本編398~407

『心ある者たち』-3

 作者・ボー・ガルダン
398

―痛い…痛いよ…苦しいよ…パパ……―



―どうして…どうして助けてくれないの…?―



―あんなに…僕の事…愛してくれていたのに…―



―僕…パパの言うとおり、強くなったの…に…―



―なんで…ねぇ…いやだ…僕…死…にたくないよ…―



―…た…す…けて………パパ……パ……パ……―

399

ドラス「パパぁ………うっ!?…あ…れ……?」

ドラスは仮面ライダーZOとの戦いに敗れた瞬間の事を夢に見ていた。
目覚めると、眼前には濛々と広がるスモークと、
闇に包まれた空間。自分の体を見ると、傷は全て完治し、
生命エネルギーも回復している。

怪人男「目が醒めたようだな、小僧…」
ドラス「こ…こは…?」
怪人女「貴方は、我々のお父様に命を救って頂いたのよ。感謝する事ね、坊や」
ドラス「おとう…さま?」

そして、眼前には二体の怪人。一体は端正な顔立ちをした男の怪人。だが、
全身真っ白で、体のあちこちからヒレや翼のようなものが突出している。
それと向かい合うようにして、これまた美しい顔をした女の怪人。
体はスレンダーな女性そのものだが、ヒョウのような毛皮と、
ゴツゴツした銀のアルマジロのような装甲に覆われている。

ドラス「おじさんたち…誰?」
怪人男「おっ!?おじさんだとぉ~!貴様、誰がここまで連れてきてやったと思っている!」
怪人女「つまらない事で腹を立てるんじゃないわよ、ワンダっ…ほら、坊や、姿勢を正しなさい。お父様がいらっしゃるわ」

二人の怪人が傅くと、部屋の奥から、黒いターバンとローブを纏った中年の男。
顔面は蒼白で、目にはどこか狂気が宿っている。

怪人男「紹介が遅れたな、俺は改造生命、レー・ワンダ!」
怪人女「同じくレー・ネフェル。そして、このお方こそ」
「「宇宙最高の科学者にして、我らを作り給うた偉大なる父。
  Gショッカーが誇る、GVMN・ラボが四博士の一人、リー・ケフレン様だ!」」

400

ドラス「ふーん…」

ドラスが気の無い返事を返す。

ドラス(宇宙最高の科学者?パパ以上の科学者がいるわけないじゃないか。よく言うよね)
ケフレン「私が、今、紹介に預かったリー・ケフレンだ。ようこそ、我が実験室へ」
ドラス「で、なんなの?おじさんたち。なんで僕を助けてくれたの?」
ケフレン「そんな事は決まっている!お前が素晴らしい生命だからだ。
     よもや、私以外にこれほどの芸術を作り上げる者がいようとは!
     望月敏郎という男、中々の腕を持っていると見える…。
     が…それも画竜点睛を欠いていてはな…。私が措置を施さねば、
     お前の生命は終わる所であったのだぞ」

ドラスは最後の言葉に反応する。
確かにその通りだ。自分は生命維持プールから長く離れて生きられない体である。
望月博士は、自分の力を恐れて、改造を中途半端なままやめてしまった。
ドラスはそう思っていた。だが、仮面ライダーZOに敗れ、いままた無様な敗北を
喫した彼の頭脳には、それとは違う答えが導き出されていた。

ドラス(そうだ…。パパは、パパは僕よりもお兄ちゃん…仮面ライダーの方が
    性能がいいってわかったんだ。だから…だから僕の事を嫌いになったんだ。
    僕が弱いから……。僕が…失敗作…だったから…)
ケフレン「そのような事では世紀王候補のバトルファイトでは勝ち抜く事はできぬ…」
ドラス「せいき…おう…?」
ワンダ「やれやれ、何も知らぬようだな。我らGショッカーを統べる、
    至高邪神の一柱・創世王様が御退位なさる。その後継者たる、世紀王を
    決定するバトルファイトの参加資格を、お前も持っているのだ」
ネフェル「世紀王候補はGショッカー傘下の各組織から選りすぐられている。
     坊やを作り出すのに、望月敏郎は、Gショッカーから資金提供を受けていたのよ」
ドラス「へぇ…、それで凄いのその世紀王って?」
ケフレン「ああ、そうとも。宇宙を統べる神の一角と成り得るのだからな。
     知っているだろう?お前とお前の父を蘇らせたのも、至高邪神の
     お力だ。」

