『希望の名を持つ海賊』-4
作者・ユガミ博士
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海賊要塞・百鬼富嶽***
海賊との戦闘後、一同は百鬼富嶽で顔を合わせた。要塞の中に入り
一同はその広さと木造によるからくり技術に驚愕する。
元親「俺様が、長曾我部元親だ」
グラム「俺はグラム・リバー。改めて礼を言うぜ」
ルリ「私は地球連邦軍所属のホシノ・ルリ少佐です。よろしくお願いします」
元親とグラム達はルリ達に自分達の事を改めて名乗る。そしてルリも
グラム達に名乗った。
ビート「あ、そちらのお嬢さんは先程の・・・・」
ボウィー「こちらさんの仲間だったのか」
サブロウタ「そっちのお姉さんも仲間だったなんて驚いたよ」
思春「・・・・まさか、また会う事になるとはな」
ベス「グラムを助けて下さり、ありがとうございます」
ビート達は先程出会った思春やベス達が、グラム達の仲間だった事に
改めて驚く。
元親「ん?何だよ、思春とベス知り合いだったのか」
ビート「へぇ~、思春ちゃんって言うの?俺の名前はビー「シュ」・・・ト?」
思春の名前を知り、ビートも仲良くなろうと自分の名前を言おうとした時、
何故か思春に隠し持っていた暗器を首に突きつけられる。いきなりの
行動にビートやルリ達は驚いた。(ルリの場合は余り表情が変わらなかったが)
元親「おいおい、思春。ここはお前がいた世界じゃないんだぜ?いい加減慣れろよ」
思春「・・・・済まない。私の真名を言われてしまったので、反射的に動いてしまった」
だが元親は見慣れているのか、冷静に思春の行動に驚く事もなく、彼女を
宥める。思春も今の行動を反省し、謝罪した。
アイザック「元の世界・・・・という事は異世界からの転移者か?」
グラム「ああ。俺とベスは火星出身だが、元親や思春は此処とは違う世界の
人間なんだ」
ルリ「・・・・やはり、長曾我部元親の名前を聞いて、もしやと思ったのですが・・・・」
アイザックは元親の『元の世界』というフレーズに、彼らが異世界から来た人間と
いう事を見抜く。ルリも元親の名前が日本の戦国武将の名前と同じ名前で
ある為、その可能性にうすうすと気づいていた。
元親「・・・・そういう事だ。俺は戦国の世で、野郎共と百鬼富嶽を造り、
お宝探しの旅に出かけたんだが、妙な穴に入って気が付けば、この
海にいたんだ。にしてもまさか未来に来ちまうなんてのは思っても
みなかったぜ」
雷太「だが、日本の戦国時代でこれだけの要塞を作ったなんて話は聞いた事が
ないぞ」
ブルース「おそらく、少し歴史が違う世界から転移してきたのだろう」
元親達が火星に海に転移してきた状況を知り、彼らが史実とは違う世界から
来たのだと推測する。
闘志也「それで、そっちのお姉さんも・・・・同じ世界の人なのか?」
思春「・・・・いや、私は元親とは違う。私の名は甘寧。字は興覇。
呉の孫権様の下で親衛隊に所属していた」
ハーリー「甘寧って・・・・三国志に出てくる武将じゃないですか!」
バーディ「それにしては、さっきから違う名前で呼んでいるけど?」
思春の正体が三国志に登場する呉の武将である事にハーリーは
驚き、バーディは名前が違う事に疑問を抱く。
思春「私の世界では【真名】という、もう一つの名前が付けられる。
真名は親しい者にしか呼ぶ事が出来ず、勝手に呼べば首を
はねられてもおかしくない事なのだ」
トモカ「随分、物騒だな(汗」
元親「思春とは、この世界で会ったんだが、おかげで首を落とされる所だったぜ」
グラム「俺も俺も」
思春から彼女のいた世界の真名という慣習について説明され、トモカなど
冷や汗を聞く。元親達もその事で首を落とされそうになったが、今では真名で
呼ぶ事を許される程、親しい間柄になったという。
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元親「この都市船でグラム達と久しぶりに会う事になったんだが、それで
あの騒ぎってわけよ」
ルリ「そういう訳でしたか。よく分かりました」
一矢「・・・・所で、俺達はエリカという女性を探しているんだが知らないか?」
一矢は、まだエリカの事で聞いていない元親やグラムに事情を話して、
その事を聞いてみる。
グラム「・・・・そういえば、極点の方に異星人が集まっているみたいな噂が
あるんだけど、違うかな?」
一矢「それだ!!」
京四郎「落ち着け、一矢」
ルリ「ですが、極点というと極冠遺跡の事かもしれません。彼らが潜伏する
場所として可能性としては、十分に考えられます」
グラムの言葉にルリ達は極冠遺跡に向かう事にした。
元親「なるほど。事情は分かった。よし、グラムを助けてくれた礼だ!
