本編1171~1175

『砂漠のボーイ・ミーツ・ドリフターズ』-4

作者・ユガミ博士、凱聖クールギン
1171

メリダ島・ミスリル西太平洋戦隊基地***


宗介「相良宗介軍曹、ただ今帰還しました」
マデューカス「うむ、ご苦労!」

ミスリル西太平洋戦隊のメリダ島基地へ帰還した宗介は、
テッサとマデューカスに調査内容を報告した。

テッサ「サガラさんがアルハザード邸の地下室で採取した粘液ですが…。
 分析の結果、これは地球上に存在するいかなる物質でもない事が判明しました」
宗介「地球には存在しない…?」
マデューカス「地球外、すなわち宇宙か、
 あるいは別の世界から持ち込まれた物質だという事だ。
 昨今は時空クレバスの発生が世界各地で見られている。
 アルハザードが、何らかの手段で我々の知らない異世界と接触している可能性は排除できない」
宗介「アルハザードの屋敷には黒魔術を行なう部屋がありました。
 また、彼が雇っている傭兵の中には魔力らしきものを使う異能者がいます。
 アルハザードが、科学では説明不能の方法によって、
 異世界と交信しているというのは考えられます」
マデューカス「敬虔なムスリムとして知られるアルハザードが、
 裏では黒魔術に手を染めているとは意外だったな」
テッサ「彼がイスラム教のタブーを密かに侵しているという事実は、
 こちらにとっては強力なカードになります。
 いざとなれば、それを暴いて明るみにすれば彼を失脚させられる…」
マデューカス「しかしそれには、
 より確固とした証拠が必要になりますな。
 いずれにしても、今はまだその時ではない…」

イスラム教国のサラジアにあって、政治家が異教の黒魔術に手を出しているというのは
発覚すれば公職から追放されかねない一大スキャンダルであり、
ミスリルとしてもその情報を掴んだのは収穫である。

テッサ「それと、カルテにあった仁科宗禎という人物についても調べてみました。
 旧日本軍の科学班所属で、階級は技術大尉。
 終戦間際の1945年7月、シンガポールの日本軍基地内でマラリアのため戦病死しています。
 アメリカへの留学経験はあるようですが、
 サラジアやアルハザードとの接点は特に見当たりませんね」
マデューカス「病に倒れて死を待つのみとなった時点で、
 彼の身体が改造手術の実験台に提供される事になったというのは考えられますな」
テッサ「気になるのは、
 彼はシンガポールであの村木國夫陸軍技術少佐の下にいた事です。
 一連の非人道的人体実験は全て、村木少佐の指示によって行なわれています」
マデューカス「村木は戦後、絞首刑を免れて密かに生き延び、
 ネロス帝国の帝王ゴッドネロスとなった男…。
 サラジアとネロス帝国は現在、武器の密輸などにおいて深い繋がりがある」
宗介「つまり、どういう事でしょうか…?」
マデューカス「まだ分からん。
 ネロス帝国とサラジアとの間に、単なる兵器密輸の取引だけでなく、
 より深い何かがあるのかも知れん。
 本件についてはミスリルでも追って調査する」

重大な手がかりと思しきものを掴んだミスリルだったが、
それが何を意味するかは判明しないまま、ひとまずミッション終了となった。

マデューカス「ところで、軍曹が保護した3人の異世界人だが…」
宗介「はっ。当然ながら、彼らは自分達の世界へ帰る事を望んでいます。
 助けになってやりたいのですが…」
テッサ「ブレイバーベースのディオドスシステムなら、
 アラジンさん達を元の世界へ帰してあげられるかも知れません。
 でも、あれは確か未完成じゃありませんでしたっけ…?」

一抹の不安を覚えつつ、ともかくアラジン達を
ブレイバーベースへ送り届ける事にした宗介であった。

1173

ブレイバーベース***


宗介によってアラジン、アリババ、モルジアナの3人は
ブレイバーベースへと連れてかれる。サラジアでも巨大な建築物に
驚いていた3人だったが、ブレイバーベース内部はそれ以上の
衝撃だった。

アリババ「あ・・・(汗」
モルジアナ「・・・」
アラジン「・・・すごいね」

異世界の概念を理解していて、ここに来るまでの間にこの世界について
教えてもらったアラジン達だが、まさに開いた口が塞がらないという状態である。
まるで一つの都市と言っても過言ではない人の数、基地の上空に留まる
空飛ぶ鉄の船、ジンを超える鋼鉄の巨人(MSを始めとする各種のロボット)や
見た事も無い技術で造られた道具や兵器で溢れ返っていた。

エルファ「宗介さんが連れて来た異世界の方々ですね。案内役を
   任されましたエルファです」
スワン「同じく、案内役をするスワン・ホワイトでーす。よろしくお願いしま~す」
宗介「相良宗介軍曹です。案内役ありがとうございます」
アリババ「あ、よろしくお願いします(///)」
アラジン「はは、きれいなおねいさ~ん!」
スワン「Oh~!」
アリババ「ば、馬鹿!やめろよ、アラジン(汗」

