異世界編19~24

『月心、敵のアジトに乗り込む』

作者・ユガミ博士
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アースティア・ヒノデ国***


パフリシア王国でワタルやアデュー、ゴーオンジャー達の活躍で邪竜族やガイアークの
害統領バッチードを倒していたその頃。モンジャ村の防衛の為に残った月心だが、クラマの
情報で、ドアクダー七人衆の1人であるクルージング・トムとその手下達がいるアジトを突き
止めたというので、そのアジトへと向かっていた。

月心「ワタル殿達は、今頃パフリシアへと辿り着いた頃だろうか...」
クラマ「月心、この森を抜けた所にクルージング・トム達のアジトだぜ」
月心「承知した!」

ワタル達の事を考えながら、月心はクラマの案内でクルージング・トム達が
根城にしていると思われるアジトの近くまで来た。そっと近くの様子を見ると
ドアクダー軍のブリキントンやゴーキントンが量産型魔神の整備をしており、
中には雇われた盗賊達のソリッドも混じっていた。

クルージング・トム「ワタル達は国外へと向かってしまったが、奴らのモンジャ村は
 我が軍団で攻撃し、蹂躙してくれるわ」

その奥では、クルージング・トムが高い台の上に立ちゴーキントン達の様子を眺めていた。
その下では部下であるシュワル・ビネガー、サンダー・ブルー、ジョン・タンクーガーが
控えている。

シュワル・ビネガー「次こそは、失敗を取り返す!」
サンダー・ブルー「ふふん、美しく村を消してみましょう!」
ジョン・タンクーガー「そして、村の住人全員を太らせて、笑い者にしてやる!」
クルージング・トム「ふふふ、お前達にも働いてもらうぞ」

部下3人もやる気満々で、クルージング・トムは他に控えている2名にも
声を掛ける。掛けられたのは、2本足で立つ大きな白い狼のアクマ、
フェンリルと忍者の様な格好をしたアクマ、アバドンだった。彼らは
マカイを支配しようとしていたルシファーの部下で、パフリシア王国に
現れたザベル同様、魔界同盟のエージェトとしてドアクダー軍へ派遣
されてきたのである。

フェンリル「私達にまっかせなさ~い!」
アバドン「拙者等が加われば、鬼に金棒でござる!」
クルージング・トム「がははは、期待しているぞ」
フェンリル「(・・・ねえ、私達来た意味あるの?)」
アバドン「(これも、上からの命令。従うしかないでござる)」

表向きはやる気をアピールするフェンリルとアバドンだが、内面では
命令ゆえに手を貸すので、あまり乗り気ではなかった。その事を
ヒソヒソと小声で相談する。

月心「これほどの軍勢、モンジャ村があぶない!」
クラマ「じゃあ、どうする?」
月心「・・・先手必勝。敵の大将を倒す。その為にこのような策はどうかな?」

月心はモンジャ村を守る為、クルージング・トム達を倒すべくクラマに自分の
考えた策を教えるのであった。

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ゴーキントンやブリキントンが魔神の整備や見張りをしていると。

ドーン、ドーン

ブリキントン「!?」
???「大変だー、敵が攻めて来たぞ!」
盗賊A「敵だと!?」
盗賊B「どこだ、どこだ!?」

突如、大きな爆音がすると誰が言ったのか、敵が攻めてきたという
情報は知れ渡り、ブリキントンやゴーキントン、盗賊達は大慌てをする。

クルージング・トム「落ち着かんか、お前ら!?」
サンダー・ブルー「すぐに、臨戦態勢を執れ!」
???「敵は向こうから、攻めてきたぞ!」
シュワル・ビネガー「よし、すぐに向かうぞ!」
ジョン・タンクーガー「ぐずぐずするなー!迎え撃て!」バババババ

騒ぎを知ったドアクダーの手下達も、ブリキントン達を落ち着かせると
敵がいるという方向に、向かわせる。ぐずぐずしないように、
ジョン・タンクーガーは機関銃を上に向けて放つ。急かされたブリキントン
達や盗賊達は量産型魔神やソリッドに乗り込み、敵がいるという方向へ向かった。

クラマ「(今だ!)覚悟しやがれ!」
クルージング・トム「何!?」

実は月心が考えた策で、月心が騒ぎを起こして大多数の敵を引き付けている
隙に、空を飛べるクラマが高い位置にいるクルージング・トムの下まで飛び、
仕留めるという策であった。因みに月心が引き付けた場所は細い道らしく
誘い込んだ敵を倒すのに最適らしい。クラマが飛び出してきたので、高い台の
上に立っていたクルージング・トムは足を滑らせてしまい、地面に落ちてしまう。

