『立ち上がれ!宇宙の友よ』エピローグ-2
作者・シャドームーン
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惑星ホープ***
ゴズマードを発進させ、逃亡を試みるスーパーギルーク。
かのドラキュラ伯爵を思わせる赤い裏地の黒いマントを羽織り、
頭髪はなく、白く生気のない顔に黒く縁取られた鋭く、冷淡な瞳。
「魔界の男爵」とでも形容するに相応しい最高司令官の表情は、
未だ余裕を感じさせる不敵な面構えを崩していなかった。
スーパーギルーク「ゴズマードよ、奴らを焼き払えッ!!」
ゴズマードの砲身が地上にいるフラッシュマンたちに照準を合わせ、
強力な光線を嵐のように浴びせかける。
スーパーギルーク「ハァッハハハ、虫ケラどもが。…む?」
ギルークが地上に気をとられている隙に、ゴズマードのコンソールパネルが
ゴズマ戦闘機の着艦を示すサインを出していた。
コックピットに飛び込んで来たその侵入者は―――
レッドフラッシュ「スーパーギルーク、覚悟!!」
スーパーギルーク「ぬおおおおおお!?」
グサアッ!
レッドフラッシュのプリズム聖剣が、スーパーギルークの心臓付近を見事に貫いた。
スーパーギルーク「お…のれ…チェンジドラゴンと同じ手で来おったな…」
レッドフラッシュ「宇宙の恨み、思い知れゴズマ!」
スーパーギルーク「ぐうう…バカめ、この俺がこの程度で倒せると思うかッ!」
バリバリバリ…
レッドフラッシュ「ぐわああああっ!」
呻き声を発しながらも、悪鬼の形相でレッドフラッシュを睨みつけるその眼から、
怪光線を発射して反撃に出るスーパーギルーク。至近距離で光線を浴びた
レッドフラッシュがたまらず苦しみながら剣を抜き倒れた。
グリーンフラッシュ「おい、墜落するぜ!」
イエローフラッシュ「ジン!!」
コントロールを失い高度を下げて行くゴズマード。ふらつく足どりでよろめきながらも、
スーパーギルークはなんとか操縦桿を握り地上激突スレスレで機を着陸させた。
煙を上げるゴズマード。どうやら修理が必要のようだ。
ハッチが開き、胸を押さえながらスーパーギルークが外へ出て来た。
身構えるフラッシュマン、シーマ、そしてレイナたち。
スーパーギルーク「うぬら、皆殺しにしてくれるわッ! スペース・バスター!!」
ゴオオオオオオオオ―!
怒るスーパーギルークが右手に持つステッキを頭上に掲げる。
するとそこから発生した光る渦の向こう側から、炎に包まれた隕石弾が
次々に降り注いだ。爆炎がおさまった後には、抉られたいくつもの小規模な
クレーターと散々に打ちのめされたフラッシュマンたち。
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グリーンフラッシュ「……う……」
ブルーフラッシュ「お、おい…皆、生きてるか…?」
イエローフラッシュ「ええ、…なんとか…ね…」
シーマ「ギルーク…!」
スーパーギルーク「フハハハ、流石に皆しぶとい。ではとどめにもう一発――」
レッドフラッシュ「やめろスーパーギルーク!!」
スーパーギルーク「うぐ、貴様まだ!!」
背後からレッドフラッシュにプリズムシューターで狙撃され、スーパーギルークは
火花を上げてステッキを落としてしまう。しかしレッドフラッシュの追撃は避け、
凄まじい力で彼を掴み上げると、ゴズマードから叩き落とした。
放り出されたレッドフラッシュにすかさず駆け寄る仲間たち。
スーパーギルーク「こうなれば…何としても貴様らレジスタンスの首だけでも
星王バズー様に献上申し上げる!! ぬあああああーーっ」
思い詰められた最高司令官が最後の力で、辛うじて人に近い姿を捨てた。
驚く彼ら一堂の前に、より禍々しい宇宙獣士に変身したギルークが剣と化した
二本の腕を振りかざし、黒と白の左右非対称に彩られた両足で降り立った。
ギラス「宇宙獣士、ギラァース!」
レッドフラッシュ「スーパーギルークが宇宙獣士に!?」
レイナ「なんて邪悪な姿なの…」
