
八荒「くわー……っ…何てムカツク野郎だ!!」
ケンプ「む。黙れ、下衆なサルめ!!」
勇介「ケンプ…貴様に分かるか! 彼らがどんな思いで、フラッシュキングを
地球に遺したまま去っていったか…それを悪魔の使者に作り変えて使うとは、
とうとうそこまで腐ってしまったのか…見下げ果てたぞケンプッ!!!」
ケンプ「フッ、知ったことか!! 所詮機械というものは使い方次第で
神にも悪魔にもなる道具に過ぎんのだ!!」
八荒「やいやい、えっらそーにゴタゴタ抜かしやがって何様のつもりだ!」
ケンプ「また貴様か。雑魚に興味はない、下がってろ!」
八荒「ほぉ~~この北八荒様をなめると後悔することになるぜ?」
舞「ちょ、ちょっと八荒さん?」
いつになく強気な態度で、ライブマンたちの前に出る八荒。
彼はおもむろにあの戦隊ヒーローの変身ポーズに入った!!
八荒「チェンジ・グリフォン!!」
勇介「え…(汗)」
ケンプ「……!?」
▼しかしなにもおきなかった。
ケンプ「…アホか貴様。ネオ恐獣ズノー!!」
ネオ恐獣ズノー「ガァァァァッ!!」
八荒「ひえええ、やっぱダメかーーッ!!」
めぐみ「危ないっ!!」
バイソン&サイ「ライブラスターッ!」
ドバァンッ!
ネオ恐獣ズノーが八荒に襲いかかろうとした時、黒と緑の発光体が飛び込み、
ズノー獣に一撃を加えて彼を救った。
めぐみ「鉄也、純一!」
丈「おせーぞお前ら!!」
バイソン「すまん、これでも急いだんだが…」
サイ「でもライブボクサーは調整バッチリだよ!」
勇介「二人は急いでライブボクサーに乗って街で暴れているロボットを
なんとか食いとめてくれ。俺たちは頭脳獣を倒したらすぐに行く!」
八荒「舞ちゃあ~ん…恐かったよう」
舞「もう、調子にのってカッコつけるからよ!」
八荒「俺も一度はああいうのやってみたかったんだよ~」
都市部ではすでに、ライブマンの代わりにコロンが操縦するライブロボが戦っていた。
しかしフラッシュキングとギガボルトの二体を押し留めるのは無謀である。
コロン@ライブロボ「きゃあっ! 急いで、私一人じゃとても…ッ!」
耕司「一人じゃないさ。ライブマン、ここは俺に任せてくれ」
勇介「…この声、ライダーJか!」
291-25
耕司の声は、大地が運ぶ風のように勇介らの元へ届いていた。
耕司「変身!!」
f、_____ fl
,ィ、' 〈ヽヽ. ─ヽヽ\j|
/ ::::\\ヽヽ. ─ヽヽ|.ト.
/::::::::::::::: \\、丶.─}} | | ハ
;:::::::::::::::::::::::::\\、',─ }|_jr 、;
|::::::::::::::::::::,──ヽヽ.─| |::::::::;
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八::::::::::: !:::::::::::::::::::::; |─、 、:::::;
,ィ=、 ヽ.::::::八:::::::::::::::ノ ノ二ゝ、ニ;
f ̄Y {l \、::::_`¨ イ´‐‐Y─‐7
|=={||=={::| ;ヽj、::::::::::|─| 二! 7
{:|_j}|_j:} ∧ \:::::::ゝ-! 二! /──---、
r| ||| |:/´ヽ. /´ー‐.... >丶─‐‐7イハ丶:::::::\丶ヽ.
ゝ___!!─'::::ヽ/::´ヽ::`丶.`丶. `丶---. ̄ / / ;::::::::::::::丶、::',
.\ / ̄ ̄ ̄`ヽ.::::::::/:::::::::::::::`丶.` ー―-`ヽ/ /::::::::::::::::::::、丶:',
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- / / \ノヽ.::::::::::::::::::::::::::: ̄::::---、j/::::::::::::::::::::::::丶!::!
- ヽ.::::| //ヽ. ヽ.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::::::::::::!レ'
- ヽ:::::: /::|::ヽ.丶丶:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶:::::::::::::::::::||イ
- 、:::::::.. !::::|:::::::ヽ.} }:: .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶:::::::::::::::::ヽ.!
