異世界編75~83

『絶剣 蛇の道を往く』-3

作者・ティアラロイド
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異世界エターナリア ヘブンズティア王国・エメルの家***


桃矢「あ~腹減ったなぁ! 早く焼き立てのパイを食わしてくれよ」
グレイファス「コラ桃矢、はしたないぞ!」
エメル「あら、いらっしゃいグレイファス。それに桃矢たちも」

グレイファスと午前の剣術の稽古を終えた神城桃矢、
それにガリエルとテディアムも、エメルから昼食に招待されて
やって来たのだった。

煌「あっ、桃矢くん! それにみんなも」
桃矢「…煌? それにビークウッドまで!?
 なんで二人ともここにいるんだよ?」
ガリエル「なんでって…そりゃ大将、煌とビークウッドも
 俺たちと同じく昼飯に呼ばれてたんだろ」
桃矢「あ、なるほど」
煌「えへへ…」

桃矢たちも煌たちと同じくテーブル席に着く。

ガリエル「香ばしくていい匂いだぜ~!」
エメル「もう少しで焼きあがるから待っててね」
ビークウッド「実は今、煌からとても興味深い話を
 聞いていたのです」
桃矢「へぇ~興味深い話って?」
ビークウッド「死後の世界についてです」
桃矢「えっ…」

ビークウッドからそれを聞いた途端、桃矢の表情が曇るのが分かった。
それを見たビークウッドも、「しまった! 余計なことを口にした」と
後悔するが、もうすでに遅し。せっかくの楽しい昼食の場に
重たい空気が広がってしまう。こうして金剛煌が現世に黄泉がえりで復活したとはいえ、
一度は煌が命を落とした事実に変わりなく、今でも桃矢はその責任の一端を感じているのだ。

桃矢「………」
グレイファス「ビークウッド!」
ビークウッド「いや、これは…面目ない」
煌「ごめんビークウッド、この話はまた今度にしよう」

ここで重たい空気を吹き飛ばすために、機転を利かせたのはテディアムだった。

テディアム「おや~っ桃矢、なぁにしけたツラしてるんだよ。
 もしかしてお前、幽霊とかの話が苦手だとか?」
桃矢「…Σ(゚д゚;) なにーっ!! そ、そんなんじゃねえよ!!」
テディアム「どうだかッ!( ̄ー ̄)ニヤリッ」
桃矢「上等だッこの野郎! おい煌、構わないから話を続けろ!」
煌「で、でも…」
桃矢「いいから続けろ! こうなったら最後まで聞いてやらあ!」
煌「う、うん。わかった」

相棒テディアムのナイスフォローに感謝しつつ、
煌は話を再開する。


◇   ◇   ◇

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霊界・蛇の道***


ユウキ「…つ、疲れたぁ~」
戦士煌「無理にスピードを飛ばして余計な体力を使うからだよ。
 ここはゲームの世界とは違うんだから」

無理な長距離飛行が祟って、スタミナがきれてしまったユウキは、
僕と一緒に蛇の道の途上で一休みすることにした。
そんな時、道の後ろの方から青鬼さんが運転する
道路清掃車がやってきたんだ。

青鬼「…オニ?」
ユウキ「青鬼さん何してるの?」
青鬼「何してるんだ?はないオニ。私は閻魔大王さまに頼まれて
 この道を掃除してるんだオニ」
ユウキ「ふ~ん…」
戦士煌「僕たちは界王さまのところに行くんです」
青鬼「オニッ!? 界王さまのところにか!?
 最近はお前たちみたいな命知らずの死人が増えたオニ」
ユウキ「命知らずも何も、もうボクたち死んでるんだけどね」
戦士煌「まだ大分あるんですか?」
青鬼「あったりめえだよ。私は話に聞いたけど、
 まだやっと半分の半分くらいのとこだオニ」
ユウキ「えーっ!? まだ半分の半分!!」
戦士煌「随分と遠いんですね…」

僕もユウキも、それを聞いて目の前が真っ暗になる気分だったけど、
親切な青鬼さんが清掃車後部の荷台に乗せてくれると申し出てくれたんだ。

青鬼「途中までなら乗せてってやるオニ」
戦士煌「本当ですか!? 助かります!」
ユウキ「ヤッホー♪」

蛇の道を進む清掃車の荷台で休んでいる間、
運転手の青鬼さんはいろいろな事を教えてくれたんだよ。
なんでも今から二十年くらい前に蛇の道を踏破した
例の孫悟空という人を、僕たちみたいに清掃車に乗せて
あげた事もあるんだって。

