『狼達の戦い』-2
作者・ユガミ博士
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日本某県・崖***
大神「う、うぅぅ・・・、ここは?。ハッ!、これは何だ。」
気絶してから、どのくらい時間が経っただろうか。大神は眼が覚めた。空は
夕焼け空になっており、もうすぐ夜を迎えようとしていた。気がつくと、自
分の体は十字架に張りつけられ、両手両足も十字架に縛られていた。
ヤバイバ「お!、気がついたようですぜ。ウラ様。」
大神「何?!、ウラだと。」
大神の前に現れたのは、緑色の体に大きな扇子の様な杖を持った一本角の鬼
ハイネスデューク・ウラだった。
ウラ「久しいでおじゃるな。シロガネ・・・いや、ガオシルバー。」
大神「ウラ。何故、お前がここにいる。」
ウラ「黄泉路より舞い戻ったでおじゃる。よれよりも、再会を祝おうでは
ないか。」
大神「お前との再会など祝いたくない。俺をどうするつもりだ。」
ウラ「ガオシルバー、我の兵士となるでおじゃる。」
大神「何、俺が・・・お前の兵士にだと?。笑わせるな!。」
ウラ「言い方が正確ではなかったでおじゃるな。・・・これが、何か分かる
でおじゃるな?。」
ウラが懐から取り出したのは、大神にとって、忌まわしき物・鬼面だった。
大神「俺を再び、狼鬼にしようというのか?。そんなことをしても、無駄だ
という事は分かっているだろう。」
ウラ「確かに。しかし、我は考えた。お前自身を狼鬼にするのではなく、お
前の分身から狼鬼を作れないのではないかとな。」
大神「何?、どういう事だ。」
ウラ「口で説明するよりも、実際にやってみるとしよう。」
ツエツエ「ウラ様、月が上がってきましたわ。」
ウラ「うむ、捕らえた者達を連れて来るでおじゃる。」
数分後、大神と同じように十字架に張りつけられたゴウとトッペイが連れて
来られた。
大神「2人をどうするつもりだ。」
ウラ「時期に分かるでおじゃる。」
そして、月が空へと上がり、満月が地上を照らし始めた。
ウラ「では、始めるとしよう。ガオシルバー、お前の血をもらうぞ。」
ザシュ!
大神「ぐわぁ!。」
ウラは持っている扇子で、大神を斬りつけた。胸を斬られた大神から、血が
流れ出し、ウラは鬼面に血を付けた。次に、血が付いた鬼面を輝く月の前に
置き、ウラは呪文を唱えだした。すると、地面から瘴気が噴出していき、呪
文が進むうちに仮面から大神の血と瘴気が体が作られていき、徐々に狼の姿
へと変わっていき、デュークオルグ・狼鬼となった。
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ウラ「おお、まさに狼鬼でおじゃる。・・・狼鬼よ、お前の主は誰ぞ?。」
狼鬼「・・・至高邪神様とウラ様にございます。」
ウラ「我が命に従うでおじゃるな?。」
狼鬼「御意。」
大神「ば、馬鹿な。狼鬼がお前に従う訳が・・・。」
ウラ「ふっふっふっ、あの鬼面は複製でおじゃるが、あれには我が命に従う
ように呪をかけてあるのでおじゃる。さぁ、狼鬼よ。お前の力を見せる
てもらおう。そこにいる2人の人間を始末するでおじゃる。」
狼鬼「御意。」
気絶していたゴウは、そこで意識が目覚めた。周りを見て見ると、辺りは夜
になり、自分とトッペイは十字架に張りつけにされ、目の前には角の生えた
狼の獣人が立っていた。
ゴウ「まいったぜ、どうなってやがるんだ?!。」
ハリガネオルグ「眼が覚めたようだな。お前らはこれから、そこにいる狼鬼
様の生贄にされるのだ。」
ゴウ「何、させるか!。ぐっ、動けない。はっ、ゴングチェンジャーが無い。」
ツエツエ「ホホホ、あなたがアレで変身するのは分かっているのよ。そんな
あなたにいつまでも付けておく訳ないじゃない。」
ウラ「まずは、そこの気絶している坊やからいきなさい。」
ゴウ「や、やめろー。」
狼鬼が手に掛け様としたその時、トッペイは意識を覚醒した。ふと、上を見上
げると狼鬼がいたが、それよりも彼の目に映ったのは光り輝く満月であった。
トッペイ「う、うううう、・・・うぉおお・・・。」
満月を見た瞬間、トッペイに変化が訪れた。
