本編1595~1600

『プリキュアオールスターズの参戦!』-2

作者・ホウタイ怪人 
1595

ムーンキャッスル***


晴れの海・シルバーミレニアム遺跡の中心にある建造物。
その最深部へと単身足を踏み入れる月野うさぎ。

うさぎ「………」

うさぎはそっと片手を差し伸べると、
部屋一面に広がる回線に一斉に眩い光が走り、
月のホストコンピューターが起動する。
そして中央部には、美しい妙齢の女性のホログラフィが
浮かび上がった。

うさぎ「お母様…」
Qセレニティ(立体映像)「よく来ました、プリンセス・セレニティ。
 わたしの可愛い娘よ…」

ホログラフィに映っているのは、クイーン・セレニティ。
太古の月に栄えた王国シルバー・ミレニアムの女王で、
月野うさぎの前世であるプリンセス・セレニティの母親。
王国に侵攻してきたクイン・メタリアの軍勢を幻の銀水晶の力で封印し、
戦いで命を落としたセーラー戦士たちを地球に転生させた人物である。
現在は、記憶のみをコンピューターにデータ化した形でのみ存在している。

Qセレニティ(立体映像)「何か困った事が起きたのですか?」
うさぎ「あたし、どうすればいいのかわからないんです。
 みんなはわたしに戦いの先頭に立つ旗頭になれって言います。
 ……分かってはいるんです。今は"戦いなんかイヤ"だなんて
 贅沢を言っていられる状況じゃないって。でも…」
Qセレニティ(立体映像)「貴女はどうしたいのです?」
うさぎ「あたしにはまだ政治とか難しい事はよく解りません。
 でもあたしはただみんなを守りたい。みんなを傷つけたくない。
 毎朝学校に行って、みんなと仲良く勉強して、そして帰りにお茶しながら
 くだらないお喋りをして…。そんな日々を守りたい」
Qセレニティ(立体映像)「それでよいのです。貴女は貴女の望む道を進みなさい。
 そしてそのためにはどうすれば最善の道なのか、よく考えるのです」
うさぎ「お母様…」
Qセレニティ(立体映像)「わたしはいつでも貴女を見守っていますよ…」

それだけ言い残すとクイーンのホログラフィは静かに消えて行った。
平凡に見えながらも大切な日々を守る。それはすなわち愛する者たちを
この手で守るという事。そのためにはどうするのが
クイーンの言う最善の道なのか?
うさぎは、その意味をまだハッキリとは見出せないまま立ち上がった。

ヘドリアン「話は終わったか?」
うさぎ「――だれっ!?」

突然した謎の声に驚くうさぎ。
この部屋の中には月の王国の関係者以外は
一切立ち入れないはずなのに、いったい誰が!?
気がつくと正面の向こうには、邪悪な気品を漂わせる奇妙な姿の老婦人が
多数の部下たちを従わせつつ立ちはだかっていた。

うさぎ「…ミ、ミラーボール?(汗」
ヘドリアン「だぁれがミラーボールじゃああっ!!!(怒」

老婦人の頭部の形状を見てボケをかますうさぎに対して
しっかりツッコミを返す老婦人=ヘドリアン女王ww。

うさぎ「あのぉ…ここはディスコでもダンスホールでもないんですけどぉ…(汗」
アマゾンキラー「控えなさい無礼者。こちらにおわす御方をどなたと心得ます。
 恐れ多くもベーダー一族を束ねる長にして黒い太陽神に仕える巫女!
 ヘドリアン女王陛下にあらせられますよ!!」
うさぎ「ヘドリアン女王……もしかしてGショッカーの!?」
ヘドリアン「お前がセーラームーンか? 初めて会うのう。
 この私がGショッカー闇女王同盟のヘドリアン女王じゃ。
 よく覚えておくがよい」

