本編482~485

『Gショッカー海底基地大乱戦―その頃、北京、そしてマリネラでは』

 作者・マザーメルザード
482

中国・北京 人民大会堂・国家主席室***


人民軍幹部「台湾海峡において哨戒任務に出ていた、
 我が人民解放軍の原子力潜水艦が密かに撮影した映像です」

台湾海峡での不穏な動きをもう素早く察知した
中国海軍幹部から数枚の写真を見せられ、
説明を受ける陳恩来・中華人民共和国国家主席。

人民軍幹部「これに写っている潜水艇は、日帝の特務機関に
 所属しているものであると、当方の調査にて既に判明しております」
陳恩来「………」
人民軍幹部「これは台湾問題を一気に武力解決する好機です。
 直ちに日帝の駐中大使を呼びつけ、厳重に抗議すべきであります。
 不埒な日帝の奴らを恫喝してやりましょう。陳同志、ご決断を!」
陳恩来「待て、この件はしばらく私が預かる」
人民軍幹部「…は?」

「しばらく私が預かる」とは、この件は表沙汰にせず、
あいまいなまま先送りにしてうやむやにするという事である。

人民軍幹部「し、しかし…!」
陳恩来「既に党の決定は下ったのだ! 同志、下がりたまえ!」
人民軍幹部「は、はい…!」

言われるままに退室した人民軍幹部と入れ替わりに、
一人の白髪(にしては外見の年齢は20代くらいと、かなり若く見える)の、
高貴な生まれの雰囲気ながら、やたら色気を振りまいているようにも見える
女性が別のドアから入ってくる。どうやら日本人のようである。

陳恩来「…や、やあ不二子ちゃん」
不二子「お取り計らい、感謝しますわ陳主席」
陳恩来「た、頼む。あの事は女房には黙っててくれ」
不二子「ええ、それは勿論。ウフフッ…♪」

483

同大会堂・主席室前廊下***


要件を終え、退室して出たうら若き日本人女性――
――B.A.B.E.L.管理官・蕾見不二子を、廊下で中年の眼鏡をかけた
一人の中国人の男(その制服からして、彼も人民解放軍の将校の
ようだ)が待ち受けていた。

楊龍里「主席とのお話は終わりましたか?」
不二子「主席へのお取次ぎを手配してくださって感謝してるわ、楊博士」
楊龍里「お礼には及びません。中台問題について、我が国の方針は
 目下の所現状の維持であり、無闇に事を荒立てる意向はありません。
 これは台湾当局側とて同じのはず。それにGショッカーなどという
 輩には、速やかに我が共和国の領海から退去してもらわねば
 なりませんからな」
不二子「………」楊龍里「これで軍内部のはねっかえり共も当面は大人しくしているでしょう。 その代わり台湾側への根回しはよろしくお願いしますよ」不二子「ええ、それは任しといて」
楊龍里「しかしよく陳主席の弱みをご存知で?
 あの件は党の上層部の中でも限られたごく一部の者しか
 しらない筈ですが…」
不二子「ああ、それはね――」

その時、不二子の携帯が鳴った。

不二子「ちょっと失礼」

不二子は楊博士の前で携帯を取り出し電話に出る。

不二子「もしもし…あー、パタリロくん?」

484

常春の国マリネラ***


フロリダ半島の先端と、大西洋にあるプエルトリコ、
バミューダ諸島を結んだ三角形の海域――所謂"魔の海域"と名高い
バミューダ・トライアングルのど真ん中にある温暖な気候の島国マリネラ。
(遠方から見た島影がどことなく佐渡島に似ているが、気のせいであり
全く関係はない!)

そのマリネラ王宮の国王執務室では、どこから見てもつぶれ餡饅にしか
見えない、ズングリムックリな体型の子供が偉そうに椅子にふんぞり返り、
電話を片手に誰かと話していた。

この顔面フマキラーとも言うべき少年こそ誰あろう、
マリネラ王国の現国王、パタリロ・ド・マリネール8世その人である。

パタリロ「やあー不二子ちゃん。主席との話は終わったか?」
不二子@電話の声「あなたが陳主席の秘密をいろいろと
 教えてくれたおかげよ」
パタリロ「どういたしまして」
不二子@電話の声「でもよく陳主席に同●●年愛の気があるだなんて
 知ってたわね?」
パタリロ「あの主席にはその昔エライ目に遭わされた…」

パタリロはボソッとか細い声で呟く。

不二子@電話の声「…えっ? 何か言った? 電波が遠くて
 よく聞こえないんだけどぉー?」
パタリロ「いや、こっちの話だ。気にせんでくれ。
 それよりもさっきホワイトハウスから連絡があったが、
 例のティターンズの不正を暴くための証拠固めも
 順調に進んでいるらしい」
不二子@電話の声「それはよかったわ」
パタリロ「そっちの方も作戦が無事に成功するよう
 幸運を祈る!」

485

△陳恩来→自分の弱みを握る蕾見不二子に脅され、
 台湾海峡で日本の特務機関(B.A.B.E.L.)が活動した件に目を瞑る。
○蕾見不二子→中国の陳恩来主席に直談判し、台湾海峡での
 戦闘に対して、国際間で事を荒立てないよう認めさせる。
○楊龍里→蕾見不二子と陳恩来主席の会見を取り次ぐ。
○パタリロ・ド・マリネール→陳恩来の秘密を
 事前に蕾見不二子に教えていた。

【今回の新規登場】
△陳恩来(パタリロ!)
 中華人民共和国(原作では中国語を話す某大国)国家主席。中国共産党総書記。
 実は●性少●愛の趣味がある。以前国際電話が混線した際に、偶然パタリロと
 知り合った。英国との接近を嫌ったソ連KGBから命を狙われた事もある。

○蕾見不二子(絶対可憐チルドレン)
 日本政府特務機関B.A.B.E.L.の管理官。政財界にも影響力を持つ。
 第二次世界大戦時に帝国陸軍特務超能部隊を支援していた蕾見男爵家の
 令嬢であり、自身も超度7同様のパワーも発揮する事ができる複合能力者。
 他人の生命エネルギーを吸収し、その副作用で若さを保っている。

○楊龍里博士(勇者王ガオガイガー)
 中国人民解放軍科学院・航空星際部の司令であり、風龍と雷龍の
 開発責任者。以前はGGGと張り合い、風龍と雷龍の2体の事も
 純粋な軍事兵器としてしか見ていなかったが、後に考えを改め、
 GGGのよき理解者となる。国連からGGG追討を命じられた際には、
 命令どおり彼らを追撃するように装いながらも、上手く逃がすなどの
 心意気も見られる。妻・メイリンとの間に生まれたばかりの子供が一人いる。

○パタリロ・ド・マリネール8世(パタリロ!)
 常春の国マリネラの少年国王。9歳で大学を卒業した超天才だが、
 人をおちょくることを趣味とする傍若無人な性格。数々の組織に
 命を狙われながらも、ギャグと暴走的な行動力で乗り切る
 ゴキブリ並のしぶとさを持つ。糖尿病・高血圧と成人病の塊。

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最終更新:2020年11月08日 16:08