430 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 20:32:57.62 ID:o9miv4GoO
この世には、飼い主の危険となるペットが存在する。
大型犬。
躾の仕方を間違えれば、飼い主に噛みつき大ケガを負わせる凶暴性をもつこともあるという。
飼い犬に噛まれ死亡した飼い主もいるほどだ。
ニシキヘビ。
その牙には毒こそないが、鋭さは洒落にならない。
視力が悪く、餌と間違えて手を噛まれたら、出血は免れないだろう。
巻き付く力も強く、首を絞められたら死ぬ可能性すらある。
ワニガメ。
強い顎の力をもっており、指を食いちぎられた飼い主もいるという。
タランチュラ。
牙の毒は人の皮膚に炎症を起こす。
では、そんな危険なペットを販売しているペットショップは…
ペットから、飼い主を傷つける可能性を奪わないのだろうか?
大型犬やタランチュラやワニガメ、ニシキヘビから、牙を引っこ抜いてしまえば、飼い主を傷つける危険性は大きく減るだろう。
だが、それらのペットは危険性を取り除かれないまま売られている。
一体何故だろうか?
431 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 20:39:53.24 ID:o9miv4GoO
ペットの販売者が、危険性を奪わない大きな理由は3つ。
1つ目は、牙を引っこ抜くには費用がかかるからだ。
通常のペットの価格に、牙を引っこ抜いて生えないようにするための施術費が上乗せされることになる。
高額になれば、それだけ消費者の手が伸びにくくなり、売れ行きにも影響するのだろう。
2つ目は、危険性があること、それ自体がペットの魅力となることもあるからだ。
毒蜘蛛「だからこそ」飼う。
指を食いちぎる強さがある「からこそ」飼う。
そういった購入者も存在する。
だが、これら2つより、もっと大きな理由がある。
432 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 20:45:10.64 ID:o9miv4GoO
最も根本的な理由。
それは、ペットに噛まれようとも、それは飼い主の自己責任である、ということ。
噛まれるのが怖いなら、そもそも大型犬やニシキヘビなど飼わなければいい。
それでも飼いたいならば、噛まれたときのことは自己責任。
ペット販売者には責任追及をしない。
ペットの飼い主になりたくば、そのリスクを負う覚悟が必要ということだ。
433 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 20:48:37.31 ID:o9miv4GoO
そして、それはペットアライちゃんも同じ。
個人でアライちゃんを飼育するならば、脛から下を切除する『ヨチライフ手術』を行うことが法律で義務付けられている。
法人で産業用に飼育するなら、それに加えて、牙と爪を抜き、避妊手術をし、ICチップを埋め込む『アライドール手術』という選択肢もある。
しかしながら…
ヨチライフ手術を施されていようとも、凶暴化したペットアライさんは、飼い主を噛んだり引っ掻いたり首を絞めたりして攻撃することができる。
アライドール手術を施されていようとも、従業員や客を棒や刃物で殴り、刺すことができる。
そう。
ペットアライちゃんからは、『飼い主を傷付ける危険性』そのものは取り払われていない。
誤解されがちだが、ヨチライフ手術やアライドール手術は、『飼い主を危険から守る』ために義務付けられているわけではないのである。
434 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 20:52:15.15 ID:o9miv4GoO
では、これらの手術は何のためにあるのか…?