ツエツエ「な、何々??。」
ヤバイバ「この雰囲気、ちょっとヤバイバ~!。」
トッペイの体は小さくなっていき、顔や手足から毛が生えていき、顔つきも
徐々に犬のように変わっていった。そして、縛っていた鎖が取れ、現れたの
は犬・・・いや、狼であった。
トッペイ「アォォォォォン!!!。」
トッペイが吠えた。人間が狼に変わったことに、その場にいた者は驚愕した。
ゴウ「(・・・はっ、今がチャンスだ。)」
ゴウは手首を外し、両手を縛っていた鎖から手を抜いた。実は武者修行して
いる時にとある忍者達が所属している所に立ち寄り、短期間だが、縄抜けを含めた忍術修行をしたのである。人間、何が幸運を呼ぶのか分からないものだ。脱出したゴウはすぐに手首を元に戻し、足の鎖を取った。
ゴウ「てやぁ。」
オルゲット「オルゲットー。」
トッペイ「アォォォン。」
ゴウ「よし、トッペイ。う?、な、何をするんだ!。」
ゴウは近くにいたオルゲットを打ち倒した。狼に変身したトッペイもオルゲット
相手に活躍するが、何とゴウにも攻撃してきた。トッペイは変身すると興奮して
見境が付かなくなることがあるのである。
ゴウ「トッペイ、どうしたんだ。俺が分からないのか。」
ウラ「何をしているの。その2人を早く始末するのよ!!。」
ツエツエ「は、はいぃ~!。」
ヤバイバ「わっかりました~!。おい、ハリガネオルグ何とかしろ!。」
ハリガネオルグ「了解。」
ハリガネオルグは2人に向かって針金を飛ばすが、トッペイを押さえ込む為に
ゴウが動き回るため、狙いがはずるれるのであった。だが、動き回ったため、
2人は崖から落ちるのであった。
ゴウ「トッペェェェェ!。」
ウラ「全く、何なんでおじゃるか。」
大神「ウラ、お前の相手はここだ~。」
ウラ「ぐっ!。」
先ほどのハリガネオルグの攻撃で大神の十字架も倒れた事によって、大神も
脱出できたのである。脱出した大神はウラに強烈な蹴りを入れた。
ウラ「よくもよくも。狼鬼、やるでおじゃる。」
狼鬼「御意。」
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日本某県・崖の下***
トッペイ「う、うぅぅん・・・。」
ゴウ「気が付いたか。」
トッペイは気が付くと、川の側で倒れていた。姿は狼のままだったが、理性
は戻っていた。気が付いたトッペイをゴウが声をかける。あの時、崖から落
ちたが運良く、川に落ちて助かったのである。ゴウは詳細を教えた。
???「いや~、助かってよかったですね~。」
すると突然、声がした。よく見ると、でっかいハエが喋ったのである。
トッペイ「き、君もバンパイアなのかい?。」
???「バンパイア・・・?、いいえ、私は激獣フライ拳の使い手・バエと
申します。」
ゴウ「いきなりだと、驚くよな。」
ゴウはバエの事を説明した。バエはゴウとはぐれて迷っていた時に、川で倒
れている2人を見つけたのである。そして、トッペイは自分が人間ではなく、
バンパイアという種族だという事、変身すると理性を失う事があることを話した。
トッペイ「・・・僕のこの姿を見ても、怖くないんですか?。」
ゴウ「お前がどんな姿だろうと、お前はお前だ。それに、昔の俺もそうだったからな。」
トッペイ「え?。」
ゴウはかつて、道を踏み外した親友を止めるために禁じられた技「獣獣全身変」
で狼男の姿となり、10年間さ迷っていた事、元に戻ってからも、狼の自分に苦
しんだ事、バエや仲間のおかげで克服した事を話した。
ゴウ「トッペイ、理性を失う自分を恐れるな。強い心があれば、そのままの自分
でいられるんだ。それに今のご時世、異星人なんかも普通に存在するんだ。
自分が人間じゃないなんて気にするのも馬鹿らしい事じゃないのか。」
トッペイ「自分の心を強く・・・。」
ゴウ「さて、戻るとするか。トッペイ、お前は家に帰っていろ。」
トッペイ「え?!、戻るって。」
ゴウ「ここから先は危険だ。お前を危険な目に合わせたくは無い。」
トッペイ「待ってください。僕も一緒に連れてってください。」
ゴウ「何?。」
トッペイ「ほっとけないんです。それに、あんな奴等が山にいたんじゃ、 母さんやチッペイが危険な目に遭います。」