ギラス「ウオオオオ――ッ!!」
ロッドドリル「よっしゃあ来やがれっ!」
荒ぶる鬼神の如く唸りを上げてギラス二刀流で襲いかかる、最強の宇宙獣士・ギラス。
その圧倒的なパワーの前には、フラッシュマンたちのどんな攻撃も通用しない。
クロノス星の機械生命体であるドリルたちですら、自慢のボディを切り裂かれていた。
挑みかかっては斬られ、離れれば容赦のない強力光線が彼らを薙ぎ払っていく……
力の差を見せつけられ倒れていく彼らの中でも、王女シーマは果敢に立ち向かっていた。
だがやがて力尽き、崩れるように倒れた彼女にギラスがとどめを刺そうとする。
シーマ「うう……」
レッドフラッシュ「く…シーマ王女!」
ギラス「裏切り者よ…まずはうぬの首からもらうぞ」
仰向けに倒れているシーマを踏み付け、彼女を斬首しようと右手を振り上げるギラス。
文字通り“手刀”となっているその腕は死刑執行人そのものである。
突然、二つの光る球体がギラスに体当たりしてシーマから離れさせた。
ギャバン「チューウ!」
スピルバン「トゥー!」
バランスを崩した宇宙獣士にギャバンとスピルバンが同時に攻撃をかけた。
しかしギラスは難なく二人の斬撃を交差させた剣手で受け止めると、
レッドフラッシュを苦しめた眼から発射する怪光線を彼らに浴びせかけ、
さらに交差した刃から強烈な電撃を放った。
ギャバンとスピルバンのスーツに電撃が命中し、爆発を起す。
ギャバン「ぐわっ!!」
スピルバン「うわあー!!」
ロム「…おのれ!」
ジェット「だめだロム! ここは俺が…!」
彼らを追って駆けつけたロムが身構えるが、バイカンフーとして戦闘を終えたばかりで
体力が限界を超えている今の状態では結果は明らかであった。
レイナ「やめて兄さんっ! 無茶よ!」
ギラス「そう言えばうぬらにも散々邪魔をされたな…」
ギャバン「…まだ行けるか?」
スピルバン「はい…負けるものか!」
宇宙獣士ギラスのあまりの強さに、戦慄を覚える戦士たち。
両手を振り上げさらに苛烈な攻撃を彼らに加えようとしたその時、空から一羽の
黄色いセキセイインコが現れた。その鳥はまるでギラスの攻撃を妨害するように
奴の周囲を何度も飛び交う。
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ギャバン「(ミミー! やめろ、そいつから離れるんだ!!)」
ミミー「(嫌よ! 私は貴方の女房…貴方を守るのが私の役目。死ぬなら私も…!!)」
ギラス「ぬう、うがぁっ! 何だ、この鳥は。ええい、うっとおしい!」
鳥を追い払う動作で腕を振り回すギラス。その様子を注視していたレッドフラッシュが、
この屈強な宇宙獣士に唯一点だけ、完璧ではない箇所を見つけていた。
そう、スーパーギルークの姿に彼が負わせたプリズム聖剣の刺し傷である。
ギラスはかつてチェンジマンに敗れた時と同じ徹をすでに踏んでいたのだ!
レッドフラッシュ「あの傷を狙うんだ!」
レッドフラッシュの号令でフラッシュマン全員が5人の剣を合わせ合体、
一本の巨大な投げ槍となる。そして、まだ鳥に気をとられている
ギラスの胸の傷に狙いを定め、レッドフラッシュが『スーパースピア』を投げつけた。
ドズゥッ!
ギラス「ギャアアアアアッ!!」
ギャバン「チュウー!」
スピルバン「タァァー!」
ズバァ―ン
見事に命中したスーパースピア。絶叫する宇宙獣士にその間を逃さず接近した
ギャバンとスピルバンの連続斬りが決まり、ギラスの二刀流が切断されて宙を舞った。
斬られた両腕、槍が突き刺さった胸から膨大な火花を噴出させ、
悪鬼の断末魔のように恐ろしい咆哮を上げるギラス。
フラッシュマンたちがレッドフラッシュの武器レッドバルを中心に集まり、
それぞれの銃を重ねて5つの銃身を備える大型ガトリング砲を完成させた――
レッドフラッシュ「イエローフラッシュ、サーチ!」
イエローフラッシュ「… … オーケー!」
レッドフラッシュ「ローリングバルカン!!!」
ギュインギュインギュイン…ドゴォ―――オンッ!!