戦士煌「それじゃあ、その孫悟空さんという人も
 今の僕たちみたいに乗せてあげた事があるんですか?」
青鬼「今となっては何もかも懐かしい思い出だオニ」
ユウキ「その孫悟空ってどんな人だったの?」
青鬼「純朴で、良くも悪くもあまり深いことは考えないし、
 立ち居振舞いも明るく朗らかで、誰にでも好かれる
 タイプに見えたオニな。いいやつだったオニ」
ユウキ「へぇ~」
青鬼「これは後から風の噂で聞いた話オニが、
 孫悟空は後に人造人間セルっていうとんでもない悪党を
 倒して地球を救ったとも聞いたオニ」
ユウキ「あれっ、でもセルを倒したのって確か世界チャンピオンの
 ミスターサタンって人じゃなかったっけ…?」
戦士煌「僕も小学生の頃、当時のニュースでそう聞いたよ」
青鬼「これも後で聞いた話オニが、孫悟空とそのミスターサタンは親戚で、
 孫悟空はミスターサタンに手柄を譲ってやったんだって話だオニ」

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◇   ◇   ◇

桃矢「俺もあのミスターサタンってオッサンは、
 なんか胡散臭いとは思ってたんだよ」
煌「ハハハ…(汗」

腕組をして感心そうに頷く桃矢と苦笑する煌。

青鬼の話には曖昧な記憶も含んでいるため、
正確な事実に比べて多少内容の時期が前後しているものの、
地球から遠く離れた、当時の関係者が全く預かり知らぬところで、
ここでも意外な形で「セルゲームの真相」が暴露されて
真実を知る人間が増えることとなった。

◇   ◇   ◇


その後も僕たちは清掃車の荷台に乗せ続けてもらっていたんだけど、
長旅の疲れから、つい僕もユウキも荷台の上で居眠りをしてしまった。
そして何かのはずみで荷台から転げ落ちて、車を運転している青鬼さんも
気づかないまま、蛇の道をそれて雲の下に落ちてしまったんだ。

地獄***


ユウキ「イタタタッ…あれ、煌ちゃんここどこ?」
戦士煌「そんなこと言われても僕にもわかんないよ。
 もう界王さまのところまで来ちゃったのかな?」

周囲を見渡す僕とユウキ。そんな時に向こうから、
ひどい怪我をした赤鬼が必死に走ってやって来たんだ。
どうも何かから逃げているらしかった。

赤鬼A「た、たすけてくれだオニ~!!」
戦士煌「どうしたんですか!?」
ユウキ「ひどい怪我…」
赤鬼A「お前たち何をしてるオニ!!
 早く逃げるオニ!!」
戦士煌「ここはどこなんですか!?」
赤鬼A「何言ってるオニ!? ここは地獄の一丁目、三番地だオニ!!」
ユウキ「じ、地獄だってぇ~!?」
赤鬼A「ヒィー*1)ガタガタ…やばいオニ。
 お前たちも早くどこかに避難するオニ!!」

赤鬼は僕たちを置いてさっさとどこかに逃げてしまった。

ユウキ「どうしよう煌ちゃん!」
戦士煌「きっと蛇の道の下に落ちてしまったんだ。
 なんとか戻る道を探さないと…」

地獄から脱出する方法を見つけ出そうと考えあぐねていた矢先、
さっきの赤鬼が逃げて来た方向から、大勢の悲鳴が聞こえて、
向こうの先には地面から次々と氷山のような物が
突き出している様子がわかった。

ユウキ「なんだろう…?」
戦士煌「行ってみようユウキちゃん!」

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現場に着いた僕たちが見たのは、
大勢の鬼たちが傷つき倒れている様だった。

エスデス「タツミはどこだああああ!!!!!!!」

そしてその中心で何かを叫びながら、冷酷に笑って
鬼たちを足で踏みつけジワジワといたぶっている、
どこかの国の軍服を着たような美しい長い髪の女がいた。

エスデス「言え、タツミはどこにいる?」
赤鬼B「その男はここには来ていないオニ…。
 きっとその男は天国に行ったんだオニ…」
エスデス「なら天国への行き方を教えろ」
赤鬼B「そ、それはできないオニ…」
エスデス「言わなければ殺すぞ」
赤鬼B「くっ……」