トッペイは真剣な目をしていた。その目に何かを感じたゴウは連れて行く事
を決めた。
ゴウ「まいったぜ、いい目をしてやがる。分かった、連れて行こう。だが、
俺からあまり離れるなよ。」
トッペイ「はい。」
371
日本某県・崖***
一方、大神は回避を繰り返しながら、反撃のチャンスを窺っていた。
ウラ「どうした、どうした。逃げているばかりでは倒す事などできぬで
おじゃる。」
狼鬼「ムーンライトソニック!。」
狼鬼の持つ三日月剣から繰り出される斬撃で、周りの岩は次々と破壊されて
いった。そして、ついに大神の隠れている岩も破壊されてしまった。
ウラ「これで終わりでおじゃる。」
狼鬼「ムーンライトソニック!。」
大神「ちっ、このままでは。」
死を覚悟した大神であったが。
ゴウ「とぉぉぉりゃぁぁぁ!。」
狼鬼「ぐほっ!。」
何とゴウが飛び蹴りした事により、狼鬼のバランスが崩れて軌道がそれた
のである。
ヤバイバ「テメェは!?。」
ツエツエ「生きていたのね。」
ゴウ「これも返させてもらったぜ。。」
ゴウが見せたのは奪ったはずのゴングチェンジャーだった。
ウラ「どうして持っているでおじゃるか?!。」
実はここへ来る途中にトッペイがゴウの匂いがするということで、そこへ
向かうとオルグのアジトになっており、ゴングチェンジャーを取り返した
ということである。
ゴウ「そういうことだ。」
トッペイ「お前達の仲間も皆、倒した。降参しろ。」
ゴウ「それとこれはあんたのかい?。」
大神「えっ?。」
ゴウが投げたのはGブレスフォンと3つのガオの宝珠であった。
大神「ありがたい。これでまた、戦える。」
ゴウ「トッペイは下がっていてくれ。・・・それじゃ、行くぜ。」
大神「ガオアクセス、ハッ!。」
ゴウ「響け獣の力 ビースト オン!」
2人の体に銀と紫のスーツと狼の仮面が装着された。
ガオシルバー「”閃烈の銀狼”、ガオシルバー!。」
ゲキバイオレット「紫激気、俺流、わが意を尽くす “アイアン・ウィル”!。」
ヤバイバ「こ、これはちょっとヤバイバ~!。」
ウラ「何をしている、早く倒すでおじゃる。」
狼鬼「御意。ムーンライトソニック!。」
ハリガネオルグ「針金飛ばし。」
2体のオルグが攻撃するが、ガオシルバーとゲキバイオレットは見事、回避した。
ガオシルバー「早々に終わらせる。ガオハスラーロッド、ブレイクモード!。」
ガオシルバーはガオハスラーロッドをブレイクモードにして、レーザープール
を形成してその中に敵を閉じ込め、ガオの宝珠をレーザープール上に置いて、
ゲキバイオレットはゴングチェンジャーに紫激気を集中させた。
ガオシルバー「破邪聖獣球、・・・邪気玉砕!。」
ゲキバイオレット「ゲキワザ、厳厳拳!。」
狼鬼「ぬぉぉぉ。」
ハリガネオルグ「ぎゃぁぁぁぁ。」
打ち出されたガオの宝珠と紫激気の塊は見事、2体のオルグを貫いたのである。
372ウラ「まだでおじゃる。ツエツエ!。」
ツエツエ「はい、鬼は内、福は外ー!。」
狼鬼「アォォォン!。」
ハリガネオルグ「ぬぉぉぉぉ!。」
オルグシードによって、2体のオルグは復活&巨大化した。
ガオシルバー「現れよ。パワーアニマル。」
ガオハスラーロッドを天に向かって3つのガオの宝珠を打ち出した。そして
現れたのがガオウルフ、ガオリゲーター、ガオハンマーヘッドの3体である。
ゲキバイオレット「ゲキワザ、来来獣!。」
ゲキバイオレットの紫激気からゲキウルフ、ゲキタイガー、ゲキジャガー
が現れた。
ガオシルバー「百獣合体!。」
ゲキバイオレット「獣拳合体!。」
ガオリゲーターを中心に、ガオウルフ、ガオハンマーヘッドは右腕、左腕へと
変形、そして、狼のような頭部が現れて正義の狩人、ガオハンターへと合体した。
そして、ゲキタイガーが上半身及び脚部に変形、ゲキウルフ、ゲキジャガーが
左足、右足に変形ドッキングして、ゲキトージャウルフとなった。
バエ「さぁ~~皆様、お待たせしました。いよいよ巨大戦の始まりで~す。
実況のご存知、バエでございます。いや~、テンションはフォルテッシモ。
ゲキトージャウルフとガオハンターによる狼同士のタッグマッチだ~~!。」