クルージング・トム「うわぁぁぁ、地面怖い、低い所怖い(ガクガク)」
クラマ「へへへ、チャンスだ!」

低所恐怖症のクルージング・トムは地面に立って、体をガクガク震えて
しまい、クラマはそのまま刀を向ける。

アバドン「マハラギ!」
クラマ「うぉっと!」
フェンリル「私達がいる事を忘れてるんじゃないわよ!マハマグナ!」

だが、アバドンが手から火炎呪文「マハラギ」で、クラマを妨害し、さらに
フェンリルは地面を叩いて隆起させる「マハマグナ」を使う。

ジョン・タンクーガー「死ね~~~ファイアー!!」ズバババババ
アバドン&フェンリル「「うあぁぁぁぁぁ」」

クラマを仕留めようと、ジョン・タンクーガーは機関銃をぶっ放すが
アバドンやフェンリルにまで銃弾の雨が襲う。

フェンリル「ちょっとー、危ないじゃないのよー!」
アバドン「死ぬかと思ったでござる(ホ」

当然、フェンリルとアバドンはジョン・タンクーガーに文句を言った。

クルージング・トム「こ、こうなったら魔神に乗り込むぞ!」

クルージング・トム達は自分達の魔神に乗り込む。クルージング・トムの
乗り込んだ魔神セカンドガンは飛行形態に変形し、空中へと移動する。

クルージング・トム「ふん、裏切り者のクラマを始末せよ!」
手下一同「「「おおう!」」」

空中に移動したことで、さっきまでの弱弱しさから一変して再び強気な
態度となる。そしてクラマを倒そうと、シュワル・ビネガーのバトルゴリラ2号
の装備であるハイパーマグナムやサンダー・ブルーの乗るヘルコプターから
シュリケーン機関砲、ジョン・タンクーガーの乗るゲッペルンからは魔神銃や
バズーカ砲、機関銃が襲い掛かる。

月心「そうは行かん!チェストォォォォ!!」

だが、先程まで敵を引き付けていた月心がリューサムライ・疾風丸を
召喚し、敵の攻撃を全て刀で斬り落としてクラマを助けた。

クラマ「恩に着るぜ、月心!」
月心「何の。そちらもご無事で何よりでござる」
クルージング・トム「くっそ~、あのリューを攻撃だ!」

クルージング・トムは狙いを月心の乗る疾風丸に変更し、部下達に
攻撃命令を出す。

クラマ「月心!」
アバドン「おっと!」
フェンリル「あなたの相手は私達よ~ん!」
クラマ「くっ」

クラマの方もアバドンとフェンリルが立ちはだかり、彼らの魔法攻撃を
クラマは刀で何とか応戦していく。

アバドン「ふっふっふ、ブフーラ!」
クラマ「はっ、しまった!足が」
フェンリル「これで、あなたもお終いね。アースブレイクゥゥ!」

アバドンの冷気の魔法であるブフーラでクラマの足は凍りつき、
フェンリルがトドメに地震を引き起こす魔法「アースブレイク」を
発動しようとし、クラマに危機が訪れる。

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だが、クラマの危機を救う者が現れる。

キィン

フェンリル「ぎゃん!一体誰よ、邪魔したの!?」
???「・・・2人がかりで1人を相手とは卑怯なり。故に拙者が
     助太刀致すでござる」
アバドン「な、何者!?」
マタタビ丸「拙者の名は、木の世界の忍マタタビ丸。さぁ、来い悪党共!」

ピンチに陥ったクラマをアバドンとフェンリルから助けたのは、植物の芽の
ような触覚と忍者の様な衣装を身に着けた三毛猫―こことは別の世界から
迷い込んだ猫の忍者マタタビ丸だった。

マタタビ丸「そこの鳥の人、大丈夫でござるか?」
クラマ「ああ、あんたのおかげで助かったぜ!」

マタタビ丸に助けられたクラマは足の氷を砕きながら、マタタビ丸に
助けられたお礼を言うと、刀を構え直す。

アバドン「ふん、どのような者が現れたとしても、拙者達の敵では無いでござる」
フェンリル「そうよ、そんなちんちくりんに負けはしないわ!」
マタタビ丸「・・・ならば、この姿ではどうでござるかな?」

アバドンとフェンリルはマタタビ丸の見た目からして、自分達の敵では無いと
高をくくるが、マタタビ丸は懐からなにやら葉っぱを取り出して、それを口にする。
するとマタタビ丸の姿は三毛猫の姿から逞しい体と赤い鬣をしたライオンの忍者
へと変わる。これこそ、マタタビ丸のいた異世界―バトーシール界の住人ならば
誰もが持つ性質で「別の姿」となる「転身」である。

オタケビ丸「オタケビ丸、参上!」
クラマ「マジかよ...」
フェンリル「ね、猫ちゃんがライオンになったわよ~!」
アバドン「聞いてないでござる~!」

マタタビ丸はウラオモテマタタビを食べる事で、普段のマタタビ丸の姿から
正義のライオン忍者オタケビ丸へ転身する。その変わりようにクラマは
おろか、フェンリルとアバドンも仰天である。