- ヽ:::::.............ノ:::ノ ::':::::',| |::: .: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::::::|::|
- ト、\:::::::.....!::::|,..:::::::::::|| |::::::. . : :::::::::::::::::::::::::::::::::: 丶::::::::::::ノ::|
- ト. \`丶.:::|::/::::::::::::::|Ⅳ::::::::.. . : :::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::/:::::!
ズズオオオオオオオオ―――――!
ビルの谷間に出現する、巨人ライダーJ!!
苦戦しているライブロボの前に立ち、ギガボルトにパンチを浴びせる。
ケンプ「う、何ぃ! 仮面ライダーが…巨大化しただと!!」
藤兵衛「あれが耕司クン…なのか!?」
舞「素敵…まるでウルトラマンだわ! 写真撮っとかなきゃっ」
勇介「(ありがとう耕司君…)皆、五人で力を合わせてあの頭脳獣を倒すぜッ!」
勇介&丈&めぐみ「ライブマン!」
キュイ――イ――ン――!
五色の光が鮮やかに飛び、ネオ恐獣ズノーとケンプを翻弄する。
揃った五人の戦士が、決めポーズと共に名乗りを上げた!
「「「「「超獣戦隊・ライブマン!!!!!」」」」」
ケンプ「貴様らの大仰な名乗りも今日で終わりだ!!
恐獣ケンプ! ハァァァァァーッ!!!」
自らも恐獣ケンプとなり、禍々しいスタイルに変貌していくケンプ。
美獣ケンプより遥かに強く、恐ろしいという恐獣変身。
「グギャ…グギャギャ…」
胸にあるピエロのような人面が残酷な笑みを湛えたかと思うと、
その顔が悪鬼のように変わり、口から火球を吐いたッ!!
ドガガァ―ンッ!!
嵐「うおっ!!!」
藤兵衛「わ、わしの店が~~~っ!?」
レッドファルコン「しまった!」
291-26
恐獣ケンプの胸部人面が吐き出した火球を、散開して避けたライブマンだったが、
地面で着弾して爆発した衝撃波が、運悪くアミーゴの店先を破壊してしまった。
ネオ恐獣ズノー「グゥオオオゥ…シネ…ホロベッ!!」
恐獣ケンプ「ケンプ・テンタクルッ!」
凄まじい勢いで目から、両掌からビームを撃つネオ恐獣ズノー。
火線に晒される五人を、恐獣ケンプの触手攻撃が絡め取った。
レッドファルコン「ぐわあああ…ッ!!」
ブラックバイソン「う、動けない!」
恐獣ケンプ「フフフ…ブラックバイソンとグリーンサイ、貴様らも
死にに来たようなものだったな。ネオ恐獣ズノー!!」
ネオ恐獣ズノー「グゴォオオーッ!!」
恐獣ズノー同様に、ネオ恐獣ズノーも胸部の人面から火球を放とうと
している。だが収束していくエネルギーが、先程ケンプが放ったものを
大きく上回るであろう威力を予感させた…
アシュラ「カットアッシャー!」
ヒュンヒュンッ――スパァッ
突然割って入るアシュラ。彼が投げたブーメラン状のカッターが、
恐獣ケンプの触手を悉く切断、ライブマンはすんでのところで拘束を解かれ、
ネオ恐獣ズノーが放った火球は不発に終わった。
アシュラ「ゴラァァァッ!! 俺の食い扶持に、何てことしやがるんだァァーッ!!」
恐獣ケンプ「おのれアシュラッ!! とことん我らの邪魔をする気かッ!!」
レッドファルコン「嵐…お前ってやつは!」
ブルードルフィン「見直したわ嵐!」
アシュラ「…ハッ!?(しまったああああッ!! 絶妙なタイミングでケンプに加勢して、
なんとかGショッカーに口を聞いてもらう計画が…ッ うおおお、こいつはいかーんッ!
これで益々俺は敵側と見做されるじゃねえかーッ! …もうこうなったらこいつらに
加勢して恩を売るしかねえ! チクショーッ!!)」
イエローライオン「やっぱ根はいい奴だったんだな! 俺は信じてたぜ」
アシュラ「な、なぁ~に当たりめえよぉっ! この毒島嵐、メシを食わせてもらって
何もしねえような腑抜けた男たあ違うぜえ! 覚悟しやがれいボルトッ!!
