本編858~861

『ゴジラVSギャオス 地対空大決戦』-4

 作者・凱聖クールギン
858

大阪・住吉***


戦いを終えたカブトとガタックの所へ、
DASHのミズキとコバ両隊員とドレイクが駆け寄って来る。

ミズキ「大丈夫ですか!?」
ガタック「ああ…。怪獣はあそこに」
コバ「今、陸上自衛隊に連絡した。
 もうすぐ発破作戦がスタンバイされる」
ドレイク「もうじき陽が暮れますね」
カブト「時間がないぞ。急げ」

夕暮れの薄明かりだけが残る中、
自衛隊員達によって倉庫の壁と屋根にN2爆雷がセットされ、
倉庫ごと中のギャオスを爆破する作戦が準備された。
ギャオスはまだ暗さが十分でないのか、片足を切られたせいで動けないのか、
時折おぞましい呻き声を響かせるばかりで、妨害しようと外へは出て来ない。

ミズキ「準備完了ね」
コバ「ようし…。発破!!」

太陽が丁度沈んだその時、地面を抉るほどの大爆発が起こり、
仕掛けられたN2爆雷が倉庫を木端微塵に吹き飛ばした。

ガタック「やった…!?」
カブト「いや…!」

ギャオス「キォォォ――!!」

左の腕と翼を吹き飛ばされたギャオスが爆煙の中で咆え猛る。
身長は既に30mほどに成長していた。
爆発で左半身を根こそぎ失う重傷を負いながらも、絶命には至っていない。

ミズキ「足が、治ってる!?」
ガタック「そんな、馬鹿な…!」

ガタックに切断されたはずの右脚は元に戻っている。
恐るべき再生能力を持つギャオスは、
爆破された左半身も見る見るうちに胴体から生えさせ、
数分の間に五体満足の身体に回復してしまった。

コバ「まずい!」
ドレイク「何て化け物なんだ…!」

コバとミズキのダッシュライザー、ドレイクのドレイクゼクターが一斉射撃を浴びせるが、
もはやそれが通用するギャオスではなかった。
レーザービームの連射をものともせず、羽の突風で周囲を圧倒する。

ギャオス「キォォォォ!!」

大きく咆えたギャオスは一際強く羽ばたいて飛び立ち、
西の空へ消えて行った。

859

大阪湾・海底***


紀伊半島に沿って海中を北上したゴジラは、とうとう大阪湾内に侵入した。
ゴジラの大阪上陸を許せば大被害が出てしまう。
決戦場の見立てを誤り、大阪ビジネスパークを瓦礫の山にした
ビオランテ事件の轍をまた踏むわけには行かない。
黒木翔特佐は先手を打ってゴジラの上陸を阻止すべく、
メカゴジラでゴジラに水中戦を挑んだ。

黒木「ゴジラとの距離、現在700m。
 これより接近し撃滅にかかります」
土橋「水中は奴のホームグラウンドだ。
 十分用心して戦うんだぞ!」

海底をゆっくりと潜水するゴジラの姿をメカゴジラ正面のカメラが捉えた。
黒木特佐はスロットル・レバーを押し込み、速力を高める。

黒木「攻撃開始。メガ・バスター、ファイア!!」

メカゴジラの口からの熱線が、ゴジラを側面から狙撃した。
不意打ちを受けて怒ったゴジラがこちらを見据える。
メガ・バスターで猛爆を加えながら前進するメカゴジラ。
標的を逸れた一撃は巨大な岩を粉砕した。
ゴジラも放射能熱線を発射し、怒りの反撃に出る。

ゴジラ「ギャァォ――ン!!」
黒木「くっ!」

メカゴジラの機体が熱線を受けて大きく揺れた。
ボディのコーティングがエネルギーを吸収し、
プラズマ・グレネイドに集約して何万倍にも増幅する。

黒木「プラズマ・グレネイド、発射!!」

ゴジラの熱線を増幅した光線が撃ち返され、
海底の地形が変わるほどの大爆発でゴジラを吹き飛ばした。

土橋「ゴジラが逃げた…!」
黒木「追撃を開始します」

形勢不利と見てゴジラは逃走した。
例え土砂で海中が濁っていても、ソナーは正確に敵の位置を映し出す。
黒木は逃げるゴジラを追って西へメカゴジラを前進させた。

土橋「よしよし…。総理、メカゴジラは優勢に戦っていますよ」
桃太郎「だが、まだ油断はできんぞ。
 大阪上陸は阻止できたようだが、西には神戸や岡山がある」
黒木@通信「私はゴジラを神戸港に追い込んでそこで殲滅します。
 自衛隊を神戸港に集結させておいて下さい」
桃太郎「分かった。くれぐれも取り逃がすなよ」

