『集まる鬼』-2
作者・ユガミ博士
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???「どうされましたか?」
鳴介達の前にやってきた車が停まり、窓から穏やかな表情が印象的な男性が
聞いてきた。その車の助手席には中学生~高校生ぐらいの青年が乗っていた。
鳴介「実は、乗ってきた車のガソリンが無くなってしまって。近くのガソリン
スタンドまで乗せてくれる車を待っていたんです。」
???「そうなんですか。なら、俺達が乗せて行きますよ。」
???「でも、ヒビキさん。この車狭いぜ。後ろにはキャンプ道具とか
のせてあるし。」
???「詰めれば、スペースも空くよ。だから、乗せていきますよ。」
鳴介「ありがとうございます。」
ゆきめ「よかったですね、鵺野先生。」
車の中のキャンプ道具を詰めた後、鳴介達は後部座席に乗りこみ車は
走り出した。そして、鳴介達はお互い自己紹介を行った。
???「俺はヒビキ。こっちは弟子の京介。」
京介「桐矢京介。よろしくな。」
京介と呼ばれた青年は少し、ぶっきらぼうに答えた。
鳴介「自分は鵺野鳴介。佐賀で小学校の教師をしています。こっちは妻の
ゆきめ、義妹の眠鬼です。」
京介「つ、妻!?」
ヒビキ「ずいぶん、お若いですね。」
ゆきめ「鵺野先生の奥さんをしています、ゆきめです。よろしくね。」
ヒビキ達は驚いた。実際、ゆきめの年齢は16~17歳。本来なら高校に通っている
年齢なのだ。
眠鬼「私は義妹の眠鬼よ。」
ヒビキ「君、その角は?」
ヒビキは眠鬼の角に疑問を抱いた。
眠鬼「私は鬼なの。」
鳴介「お、おい眠鬼!」
眠鬼「いいじゃない別に。どうせ、この角の事聞かれると思っていたから。」
京介「どういう事だ?」
鳴介「実は・・・。」
その後、鳴介は自分が霊能力教師で、悪霊や妖怪から生徒を守っていた事や
ゆきめ、眠鬼との出会いなどをヒビキ達に話した。
ヒビキ「生徒を守るために悪霊と戦うとはすごいですね。」
鳴介「あまり、驚かないですね。」
京介「俺達も、似たような連中相手にする事があるからな。」
眠鬼「(それにしても、あの2人って私や覇鬼お兄ちゃんみたいな感じがする。
でも、ちょっと違うような?)」
そうしているうちに一行は目的のガソリンスタンドへと着いた。
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ガソリンスタンド***
そのガソリンスタンドの隣には、喫茶店があった。すると、眠鬼が「お腹すいた。」
と言ってきた。もうすぐ、お昼なので当然だがいつまでも車を放置している訳には
いかない。そこで、ヒビキと鳴介がガソリンを持って車の方へ行き、残ったメンバー
は喫茶店で待つことになった。
鳴介「いいのですか?京介君を残して。」
ヒビキ「大丈夫ですよ、鍛えてますから。」
ヒビキは独特の指のポーズをとり、鳴介に答えた。2人が出発した後、京介達は
喫茶店へと入った。店の中はお昼時という事のもあり、お客で賑わっていた。
席につき、注文を待っていると新たに4名の客が入ってきた。
???「やっと、お昼ご飯だわ。」
???「まったく、諸星が遅刻した所為で予定よりも遅れてしまったではないか。」
???「俺だって、好きで寝坊したのではないわい!」
???「もう、ダーリン!夜中、エッチな番組でも見て、寝坊したんじゃないのけ?」
???「ドキッ・・・ち、違うわい!」
???「図星ね。」
諸星と呼ばれた高校生くらいの青年は動揺し、他3名の仲間に弁解をしていた。
そして、ウェイトレスがやってきて席が満席状態の為、京介達と相席となる事になった。
???「どうも、失礼します。」
ゆきめ「いいえ、食事は大勢で食べた方が美味しいですから気にしないで。」
???「そうですね。でも、僕は君とだけ食事をする方がずっと美味しいと
思いますよ。どうですか僕と一緒にパフェでも・・・。」
何時の間にいたのか、諸星と呼ばれる青年はゆきめの隣にいて、手を握っていた。
???「ダァ~リン!ウチという者がありながら、また他の女に・・・。」
???「あ~た~る~く~ん!」
ボゴ!