サイバー分身ッ行け、シュラー!」
アシュラ三人衆「シュラー!」
アシュラの体から飛び出す白仮面の三戦士。
アクロバティックな連携攻撃でネオ恐獣ズノーを翻弄し、見事な戦闘を展開する。
アシュラ「ぬん!」
恐獣ケンプ「うがぁぁッ!!」
キンッ ギィンッ!
ブーメラン状の刃を武器に、アシュラは恐獣ケンプに向かって行った。
ライブマンたちは、シュラー三人衆に掻き乱されて反撃に移れない
ネオ恐獣ズノーに火力を集中させた。
「「「「「ライブラスターッ!」」」」」
ドドォンッ!!
ネオ恐獣ズノー「グオォオオ…オ!」
レッドファルコン「今だ、奴に連続攻撃をかけるぞ!
でヤァッ―ファルコンブレイクッ!!」
イエローライオン「ライオンバズーカッ!!」
ブルードルフィン「ドルフィンアロー!!」
ブラックバイソン「バイソンロッド!!」
グリーンサイ「サイカッター!」
五人全員が、それぞれの武器と得意技を頭脳獣に畳み掛ける。
さすがの恐獣ズノーも怯み出した――…
レッドファルコン「バイモーションバスターだ!」
レッドファルコンの号令で必殺武器の発射体勢に入る五人の戦士。
動物を象った彼らのヘルメットの瞳が輝き、グラントータスから
大型のレーザーキャノン砲が電送され実体化する。
それを五人で担ぎ上げ、本体がピストン運動によりエネルギーを高めていく。
ギュインギュインギュインギュイン……―――…
「「「「「バイモーション・バスターッ!!!!!」」」」」
ドゴォォォ―――――ンンンッ!!!!
291-27
これまで、どんな頭脳獣をも必ず粉砕して来た必殺の一撃。
ネオ恐獣ズノーといえど例外ではない…はずであった。
ネオ恐獣ズノー「バァオオオアアアーッ!! …グ…オアア…
…オノレ…オノレ…ヒーローメラ…ニクイ、ニクイ…コロスッ!!」
レッドファルコン「なっ…何!?」
ブルードルフィン「そんな…! バイモーションバスターが効かないなんて!」
恐獣ケンプ「ハッハッハッハ、俺の細胞から作り出したネオ恐獣ズノーは、
バトルズノー以上の我が最高傑作にして不死身なのだあ!!
おおッ…こんな頭脳獣を作ってしまうとは、自分の才能が恐ろしい…ッ」
一旦は粉々に砕け散りそうになったネオ恐獣ズノーだが、その体を形成している
カオスエネルギーの密度は、今までの頭脳獣の比ではなかった!
飛散しかけたカオスが再び集まり結合、恐獣ケンプのケンプテンタクルに似た
触手を体中から伸ばしてライブマンを襲った。触手の先端は獰猛な肉食獣の
ように牙がビッシリと生え、ケンプの能力以上の凶悪さである。
彼らの体に触手を食らいつかせ、さらに電撃を流すネオ恐獣ズノー!
バリバリバチバチバリィッ!
アシュラ「やべぇっ! とんでもねえ頭脳獣だぜ…」
恐獣ケンプ「フッハァー! ケンプ・デーモンフレアッ!!」
ゴォォォォ!
ライブマンのピンチに振り向いたアシュラを、全身炎の塊と化して飛び、
組み付く恐獣ケンプ。灼熱の炎地獄がアシュラを包み込む!
アシュラ「ぐがぁぁぁ…ッ!!」
恐獣ケンプ「ハァァ~…フハハ、どうだアシュラ!! このまま骨まで焼き
尽くしてやろうか? 所詮お前も、豪も、マゼンダもボルトの落第生!!
ビアス様に選ばれた真の後継者はこの俺ただ一人!!
