『ゴジラVSギャオス 地対空大決戦』-5
作者・凱聖クールギン
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神戸・ポートアイランド***
アブソリュート・ゼロのエネルギーをチャージし、照準を定めるメカゴジラ。
だがその時、夜空を切り裂くような轟音と共に
巨大な飛翔体が高速でこちらに接近してきた。
ギャオス「キォォォ――!!」
土橋「ギャオスが!?」
桃太郎「しまった…! 邪魔が入ったか」
しばらく周囲を旋回してから、
高層ビルの屋上に止まったギャオスは戦場全体を睥睨して甲高く咆える。
黒木「レーザーキャノン、発射!」
胸部ハッチを一旦閉じ、アブソリュート・ゼロ発射を中止したメカゴジラの
レーザーキャノンがギャオスを狙った。
素早く飛び立ったギャオスにレーザーはかわされ、ビルを粉々に破壊する。
ギャオス「キォォォ――!!」
空中から放たれたギャオスの超音波メスがメカゴジラを襲う。
凄まじい切断力を持つ超音波の刃はメカゴジラのボディにも裂傷をつけた。
メカゴジラもレーザーキャノンを連射し、
飛行するギャオスに命中させて撃ち落とした。
土橋「黒木君、ゴジラが立ち上がるぞ!」
瓦礫に埋もれていたゴジラが猛然と立ち直り、低い唸り声を発した。
パラライズ・ミサイルの麻痺効果はゴジラの巨体に対してはほんの短時間である。
全身を覆っていた倦怠感から解放され、
動きの精彩を取り戻したゴジラが戦いに割って入る。
黒木「多連装ロケット弾、発射!」
ゴジラの方を向いて相対し、ロケット弾を放つメカゴジラだが、
その隙に背後からギャオスに超音波メスを浴びせられ、
バックユニットを破壊されてしまう。
黒木「バックユニットが破損しました。
多連装ロケット弾、使用不能!」
佐々木「メカゴジラを援護しろ!」
曽根崎「了解!」
すかさず浴びせられた戦車部隊の横からの砲撃もものともせず、
バックユニットからのロケット弾の連射が止まった隙に
メカゴジラに体当たりを喰らわせるゴジラ。
数万トンの体重をぶつけられてメカゴジラは倒れた。
そこへ更にギャオスの超音波メスが浴びせられ、
メカゴジラの右腕を斬断する。
黒木「くっ…! 右腕が斬り落とされました。
4式レールガンも使用不能!」
片腕を失って地面に沈んだメカゴジラをよそに、
ゴジラとギャオスは互いに威嚇し合って距離を詰め、戦い始めた。
ゴジラ「ギャオ――ン!!」
ギャオス「キォォォ――!!」
嘴でゴジラの頭を激しく突つくギャオス。
ゴジラはギャオスの翼を掴み、思い切り地面に叩きつける。
そのまま踏み潰そうと足を出すゴジラ。
ギャオスは後ろへ飛び退り、上空へ逃げる。
だが、まだ負けを認めたわけではない。
遮蔽物となる高層ビルが多い神戸の都心部へ、
ゴジラを誘き出そうとしているのだ。
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神戸・三宮***
ポートアイランドから三宮に戦場を移し、
ゴジラとギャオスはなおも激しく戦い続ける。
ゴジラ「ギャオ――ン!!」
ギャオス「キォォォ――!!」
ビルの間を縫うように飛びながら、超音波メスで空襲するギャオス。
ゴジラの皮膚に無数の裂傷が走り、血が流れる。
ゴジラは放射能熱線で応射するが、
高速で飛ぶギャオスは巧みにビルを盾に使って攻撃を避ける。
神戸・ポートアイランド***
佐々木「黒木特佐、メカゴジラはまだ戦えるか?」
黒木「何とかやってみます。
ゴジラを倒すには、やるしかありません」
佐々木「ようし、その意気だヤングエリート。
俺達も戦車部隊で援護する」
黒木「お願いします。…バックユニット、パージ!」
故障してしまったバックユニットを切り離し、
メカゴジラの体勢を立て直した黒木は戦車隊を引き連れて三宮へ向かった。
神戸・三宮***
ゴジラ「ギャオ――ン!!」
ギャオス「キォォォ――!!」
空中から存分にゴジラを翻弄したギャオスは急降下し、
再び体当たりと嘴攻撃で接近戦を挑んだ。
仰向けに倒れたゴジラにギャオスは組み付き、