オタケビ丸「てやぁ!」
アバドン「ぐはぁ!」
クラマ「おりゃ!」
フェンリル「いやん!」

そしてオタケビ丸の忍術やクラマの攻撃にアバドンとフェンリルは
すっかり形成が逆転してしまう。

フェンリル「これって、負けムード前回じゃん!」
アバドン「こ、こうなったら...」
クラマ「まだ、やる気か!」
フェンリル&アバドン「「キエル」」
クラマ「消えるのかよ!」

ここからの逆転は無理と判断したフェンリルとアバドンはその場から
空間を歪めて撤退。元のマカイへと戻っていた。

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一方、魔神を相手に単機で戦う月心だが、さすがにこのままでは戦況が不利。
何とか、上空にいるクルージング・トムを仕留めたいが残りの3機が邪魔をする。

月心「クラマの方は、無事のようだが、このままでは身がもたん。何としても
    勝機を見いだせなければ・・・ん、この気配は上か!」

何とか勝機を得ようとする月心は、上空から何かがやって来る事を気配で
感じた。すると、遥か上空から巨大な物が落ちてきた。

クルージング・トム「ん?・・・何だアレは!?」

ドーン

上空から落ちてきたのはとてつもなく巨大で、オレンジのカラーリングを
しており、まるでワニの様な顔をしたキャリーカーだった。

???「う~む、拙者は一体どうなったのでござるか?」
月心「喋った!この者は一体・・・いや、そういえば感じからしてスピードル殿に
  似ているような?」
???「おおー、そこの武人スピードルを知っておるのでござるか?拙者は
 スピードルと同じ炎神キャリーゲーターという炎神でござる」

そう落ちてきたのは、ガイアークを追って次元の波に飲まれていた炎神キャリー
ゲーターだった。次元トンネルを抜け出して、今このアースティアに落ちてきた
のであった。

月心「勿論、スピードル殿や走輔殿も存じている。だが、今はゆっくりと
 話をしている場合ではござらん」
キャリーゲーター「む、もしや戦闘中でござったか?」

スピードルは勿論、相棒である走輔の事も知っている月心だが、今は
クルージング・トム達と戦闘中なので、話をしている暇は無く、キャリー
ゲーターも今が戦闘中である事を感じ取り、クルージング・トム達に視線
を送る。

クルージング・トム「何なのだ、こいつは!?は、今の落下でセカンドガンも
 地上に墜落してしまった!低い所怖~い!」
シュワル・ビネガー「ああ、クルージング・トム様!」
サンダー・ブルー「よくも、ヘルコプターを墜落させたな!これでも喰らえ!」
ジョン・タンクーガー「こっちもだ!ファイア~~~!!」

サンダー・ブルーはヘルコプターのローターを投げ飛ばし、ジョン・タンクーガー
もゲッペルンから攻撃を仕掛けるが、巨大なキャリーゲーターにはたいして
ダメージを与えていなかった。

月心「今が、勝機!秘技・疾風突き!」
サンダー・ブルー「美しくな~~~い!」
ジョン・タンクーガー「ファイア~~~!」
月心「秘流・正眼崩し!」
シュワル・ビネガー「またまたまた、負けた~!」
クルージング・トム「うわぁぁぁ、ぐやじぃぃぃぃ!!」

月心の乗る疾風丸は隙を突いて、ヘルコプターとゲッペルンを槍で
貫き、バトルゴリラ2号とセカンドガンを必殺の剣で倒し、乗っていた
クルージング・トム達は遠くまで吹き飛ぶのであった。何はともあれ、
月心達は勝利し、戦闘を終えた。

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戦闘を終えて、月心とクラマはキャリーゲーターと元の姿に戻った
マタタビ丸から事情を聞く事にした。マタタビ丸の住むバトシール界は
火、水、土、木、金、風、光、闇の8つの国に分かれている世界で、
これまで手にした者に強大な力を与えるピースストーンを巡って争いが
起きていたが、デビルバーチャンと破滅の魔王が現れ、世界の危機に
訪れた際、自分の仲間である伝説のバトシーラーと呼ばれる戦士達の
活躍で倒され、平和に戻ったという。自分は故郷である木の国の里で
修行していたが何時の間にか、このアースティアへと迷い込んだらしい。

月心「これも、世界で起きている異変の一端でござろうか?」
クラマ「で、そっちはスピードル達お仲間と逸れて、ここに出ちまったんだな?」
キャリーゲーター「左様。まさか走輔やスピードル達も、この世界に来ていたとは」