貴様ら凡人がどうあがいても、我ら天才にはかなわんのだアアアッ!!」
火神ケンプが炎の中から本人の人面を覗かせ勝ち誇ったように笑う。
ネオ恐獣ズノーの猛反撃で、ライブマン五人もすでに戦意を失いかけていた。
レッドファルコンのファルコンセイバーが地面に転がる…。
レッドファルコン「ううう…強い…強過ぎる。ダメだ、力が抜けていく…」
アシュラ「あきらめんじゃねえっ!!!」
レッドファルコン「!! …嵐、お前……」
グリーンサイ「でもっ…バイモーションバスターも効かないんじゃ、
どうしようもないよぉっ!!」
アシュラ「いいや…見ろよ、全く効いてないわけでもなさそうだぜ」
ブルードルフィン「えっ…?」
アシュラが震える指で指したネオ恐獣ズノーをよく見ると……
確かに僅かな亀裂が体に残っていた。そこからモヤのような光るものが
隙間風のようにヒューヒューと微かな音を立てている。
ブラックバイソン「だ…だけど、俺たちのどんな武器でもとてもあの
頭脳獣には通用しないんだ…」
アシュラ「ふー…おいおい、オメーらの武器って何だ?」
ブラックバイソン「そ、それは…」
アシュラ「そんな道具が武器か? 笑わせんじゃねえッ!!!
そんなもん、ボルトにいた頃の俺ならいくらでも作ってみせらあな。
俺がよ…お前らに負けたのは…お前らが、ビアスをぶっ飛ばしたのは…
そんなシケた武器じゃねえだろッ! そら言ってみろお前らの最大の武器は!?」
レッドファルコン「俺たちの最大の武器…それは…〝命〟だ!!」
イエローライオン「そうだ命だ! 地球に息づく、かけがえのない命を守るために
俺たちライブマンは戦うんだ!!」
アシュラ「へへ…なら、まだ戦えるじゃねえか。命が武器ならよ…
生きてる限り、何度でも…何度でも…勝てるまでぶちかましたれやッ!!!」
ケンプのデーモンフレアに苦しみながらも、アシュラの顔は笑っていた。
そんな嵐に勇気づけられ、ライブマンは再びネオ恐獣ズノーに立ち向かう。
レッドファルコン「もう一度、バイモーションバスターだ!!」
恐獣ケンプ「黙れカス!! 貴様の命のほうが、あと少しで燃え尽きるわ!!」
アシュラ「ケッ…てめえもよく喋るな…この、クソッタレがあああッ!!!」
ザグゥッ!
291-28
生身の顔を、無敵の炎から現したケンプは完全にアシュラを舐めていた。
アシュラは握り締めていたブーメラン刃の破片を、思いきりケンプの右目に突き刺した!
恐獣ケンプ「うぎゃぁ――ッああああああ…うわぎゃ、ぎゃぁぁぁッ!!!」
絶叫してアシュラを離し、右目を押さえて不様に転げ回るケンプ。
そこへ、シュラー三人衆が襲い掛かり、攻撃を加えた。
「「「「「バイモーション・バスターッ!!!!!」」」」」
ネオ恐獣ズノー「グオオオ!!!」
二回目のバイモーションバスターがネオ恐獣ズノーを撃つ。
今度こそ粉砕したと思われたが、恐るべき頭脳獣は尚も再生を始め倒れない。
グリーンサイ「うわあああ、やっぱりダメだよ!」
レッドファルコン「あきらめるな!! 何度でも撃つんだッ!!」
アシュラ「オラああああ!!」
焼かれた体に鞭打ち、跳躍したアシュラがネオ恐獣ズノーにブーメランナイフ
を突き刺した。苦しみと怒りの咆哮を響かせ、ネオ恐獣ズノーの牙付き触手が
アシュラの全身に食らいつき電撃を浴びせる。彼の体を、火花が弾け飛んだ。
レッドファルコン「嵐!!」
アシュラ「ぐうう~…何してる…もう一度だ…!!」
ネオ恐獣ズノー「ガァァ~ッ!…ハナセェ~…ハナセェェェ~…ッ!!」
アシュラ「俺はよう…ダイナマイトで木っ端微塵になって死んだ男だ…
こんな痛みなんざ…屁でもねえ…ぜっ!! 地獄ってのは…そんなに
悪くねえところだったぜ…おいバケモン、てめえも一片…行って来いやあッ!!」
ネオ恐獣ズノー「ガアアアアア!!」
「「「「「バイモーション・バスタァァァーッ!!!!!」」」」」
凄まじい力で暴れるネオ恐獣ズノー。とうとうアシュラが力尽き振り払われた時、
三回目のバイモーションバスターが火を噴き炸裂した。
そして今度こそ、最強にして最恐の頭脳獣も、粉微塵となって消滅した。
ドッガァァァンッ!!!