ここに、ひとつの実験の映像資料がある。
こちらをご覧いただこう。
436 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 21:19:56.68 ID:o9miv4GoO
…
山へ続く道路。
そこへ、一台のトラックが停まっていた。
研究員「よし、下ろすぞ」ガシャン
トラックから、5個の檻が下ろされた。
檻の中には、脛から下が切除されたアライさん達が入っている。
アライさん達の膝には、ローラースケート用の膝当てパッドが装着されている。
検体アライさん1「うぅ~!やっとお外なのだぁ!」
検体アライさん2「自由になれるのだ~!」シッポブンブン
検体アライさん3「早くこの檻から出すのだ~!」ガシャガシャ
検体アライさん4「うぅ~、でも寂しいのだ…。最後にナデナデして欲しいのだ…」コスリコスリ
検体アライさん5「交尾しまくりたいのだ~!」
研究員「よし、行け」ガシャン
研究員は、檻を開けた。
検体アライさん達「「自由なのだ~~!」」シャカシャカシャカシャカシャカシャカ
検体アライさん達は、一斉に森へ向かって四足歩行で移動した。
膝のパッドがアスファルトに当たる音が、せわしなく響く。
437 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 21:45:11.38 ID:o9miv4GoO
検体アライさん達は、森へ入り、あたりを探検した。
検体アライさん1「ぜぇはぁ…」ゼェハァ
検体アライさん2「疲れたのだ…」ゼェハァ
検体アライさん達は疲れていた。
なんというか、アライさんの身体能力には不可解な点が多い。
例えば、野良アライさんの走力。
奇妙な例えをするが、十分に成長した野良アライさんの足は、『成体アライグマよりも速い』。
木登りのスピードもまた、『成体アライグマよりも速い』。
しかし、成体アライさんの骨格と筋量・体重では、アライグマよりも速く走ったり木を登ることは物理的に不可能なはずだ。
にも関わらず、その『物理的に不可能な所業』を、さも当たり前のようにやってのける。
一体なぜそんなパワーが出るのか…科学的にはまだ解明されていない。
検体アライさん3「ぜぇはぁ…水飲みたいのだ…」ゼェハァ
しかし、ここにいる四足歩行のアライさん達は、明らかにアライグマよりも遅い。
というか、普通に歩く人間より遅い。
どうやら、足首無しの四足歩行で歩くのは得意ではないようだ。
例の不思議なパワーは、発揮されていないらしい。
438 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 21:50:27.55 ID:o9miv4GoO
検体アライさん4「食べ物はどこにあるのだー?」ガサガサ
検体アライさん5「見つからないのだー!」ガサガサ
検体アライさん1~5「「「わっせ!わっせ!」」」シャカシャカシャカシャカ
バッタ「」ピョンピョン
検体アライさん1「虫なのだ!たあ~!」シャカシャカシャカシャカ
検体アライさん2「とったのだあ!むしゃむしゃ!」モグモグ
検体アライさん3「ずるいのだ~!アライさんも食べたかったのだぁ!」
検体アライさん2「…」ゴクン
検体アライさん2「…ぜんぜん足りないのだ~!」
成体アライさんの体には、虫をついばんだ程度では栄養が足りないようだ。
439 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 21:56:43.85 ID:o9miv4GoO
検体アライさん達は、森の斜面を、下へ、下へと下っていった。
楽な方へ進んでいるのである。
検体アライさん1「うぅ!坂道の上の方に、木の実があるのだ!」
検体アライさん2「上るのだ~!」シャカシャカ
一同は、草が生い茂る急斜面を上ろうとしたが…
検体アライさん3「うぅ~!膝が滑って上れないのだ~!」ズルズル
検体アライさん4「ずり落ちるのだあ~!」ズルズル
…検体アライさん達は、急斜面を上れないようだ。
そう。
幼い頃のヨチライフ手術により、膝立ちしかできなくなっているアライさん達は、急斜面を上ることが不可能なのである。
440 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 21:59:14.88 ID:o9miv4GoO
一同は、餌を見つけると、自分が食いたいと主張し争いあった。
やがて…
検体アライさん1「アライさんが見つけた虫や木の実をお前らにとられるのはもうこりごりなのだ!」
検体アライさん2「それはこっちのセリフなのだ!」
検体アライさん達は、ばらばらに別れて暮らすようになった。