ようやく状況を理解したうさぎは、変身しようと胸のブローチに手を伸ばしたが…。

うさぎ「ムーン・ゴズミック・パ―――」
ヘドラー「させんッ!!」
うさぎ「きゃああっ!!!」

アマゾンキラーと共にヘドリアン女王の傍らに控える
甲冑の武人=ヘドラー将軍が抜き放った剣の衝撃波が、
うさぎを遥か後方へと吹き飛ばした。

1596

ムーンキャッスル・正門前***


まこと「うさぎちゃん、遅いね…」
美奈子「まあ宮殿の中だから、何も危ない事はないと思うけど…」

亜美、レイ、まこと、美奈子の4人と
ルナ、アルテミスの猫2匹は、
さっきからずっとうさぎの帰りを
心配しながら待っていたが…。

うさぎ「きゃああっ!!!」
亜美「うさぎちゃん!?」

なんと激しい突風や振動と共に、
うさぎがまるで門の中から外へと排出されるように
吹き飛ばされて来た。

うさぎ「ううっ…!!」
レイ「どうしたのその怪我!?」

倒れたうさぎに駆け寄り、亜美と一緒に抱き抱えるレイ。

ヘドリアン「フハハハハ!!!」
ミラー「………」
ケラー「………」

うさぎを追うようにして正門に現れるベーダー一族。
大勢のダストラー兵とそれを指揮するヘドラー将軍、アマゾンキラー、
女王に仕える二人組の侍女兼女スパイであるミラーとケラー。
そしてそれらを全て従える存在――ヘドリアン女王である。

まこと「アンタ、何モンだい!?」
うさぎ「…気をつけて、アイツはヘドリアン女王。
 今までの相手とは桁違いの敵よ」
ルナ「ヘドリアン女王ですって!?」
亜美「確かブレイバーベースの資料で見た事があるわ!」
アルテミス「あれが電子戦隊デンジマンや太陽戦隊サンバルカンと
 二代続けてスーパー戦隊と激闘を繰り広げたという魔女の中の魔女!」
ルナ「でも、この遺跡の結界の中には邪悪な者は決して踏み込めないはず!
 なのにどうして!?」
ヘドリアン「この私の妖魔術の力をもってすれば、
 こんな子供騙しの結界を破るなぞ造作もないわ」
美奈子「みんな、変身よ!」

うさぎ「ムーン・エターナルッ――」
亜美「マーキュリー・クリスタルパワー!」
レイ「マーズ・クリスタルパワー!」
まこと「ジュピター・クリスタルパワー!」
美奈子「ヴィーナス・クリスタルパワー!」

5人全員で「「「「「――メイクアップ!!」」」」」

1597

一方、ムーンキャッスルの門の内側から
こっそりと外の様子を窺っている男が一人いた。

バスコ「くくくっ…ようやく始まったみたいだなww」

セーラー戦士たちとベーダー一族との間で戦闘が開始されたのを
確認したその男=バスコ・ダ・ジョロキアは、誰にも気取られぬよう
宮殿の中へと引き返し、何やらゴソゴソと探し物を始める。

バスコ「さあて、お目当ての物はどこにありますかねえ~」
ダークプリキュア「そこで何をしている?」
バスコ「――!?」

怪しい動きを見せるバスコを見つけて、
鋭い殺気を放ちながら咎める声を発したのは、
漆黒の女戦士ダークプリキュアだった。
ヘドリアン女王がシスタージルから
他にも人手を借りて来ていたのだ。

バスコ「……(ダークプリキュアか。コイツは面倒な相手だ)」
ダークプリキュア「そこで何をしていたのかと聞いている?」
バスコ「べ~つに何も♪」
ダークプリキュア「なら貴様も早く本来の持ち場に戻れ!」
バスコ「チッ!! やれやれ分かったよ!……(しゃあない。
 こりゃ当分探し物はお預けだな…)」

諦めたバスコが城外へ出ようとした時――。

バスコ「……ん?」

一瞬、ここから少し距離が離れた
向こうの荒野に聳える絶壁の崖の上で、
何か人が動いたような気がした。

バスコ「気のせいか…? まあいいか」

構わずその場から去るバスコ。
しかし今のは決してバスコの気のせいなどでは
なかったのである。
高い崖の上からこちらの様子をじっと監視しつつ
機会を窺っている少女戦士たちの姿が、
確かにそこにはあった!

キュアハッピー「危なかったぁ……(汗」
キュアサニー「……ε=( ̄。 ̄;)フゥ。やばいやばい、
 あと少しでこっちに気付かれるところやったでぇ~」
キュアピース「あの人が宇宙海賊のバスコ・ダ・ジョロキア…」
キュアマーチ「ゴーカイジャーと死闘を繰り広げたというだけあって
 なかなか油断の出来ない敵だね…」
キュアビューティ「さあ私たちも急ぎましょう。
 いよいよ長かった特訓の成果を見せる時です!」

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ムーンキャッスルの城門前では、
変身を完了したセーラー戦士たち5人が
ヘドリアン女王率いるベーダー一族と対峙している。
見て瞬時にヘドリアン女王が容易ならぬ相手であると悟ったうさぎは、
通常基本形態やスーパーセーラームーンを通り越して
一気に最終形態エターナルセーラームーンへと3段変身している。

