『砂漠の姫の来日』-4
作者・ティアラロイド
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ゴメス「運び出せ」
ショッカー戦闘員「イーッ!!」
キャプテン・ゴメスの命令で、特殊ネットに捕らえたシグフェルを
運び出そうとするショッカー戦闘員達。
だが、その様子を物陰から密かに覗き見ている者がいた。
ネロス帝国が放った忍びの爆闘士ガラドーである。
ガラドー「そうはさせるか…!」
幻兵団とスマートブレインにシグフェルを先取りされまいと、
妨害を試みる事にしたガラドーは手裏剣を投げつけ、
シグフェルを捕らえているネットを切り裂いた。
シグフェル「…!? ネットが破れた!」
咄嗟に何が起こったのか分からないながらも、
ともかくネットの裂け目を思い切り引っ張って広げ、
そこから脱出するシグフェル。
ゴメス「しまった! 逃がすな!」
ショッカー戦闘員「イーッ!!」
キャプテン・ゴメスの指示でショッカー戦闘員が一斉に飛びかかるが、
敢えなく翼の一振りで全員薙ぎ倒され、
飛翔したシグフェルはそのまま逃げてしまった。
シグフェル「フィリナ、今行くぞ!」
追尾を振り切り、そのまま高度を上げてザイラユニコンに挑もうとするシグフェルだが、
不意に斜め下から飛んで来た二つのボクシンググローブに撃墜され、
体勢を崩して地上に落ちてしまう。
シグフェル「くっ…、何だ!?」
ジャムネ「フハハハハ!
俺はネロス帝国・ヨロイ軍団激闘士ジャムネ!
逃がしはせんぞシグフェル!」
肩を揺らして現れた激闘士ジャムネは、
両手のボクシンググローブをミサイルのように射出して攻撃する。
シグフェルがかわすと、二発のボクシンググローブは背後の電柱と街路樹にそれぞれ命中し、
どちらも真っ二つに叩き折った。
シグフェル「ネロス帝国と言ったな!」
ジャムネ「いかにも!
戦闘ロボット軍団のクロスランダーは口ほどにもなく敗れ去ったが、
最強の格闘技であるボクシングを極めたこの俺はそうは行かんぞ。
たっぷりと痛めつけてやる!」
シグフェル「なるほど、ボクサーか…」
両手に装着した黄色いグローブ。
小刻みに体を揺らしながらステップを踏むフットワーク。
ジャムネのファイティングスタイルは一見して明らかにボクシングのそれである。
それに対し、シグフェルは得意の琉球空手の型に倣って
踵をやや浮かせて胸を張り、直立の姿勢で迎撃体勢を取る。
ジャムネ「行くぞオッ!」
シグフェル「来い!」
一気に距離を詰め、ジャブやフックを続けざまに撃ち込んでくるジャムネ。
シグフェルも軽妙な体捌きで敵の攻撃をかわしつつ、
機を見た突きと蹴りでカウンターアタックを仕掛ける。
ジャムネ「つぁっ!」
シグフェル「くっ…、キックもか!」
敵の両手の動きに神経を集中していたシグフェルを
振り上げられたジャムネの右足が勢いよく襲った。
ボクサーだけにパンチ専門かと思いきや、
ジャムネはキックボクシングも抜かりなく鍛えており、
拳での打撃に華麗な足技も織り交ぜて激しく攻め立てる。
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ジャムネ「どうした! その程度かシグフェル!?」
シグフェル「(落ち着け…! フィリナを助けるためにも、
まずはこいつを倒す事に集中するんだ…!)」
フィリナ救出を急ぎたいばかりに焦りの気持ちがあったシグフェルだが、
それが原因で苦戦していては元も子もない。
自分に喝を入れたシグフェルは、改めて意識を目の前の勝負に集中する。
シグフェル「(赤心寺での修業の成果、見せてやる!)」
体得したばかりの梅花の型で、
ジャムネの攻撃を次々とガードしていくシグフェル。
ボクシングの技に対しても赤心少林拳の奥義はその力を如何なく発揮し、
打撃の勢いを巧みに削いで無力化していく。
ジャムネ「馬鹿な…! この俺のパンチが、
ことごとく抑え込まれているだと!?」
予想以上に洗練されたシグフェルの武術に驚きを禁じ得ないジャムネ。
これでもかとばかりにパンチを連打し猛攻を加えるが、
シグフェルはその全てを梅花の構えで完璧に封じてしまう。
ジャムネ「おのれ…、喰らえ~っ!」
シグフェル「はぁっ!」
激昂したジャムネが打ち出した渾身の右ストレートパンチを、
梅の花弁のように包み込むシグフェルの両手が受け止めた。
ジャムネ「ぐ…ぬぬ…!」
シグフェル「たぁっ!」
すかさずローキックでジャムネの足を払ったシグフェルは、
転倒したジャムネが立ち上がったところに
紅蓮の炎を纏った右手で斬りつける。
シグフェル「フレイムアーム!!」
ジャムネ「ぐおおっ!」
ガラドー「こ、これはいかん…!」
大ダメージを負って倒れ込んだジャムネの近くに
物陰から戦いを見守っていたガラドーが煙幕を投げつける。
黒い煙が立ち込めてシグフェルの視界を塞ぎ、
それが晴れた時にはジャムネの姿は消えていた。
シグフェル「逃がしたか…!
それより、早くフィリナを助けなきゃ!」
ジャムネに勝利したシグフェルはすぐに飛び立ち、
フィリナを助けるべく東京エネタワーの方へ向かった。
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●キャプテン・ゴメス→ガラドーの妨害により、シグフェルに逃げられてしまう。
●ガラドー→シグフェルを捕らえた特殊ネットを手裏剣で切り裂き、キャプテン・ゴメスの作戦を妨害。
●ジャムネ→シグフェルに戦いを挑むが敗退する。
○シグフェル→特殊ネットから脱出。ジャムネと戦い勝利する。
【今回の新規登場】
●激闘士ジャムネ(超人機メタルダー)
ネロス帝国・ヨロイ軍団激闘士。
ボクシングを得意とする戦士で、両手のグローブはロケットパンチとなる。
拳だけでなく蹴り技にも優れるが、その足が弱点。
最終更新:2020年11月26日 10:37