『キリマンジャロの嵐』-2
作者・マザーメルザード
513
地球連邦宇宙軍・月基地・作戦会議室***
ジュン「大変です! ダカールで戒厳令が出されました!
現在、議会はティターンズによって占拠されています」
コウイチロウ「クーデターか!?」
ジュン「あ、ジャミトフ大将の演説が始まるようです」
コウイチロウ「モニターに出してくれ」
モニターにジャミトフの演説が流れる。
ジャミトフ「みなさん、番組をお楽しみ中のところ、
突然おじゃましてもうしわけない。私は、ジャミトフ・ハイマン。
ティターンズの司令官です。現在、地球が大変な危機の中にある事は、
皆さんもご存じだと思います。Gショッカー、そして
ジュピトリアン、
さらには非ナチュラル――各種超生命体の台頭。この危機に際して、
これまでのような体制では敵を迎え撃つ事はおろか、
戦力を整える事すらおぼつきません。まずは、外敵に対して
有効的な手段をとれる体制を整えなければなりません。そのために、
本日より無期限の戒厳令を公布させていただきます。
何とぞ、地球全国民の皆さんのご協力とご理解を願いたい」
モニターを一旦切る秋山源八郎少将。
秋山「ティターンズめ、行動が早いな」
コウイチロウ「幸いまだ、クーデターにまでは、至っていないという事か」
ブレックス「いや、違いますな。おそらく近いうちに憲法改正の評議会が
開かれるはず。おそらくジャミトフは、そこで権力を握ろうとしているのだ」
コウイチロウ「なるほど、そのために議員連中に、金をばらまいていたわけか。
しかし、そううまく行くかな?」
ブレックス「自信があるからこそ、今の時期に戒厳令などを布いたのでしょう。
おそらく、金で動かなかった議員に対する脅迫を兼ねて」
ジュン「形だけは民主的にやろうってわけだ」
ムネタケ「しかし、タイミング的には悪くない。うまく議決の直後に、
ブレックス准将が演説できれば、ジャミトフの陰謀を白日の元にさらす事ができる」
秋山「それでブレックス准将、何か強力な証拠でも?」
ブレックス「ああ、それについてはだいじょうぶです。
獅子堂財団の協力のおかげで有力な証拠をそろえる事が
できました。まちがいなく、ジャミトフを失脚させる事ができる」
コウイチロウ「獅子堂財団……カークウッド共栄圏最大の財閥ですな。
あそこの総帥は若くて美人なわりに、なかなかのやり手で策士だと 聞いているがね。協力に至ってはいろいろと高い条件をふっかけ られたのではないのかね?」
ブレックス「…ええ、確かに。ただこちらにとっても
決して悪い条件ではなかった」
ラクス「では私と共に参りましょう」
ブレックス「ラクス・クライン」
ブレックス准将と地球への同行を申し出た、
ピンクの髪に陣羽織を羽織った少女こそ、
プラント最高評議会の現議長である歌姫、
ラクス・クラインである。
ラクス「ブレックス准将はどうかエターナルにお乗りください」
ブレックス「申し訳ない。ご厄介になります」
コウイチロウ「道中のご無事をお祈りする!」
514
新拠点『α』***
連邦宇宙軍の月基地のミスマル・コウイチロウ大将と
極秘通信を交わす弓教授と破嵐万丈。
万丈「ジャミトフの緊急演説ならこちらでも見ましたよ。ミスマル大将」
コウイチロウ「うむ。それでまもなくブレックス・フォーラ准将が地球に降下する。
ダカールで演説を行うためだ」
弓「ダカールで? 今、ダカールは、事実上ティターンズの支配下ですぞ!」
コウイチロウ「だからこそ、チャンスなのだ。世界中が注目している時こそ、
ジャミトフと、その背後に潜む地球教の陰謀を暴く絶好の機会だ。
それでお願いなのだが、ブレックス准将を、新拠点『α』に匿ってはくれまいか?