案内役としてエルファとGGGの研究開発オペレーターであるスワン・ホワイトが
アラジン達の前に現れる。エルファの可愛さにアリババは赤面し、お胸の大きい
きれいなおねえさんが好みのアラジンはスワンはまさにストライクだったので
彼女に抱きついてしまう。アリババは慌てて、アラジンを引き離した。
そして、宗介やエルファ達に案内されて3人はブレイバーベースの司令室まで案内される。

ブレイバーベース・司令室***


宗介「相良宗介軍曹であります。異世界人3名を連れて参りました!」
佐原「ご苦労、相良軍曹。そしてアリババ君、アラジン君、モルジアナ君
 だったね?ようこそ、ブレイバーベースへ。私はこの基地の総責任者を
 務める佐原正光だ」

ギルモア「わしはその補佐をしているギルモアじゃ。遠路はるばる
   疲れたじゃろう?」
アリババ「お気遣い、ありがとうございます」

司令室では佐原博士とギルモア博士が控えており、アリババが
代表して返事をする。

佐原「さて、君達を元の世界を帰したいのだが、君達を帰す為の装置
 ―ディオドスシステムというのだが・・・まだ未完成で帰すとなると
 困難なのだ」
アリババ「・・・それじゃ、俺達は帰れないのか!?」
佐原「済まない。我々も尽力で完成を急いでいるのだが...」
ギルモア「確かに、元の世界へ帰れないというのはつらい事じゃろう。
  しかし、わし等はかならず君達を元の世界へ帰すと約束しよう!」

佐原からディオドスシステムが未完成な事で、元の世界に帰還する事が
困難な事を聞かされ、アリババ達はショックを受ける。ギルモアは
かならず元の世界へ帰すと約束した。

ピピ

エルファ「―!佐原博士、ディオドスシステムが起動しています」
ギルモア「何じゃと!?」
佐原「何故、突然システムが動きだしたんだ!?」

通信を受けた佐原は内容を聞くと、開発部からディオドスシステムが
勝手に起動している事という報告を受ける。佐原とギルモアは
エルファやアリババ達を連れて、開発部へと向かった。

1174

ブレイバーベース・開発部***


開発部に一同はやって来ると、起動したディオドスシステムは
小規模な時空クレバスを起こしていた。

佐原「何故、このような事態に!?」
Drウルシェード「おお、来てくれたか!」
弥生「システムチェックをしている途中、急にシステムが起動して
   時空クレバスを発生させたんです」

システムのスタッフであるDrウルシェードと弥生から、システムが
発生した状況を伝える。そして、時空クレバスの先に何やら風景が
映し出される。

モルジアナ「・・・あれは!」
アラジン「マグノシュタットだ!マグノシュタットのある海岸だ!」
ギルモア「あの時空クレバスの先にある世界は、お前さん達の世界なのか?」

時空クレバスの先にある世界―それはアラジン達の住む世界で
レーム帝国と魔法都市マグノシュタットの決戦が行われた場所だった。

アリババ「・・・あれを通れば、俺達は帰れるのか」
アラジン「アリババくん、モルさん!」
モルジアナ「はい」
佐原「帰ろうとするのかね!だが、もし何かあれば...」
ギルモア「いや、この機会を逃してしまえば彼らが元の世界へと
  戻れるのが、何時になるのか分からん。ここは彼らの意志に任せよう」

3人は時空クレバスの前に立つ。佐原はこの状況で時空クレバスを
通る事に異議を唱えるが、ギルモアは3人の意志に任せるべきだと主張する。

アリババ「短い間でしたけど、ありがとうございました」
モルジアナ「お世話になりました」ペコ
アラジン「それと・・・宗介君?僕達を助けてありがとう・・・またね!」
宗介「・・・ああ!」

そして彼らは時空クレバスの中へと消えていき、クレバスが消えると
共にディオドスシステムも停止した。

ギルモア「彼らは行ってしまったか...」
佐原「エルファ、彼らの世界を特定する事は出来ないかね?」
エルファ「やってみます!―逆探知の結果、この時空クレバスは
 座標R28fc04x3の世界に繋がっていた事が分かりました」
ギルモア「それが、彼らのいた世界じゃな」

こうして砂漠の国に迷い込んだ異世界の3人は元の世界へと帰還した。
ただ、4番目のマギであるアラジンは再び、彼らと出会うのでは無いかと
そう感じるのであった。

1175

○相良宗介→テッサにサラジアでの出来事を報告し、アラジン達をブレイバーベースに連れて行く。
○テレサ・テスタロッサ、リチャード・マデューカス→宗介から報告を受ける。
○アラジン、アリババ・サルージャ、モルジアナ→ブレイバーベースに連れてかれ、何故かディオドス
  システムが起動したので、元の世界へ帰還する。
○エルファ→アラジン達を案内する。
○スワン・ホワイト→アラジン達を案内する。
○佐原正光→アラジン達を出迎える。
○アイザック・ギルモア→アラジン達を出迎える。
○Drウルシェード、弥生ウルシェード→ディオドスシステムの調整をしていたが、
  システムが勝手に起動する。

【今回の新登場】
○スワン・ホワイト(勇者王ガオガイガー/FINAL)
 GGG研究開発部の女性オペレーターで、スタリオン・ホワイトの妹。
 語学堪能だが、日本語は英語を交えた喋り方をしている。 

 極度のプロレスマニアで、プロレスの必殺技も持っている。

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最終更新:2020年11月22日 14:23