見かねた僕とユウキは、咄嗟の判断で助けに入る事にした。

戦士煌「やめろおおおッッ!!!」

僕はバトルアックスを勢いよく振りかざして激しい風圧を放ち、
その軍服姿の女の人――エスデスを攻撃する。
その隙にユウキが倒れている鬼たちを助け出した。

エスデス「なんだお前たちは? 子供か…。
 どうやら天界からの鎮圧部隊ではなさそうだな」
戦士煌「なんでこんなひどいことを!?」
エスデス「ひどいこと…? フッ…コイツら鬼共は
 所詮弱者だからこうなった。それだけのことだ」
戦士煌「なんてやつだ…!」

エスデスは、閻魔大王の裁定によって地獄に落とされた囚人だったんだけど、
地獄から脱獄しようとたった一人で暴動を起こしていたんだ。

ユウキ「気をつけて煌ちゃん!
 この女(ひと)からは危ない感じがする!」
戦士煌「わかってる!」

迷っている暇はなかった。それだけ相手の女が禍々しい殺気を
放っているのを、僕もユウキも直感で理解していたんだ。
僕とユウキは同時にダッシュして、エスデスの両脇に回り込もうとした。

エスデス「――ヴァイスシュナーベル!!」

エスデスは大量の鋭い氷片を展開させ、それを飛ばして攻撃してきた。
それをかわしながらエスデスに少しでも近づこうとした僕とユウキだったけど…。

エスデス「――かかったな! ハーゲルシュプルング!!」
戦士煌「――!?」
ユウキ「――!?」

僕とユウキは、突然頭上に現れた、人間の数十倍はある
巨大な氷塊に押しつぶされてしまったんだ。

エスデス「ぬるいな! この程度で私を止めようなどと。
 私は常に屈服させる側だ!」

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エスデス「死にゆく弱者の当然の末路だ。
 …あ、ここの住人はもう全員死んでいるんだったな。
 まあどうでもいいことだが」

戦士煌「………」
ユウキ「………」

巨大な氷塊に完全に閉じ込められ、固まったまま
身動きの取れない僕とユウキを見て、エスデスはあざ笑う。

エスデス「一刻も早くタツミに会いたいが、
 まずは私と同じように地獄に落とされている
 他のイェーガーズの部下たちを助け出さねば…。
 待っていろ、タツミ。必ず天国まで乗り込んでやるぞ。
 その時は存分に私のこの気持ちを――(///)」

???「残念だが、てめえが昔の男に会える事はねえ!」

エスデス「――!!」

僕たちが氷の中に閉じ込められている間に
地獄を蹂躙するエスデスの行く手を阻んだのは、
黒い鳥人の強化スーツに身を包んだ戦士と、鮮血のような赤毛の長髪に
口が裂けたような恐ろしい顔をした鎧武者だった。
スーパー戦隊・鳥人戦隊ジェットマンのブラックコンドル、
そしてかつて滅ぼされた一門の恨みを背負い、
魔族を率いて地上を征した源氏を討った平家の亡者・平景清だ。

エスデス「天界からの鎮圧部隊がようやくお出ましか。
 待ちくたびれたぞ…」
ブラックコンドル「地獄で反乱を起こしたエスデス将軍って
 いうのは姐ちゃんか?」
エスデス「だったらどうした?」

エスデスと対峙するブラックコンドルと平景清。

ブラックコンドル「…ったく。おかげでおちおちBARで
 ゆっくり酒も飲んでいられねえ」
景清「………」
エスデス「邪魔をするなら、お前たちもそこの二人と
 同じ目に遭うことになるぞ」
ブラックコンドル「そこの二人…??」

ブラックコンドルと景清は、氷漬けになっている僕らに気がつく。

戦士煌「………」
ユウキ「………」

ブラックコンドル「おい景清、アイツら何モンだ?」
景清「我は知らぬ……」
エスデス「おしゃべりは終わったか? 私を制圧したいのなら、
 強さで示して見せろ!!」

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景清は勢いと共に先制攻撃の真空斬を放つ。
だがエスデスはそれを自らの剣で防ぎきった。

エスデス「この程度か」
景清「我が太刀を受けきるとは見事。…だがッ!」

次の瞬間、間髪入れずにブラックコンドルが
空中から舞い降りてブリンガーソードで袈裟掛けにして
エスデスを切り裂こうとした。

ブラックコンドル「――コンドルフェニッシュ!!」

でもエスデスもそう簡単にはやられない。
エスデス自身の持つ何か不思議な能力(これも後で聞いた話によると、
元々彼女がいた世界にあった「帝具」という強大な力を秘めた
武器の力らしいんだけど…)を使って、巨大な氷のツララを伸ばして
ブラックコンドルに反撃したんだ。