2人の女性によって、彼は顔を思いっきりぶん殴られた。その様子にゆきめ
達は唖然となっていた。
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一段落が着き、ゆきめ達はお互いの自己紹介を始めた。
???「僕達は東京にある友引高校の生徒で、僕は面堂終太郎です。」
???「私は三宅しのぶです。」
???「ウチはラムっていうだっちゃ。それでこっちはウチのダーリンだっちゃ♪」
???「ども、諸星あたるです。先程は失礼、ところで君と出会ったのも何かの縁。
電話番号かメールアドレス教えてくれない。」
先程、殴られたのにも関わらずもう復活しナンパを始めた。この諸星あたるという
男はゴキブリ並のしぶとさを持っている事で有名である。
京介「ん、面堂?もしかして、面堂財閥の身内なのか?」
面堂「ええ、面堂財閥は僕の実家です。」
ゆきめ「すごい!面堂財閥なんて大金持ちじゃない。」
眠鬼「そんなにすごいの?」
京介「すごいなんてレベルじゃない。中川グループや破嵐財閥、旋風寺コンツェルン
と業界の1、2位を争う大財閥だ。確か、私設軍隊まで持っているという噂があったな。」
よく分かっていない眠鬼に京介が説明した。
ラム「所で、お前角が生えているけど、ウチと同じ星け?」
京介「どういうことだ?」
しのぶ「ラムは異星人なの。」
京介「は!そうだ、どっかで見た顔だと思ったが思い出した。アンタ、地球
の侵略を賭けて、そこの人と鬼ごっこをしていた異星人。」
ラムが眠鬼に質問してきた。質問の意図が分からない京介が質問するとしのぶ
が答え、京介は以前ラムとあたるの鬼ごっこのテレビ中継を思い出した。
眠鬼「そんな事があったんだ。でも、私は異星人じゃないわ。地球人(?)で
いいのかしら。」
ラム「地球!?地球でもウチと同じ種族がいたのけ?」
ゆきめ「この娘と私は妖怪の仲間なの。私は雪女のゆきめ、よろしくね。」
あたる「ほ~、雪女とは。おユキちゃんとはまた違う美しさだ。グフフ。」
ゆきめ「美しいって言ってくれて、ありがとう。でも、私結婚しているから
ごめんね。」
ゆきめは結婚指輪をしている薬指を見せた。
面堂「け、結婚!?」
しのぶ「ウソ!?私達と同じくらいなのに。」
あたる「ガ~ン!そ、そんな人妻・・・。く~、こんな美人を嫁さんにしている
とは許せん。あ、でも僕は君が人妻でもかまわないよ。」
ラム「ダーリン!いい加減にしないとウチは許さないちゃよ!」
あたる「ラ、ラム!分かった、分かったからここでは出すな。」
それぞれがショックを受ける中、あたるは尚もゆきめにアタックしていた。
この男、相手が子持ちであろうと、妖怪だろうと、異星人だろうと美人ならそれでいいのだ。
そして、ラムは自分の持つお得意の超能力の一つ、電撃を出す直前だった。さて、すっかり
打ち解けた彼らに注文した料理や飲み物が運ばれてきた。そして、食事に入ったのだが・・・。
ゆきめ「ファ~、何だか、急に眠たくなっちゃた。」
しのぶ「わたしも~。」
急に眠気が襲ったのである。周りを良く見ると他の客も眠っていた。
京介「(よ・・・様子が・・・変だ。これ・・・は、一体・・・?)」
そして皆眠りに着いた。
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しばらくして、車にガソリンを入れにいった鳴介達が帰ってきた。しかし、
喫茶店は「閉店」という看板が掛かっていた。
ヒビキ「さっきまでは営業していたのに変だ?」
鳴介「ゆきめ達は何処に?」
ヒビキ「とにかく、探しましょう。ちょっと、待っていてください。」
ヒビキは自分の車に積んである、ボックスを持ち出してきた。ボックスの
中身はディスク状の物が十数枚あった。
鳴介「それで一体何を?」
ヒビキ「まぁ、見ていてください。」
ヒビキは懐から音叉の様な物を取り出し、指で鳴らすとディスクに向けた。
すると、ディスクに色がつき、鳥、狼、猿へと変形した。これは、ヒビキが
仕事で使うディスクアニマルというサポートメカでそれぞれ、アカネタカ、
ルリオオカミ、リョクオオザルという。
ヒビキ「さぁ、行ってこい。」
ヒビキが指示を出すと、一斉に森の方へと散らばっていた。
ヒビキ「さぁ、俺達もこの近くを探しましょう。」
あの変形した動物は何かと疑問はあるが、それよりもゆきめ達が心配なので、
鳴介はヒビキに賛同し、ゆきめ達を探すのであった。
○ヒビキ→鳴介を車に乗せ、ガソリンスタンドまで運ぶ。そして、京介達が
いなくなった事から、ディスクアニマルで探索する。
○桐矢京介/ゆきめ/眠鬼→喫茶店で待っていたが、眠らされて行方不明。
○面堂終太郎/三宅しのぶ/諸星あたる/ラム→喫茶店で京介達と会い、
眠らされて行方不明。
【今回の新規登場】
○ヒビキ=仮面ライダー響鬼(仮面ライダー響鬼)
「猛士」関東支部に所属する音撃戦士。15年以上も鬼として戦うベテランで、
初対面でもすぐに打ち解けられる気さくな性格をしている。本名は日高仁志。
挨拶の際の「シュッ」という敬礼のようなポーズがトレードマーク。
○桐矢京介(仮面ライダー響鬼)
ヒビキの弟子。弟子になる前は運動音痴で、暗所恐怖症を持っていた。消防士
をしていた父親が殉職したため、ヒビキの勇敢さに父親を重ね、弟子入りを決意。
1年で、鬼への変身能力を身につけた。
○諸星あたる(うる星やつら)
友引高校に通う高校生。楽観的で、アホなことばかりをする。女好きで、
美人の女性にはかならず声をかけて、ナンパをする。
○ラム(うる星やつら)
地球へと侵略しにきた鬼型宇宙人の娘。コンピュータがランダムに選んだ
諸星あたると鬼ごっこし、敗北。そのとき勘違いをしてあたるの婚約者となり、
心底、ほれている。電撃、飛行能力という超能力が使える。仙台弁のような
喋り方が特徴。
○面堂終太郎(うる星やつら)
面堂財閥の御曹司で、あたるのクラスメイトでありライバル関係。容姿端麗・
秀才で運動神経抜群な事から女子にモテている。暗所恐怖症・閉所恐怖症を
もっているが、女性の前では平然としている。
○三宅しのぶ(うる星やつら)
あたるの最初のガールフレンド。あたるがラムと婚約した事から、別れた。
セーラー服の似合う清楚な美少女だが、激怒すると机をぶん投げられる程の
怪力を発揮する。
最終更新:2020年11月12日 13:58