『勇気と友情の必殺パンチ』-2
作者・ユガミ博士
443
青空町・コスモス荘***
さて、高見沢がゴーマ、インフェルシアと手を結んだその頃、ここ神奈川県
青空町にあるアパート・コスモス荘。一見、ごく普通のアパートに見えるが、
そこの住人は普通ではなかった。かつて銀河連邦警察で行われた次期パワード
スーツ採用試験の折、パワードスーツを開発したオタンコナス社とエメラルドカンパニーのモニターと仮釈放したA級宇宙犯罪者がお互いの正体を知らないまま、
共同生活していた場所である。その後、お互いの正体が知られた現在は、
銀河連邦警察所属の地球署(正確に言えば、デカベースを警視庁とするならば
コスモス荘は神奈川県警にあたる。)として、普段は一般人にその正体を隠し
ているが、一度、宇宙犯罪者が現れれば事件を解決するというわけである。
そして、そのコスモス荘の住人の1人にして、エメラルドカンパニー製パワードスーツ
の装着者ネルロイドガールこと野菊朝香は今、手にしているチケットを自分の
好きな人・桜咲鈴雄に渡すか渡すまいか悩んでいた。
朝香「…(落ち着け、落ち着け~私。友達と行く筈だったけど、友達が行けれ
なくなったから、暇そうなアイツを仕方なく、仕方なく誘うんだからな。
デートじゃねぇからな。)」
とまぁ、自分に言い聞かせてはいるが、要はデートの申し込みをしようと
しているわけである。この前、友達から今度の日曜日に行われる小津翼と
将児のボクシングの試合のチケットが手に入り、その友達と行く筈だった
が、その友達が用事で行けなくなったのである。それで別の奴を誘うかと
思った時に、鈴雄の事を思い出したのだが、妙に意識しだしてしまい、今
の状況になったというわけである。
鈴雄「あれ、朝香?、そんな所で何、ブツブツ喋っているの?。」
朝香「ゲッ!、す、鈴雄!!。」
朝香が悩んでいると、悩みの原因である鈴雄が急に背後から声を掛けてきた。
朝香「な、な、何でいるんだよ~。」
鈴雄「え?、これから欲しい雑誌を買いに、本屋へ行く所なんだけど・・・。」
朝香「そ、そうか・・・。」
朝香はビックリしたが、勇気を振り絞って言葉を発した。
朝香「・・・あ、あのよう、鈴雄、こ、今度の日曜日、暇か?。」
鈴雄「今度の日曜日?、えぇと、今の所は予定は無いけれど・・・。」
朝香「そ、そうか、だったら今度の日曜日、一緒にボクシングの試合を
見にいかねぇか?。」
朝香は鈴雄にチケットを見せた。
鈴雄「ボクシング・・・?。これって、デー「デートじゃねぇからな。」」
朝香「勘違いするなよ。と、友達が用事で行けなくなったから、お、お前が
ヒマそうだったから、誘うんだからな。」
鈴雄「う、うん。分かったよ。」
デートと言おうとしたら、すごい形相で睨むので思わず鈴雄はたじろいた。
鈴雄「それじゃあ、行くね。」
朝香「お、応!、日曜日な。」
そして、鈴雄は本屋へと向かった。1人残った朝香は「よしっ!」とガッツ
ポーズした後、自分の部屋へと戻っていた。そんな、2人のやり取りを物影
からこっそりと覘いている者がいた。
444
???「朝香のやつ~、ずるい、ずるい。」
???「まぁまぁ、落ち着いて。」
???「あらあら、朝香ちゃん。初々しいわね。」
覘いていたのは、同じくコスモス荘の住人で鈴雄の妹である小鈴、3号室の
住人である梅木瑠璃、2号室の住人である岼根 沙由里の3人であった。
瑠璃「コーチと2人っきりになろうなんて、そうはいかないだからね。」
小鈴「(瑠璃ちゃん、怖い~。)」
瑠璃の目は炎が噴出すのではないかというぐらい燃えていた。
ピエール「お嬢様ー、ただいま戻りました。」
沙由里「たかが、20分で着くスーパーから戻るのに、何、3時間も
かかっているのよ。」
バキッ!!
ピエール「ああ~~~♥ ♥ ♥。」
そこへ、沙由里と同居しているピエールが帰ってきたのだが、帰るの遅かった
ピエールに対して、沙由里は顔面にパンチを喰らわすのであった。
しかし、ピエールは実に満面の笑みを浮かべるのであった。
果たして、ボクシングの試合の当日、何が起こるのであろうか?。
445
○朝香→鈴雄をボクシングの試合に誘う。
○鈴雄→朝香の誘いを受ける。
○瑠璃、小鈴、沙由里→物陰から覗き込み、ボクシングの試合へ行くことを決意。
○ピエール→買い物から帰ったのだが、帰りが遅かったので、沙由里に殴られる。
【今回の新登場】
○野菊朝香=ネルロイドガール(住めば都のコスモス荘)
巨大軍事企業エメラルドカンパニー製のパワードスーツ、ネルロイドXを
身に纏いネルロイドガールとして宇宙犯罪者と戦う。ドッコイダーのライバル
でもあるのだが、本人は全く気にしていない。女性だが一人称は「俺」。
缶ビールが大好きで鈴雄の部屋の冷蔵庫を占領。コスモス荘の4号室に住み、
鈴雄と同じく鳴柿児童学専門学校に通う。
○梅木瑠璃=エーデルワイス(住めば都のコスモス荘)
銀河中の教育機関を破壊したA級宇宙犯罪人。粘土細工でゴーレムを作る
エルロード一族の1人。ゴーレムは粘土細工の出来が戦闘力に比例するの
だが、手先が不器用なため強いゴーレムを作れない。本来は孤児だが、
地球では小学生として銀河連邦警察に記憶操作された梅木一家(両親と弟)
と共にコスモス荘の3号室に住んでいる。意地っ張りだが寂しがり屋で、
鈴雄のことは「コーチ」と呼んで慕っている。普段はタンポポと同じ小学校
に通っていて、同じクラスである。学校では学級委員(ウサギ小屋掃除係兼
飼育係)を勤める。
○ 岼根 沙由里=ヒヤシンス(住めば都のコスモス荘)
コスモス荘の2号室に住んでいる美女。倒産した動物園を復興させるため犯罪
を重ねたA級宇宙犯罪人で通称「クィーン・オブ・ザ・動物園」。下僕である
ピエールの身体に動物園で飼育していた動物を宿らせており、ムチで叩くこと
で動物に変えるが、個人の戦闘能力は低い。ナイスバディーだがそれとは裏腹
に超が付くほどの大食漢である。地球で初めて出会った鈴雄の事が気に入って
いる。普段は遊園地のヒーローショーでアルバイト(ヒヤシンス本人の役)を
しており(漫画版では動物園の飼育係)、給料のほとんどを食費に費やしている。
○ピエール(住めば都のコスモス荘)
沙由里の下僕で、使用人としてコスモス荘の2号室に住んでいる。身体の中に
沙由里が動物園で飼育していた動物の遺伝子を宿らせており、快感が頂点に
達した時、遺伝子が目覚め動物との融合体になる。だが、どんな動物になるかは
変化するまで分からないので、あまり役に立っておらず沙由里にいつも怒られ
ている。また極度の方向音痴である。真性のマゾヒズムであるため沙由里の
ムチを受ける事をこの上ない喜びとしている。
最終更新:2020年11月08日 16:03