エスデス「――グラオホルンル!!」
ブラックコンドル「――チッ!!」

なんとかエスデスの攻撃をかわし
着地するブラックコンドル。

ブラックコンドル「女のくせになかなかやるな、姐ちゃん」
エスデス「笑止な。強者弱者に男女の区別などなかろう」
景清「違いない……」

双方とも身構えたまま膠着状態に陥ったけど、
その状況を一変させたのは、ブラックコンドルと景清の側に
現れた、この上なく心強い援軍だった。

ピッコロ「凱、景清、たかが女一人に
 いつまで手こずっている!!」
ブラックコンドル「ピッコロの旦那!?」

ピッコロと呼ばれたその人は、頭に白いターバンを撒いて、
道着の上に白布のマントを羽織っていて、全身の肌は緑色の
とても屈強な感じの人だったよ。とにかくその時その場にいた
誰よりも気迫と威圧感がとても凄まじかった。

ピッコロ「どうせまたいつものように天国のBARで
 女神とイチャついていたんだろ!」
ブラックコンドル「そうは言うけどよ、ピッコロの旦那」
景清「この女、できるぞ……」

ピッコロはエスデスを睨みつける。
そんなエスデスもピッコロを妖しく睨み返す。

エスデス「次に私を楽しませてくれるのはお前か?」
ピッコロ「そういうことだ。こっちもいろいろ多忙なんでな。
 悪いがゆっくり遊んでやる時間はない。とっととケリをつけよう!」
エスデス「よかろう! ならば我が最大奥義を特別に
 お見舞いしてやる。――摩訶鉢特摩ァッ!!!」

エスデスの放った「摩訶鉢特摩」は、一瞬で
周囲一円を氷結地獄にしてしまう恐るべき大技だ。

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◇   ◇   ◇

桃矢「なあ、そいつってさあ、もしかして
 ピッコロ大魔王なんじゃないのか?」

煌の話を聞いていた桃矢は、ふと思いついた疑問を口にする。

煌「え~っ、まさか違うよ! 確かに名前はたまたま同じだったけど、
 そんなの偶然だよ。ピッコロさんはとってもいい人だったし、
 第一、そのピッコロさんは若かったけど、僕たちの地球に現れた
 ピッコロ大魔王は中年だったじゃないか」
桃矢「でも地獄にいたんだろ?」

ピッコロ大魔王とは、今から数十年前に国王のいるキングキャッスルを陥落させ、
テレビカメラの前で地球連邦の王位簒奪を宣言し、警察機構の廃止、
犯罪者を刑務所から無条件で解放、そして毎年一回のくじ引きで
地球連邦の加盟国を一つずつ破壊することを決定するなど、
悪逆の限りを尽くそうとした恐るべき魔族の暴君である。
ちなみにその頃は、まだ桃矢も煌も生まれてはいなかったが、
学校での近現代史の授業などではよく習う事項だ。

きっとこの場に二人共通の幼馴染である舞原このはがいたら、
桃矢に「アンタ、歴史の授業なんて真面目に受けてなかったくせに、
よくそんなことだけ覚えてるわね」と容赦なく突っ込んだことだろう。

桃矢「頭に触角はあったか?」
煌「さあ、頭にずっとターバンを被ったままだったから…」

◇   ◇   ◇


エスデス「死後の世界で私に奥の手を使わせたのは、
 お前が初めてだ。できたらもっと楽しんでいたかったが、
 タツミが待っているんでな。悪く思うな…」

時の流れまでもが凍てついてしまったのか、見渡す限りの空間全ての物が
動かないまま凍りついたように完全に静止している…。
エスデスは眼前の停止したように動かないピッコロを
自分の剣で刺し貫こうとした。だけど…。

エスデス「残像…!?」

眼前の動かないピッコロの姿は残像だったんだ。

エスデス「どこだ!?」
ピッコロ「奥の手とはこれで終わりか?」
エスデス「なっ…!?」

敵が自分の背後に回り込んでいるとエスデスが気がついた時はもう遅かった。
ピッコロの指先は完全にエスデスの急所を抑えていたんだ!