ちなみに最後の言葉はケフレンの嘘である。

ドラス「神…フフフ…そう、教えてくれてありがとう、おじさんッ!」

401

もう、用済みと、自分に背を向けたケフレンに向けてドラスはその尾を伸ばし、
背中を貫こうとしたが、それより先にワンダがキラーセイバーでそれを切断、
さらに飛び掛ったネフェルの金属鞭を胸元に突きつけられた。鞭から放たれる
電撃で痺れるドラス。

ドラス「ウゥゥッガァアッ!!!」
ネフェル「この餓鬼……、今何をしようとしたッ!!!」
ワンダ「なんという恩知らずだ!」

激昂し、さらにドラスに電流を浴びせるネフェルをケフレンが制する。

ケフレン「そのくらいにしておけ、ネフェル」
ネフェル「お父様がそう仰るのならば…、今度やったら、 そこから引きずり出して握りつぶしてやるッ!覚悟をしッ!!!」
ドラス「うぅ…ぐぅ…」
ケフレン「新しき生命よ…、確かに私はお前の命を救ったが、

 ただの対処療法を行ったに過ぎん。
 まだ、貴様の体の欠陥が直った訳ではない。そして力もまだ回復してはおらん」
ドラス「なにが…言いたいの?

 おじさんなんかいなくても、今にパパに改造して貰えば…」
ケフレン「知っているぞ…お前が仮面ライダーに心変わりした望月に見限られている事はな…!」
ドラス「ッ!!……うぅっ…」
ケフレン「だがな、私はそうは思わん。

 お前は世紀王たる資格を十分に持っている…。他のどの候補よりもな。

 どうだ…この私にその身を任せてはどうだ?私ならば、お前の欠点を
 克服し…、さらなる力を与える事もできるぞ。ともに、世紀王を目指さぬか…」
ドラス「な…なにを企んでいるの…」
ケフレン「ふふ…さすがよ。勿論我々も見返りを期待していないわけではない。 

 我々はお前の力が欲しい!その戦闘能力もさる事ながら、

 あらゆる人間に姿を変える事が 出来る力、金属を統べる力…がな。

 世紀王になるための戦いだけではなく、その力はGショッカーの覇権の大きな手助けとなる。

 私はあくまで一科学者。お前に私の部下になれとは言わん。

 対等な関係で手を組まぬか?私はお前に仕事を手伝ってもらいたいだけなのだ」
ドラス「……」
ケフレン「今、望月は仮面ライダーを越えるあらたなる生命を作り上げようとしている…。
     だが、お前が世紀王となれば…再び望月の心はお前に…」
ドラス「パパ…がッ!?」
ケフレン「さぁ…どうする…」
ドラス「わかったよ…おじさん、僕を、僕を改造して!

 その代わり、少しでも変な事をしたら、すぐにおじさんたちを殺すからね」
ケフレン「ふふ…よろしくたのむぞ。

 まずは、お前を縛る枷を取り除いてやろう。その鉄の鎧を脱ぐがよい」
ドラス「わかった…(何を企んでいるか解らないけど、

 今は、おじさんの言うとおりにしてあげる。腕は本物みたいだからね。

 パパ…見ていて。必ず、必ず僕が神に…世紀王になって みせるから…)」

402

GVMN・ラボ、東の実験基地ラボー***


核だけの姿となったドラスはケフレンの改造カプセルの中で眠らされ、意識を落としている。

ネフェル「哀れなものね…生みの親に捨てられるというのは」
ワンダ「珍しいな、ネフェル。お前が他者に憐憫の情をかけるとは」
ネフェル「…ふん、あざ笑ってやっているだけよ…」
ワンダ「フッ、どうだかな…しかしケフレン様、

 此奴、獣戦士に改造してしまわなくてよろしいので?
 あの様子ではいつ我々に逆らってくるかわかりませんぞ」
ケフレン「ふ…わからんか、ワンダ。洗脳を施してしまっては、意味が無い。 