恐獣ケンプ「ああ! くっ、おのれよくも我が最高傑作の頭脳獣をーっ!!」
ガチャリ… ガチャリ…ッ
ガッシュ「ギガ・ファントム!!」
事の一部始終を見届けたガッシュが、お約束の巨大化ビームを砕け散った
残留カオスに浴びせ迷惑な置き土産をして去って行く…
こうして彼は、毎回ライブマンたちの苦労を水の泡にしくさるのであった。
巨大ネオ恐獣ズノー「グガァァァァ!!!」
イエローライオン「ちくしょう~…ガッシュの野郎め!!」
恐獣ケンプ「ちいい、こうなれば…ハァッ!」
片目を押さえて突然消えるケンプ。彼はギガボルトの操縦席に自分を転送したのだ。
ビル街では依然ライブロボVSフラッシュキング、ライダーJVSギガボルトの激闘が続いていたが、
コロン一人で操縦するライブロボでは、本来の性能をフルに出せず苦戦していた。
またライダーJも、非常に頑丈なスーパーギガゾメタル製のギガボルトにひどく手を焼いていた。
レッドファルコン「がっかりしてる場合じゃない。嵐が開いてくれた血路だ…
行くぜ皆、俺たちでフラッシュキングを止めるんだ!」
ブルードルフィン「そうね…嵐の尊い犠牲を無駄にしてはいけないわ!」
アシュラ「あの~もしもし? 犠牲って…俺はこのとーり生きてるんだが」
イエローライオン「ううう…嵐、うまいメシをもっとたらふく食わせてやりたかった…」
アシュラ「だからオイ…生きてるっつーの!!」
291-29
○天宮勇介/レッドファルコン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○大原丈/イエローライオン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○岬めぐみ/ブルードルフィン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○矢野鉄也/ブラックバイソン→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○相川純一/グリーンサイ→バイモーションバスター三連撃で漸くネオ恐獣ズノーを撃破。
○コロン→ライブロボを操縦してフラッシュキングと戦う。
○瀬川耕司/ライダーJ→巨大変身してギガボルトと戦う。
△毒島嵐/ドクターアシュラ→Gショッカーに入りトップを目指すことを夢みるが果たせず。
ライブマンに加勢して恐獣ケンプと戦い、ネオ恐獣ズノー撃破の血路を開く。
●ドクターケンプ→旧ラボー跡地にて、放棄されていたフラッシュキングとグレートタイタンを
回収しようとするがタイタンは動かずフラッシュキングのみ修理・再生を施す。
恐獣ケンプに変身して戦うが、アシュラに右目を負傷させられギガボルトに搭乗。
●ギルドス→ジンマー4人を引き連れフラッシュキングに搭乗、都市を破壊する。
●ガッシュ→ネオ恐獣ズノーをギガファントムで巨大化再生させる。
●ネオ恐獣ズノー→バイモーションバスターも効かず、ライブマン全員を後一歩まで追い詰める。
アシュラの加勢により、バイモーションバスターを3回撃ち込まれ遂に倒されたが、
ガッシュのギガファントムを浴びて巨大化した。
【今回の新規登場】
○矢野鉄也=ブラックバイソン(超獣戦隊ライブマン)
月形剣史に射殺された矢野卓二の弟。ボルト出現後、国連のドロテ博士の下で
バイソンライナー及びライブボクサーの操縦訓練を受けていた。
兄の仇であるケンプらを憎むあまり行動が暴走しがちで、当初は何かと問題を
起し勇介たちと衝突していた。やがて敵討ちより重い使命を彼なりに自覚した時、
勇介からツインブレスを渡されブラックバイソンとしてライブマンに加わる。
武器はバイソンロッド。本人はボクシングが得意らしい。
○相川純一=グリーンサイ(超獣戦隊ライブマン)
月形剣史に射殺された相川麻理の弟。ボルト出現後、国連のドロテ博士の下で
サイファイヤー及びライブボクサーの操縦訓練を受けていた。
鉄也を「鉄ちゃん」と呼び、兄貴分として慕っているが、甘えが抜けず一人では何も
できないタイプで事あるごとに「ライブマンはどうなっちまうんだ!」とうろたえる。
後に戦いを経ることで、精神面もいくぶんか成長していった。勇介からツインブレスを
渡されグリーンサイとしてライブマンに加わる。学生当時ラグビー部に所属しており、
武器はサイカッター。
最終更新:2020年11月08日 15:41