バエも現れ、巨大化した狼鬼とハリガネオルグが突撃をしてきた。
ガオシルバー「リゲーターブレード。」
バエ「おぉぉと、突撃してきた狼鬼とハリガネオルグをガオハンターの武器
リゲーターブレードで斬って止めた。」
ゲキバイオレット「一気にトドメだ。ゲキワザ、大狼狼脚!。」
ゲキトージャウルフの右足にあるウルフカッターを1度取り外してから
ゲキウルフの口で噛むように装着し、回し蹴りの要領でそれを撃ち出した。
ガオシルバー「悪鬼突貫リボルバーファントム!。」
リゲーターブレードに正義のエネルギーを集めてガオハンターは突撃した。
狼鬼&ハリガネオルグ「「ぬぁぁあぁぁ!。」」
バエ「やっりました~。ゲキトージャウルフ&ガオハンターの大・勝・利!。
見事、オルグを倒しました~。」
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日本某県・トッペイの家の前***
トッペイ「行ってしまうんですか?。」
ゴウ「ああ、少し長く居すぎたからな。」
チッペイ「さびしいよ、ゴウさん。もっと居てよ。」
トッペイの母「そんな事は言っちゃいけません。チッペイ。」
ゴウ「悪いな。」
翌日、ゴウはトッペイの家を出ることにした。オルグのような集団がこの
日本にいる事が分かったからだ。そのため、東京にあるスクラッチ社に
この事を伝える事にしたのである。
トッペイ「ゴウさん・・・。」
ゴウ「そんな顔するなよ。もう、会えない訳じゃないからよ。」
トッペイ「でも・・・。」
ゴウ「大丈夫。俺達はまた会える。人間もバンパイアも関係ない世の中に
なったらな。」
トッペイ「・・・もし、そんな世の中になったら、僕の方から行っていい
ですか?。」
ゴウ「ああ、来い。俺の弟や仲間を紹介するよ。」
トッペイ「はい。」
ゴウ「それじゃぁな。お母さんと弟を大事にしろよ。」
ゴウは手を振りながら、トッペイの家を後にした。
しばらく歩いていると大神がいた。
ゴウ「これから、どうするんだ?。」
大神「俺はオルグを追う。今度こそ、あいつらを倒す。」
あの後、ウラ達はどこかへと逃げていった。大神は彼らの後を追う事にした
のである。
ゴウ「そうか。・・・また、共に戦えるといいな。」
大神「ああ、その時を楽しみにさせてもらう。」
大神はウルフローダーに乗り込み、去っていた。
バエ「では、私達も行くとしましょう。」
ゴウ「ああ。」
マトリックス***
ウラ「狼鬼があっけなく、やられるとは・・・。やはり、複製の鬼面では、
あれが限界なのでおじゃろうか?。仕方が無い、今後は改良に務めるで
おじゃる。こんな事があろうかと気絶していた時に血を抜いていおいて
よかったでおじゃる。ふっふっふ、強力な狼鬼を作り出し、ゆくゆくは
軍団化・・・、そして、世紀王に。ふっふっふ。」
374
○トッペイ→捕まった時に狼に変身。深見ゴウにバンパイアである事を打ち明ける。
○深見ゴウ→ゲキバイオレットに変身し、オルグと対決。
○大神月麿→オルグと対決。ウラを追う。
○バエ→川で倒れていたトッペイと深見ゴウを助ける。
●ウラ→狼鬼の復活を画策。
●狼鬼→大神月麿の血と瘴気から復活。深見ゴウと大神月麿と戦うも敗北。
●ハリガネオルグ→深見ゴウと大神月麿と対決するも死亡。
【今回の新登場】
○バエ(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
激気による言霊で相手を操る激獣フライ拳の使い手。激臨の大乱で拳聖側の
獣拳拳士として戦うが、メレとの戦いの時に使用した獣獣全身変のかけ方が
不完全だったためメレに敗れ、胃袋の中に囚われる。巨大戦マニアで実況を
する。
●ウラ(百獣戦隊ガオレンジャー)
鼻と耳のような姿をした緑鬼。扇を武器として振るい雅を好む。日本の貴族の
ような口調であり、一人称は「麿」、口癖は「~でおじゃる」。美しい物が好き。
●狼鬼(百獣戦隊ガオレンジャー/半オリジナル)
千年前に封印されたデュークオルグ。大神月麿が百鬼丸を倒す為に使用した
鬼面の呪いでオルグ化した。今作では、大神の血と複製された鬼面から復活。
最終更新:2020年11月08日 15:54