 私がネオ生命体に期待するのは、その力だけではない。生みの親に対する、 

 妄執とも言うべき心だとな。フラッシュマンに一度敗れて私は知った。

 確かに生命にとって、重要なのは優秀な遺伝子…だが、強き心はその力を何倍にも高めるとな」

ケフレンはドラスの、父親の愛情に対する最早妄執に近い渇望に目を付けた。
そしてそれを利用するべく、世紀王になれば望月博士が彼を見直すと大嘘を吐いたのだ。
形は違えど、かつての好敵手フラッシュマンと同様の親への想いを引き出すために。

ワンダ「心…ですか?」
ケフレン「ああ、この者の父への妄執に、私の遺伝子改造が加われば… 

 ネオ生命体ドラスを世紀王に祭り上げれば、カウラーやデウスに対抗し、 

 ドクターマンらを出し抜き、我々が組織内で大きな発言権を得る事が出来る!
 そして、いずれ『私のネオ生命体』を…究極の生命を作り上げ、首を挿げ替えれば… 

 Gショッカーは我々の者だ。ハハ…ハハハハハハハッ!この手で作り上げる、 

 究極の生命…おおお、いまから武者震いが止まらぬ」

響き渡る、ケフレンの高笑いにワンダはややたじろぎ、

ネフェルは胸の前で右手を強く握る。

ケフレン「して、ネフェルよ…望月敏郎の行方はつかめたのか…?」
ネフェル「いえ、それが未だ…引き続き、調査を続けます」
ケフレン「ふむ…急がねばならぬかもな、ネオ生命体のメカニズムを完全解明するのを…。
 存外早く、お前たちの『弟』と会う事になるかも知れんぞ。では…はじめるか…」

陶酔とともにケフレンの指が、遺伝子シンセサイザーの鍵盤を走り、不思議な音色が
実験室内に響き渡る。今宵、ネオ生命体は、また一歩、神への階を駆け上がった。
その階段が、自らの望むものへ辿りつく事はない、という事実を知らずに…。

* *



ゴーストバンク・地下独房***


ネロス帝国の地下牢というものは、その役割を果たすと言う事は殆ど無い。
帝国に邪魔な人間というのは捕らえられる前に抹殺され、裏切り者や
失敗者は牢に送られる前に処刑される事が常だからである。だが、
今、この房の一角には、薄暗い明りが灯っていた。冷たい石壁にゆらめく二つの影。

ヒドーマン「うらぁ!くらっ!どうだ、苦しいか!痛いかぁ!ヒャハハハ…」
望月博士「ぐぅ…あぎ…」

ネロス帝国一残虐な男と称される、ヨロイ軍団暴魂・ヒドーマンは、
天井から吊るされた、一人の中年男性に鞭打っていた。
顔や体のあちこちには、痣、青タン、刺し傷、切り傷、火傷が浮かび、
相当の拷問を受けている事がわかる。
これこそが、かつて狂気にとらわれ、生命を冒涜する行為を
行った天才遺伝子工学者・望月敏郎であった。

403

ヒドーマン「さぁ、一言我が帝王に助力すると言うのだ、そうすれば今すぐにでも
 この苦しみから解放してやるぞ…」
望月博士「…ぜぇ…え…私は…私は、命を弄び…父を…助手を…息子を…神を裏切った男だ…
 何をされても文句を言える立場じゃない……だが…だが、二度と…悪魔に……
 魂を売る真似はしない…!」
ヒドーマン「…何を言うかと思えば…、散々我らGショッカーの支援を受けておきながら、
 なんだぁ、その言い草はぁ?ふざけるのも大概にしろぉッ!!!」
望月博士「ぐあああっ!!!」

ヒドーマンの振り回す鉄鎖が、博士の背中を大きく抉る。
そこへ、静かに近づいてくる足音…、独房の鉄扉が開く。

ヒドーマン「これは、軍団長!御足労を…」

現れたのはヨロイ軍団凱聖クールギンであった。
銀のヨロイに灯明が反射し、妖しい光を放っている。
さすがのヒドーマンも自らの上司の前では居住いを正す。

クールギン「そうか…話がある、来い」
ヒドーマン「はっ…、今日は仕舞いだ!下ろせ!