事情を聞いた月心は、今世界各地で起きている異変(黄泉還りや時空クレバス)の
一つだと感じる。キャリーゲーターからの事情も聞き、キャリーゲーターも他の仲間
達がこの世界に来ている事に驚いていた。

キャリーゲーター「なれば、申し訳ござらんが拙者を走輔達の下へと
 連れて行ってはくださらぬか?」
クラマ「確かに。お仲間と一緒の方がいいよなあ」
月心「よかろう。敵の拠点をつぶした事でござるし、そろそろパフリシアへ
 向かおうと思っていた所だ。共に行こう!」
マタタビ丸「拙者も、この世界では行く当てもござらん。月心殿達にご同行
 させていただくでござる」

キャリーゲーターに走輔達の下へと連れて行ってほしいという願いを了承した
月心達はマタタビ丸も旅の一行に加え、パフリシア王国を目指す事を決める。
キャリーゲーターはキャストと炎神ソウルに分かれた後、一同はパフリシアへと
目指すのであった。

24

○月心→クルージング・トムのアジトへ乗り込み、疾風丸でアジトを壊滅させる。
      戦闘後、パフリシア王国へ向かう。
○渡部クラマ→月心をクルージング・トムのアジトへ案内する。アバドンと
   フェンリルと戦闘し、ピンチになるがマタタビ丸に助けられる。
○マタタビ丸→ピンチとなっているクラマを助ける。オタケビ丸へ転身して
   アバドンとフェンリルと戦闘する。
○炎神キャリーゲーター→次元トンネルから落ちてきて、戦闘に介入する。
  月心達に走輔達の下へと連れて行ってもらう。
●クルージング・トム→セカンドガンでクラマや月心を攻撃するが
  隙を突かれて機体が爆発し、遠方へ吹き飛ぶ。
●シュワル・ビネガー→セカンドガンでクラマや月心を攻撃するが
  隙を突かれて機体が爆発し、遠方へ吹き飛ぶ。
●サンダー・ブルー→セカンドガンでクラマや月心を攻撃するが
  隙を突かれて機体が爆発し、遠方へ吹き飛ぶ。
●ジョン・タンクーガー→セカンドガンでクラマや月心を攻撃するが
  隙を突かれて機体が爆発し、遠方へ吹き飛ぶ。
●アバドン→魔界同盟のエージェントとして、ドアクダー軍に派遣される。
   クラマと戦闘になるが、マタタビ丸(オタケビ丸)に敗れ、撤退する。
●フェンリル→魔界同盟のエージェントとして、ドアクダー軍に派遣される。
   クラマと戦闘になるが、マタタビ丸(オタケビ丸)に敗れ、撤退する。 【今回の新規登場】○マタタビ丸=オタケビ丸(仰天人間バトシーラー)
木の国の猫忍者。のんびりとした風貌をしているが、ウラオモテマタタビを
口にする事で、義に厚く、勇猛果敢な「オタケビ丸」に転身する。たとえ
敵であったり動物だったりしても女性は傷つけないという信条がある。
当初はシーホース号に同行していたが、やがて木の国に残り、鬼影から
解放されたネコマタ丸にその座を譲った。木のピースストーンの力で
「スーパーオタケビ丸」にスーパー転身する事ができる。

●クルージング・トム(魔神英雄伝ワタル)
ドアクダー七人衆の一人で、第1界層のボス。ハルバードを武器にしている。
空中にいないと正気を失ってしまう。乗機はセカンドガン。本来の姿は家老。

●サンダー・ブルー(魔神英雄伝ワタル)
クルージング・トムの部下で、アップダウンシティの支配者。自分を二枚目と
思い込んでいるが、短足である事を気にしている。乗機はヘルコプター。

●ジョン・タンクーガー(魔神英雄伝ワタル)
クルージング・トムの部下で、ガラガラ村の支配者。蠅一匹殺すのに5000発も
銃弾を撃ちまくる危険人物で、かなり痩せていて細い体をしている。実は子供の
頃はかなり太っていて、村中で笑い者にされていたので、復讐として毎日、住人
にご馳走を無理やり食べさせて太らせては、笑うという行為を繰り返していた。
乗機はゲッペルン。本来の姿は会社の重役。

●フェンリル(真・女神転生デビチル)
オネエ言葉を使う大魔王ルシファーの部下。土属性。
狼の姿をしており、アバドンとコンビで活動している。得意な魔法は
地面を叩いて地割れや地震を起こす「マハマグナ」「アースブレイク」や
相手の攻撃魔法を弱める「タルンダ」

●アバドン(真・女神転生デビチル)
「~でござる」という喋り方が特徴の大魔王ルシファーの部下。水属性。
忍者の姿をしており、フェンリルとコンビで活動する。得意な魔法は
手から放つ火炎の「マハラギ」や冷気の「ブフーラ」 。

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最終更新:2020年12月24日 07:46