ピッコロ「――魔貫光殺砲ォッ!!」

螺旋状の気をまとった光線は、エスデスの身体を貫通した。

エスデス「キャアアッッ――!!!!!!」

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ピッコロ「ハァアアッ――!!」

砕け散る氷塊…。ピッコロさんたちのおかげで、
僕とユウキは氷の中から助け出された。

煌「ハクション!!」
ユウキ「ひぃぃっ…冷たかった! まだ身体が凍えてるよ。
 …*2)))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
凱「ほら、これでも使いな!」
ユウキ「うん、ありがとうオジサン♪」

ブラックコンドル=結城凱さんが僕たちを気遣って
毛布を貸してくれた。だけどユウキに「オジサン」と呼ばれた凱さんがとっても複雑そうな表情をしていたのを覚えているよ。

ピッコロ「お前たちはいったい何者だ?
 地獄にいる囚人ではないようだが」
煌「実は僕たち、蛇の道を歩いて界王さまのところに
 向かっていたんです」
凱「それでうっかりか何かの間違いで
 雲の下から地獄に落ちちまったってわけか。
 やれやれ、最近そういう奴等が増えて困ってんだよ」
ユウキ「ごめんなさい…」

僕とユウキが二人して申し訳なさそうにシュンとしていると、
厳重な封印を施されて身体の自由を拘束されたエスデスが
護送車に乗せられて連行されるところだった。

エスデス「言っておくが、この程度では決して諦めんからな!
 必ず地獄から抜け出してタツミに会いに行ってやる!」
ユウキ「お姉さん、本当にそのタツミって人が好きなんだね」
エスデス「……!!」

ユウキにそう指摘されると、エスデスは顔を下に俯き
急に押し黙ったまま赤くなってしまった。
とてもさっきまで冷酷な殺気を放っていた人と
同一人物だとは思えないようだったよ。桃矢くんとこのはちゃんが離れ離れになって辛い時期があったのを知っていたから、
なんだか僕はこの女(ひと)が気の毒になってきた。

煌「あのー、余計な差し出口かもしれませんが、
 せめて一目だけでもそのタツミさんっていう人に
 会わせてあげる事はできないんですか?」
ピッコロ「無理だな。コイツは生前に人を殺し過ぎた」
エスデス「弱者からの哀れみなど不要だ!」
ユウキ「あーっ、また"弱者"って言った!
 お姉さん、そんなことばっかり言ってると
 みんなから嫌われるよ」
エスデス「フン、余計な御世話だ!」
ピッコロ「連行しろ」
赤鬼C「了解しましたオニ」

こうしてエスデスは、地獄の中でももっと深い場所にある
監獄へと連行されていった。
一方の僕たちは、ピッコロさんたちに案内されて、
地獄からの出口に連れて行ってもらったんだ。

ピッコロ「ここを通って行けば、蛇の道に戻れるはずだ」
煌「どうもありがとうございました」
凱「ここはお前たちのようなガキの来るところじゃねえ。
 もう二度と迷って来るなよ!」
ユウキ「うん、今度は気をつけるよ!」
煌「それじゃあ!」

ピッコロさんたちと別れ、地獄からの出口の階段を
昇りきって僕たちが出た場所とは…!?


閻魔庁・閻魔大王の執務室***


閻魔大王「何者じゃその方たちは?」

煌「――!!」
ユウキ「――!!」

もうびっくりしたよ。なんと出口の先は、
閻魔様の机の引き出しだったんだから。
もうその頃には閻魔大王は出張先から
帰って来ていたみたい。

煌「し、失礼しましたぁー!!」
ユウキ「ごめんなさぁい~!!」

閻魔大王「…???」

なんとかその場は誤魔化して抜け出したけど、
僕とユウキはまたスタート地点からやり直す羽目に…。


蛇の道・入口***


ユウキ「やれやれ、また振り出しだねえ~」
戦士煌「ここで落ち込んでいてもしょうがないよ。
 気を取り直して出発しよう、ユウキちゃん!」
ユウキ「うん、煌ちゃん!」