獲物をついばむように突つき続ける。
さしものゴジラも苦境に陥った。しかし…。
土橋「朝日だ…。太陽が昇るぞ」
ギャオス「キォォォ――!?」
ゆっくりと東の空に太陽が昇り、破壊された夜の街に光を射していく。
夜行性のギャオスが日光を浴びて苦しみ始めた。
そこへ倒れていたゴジラがエネルギーをスパークさせ、
全身発光でギャオスを吹き飛ばす。
ゴジラ「ギャオ――ン!!」
立ち上がって咆哮するゴジラ。
吹き飛ばされ、ビルに激突したギャオスに放射能熱線を叩き込み、
今度は動けなくなった相手に確実に命中させた。
たまらず上空へ逃げ出すギャオス。
佐々木「おいでなすったな。逃がしてたまるか」
曽根崎「レールガン、発射!」
曽根崎の乗るイプシロン装甲車の主砲が、電磁気の力で加速した砲弾を発射。
佐々木のメーサー戦車もメーサービームを放ち、
弾と光線は飛んで来たギャオスの左右の翼を貫いた。
ギャオス「キォォォ――!?」
黒木「止めだ」
翼を撃ち抜かれてバランスを失い、回転しながら墜落したギャオスに
ゴジラの熱線とメカゴジラのメガ・バスターが同時に浴びせられ、
ビルの残骸ごと焼き尽くして止めを刺した。
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土橋「後は、ゴジラだけか…!」
黒木「アブソリュート・ゼロ、起動!」
ゴジラと再び一対一で相対するメカゴジラ。
黒木はアブソリュート・ゼロを再起動させ、
絶対零度の超低温砲で勝負を着けようとする。
ゴジラも大きく息を吸い込み、背鰭を光らせて熱線発射の構えを取った。
黒木「――発射!!」
水色の超低温のエネルギー弾がメカゴジラの胸部から射出される。
ゴジラも同時に放射能熱線を発射。
氷と熱の光が空中で激突し、押し合う。
黒木「くっ!」
土橋「駄目だ…。ゴジラの熱線の方が威力が上回っている」
放射能熱線に力負けし、徐々に押し返されていく超低温砲。
黒木「プラズマ・グレネイド、オープン」
土橋「黒木君、何をするつもりだ!?」
黒木「押し返されたアブソリュート・ゼロと放射能熱線を
プラズマ・グレネイドでまとめて跳ね返します。
この一撃で決着です」
土橋「そんな…。そんな事が、できるわけないだろう!」
黒木「できなければ、我々の負けです…!」
メカゴジラの腹部からプラズマ・グレネイドの砲門がせり上がる。
ゴジラの熱線はとうとうアブソリュート・ゼロを押し切り、
メカゴジラのボディに衝突させた。
黒木「くっ!」
強烈なエネルギーをメカゴジラの全身のダイヤモンド・コーティングが吸収し、
砲塔に集めて増幅させる。
想定外の高エネルギーを取り込んでコーティングが煙を上げ、
コクピットの計器類もショートして火花を噴いた。
土橋「黒木特佐、無理だ! 脱出しろ!」
黒木「…プラズマ・グレネイド、ファイア!!」
放射能熱線とアブソリュート・ゼロを数万倍に増幅して超強力ビームに変換し、
熱と冷凍光線の渦となったプラズマ・グレネイドが発射された。
強い反動を受け、ビルに背中から衝突して仰向けに倒れるメカゴジラ。
直撃を受けたゴジラは大爆発に呑まれ、熱で焼かれ、そして氷漬けになる。
土橋「や、やった…!」
黒木「成功です。土橋さん」
中にゴジラを封じ込めた、全長100m級の巨大な氷山が出来上がっている。
氷に閉じ込められたゴジラは超低温下で仮死状態となっていた。
メカゴジラによるゴジラ撃滅作戦は、こうして成功したのである。
佐々木「やったな、黒木特佐」
黒木「ありがとうございます、佐々木大尉」
瓦礫に埋もれたメカゴジラの操縦席から何とか這い出した黒木に、
外で待っていた佐々木はねぎらいの声をかけ、がっちりと握手した。
△ゴジラ→メカゴジラによって氷漬けにされ、仮死状態となる。
●ギャオス→神戸に飛来。ゴジラとメカゴジラに戦いを挑むが倒される。
○黒木翔→メカゴジラの力でゴジラを氷漬けにする事に成功。
○佐々木拓也、曽根崎淳→メカゴジラを援護し、ギャオスの翼を撃ち抜く。
最終更新:2020年11月19日 08:00