俺達も手を貸すぜ」
ハーリー「えっ、いいんですか?」
元親「恩を返せないようじゃ、この西海の鬼の名が廃るってもんだ」
思春「・・・・私も貴様達といれば孫権様のいる元の世界に帰れるかも
しれない。よろしく頼む」
スバル「いいのかよ、ルリ?」
ルリ「まぁ、別の世界の人やこれだけ巨大な要塞を野放しにするわけには
いけませんし、連れて行きましょう。貴方方はどうされますか?」
恩を返す為、元の世界に変える為として元親と思春は部隊に同行する事を
申しでる。ルリはそれを承諾し、次にグラム達はどうするのか聞いてみた。
ベス「どうするの?グラム・・・・・」
グラム「・・・・・いや、俺達はこれで失礼するよ。何か政治とか、そういう事に
巻き込まれそうなんでね。」
グラムは少し考えた後、ルリ達と別れると答える。グラムは政治とかには
興味が無く、その日を精一杯生きる事を信条とする男。ルリ達が良い人達
というのは分かるが、恐らく厄介ごとに巻き込まれていくであろうと考え、
行動を共にしない事にした。
ルリ「・・・・分かりました。無理を言って申し訳ありません」
元親「そうか達者でな。グラム!」
思春「・・・・ボンとシエにもよろしく伝えてくれ」
グラム「ああ、そっちこそ気をつけてな!」
そしてグラム達と別れ、ナデシコは元親達の乗る百鬼富嶽と共に極冠遺跡
へと進路を向けるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
元親達と別れた後、グラムは格納庫に収められている希望号の前に立っていた。
この希望号、前の戦いで乗り捨ててしまい、もう二度と乗る事は無いと思っていた。
だが、元親と思春と出会ったあの日。別の海賊から逃げていた時に、彼らに
助けてもらったのだが、そこへ何故か希望号が自分の所へと流れ着き、再び乗り込んで
海賊を追い払う事が出来た。そして元親達と友人関係を結び、今に至るのである。
グラム「・・・・・・」
ベス「何、黄昏ているのよ。らしくもない」
グラム「ベス・・・・」
ベス「やっぱり、一緒に行きたかったなんて思っているの?」
グラム「そんなじゃないさ。また、こいつに乗れるなんて思っても
みなかったなって思っていたのさ」
ベスに声を掛けられたグラムは、また希望号に目を向ける。再び、希望号が
現れた理由、それはこの先の大きな戦いに関係するものなのか、それは定か
ではない。
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○竜崎一矢→グラム達にエリカの事を聞く。
○ホシノ・ルリ→グラムや元親達と顔を合わせる。百鬼富嶽の同行を承諾する。
○マキビ・ハリ→女性となっている甘寧/思春に驚く。
○ビート・マッケンジー→思春の名前を言おうとして、首に暗器を突きつけられる。
○トモカ・タイガ→真名という慣習に冷や汗をかく。
○長曾我部元親→火星に転移した時の事を話す。そしてナデシコに同行する。
○甘寧/思春→ビートに真名で呼ばれたので、反射的に首に暗器を突きつける。
一同に真名について説明した後、ナデシコに同行する。
○グラム・リバー→宇宙連合が極冠遺跡に集まっている事を話した後、別れる。
希望号に再び乗った事を思い出す。
○ベステモーナ・ローレン→グラムに声を掛ける。
最終更新:2020年11月26日 10:44