ヘドリアン「この世の金銀宝石財宝は全てこの私の物じゃ!
 当然、月に眠る秘宝も私の物になるのじゃ!」
Eセーラームーン「月の王国の人々が静かに眠るこの地を
 醜い私利私欲で荒らそうたぁ許せない!
 ご存知、愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラームーン!
 月に代わっておしおきよ!」
ヘドラー「このような小娘ども、わざわざ女王様のお手を煩わせる
 必要もございません。この場はこのヘドラーにお任せを!」
ヘドリアン「おおー頼んだぞヘドラー将軍!」
ヘドラー「行くぞ! セーラー戦士!!」

改めて剣を鞘から抜いて勇猛果敢に切りかかろうとするヘドラー将軍。
しかしその時、どこからか一輪の薔薇が飛んで来て、
ヘドラー将軍の剣を持つ利き手の甲を華麗に切り裂いた。

ヘドリアン「――!?」
ヘドラー「くっ…何者ッ!?」

Eセーラームーン「…ま、まさか」

周囲一面を舞う、多数の薔薇の花弁…。無数に光る星空を背にして、
黒いシルクハットとタキシードに身を包み、目元を仮面で隠している謎の青年。
それはセーラー戦士たちがよく知る人物であった。

タキシード仮面「美しい生命にあふれた星を汚れたヘドロの世界に変えてしまう
 邪悪なベーダー一族。お前たちはこの月の宮殿には相応しくない。
 早々に立ち去るがいい! ――トオッ!!」

高所から颯爽と飛び降りて、セーラー戦士たちのいる
すぐ近くの地面に着地するタキシード仮面。

Eセーラームーン「タキシード仮面様!!」
セーラーマーキュリー「タキシード仮面がどうしてここに!?」
セーラーヴィーナス「衛さんって今アメリカに留学中のはずでしょ!?」
タキシード仮面「久しぶりだな、うさこ。それにみんなも…」
Eセーラームーン「本当に…本当にまもちゃんなの!?」
タキシード仮面「詳しい話は後だ。まずは先にアイツラを片づけるぞ!」
Eセーラームーン「はいッ!」
タキシード仮面「ヘドリアン女王は想像以上の強敵だ。油断はするな!」

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ヘドリアン「なんだか妙にキザな奴が現れたのう…(汗」
アマゾンキラー「お下がりください女王様、ここは我々が!」

タキシード仮面とヘドラー将軍、
セーラーマーキュリーたち四守護神チームとアマゾンキラーが
それぞれ向かいあい、ついに激しい戦闘が開始される。

ヘドラー「タキシード仮面とやら、ワシが相手だ!」
タキシード仮面「電子戦隊がその戦いぶりに敬意をも表したと聞くヘドラー将軍、
 相手にとって不足はない!」

アマゾンキラー「怪我をしたくなかったら引っ込んでなさい!」
セーラージュピター「そっちこそ、あまり年甲斐もなく張り切り過ぎると
 痛い目を見るよ! オバサン!!」
アマゾンキラー「この小娘どもガァァッ!!!!!」
セーラーマーズ「バーニング・マンダラー!!」
セーラーヴィーナス「わが愛の星・金星よ! 愛の力を! ローリング・ハート・バイブレーション!!」

そしてヘドリアン女王と睨みあうエターナルセーラームーン。

ミラー「女王様、この場は私共にお任せください!」
ケラー「暫しこの場はお下がりください!」
ヘドリアン「お前たちこそ下がっておれ、セーラームーンは
 この私が直々に片づけてやるのじゃ!」

ヘドリアン女王は妖魔術の呪文を唱え始めた。

ヘドリアン「ベ~ダ~ヨウマジュツマンダラ~!!
 ベ~ダ~ヨウマジュツマンダラ~!!」

まるで直撃してきた台風のような、いやそれ以上の威力の、
全てを吹き飛ばしてしまいかねないような強風が
エターナルセーラームーンに纏わりつくように襲いかかる。

Eセーラームーン「くっ…この力は!?」

果たしてセーラームーンは、強敵ヘドリアン女王を相手にして勝てるのか?
そして不審な動きを見せるバスコ・ダ・ジョロキアの、月に来た真の目的とは?
突如月面にその姿を現したプリキュアチームは、いったい何をしようとしているのであろうか!?