 定刻になったら、『説得』を再会しろ」
影「はっ!」

クールギンとともにやってきた、二人の軽闘士・影に、
博士の見張りを命じ、ヒドーマンはクールギンに従いその場を後にする。

ネロス帝国・地下通路***


ヒドーマン「申し訳御座いません…どうにも強情な野郎でして、未だ首を縦には…」
クールギン「そうか…、引き続き博士への『説得』を続けろ。

 決して、腕と頭脳に悪影響が出る事はするな」
ヒドーマン「はっ、仰せの通り、チューブからの最低限の栄養供給と、

 三時間の睡眠は取らせております…。しかし…こんな面倒な事をするよりも…

 子供を盾に脅せば簡単な事では…?それに帝王ほどの御方が、なぜあの程度の男を…」
クールギン「人質を取る事はリスクも大きい。あくまで最後の手段だ。それに我々は
 帝王の命に従っていれば良い…。今日は、お前も下がって休むといい」
ヒドーマン「はっ…、御気遣い感謝します。では…」

ヒドーマンの背中が通路に消えた後、別方向から、暴魂チューボが姿を現す…。

チューボ「相変わらず…親しめませんな、あの男は…」
クールギン「そう言うな、あの男はあの男でいろいろと役に立ってくれる、して…」
チューボ「ハッ、ブライディからタグ兄弟を通して繋ぎが…ゲルドリングたちは
 ライダー抹殺に失敗した模様です…」
クールギン「ふむ…相変わらずうだつの上がらん奴らよ」
チューボ「それからもう一つ…再生したネオ生命体は望月博士の秘密工場から、
 都心に向かい潜伏していたようです。帝王の命を帯びたタグ兄弟が確保に
 向かいましたが、一足遅く、何者かに連れ去られたと…」
クールギン「そうか…、まあ、焦る事はない。帝王へは私が言上する。
 チューボ、タグ兄弟には引き続き、ブライディとの繋ぎを取り、
 麻生勝の捜索を続けるよう命じろ」
チューボ「ハッ…」

チューボも、一礼すると闇の中に姿を消した。

クールギン「ネオ生命体は手中に収める事ができなんだか…。敵の手に渡ったにせよ、
 他の組織に渡ったにせよ厄介な事だが…急がねばならんな」

404

警視庁・デッカールーム***

クロス800『望月敏郎博士は数年前に大学を辞め、ここ2、3年は家にも戻っていなかった 

 そうです。また、奥多摩の採石場跡の土地を購入した登記が存在しますが、

 資金の出所は一切不明。 さらに、博士が大学を辞めた同時期に、

 彼の助手を務めていた麻生勝という青年も行方 不明となっています。

 また、ブレイバーたちが交戦した、改造生命ですが、1年前に都内に出現し、

 破壊活動を行った記録が残っています。ただ、それ以降の動向はデータにありません』
大樹「つまり博士と麻生勝が、何者かの援助を受け、

 違法なバイオ研究を行っていた可能性は高いという事ですね」
正木「うむ、すぐに望月敏郎を違法バイオ研究の容疑で捜査する事にしよう。 

 博士の家族と連絡を取り、博士と麻生勝の行方を調べるんだ。

 また、博士の購入した採石場跡も調査する必要がある」
デッカード「それに、ドラスの言っていた「お兄ちゃん」という人物が気になります。
 彼と戦ったヒーローがいるのか、或いは、彼より先に作られた人造生命体がいるのかも
 しれません」
正木「よし、その方面からも情報を集めよう。みんな、よろしく頼む!」
一同「「ハイッ!」」
マクレーン「しかし…金属を操る、人造生命か。しかも…それを怪人が連れ去ったとなると…」
パワージョー「デッカードをここまでこっぴどく痛めつけるような奴だ…

 とんでもねぇ事になったな…」
デッカード「力が足りず申し訳ない…」
パワージョー「な、おいっ。別にお前が謝る事はねぇだろが…」
デッカード「だが…我々は奴をあと一歩のところで逃がしてしまった」
大樹「あの白い怪人の正体と能力についても調べる必要があるな」
勇太「あ、あの…正木さん!」
正木「ん、なんだい?」
勇太「その…人造生命体の…ドラスの事なんですけど、彼には、 

 彼には人間の心があったんです!」
正木「人間の…心が?」
デッカード「確かに、彼は父親を強く慕う人間の子供と同じ心を持っていました。
 その考え方は間違っていましたが…」
正木「だが、奴は人間では無い。違法に作られた生命体だ。