ギラス「グオオオオオ…我がギラス星に…永久に栄えあれ!!」
ドガァーァァン!!
高速回転する銃身から、鮮やかな5色のエネルギーが撃ち出され、
ついに最強を誇った宇宙獣士ギラスは粉々に粉砕された…。
レイナ「…凄い、やったわ!」
シーマ「……。ギルーク……」
ブルーフラッシュ「ふう~……きっつう~。ん? どうしたんだよダイ、
きょろきょろしちゃってさ」
グリーンフラッシュ「いや…まさか、な」
ピンクフラッシュ「まさか何よ?」
グリーンフラッシュ「ここでクラーゲンが現れて、ギラスが巨大化復活!
…とか絶対しねぇだろうな」
レッドフラッシュ「心配ない。メスの連中は今この星にはいない」
グリーンフラッシュ「ならいいいんだけどよ。俺たちにはもうフラッシュキングも、
フラッシュタイタンも無いんだぜ。この先…どうなるんだろうな」
ブルーフラッシュ「………」
イエローフラッシュ「もう、今はそんな事考えてもどうにもならないでしょ。
私たちは、今すべき事を…力の限り、やるしかないのよ…」
沈む仲間を励ますつもりで喋ったサラだが、当の本人が一番地球に残してきた
ものを常に気にかけていた。大破したフラッシュキングとグレートタイタン、
地球で過ごした家・ラウンドベース。そして家族………。
反フラッシュ現象という、忌わしき運命を克服するその日まで、
彼ら5人の宇宙の孤児たちの旅は続く。
ギャバン「…何か来るぞ! 気をつけろ!」
グリーンフラッシュ「なっ、クラーゲンか!?」
シーマ「いいえ。あ、ああ…! あれは……!!!」
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◇ ◇
一方その頃。 ホープ星に向かったギリアムとウルトラ兄弟は、突如出現した
謎の黒い霧に進路を阻まれ星への降下を遮られていた。
その黒い霧は、やがて形を成し始め――巨大な剣らしきものを握っている、
黒い甲冑を纏った巨人の姿へと変わって行く!
ギリアム@XNガイスト「あ…あれはまさか、サタンゴース!!」
ウルトラマン「サタンゴースだって!?」
ウルトラセブン「これが…大魔神サタンゴース…」
ジャック「――危ない! 散るんだっっ!!」
サタンゴース?「……………」
サタンゴースの影法師と表現すべきか、その黒い霧が形造った巨人は、
無言のまま巨大な剣を振り回し、彼らを追い散らすような動作を見せた。
幻影とも影ともつかぬそれは、両目だけが赤い眼光を放っていた……。
ウルトラセブン「デュアーッ!」
セブンの放ったアイスラッガーが勢い良く飛び巨人の額に命中するが、
彼の予想通り手応えはなく、スラッガーがブーメラン軌道を描いて戻る。
ウルトラセブン「やはりこれは、実体ではないようだな」
◇ ◇
シーマ「星王バズー!!」
スピルバン「あれが…」
ギャバン「こりゃまた随分いきなりのお越しだな」
見上げる彼らの頭上に、突如出現した巨大な人型のホログラフィ――
人型といっても両手両足はなく、半機械人のような男の頭と胴体だけが
不気味に発光するオブジェの付いた球体の上に乗っているのである。
星王バズー「ゴズマに盾突く愚か者、及び裏切り者どもよ……
おぼえておくがいい!!! カァーーーーッ!!」
レッドフラッシュ「うわーっ!」
シーマ「きゃあーっ!?」
ロム「いかん、皆つかまれ!!」
威厳に満ちたその声が、聞く者を圧倒する。バズーは突然口を開け、
大きく息を吸い込み始めた。吸い込まれていく瓦礫や残骸に混じり、
ゴズマードと砕け散ったギラスの破片も、ブラックホールのような暗闇に
包まれた星王の口内に吸い込まれて行った……。
束の間の悪夢のような来訪が去ると、ホープ星に陽の光が戻っていく。
互いに支えあう戦士たちの元に、スターコンドルやグランナスカに避難
していた生き残ったホープ星の人々が集まっていく。
同じ頃、黒い霧の巨人が消えたことでギリアムたちが地上へ降りて来た。
合流した彼らは双方の戦いを語り、互いの労を労うのだった。
Gショッカー無幻城・???の間***
深い深い闇の奈落を、かつてギラス星一の武人と呼ばれた男が落ちて行く。
二度目の〝死〟により砕け散った肉体は、すでに何者かの手によって
完璧に復元されていた……。男は意識がない様子で、宇宙空間を
漂っているかのようにゆっくりと、静かに…奈落の底へと堕ちて行く………
???「…メヨ …メルノダ…ギルークヨ…」
ギルーク「誰だ…俺を呼ぶのは? 俺は再び戦に敗れた……
また…闇の中へ還るだけだ…できることなら今度はもう…静かに…」
『〝ナラヌ!!〟』
ギルーク「――! その声は…!」
星王バズーの声「ギルークよ! 余の許しなく、勝手に眠ることは許さんぞ」
ギルーク「せ…星王バズー様!!」
サタンゴースの声「お前にはまだまだ働いてもらわねばならん」