1600

○クイーン・セレニティ→ムーンキャッスル最深部の空間で、立体映像として現れる。
○月野うさぎ/セーラームーン→ムーンキャッスルでヘドリアン女王に襲われる。
○水野亜美/セーラーマーキュリー →ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○火野レイ/セーラーマーズ→ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○木野まこと/セーラージュピター →ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○愛野美奈子/セーラーヴィーナス→ムーンキャッスル前でアマゾンキラーと戦闘に入る。
○ルナ→ムーンキャッスル前で、ベーダー一族の襲撃に遭遇。
○アルテミス→ムーンキャッスル前で、ベーダー一族の襲撃に遭遇。
○タキシード仮面→月面でベーダー一族と戦うセーラー戦士たちに援軍として駆けつける。
○キュアハッピー →月面に姿を現す。
○キュアサニー →月面に姿を現す。
○キュアピース→月面に姿を現す。
○キュアマーチ→月面に姿を現す。
○キュアビューティ→月面に姿を現す。
●ヘドリアン女王→ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ヘドラー将軍→ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●アマゾンキラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ミラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●ケラー →ムーンキャッスルでセーラームーンを襲撃。
●バスコ・ダ・ジョロキア→ムーンキャッスル内で不審な行動を取る。
●ダークプリキュア→ムーンキャッスル内で不審な行動を取るバスコ・ダ・ジョロキアを咎める。

【今回の新規登場】
○クイーン・セレニティ(美少女戦士セーラームーン)
 太古の月に栄えた王国シルバー・ミレニアムの女王で、
 月野うさぎの前世であるプリンセス・セレニティの母親。
 ギリシャ神話に伝わる月の女神セレーネの化身でもある。
 王国に侵攻してきたクイン・メタリアの軍勢を幻の銀水晶の力で封印し、
 戦いで命を落としたセーラー戦士たちを地球に転生させた。
 テレビアニメ第51話では、復元した幻の銀水晶&変身ブローチと共に
 新武器キューティームーンロッドをセーラームーンに授けている。

○星空みゆき=キュアハッピー(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に転校してきた14歳の少女。
 転校初日に不思議な絵本から飛び出した妖精・キャンディと出会い、
 悪のバッドエンド王国からメルヘンランドを救うため、伝説の戦士プリキュアとなった。
 絵本やおとぎ話が大好き。口癖は「ウルトラハッピー」
 変身時の名乗りは「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」

○日野あかね=キュアサニー(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に一年前に転校してきた大阪出身の少女で、
 一人称は「ウチ」で、関西弁を話す。人一倍熱いこころの持ち主で、
 友人をバカにする者は許さない性格。星空みゆきのよき理解者でもある。
 部活はバレー部に所属しており、実家はお好み焼き屋「あかね」。
 炎の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「太陽サンサン 熱血パワー! キュアサニー!」

○黄瀬やよい=キュアピース(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に通う女子中学生で、引っ込み思案で泣きやすい性格。
 絵や漫画を描くことが得意だが、自分から他人に見せることは少ない。
 また、スーパーヒーローやヒロインに憧れている。
 雷の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「ピカピカぴかりん じゃんけんポン♪ キュアピース!」

○緑川なお=キュアマーチ(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校に通う女子中学生で、高身長で凛とした少女。青木れいかとは幼馴染の関係にある。
 6人姉弟(第42話から7人姉弟)の長女で第1子。弟妹の世話をしていることもあって、家事全般は得意。風の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」

○青木れいか=キュアビューティ(スマイルプリキュア!)
 七色ヶ丘中学校で学級委員および生徒会の副会長(第37話より会長)。
 才色兼備かつ責任感が強く、上品かつ律儀なため生徒たちの憧れの的。緑川なおとは幼馴染。
 学校では弓道部にも所属している他、学業では入学以降学年トップの成績を維持している。
 水と氷の力を持つプリキュアに変身する。変身時の名乗りは「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」

●ヘドラー将軍(電子戦隊デンジマン)
 誇り高きベーダー一族の戦闘指揮官。ベーダー魔城の操舵手でもある。
 ヘドリアン女王には絶対の忠誠を誓い、彼女からの信頼は厚い。
 客分として乗り込んで来たバンリキ魔王には激しい嫌悪感を露わにしていた。
 最期は女王から「ベーダーの剣」を授かり、宿敵デンジマンと正々堂々と戦い散った。
 その将軍の勇敢なる態度に、デンジマンは敬礼を送りこれに応えた。

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最終更新:2020年12月03日 08:15