 無害ならば政府の施設で保護する方法もあるが、

 我々の脅威として立ちはだかるのならば、絶対に倒さねばならん…」
勇太「で、でも!あの子は、

 ドラスは本当は自分のお父さんに好きになって欲しいだけだったんです。

 確かに人間じゃなし、危険な存在なのいかもしれないけど、

 ただお父さんに 振り向いて欲しいだけの子供なんです!」
ガンマックス「確かに、子供だったな。とんでもねぇ駄々っ子だったが… 

 それで殺すってのもなんか気分が悪いぜ」
ドリルボーイ「そうだよ、あいつはいけ好かないし、すっごく凶暴な奴だったけどさ… 

 人間の都合で作られて、間違った事教え込まれて…それで危なくたら処分だなんて… 

 そんなの…そんなの酷すぎるよ!」

人造生命に関して苦すぎる思い出のあるドリルボーイが珍しく、強い口調で叫んだ。

405

大樹「俺もそう思います。父親を慕う心があるならば、人造生命体の中にも人としての…
 優しい心が、愛する心が眠っている筈です。人間の子供同様、やり直す機会を
 作ってやってもいいのではないでしょうか」
正木「お前ら…怪人の心も救うつもりなのか…」
勇太「はい!望月博士を探し出せれば…

 ううん、ボクたちだけでも人造生命体を救ってみせます!」
正木「君たちの話だと、人造生命体ドラスは父親に認められるため、

 人間を滅ぼす事に相当強く執着している。その呪縛を解くのは相当困難な道になるだろう。

 なまじ、説得に成功したとしても、公安や政府の上層部、

 世論マスコミは人造生命体の抹殺処分を強く要求してくる可能性は高い。

 剣首相の公民権法が成立、公布されたとしてもな…。 

 それでも…やるというのか?」
大樹「ロボットだろうと、人造生命だろうと、人の心を持つのならば、 

 それを救うのが我々ソルブレインです!」
勇太「ボクたち、ブレイブポリスも頑張ります!」
デッカード「私たちも同感です!なぁ」
一同「「おうっ!」」
正木「ふ…そうか、それでこそソルブレイン、そしてブレイブポリスだ。

 ならば、私も出来うる限りの協力をさせてもらおう。諸君らの健闘を祈る!」
一同「「ハイッ!!!」」

警視庁・ロビー***



勇太はオレンジジュース、大樹はコーヒーの缶を片手に沈む夕日を眺めている。

大樹「かっこよかったぞ、勇太君」
勇太「そ、そんな…ボクはただ大樹さんたちならどうするか考えただけで…
 それに、ボクもお父さんやお母さんと離れて暮らしてるから…
 それだけで寂しいって思う事もあるのに…たった一人のお父さんに酷い事されて、
 しかも捨てられたなんて…どんなに辛いだろうなって思って…」
大樹「優しいんだな、勇太くんは。確かに、最大の被害者はあいつなのかもしれないな…」
勇太「絶対に…助けてあげましょうね…」
大樹「ああ…」

勇太「あっ!そうだ…!」
大樹「どうしたんだい…」

406

勇太「これ…あの地下室で拾ったんですけど…証拠物件として提出するの忘れちゃって…」

頭を描きながら、勇太が上着のポケットから取り出したのは金の懐中時計だった。

大樹「懐中時計か…なぜ、こんなものが…」

蓋を開けてみると、そこからオルゴールの旋律が流れ出す。

勇太「優しい音楽ですね…」
大樹「ああ…」
勇太「あの子が…持っていたのかな…?」
大樹「わからない…が、だとしたら…彼が人間らしい心に
 目覚めてくれる希望が高まったね…」
勇太「はいっ!」

勇太が少し嬉しそうに応える。
一方の大樹はこの時計を見ながら、ドラスの事以上に
あの男の事を強く思い出していた…。

大樹「…(見ていろ高岡…。俺は…俺たちは、示してみせる。人の心の素晴らしさを。
 人間であろうとなかろうと、一つでも多くの命を…心を救ってみせる…。
 それが…それが、俺たちにできる…せめてものお前への償いだ…)」