今、ブレックス准将の身に何かあれば、地球連邦政府だけでなく、
地球そのもの自体の存亡も危うくなる。頼む、ブレックス准将を護衛してくれ」
万丈「こりゃ、ことわるわけにはいかないな」
弓「ええ、喜んで協力しましょう、ミスマル大将。それで、
ブレックス准将を乗せたエターナルの降下ポイントは?」
コウイチロウ「キリマンジャロだ。出来ればこちらからも増援を差し向けたいが、
ロンデニオンにあるロンド・ベル隊もナデシコチームも現在、木星勢力との
対応に追われている。すまん……」
万丈「了解しました。お任せください」
浅間山麓・新早乙女研究所(通称:フォーダムG)***
研究所をこっそり訪れているGGGメンバー・獅子王凱と卯都木命。
凱「どうだい、その後身体の調子は?」
リョウ「ああ、おかげさまで全員すっかり回復したよ」
早乙女ミチル「そちらはどう? 他の勇者のみんなとは連絡とれた?」
命「公的機関として動けるのはブレイブポリスと私たちGGGだけ……
勇者特急隊はこの前の無断出撃で三輪長官にすっかりにらまれちゃったし、
エンくんたちダグオンのみんなも自由には出撃出来ない状態ね。ダ・ガーン
たちは眠ったままで、星史くんの呼びかけにも応じないそうなの」
リョウ「そうか……彼らの助力が得られない以上、俺たちだけで
ブレックス准将をガードするしかないな」
凱「及ばずながら、我々GGGも全力を尽くそう。今のままでは……地球は、
数多の侵略者と同じ運命を辿ってしまう!」
515
東京・白河尚純邸***
ティターンズ一派の不正の証拠を握った、エゥーゴのブレックス・
フォーラ准将が近々地球を来訪するとの情報は、ここ白河尚純の
一派の元にも届いていた。彼らは当然の如く焦っていた。なぜなら、ブレックスが握るその証拠とやらが開示されれば、彼らが陥れたサコミズたちの潔白が明らかになってしまうからだ。
羽柴「白河さん! どうするつもりだね!」
国家機密庁の羽柴前長官。剣桃太郎内閣発足に伴い更迭されたが、
白河の甘言に乗り、一連の岡長官やサコミズ総監の追い落としに
彼もまた一役買っていた。
白河「…どうしたものですかな。そもそもサコミズにスパイを働いた
事実などはなかった。それを来島さん、それに羽柴さん、あなた方
お二人が餌のないところに餌をつげて、ありもしないスパイ容疑を
公の場ででっち上げ、偽証したのですからな」
来島「し、白河さん! それをしろと言ったのは他ならぬ
あんたじゃないか! "岡やサコミズの甘いやり方では
地球は守りきれない。手を貸してくれ。決して悪いようには
しないから"と――」
白河「さあて、そんな事をこの私が言いましたかな…」
羽柴「白河さん、この期に及んでまさか私たちを
切り捨てるつもりか!?」
とぼけ顔で答える白河に対し、
来島と羽柴の二人は真っ青になって必死に言い募る。
白河「案じられるな。あなた方お二人の身は
必ず守ってさしあげよう。フフフッ…」
来島「………」
羽柴「………」
516
○ブレックス・フォーラ→獅子堂財団の協力を得て、ついに
ティターンズの不正の動かぬ証拠を握る。ラクス・クラインと
エターナルに同乗し地球に向かう。
○ラクス・クライン→ブレックス・フォーラと同行し、
エターナルで地球に向かう。
○ミスマル・コウイチロウ→地球の新拠点『α』に
ブレックス准将の護衛を要請。
○破嵐万丈、弓弦之助→ミスマル提督からの、ブレックス准将
護衛の要請を快諾。
○獅子王凱、卯都木命→フォーダムGを訪れ、ゲッターチームを見舞う。
○ゲッターチーム→すっかり回復し、ブレックス准将のガードに
あたる模様。
●ジャミトフ・ハイマン→地球全土に戒厳令を布告。
●白河尚純、来島副長官、羽柴長官→ブレックス・フォーラ
地球来訪の知らせを聞き、慌てる。
【今回の新規登場】
○ブレックス・フォーラ准将(機動戦士Zガンダム)
地球連邦軍の将校。連邦政府議会の議員から軍人に転身した連邦軍士官。
一年戦争後、スペースノイドへの反発を強めて行く連邦軍を憂い、
反地球連邦組織「エゥーゴ」を結成、その実質的なリーダーとなる。
○ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
プラントの前最高評議会議長シーゲル・クラインの愛娘であり、
プラント全土が愛する歌姫。プラントのアイドルとして、
柔らかな印象を持つが、ときおり毅然とした表情と言動には
特異なカリスマの顔が覗き見える。三隻同盟軍の総司令官となり、
現在は父の遺志を継ぎ、現プラント最高評議会議長の職にある。
○獅子王凱=(スター/ジェネシック)ガオガイガー(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGG(ガッツィー・ギャラクシー・ガード)機動部隊長。
ギャレオリア彗星観測のため宇宙航行中、EI-01と遭遇し
瀕死の重傷を負うが、父・麗雄博士による手術と
Gストーンの力によりサイボーグとして復活。
地球外生命体の脅威から人類を守る戦士となる。
その後Gストーンの導きにより超進化人類エヴォリューダー
として生まれ変わった。
○卯都木命(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGGオペレーター。獅子王凱の高校時代の同級生。
原種との戦いで機界新種となった影響で、
驚異的な神経細胞の自己修復能力を獲得した
セミ・エヴォリューダーとなっている。
○早乙女ミチル(ゲッターロボシリーズ)
コマンドマシン&レディーコマンドのパイロット。
早乙女博士の長女。
△羽柴長官(デジモンセイバーズ)
DATを管轄する国家機密庁の長官。だがDATとは仲が悪く、
デジモン殲滅を唱える倉田博士に肩入れしていた。
しかしその倉田に最終的には裏切られてしまう。
最終更新:2020年11月12日 13:50