860

神戸・ポートアイランド***


神戸港を埋め立てて造成された人工島・ポートアイランド。
陸上自衛隊と地球連邦軍地上部隊はこの島に集結し、
ゴジラが現れるのを今や遅しと待ち構えていた。

曽根崎「大尉、自衛隊の黒木特佐からの連絡です。
 ゴジラが接近してきます」
佐々木「よし…。砲撃用意しろ!」

元Gフォース所属、地球連邦軍の佐々木拓也大尉が指揮する陸戦部隊が、
ポートアイランドの埠頭を所狭しと埋めている。
メーサー戦車、24連装ロケット砲車、E551ギガンテス、E651タイタン、
イプシロン装甲レールガンといった各種戦車が砲塔を並べ、
更に銃器を装備した自衛隊員と連邦軍のレンジャー兵達が配置について
メカゴジラがここへゴジラを追い込んできたところを大規模火力で殲滅する手筈である。

ゴジラ「ギャオ――ン!!」
曽根崎「ゴジラ出現!」

海面がうねり、ゴジラが姿を現した。
イプシロン装甲レールガン戦車に乗った曽根崎淳少尉が無線で叫ぶと同時に、
戦車部隊の砲塔がゴジラに照準を合わせる。

佐々木「ようし…。攻撃開始!」

佐々木大尉は自らもメーサー戦車に乗り込みゴジラを一斉攻撃した。
雨霰の如く浴びせられる榴弾とメーサービームの爆発が、
夜の港を眩しく照らす。
凄まじい猛爆を受けてゴジラは怒った。
背鰭を発光させ、放射能熱線を放って埠頭の戦車部隊を焼き払う。
そこへ、黒木特佐の操るメカゴジラがゴジラの背後に浮上し、
ゴジラの背中に目からのレーザーキャノンを撃ち込んだ。

佐々木「やっと来たか、黒木。遅かったぜ」
黒木「お待たせしました。佐々木大尉」

ジェットエンジンを吹かして海面から飛び出し、
そのまま飛行体勢に入ったメカゴジラはゴジラを掴むと、
持ち上げて上空からポートアイランドに叩き落とした。

黒木「4式レールガン、パラライズ・ミサイル、発射!」

土煙を上げて立ち上がったゴジラに、
メカゴジラは二種の武器を同時発射し、弾幕を張りながら接近する。
両肩から射出されるパラライズ・ミサイルは麻痺弾であり、
ゴジラの動きを鈍らせる効果が期待できる。

ゴジラ「ギャオ――ン!!」

レールガンのダメージも麻痺弾の効果もまるでないかのように、
雄叫びを上げたゴジラはメカゴジラに突進する。
格闘で応戦するメカゴジラ。
バックユニットのブースターで加速し移動するため、
動きの俊敏さではメカゴジラの方にやや分があるが、
ゴジラも鈍重そうな見かけによらず、存外に素早い身のこなしをする。

佐々木「やはり、奴は強い…」
土橋「頑張ってくれ、黒木特佐…!」

火花を散らして激しく殴り合うゴジラとメカゴジラを、
東京の作戦本部にいる土橋竜三らも固唾を呑んで見守っている。
パラライズ・ミサイルの麻痺効果がようやく出てきたのか、
ゴジラの動作は徐々に切れを失い、反応が鈍くなってメカゴジラに押され始めた。

黒木「メガ・バスター、発射!」

ゴジラをパンチの連続で怯ませたメカゴジラは
口からの熱線を至近距離で発射。
ゴジラは吹き飛ばされ、ビルに激突して倒れ込んだ。

麻生「黒木君、アブソリュート・ゼロで止めを刺すんだ!」
黒木「了解。アブソリュート・ゼロ、チャージ」

メカゴジラの胸部ハッチが展開し、
3式絶対零度砲(アブソリュート・ゼロ)の砲塔が現れる。

ゴジラ「グゥゥゥ…!」

瓦礫の中でもがくゴジラは立ち上がれない。
アブソリュート・ゼロの砲塔にエネルギーが収束し、青い稲妻が迸る。
メカゴジラは遂に、ゴジラに止めを刺そうとしていた。

861

○コイシカワ・ミズキ&コバ・ケンジロウ→ギャオス爆破作戦を自衛隊に要請。
○黒木翔→メカゴジラを駆ってゴジラと対決。
       ゴジラの大阪上陸を阻止し、神戸での戦いで追い詰める。
○佐々木拓也&曽根崎淳→神戸ポートアイランドで戦車部隊を率いゴジラを迎撃。
△ゴジラ→メカゴジラと戦いながら大阪湾から神戸ポートアイランドへ移動。
●ギャオス→自衛隊の爆破作戦に耐え、傷を再生させて飛び立つ。

【今回の新規登場】
○佐々木拓也(ゴジラVSメカゴジラ)
 Gフォース隊長。階級は大尉。
 メカゴジラの指揮官を務めた。部下を厳しく鍛える鬼隊長で、黒木翔特佐とは旧知の仲。

○曽根崎淳(ゴジラVSメカゴジラ)
 Gフォース隊員。階級は少尉。
 メカゴジラのガンナー兼シューターを務めた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2020年11月19日 07:42