間もなく、ビルの谷間に消えようとする夕日の光を反射させ、金時計は
鈍く、どこか悲しげな光を放っていた。

407
○正木俊介→ネオ生命体に関る事件の捜査開始を指示。勇太、大樹らの決意に対し激励。
○友永勇太・西尾大樹→捜査に並行して、ネオ生命体ドラスの命と心を救う事を決意。
○BP・ソルブレインの面々→ネオ生命体に関る人物、望月博士と麻生勝、 その家族、黒幕についての捜査を開始。

△望月博士→復活後、帝王ネロスに拉致される。協力を拒み、拷問を受けている。

●ネオ生命体ドラス→世紀王になるため、リー・ケフレンと手を組む。 生命維持プールの必要のない体になる。
●大博士リー・ケフレン→Gショッカーの科学者集団・GVMNラボ東の王に。 デウス、カウラーとは同じ組織の傘下にいるが、現在は敵対している。 ドラスを世紀王候補として擁立。手始めに、生命維持プールの必要のない体に改造する。
●レー・ワンダ→ケフレンの命で、ドラスをラボーに連れ帰る。
●レー・ネフェル→ケフレンに襲い掛かったドラスを取り押さえる。

●凱聖クールギン→ヒドーマン、チューボに望月博士とネオ生命体に関する諸所の命令を出す。
  帝王ネロスから、なんらかの密命を受けているらしい。
●豪将タグ兄弟→ネオ生命体の確保に失敗。望月家の監視と、麻生勝の行方を捜索している。
●暴魂チューボ→ゲルドリングのライダー抹殺失敗と、タグ兄弟の任務状況について、 クールギンに伝える。
●暴魂ヒドーマン→ゴーストバンク地下牢に監禁された望月博士を拷問、監視していち。



【今回の新規登場】
△望月敏郎(仮面ライダーZO)
 遺伝子工学の権威。麻生勝を仮面ライダーZOに改造し、ネオ生命体ドラスを生み出した張本人。  

 元は優しい父親だったが、次第に狂気にとらわれてドラスに人間を悪として教え込み、 

 人類の殲滅を図った。後に、人間の心を取り戻し、ドラスを処分しようとするが、 

 逆に機械と融合させられ自身の改造を迫られる。さらに息子宏をドラスから守るため、 

 麻生勝を目覚めさせた。

●大博士リー・ケフレン(超新星フラッシュマン)
 改造実験帝国メス最高幹部。様々な生物の遺伝子を自由に組み替えて、 

 生命改造分野を得意とし、自らを「命の芸術家」と称する。 実は300年前、

 赤ん坊の時に地球より誘拐されたのち、デウスによって様々な生命改造&延命措置を施されて、

 大博士となるべく教育された地球人であった。
 後に政敵サー・カウラーを抹殺し、デウスにも反逆する。

●レー・ワンダ(超新星フラッシュマン)
 5種類の醜い宇宙生物の遺伝子からケフレンが作り出した、メスの幹部。
 体色は白。端正な青年風の顔立ちでプライドが高く、感情の起伏が激しい。
 巨大な翼による滑空や、掌や目からの破壊光線、魔剣「キラーセイバー」による剣戟を得意とする。
 また、妖獣士ワンダーラに変身すると、時間を3秒間だけ止められる。

●レー・ネフェル(超新星フラッシュマン)
 ケフレンが作り出した、メスの幹部。美しい女性の顔と肉体にに豹とアルマジロのような 

 左右非対称の皮膚を持つ。変装によるスパイ活動や、軽快な身のこなしによる格闘技、 

 金属棒からの電磁鞭等を操る。また、妖獣士ネフェルーラに変身すると、幻覚を操り、

 「デスブリーズ」という剣から、破壊光線を放てる。 

 残忍で卑劣な性格だが、ケフレンにだけは強い愛情を持っており「お父様」と呼ぶ。

●暴魂ヒドーマン(超人機メタルダー)
 ネロス帝国ヨロイ軍団暴魂。肉体改造を施しているのか、人間離れした顔立ちをしている。
 名前の通り、ネロス帝国随一の残虐非道な男で、泣き叫ぶ弱者をいたぶるのが趣味。
 腰に挿した大降りの剣と。鉄球と鎖の着いた鉄棒を武器として操る。

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最終更新:2020年11月08日 15:58