こうして僕とユウキの旅は再スタートを切ったんだよ。

83

○神城桃矢→エメルの家に昼食に招待され、先にいたビークウッドたちと一緒に煌の話を聞く事に。
○グレイファス→エメルの家に昼食に招待され、先にいたビークウッドたちと一緒に煌の話を聞く事に。
○ガリエル→エメルの家に昼食に招待され、先にいたビークウッドたちと一緒に煌の話を聞く事に。
○テディアム→エメルの家に昼食に招待され、先にいたビークウッドたちと一緒に煌の話を聞く事に。
○エメル→神城桃矢やグレイファスたちも自分の家に昼食に呼ぶ。
○金剛煌→誤って地獄に落ち、エスデスと交戦。ピッコロたちに助けられる。(回想)
○ユウキ→誤って地獄に落ち、エスデスと交戦。ピッコロたちに助けられる。(回想)
○ピッコロ→地獄で暴れていたエスデスを鎮圧。金剛煌とユウキを助ける。(回想)
○結城凱/ブラックコンドル→地獄で暴れていたエスデスと交戦。金剛煌とユウキを助ける。(回想)
○平景清→地獄で暴れていたエスデスと交戦。(回想)
○閻魔大王→出張先から帰る。(回想)
●エスデス→地獄からの脱獄を謀り単身で暴動を起こすが、ピッコロたちに鎮圧される。(回想)

【今回の新規登場】
○ピッコロ大魔王/マジュニア(ドラゴンボールシリーズ)
 初代ピッコロ大魔王の息子が成長した姿。普段は白いターバンとマントを着用。
 最初は邪悪な存在であったが、後にサイヤ人の地球侵略に際し孫悟空と共闘、
 さらなる脅威に備えるために悟空の息子である幼い悟飯を鍛え上げる。
 悟飯との師弟の絆は深く、彼との出会いはピッコロが善の心に目覚めるきっかけにもなった。
 ナメック星におけるフリーザとの決戦後、人造人間との戦いに備え、完全体となるべく神と融合する。
 その後、かつて地球の神がピッコロ大魔王と分離する前に作った究極のドラゴンボールを消滅させるため、悟飯に最後の別れを告げ爆発する地球と運命を共にし死亡した。死者の魂となった現在の彼は、
 地獄で暴れる反乱分子を鎮圧するなどの治安活動を行っており、地獄を管轄する鬼たちからも慕われている。
 同名の父親と区別するため「マジュニア」と呼ばれる場合もある。

○結城凱=ブラックコンドル(鳥人戦隊ジェットマン)
 偶然バードニックウェーブを浴びた遊び人で、鳥人戦隊の一員。
 喧嘩を応用したような闘い方や共通武器のブリンガーソードによる剣戟を得意とする。
 従来のヒーロー像「真面目で模範的」とは対極に位置し、「定職を持たず、飲む・打つ・買う」
 といった反道徳的な三拍子を持ったキャラクター。当初は鹿鳴館香を巡る三角関係で
 天童竜と衝突する事が多かったが、戦いの日々を重ねていくにつれて竜との強い信頼関係が芽生える。
 バイラム壊滅後、竜と香の結婚式に出席するため向かう途中、偶然出くわしたひったくりに
 腹部を刺されあっけない最期を遂げたが、その後、死者の霊となって地上に降り立ち、
 ゴーカイレッド=キャプテン・マーベラスを叱咤激励し、海賊戦隊ゴーカイジャーに
 ジェットマンの大いなる力を授けた。現在は天国のジャズバーでサックスを演奏しており、
 女神のお気に入りとなっているようだ。

○平景清(源平討魔伝)
 魔族を率いて平氏一門を滅ぼした源頼朝を討つべく、地獄から甦った平家最強の男。
 再び地獄から舞い戻った源氏一門を滅ぼすべく、天帝の命により景清もまた、
 三途の川の渡し守・安駄婆の手によって蘇った。モデルは実在の人物である
 「悪七兵衛」の異名を持った、鎌倉時代初期の武士「藤原上総七郎兵衛尉景清」。

●エスデス(アカメが斬る!)
 帝国最強と謳われる女将軍。若くして将軍になり、征伐に一年は掛かると言われた北方異民族の都市を瞬く間に滅ぼすほどの実力を持つ。さらに40万人の異民族を生き埋めにしたり、拷問が手緩いということで拷問官達を逆に調教したりなど、性格は極めて冷酷非道でかなりのドS。しかし、一方で部下を労わったり殉職した部下の仇討ちを誓うなど部下思いな一面がある。そのため、彼女に慕う者も少なくない。
 武芸大会に出場していたタツミが強敵を一蹴する腕前と歓声を受けた時に見せた無垢な笑顔を見て、
 一瞬にして一目惚れし恋心を抱くようになる。最期はアカメとの一騎打ちに敗れ、タツミの亡骸を
 抱きながら氷に包まれ粉々に砕け散った。

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最終更新:2020年12月24日 07:55

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