創世王の声「そして次はお前が目指すがよい。我が王座を!」
ギルーク「おお…至高邪神様、では私めに次期創世王を目指せと…?」
ショッカー大首領の声「その通りだギルークよ。お前の力と忠誠心はこのまま
闇に葬るには惜しい。新たなる体で…Gショッカーの頂点を制してみよ!」
カア―…
突然奈落の底から暗闇を照らし出す光。その光の中から、いくつもの触手が
伸びて来てギルークの肉体に改造手術を行っていた――
宙刷りになっている彼が見た者、それは巨大な岩のような顔であった。
クライシス皇帝の声「汝に新しい肉体と力を授けよう…お前はより強大に
生まれ変わり、全能力を持ってGショッカーの宇宙制覇のために働くのだ!」
星王バズーの声「フフフ…そして、見事それを成し遂げた暁には、
改めて名乗るがよい。新たなギラス星の王を!!」
ギルーク「お…お…では私に我が母星ギラス星を再興して下さると……!!
星王バズー様…いや至高邪神よ…このギルーク、全身全霊を持って……
貴方の望みを必ずや叶えてみせましょうぞ…フフフフ…フッフフフ、フハハハハ…ハ」
エネルギーを送り込むかのように、彼の全身が閃光に包まれて行った時、
一瞬だけ……宇宙獣士ギラス以上に禍々しいシルエットが浮かび上がった……。
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○一条寺烈/ギャバン→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○ミミー→ギャバンたちを救うため、インコの姿でギラスの気を反らそうとする。
○ジン/レッドフラッシュ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークをローリングバルカンで撃破。
○ダイ/グリーンフラッシュ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークをローリングバルカンで撃破。
○ブン/ブルーフラッシュ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークをローリングバルカンで撃破。
○サラ/イエローフラッシュ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークをローリングバルカンで撃破。
○ルー/ピンクフラッシュ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークをローリングバルカンで撃破。
○シーマ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○城洋介/スピルバン→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○ロム→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑むが、体力限界。
○レイナ→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○ロッドドリル→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○トリプルジム→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○ブルージェット→宇宙獣士ギラスに変身したギルークに挑む。
○ギリアム→黒い霧が成したサタンゴースに進路を阻まれる。ホープ星に降り立ち仲間と合流。
○ウルトラマン→黒い霧が成したサタンゴースに進路を阻まれる。ホープ星に降り立ち仲間と合流。
○ウルトラセブン→黒い霧が成したサタンゴースに進路を阻まれる。ホープ星に降り立ち仲間と合流。
○ウルトラマンジャック→黒い霧が成したサタンゴースに進路を阻まれる。ホープ星に降り立ち仲間と合流。
○ウルトラマンエース→黒い霧が成したサタンゴースに進路を阻まれる。ホープ星に降り立ち仲間と合流。
●スーパーギルーク/宇宙獣士ギラス→宇宙獣士に変身して全員を圧倒するも、ローリングバルカンで
故郷を想いながら倒されてしまう。至高邪神の手で再生手術を施され、パワーアップ。
大星団ゴズマの次期創世王候補に昇格した。
●星王バズー→ホログラフィ姿でホープ星に出現、敗れたギルークの破片及びゴズマードを回収して消える。
●サタンゴース→幻影のような姿でホープ星に出現、ギリアムとウルトラ兄弟をけん制して消える。
●他の至高邪神→ギルークに再生改造を施し、ゴズマの次期創世王候補の資格を与える。
最終更新:2021年01月07日 05:59