441 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 22:02:40.79 ID:o9miv4GoO
しかし…
最初の夜が来る頃には、皆もう音を上げていた。
検体アライさん1「うぅ…お腹減ったのだ…」グーギュルルー
検体アライさん1「こんなはずじゃなかったのだ…。森の中には、もっとたくさん美味しい食べ物があって、自由に遊んでた暮らしていけると思ってたのだ…」
検体アライさん1「でも、食べ物がぜんぜん手に入らないのだ…。水もまずいし、お肉も虫やナメクジぐらいしか捕まえられないのだ…」
検体アライさん1「ぜんぜん遊ぶ余裕ないのだ…。ご飯探し回るので精一杯なのだぁ…!」
検体アライさん1「こんな…こんなはずじゃなかったのだあああああ!!!」シクシク
442 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 22:05:27.46 ID:o9miv4GoO
検体アライさん1「でも、星空を眺めながら眠るのは、気持ちがいいのだ…」ゴロン
検体アライさん1は、草や葉っぱをかき集めたベッドに寝転んだ。
検体アライさん1「あ!痛いのだぁ!虫に噛まれたのだ~!」
検体アライさん1「うぅ…ふかふかのベッドに比べて寝心地が悪すぎるのだ…」
そう思うのも無理はない。
野生のアライさんは本来、木の上で眠るのである。
検体アライさん1「うぅ…でも木なんて登れないのだ…」
検体アライさん1「このまま眠るのだ…」スヤスヤ
443 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 22:07:48.79 ID:o9miv4GoO
検体アライさん1「…退屈なのだ!星空を眺めるのは飽きたのだ~!」ムクリ
だが、星空の天井にはもう飽きたようだ。
検体アライさん1「絵本読みたいのだ!テレビ見たいのだ!テトリスやりたいのだああ!」ジタバタ
検体アライさん1「うぅ~自由になったのに!なんにも自由じゃないのだああ!」
検体アライさん1「うぅ…」ウトウト
検体アライさん1「…すぴー…すぴー…」スヤスヤ
だが疲れが溜まっていたせいか、やがてぐっすりと眠った。
444 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 22:11:05.30 ID:o9miv4GoO
…2日後…
検体アライさん1「たべ…もの……」ゲッソリ
検体アライさん1は痩せていた。
そこら中を探し回っても、十分な食べ物が見つからないのである。
アライグマ♂「キュルルルル」ガサガサ
検体アライさん1「!!あ、アライグマなのだ!可愛いのだあ!こっちきて交尾するのだ!」シッポブンブン
雄のアライグマが現れた。
野良アライさんがこの日本に出現して以来、野生化したアライグマのうち、なぜか雄だけがどんどん増えているという。
アライグマ♂「キュルルルル」パコパコ
検体アライさん1「ああ~気持ちいいのだああ!」
445 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:01:24.36 ID:o9miv4GoO
…3日目…
検体アライさん1「…もう…森の中でなんて…暮らせないのだぁ…」ヘトヘト
検体アライさん1は、森の中の生活のあまりの過酷さに心が折れたのか…
最初にトラックで来た車道へ戻ってきた。
すると…
検体アライさん2轢死体「」グチャ
検体アライさん1「ひぃ!?し、死んでるのだぁ…!」ビクゥ
先に森から脱出していたと思わしき、検体アライさん2が、車にひかれて死んでいた。
検体アライさん1「も…も…」
検体アライさん1「もうギブアップするのだああああああ!!」
検体アライさん1「おうち帰るのだあああああああ!迎えに来てなのだあああああ!!」シクシク
泣けど喚けど、トラックは来なかった。
検体アライさん1「う、うぅ…」ノソリノソリ
検体アライさん1は、アライさん2の死骸に近寄り…
検体アライさん1「はぐっ、がぶっ、もぐもぐ…」ムシャムシャ
その屍肉を漁った。
447 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:11:27.28 ID:o9miv4GoO
肉を食って栄養補給した検体アライさん1だったが…
…5日目…
検体アライさん1「ご…はん…」フラフラ
…ガリガリに痩せ細り、もう見るも無惨な姿となっていた
検体アライさん1「たべ…も…の…」フラフラ
検体アライさん1「うぎゅうぅう」ドサァ
道路の真ん中で、ついに検体アライさん1はうつ伏せに寝転んだ。
自動車「うわっあぶねえなあ」ブーン
自動車が一台、検体アライさん1を避けて通っていった。
自動車「愛車が血で汚れるとこだったぜ」ブーン
検体アライさん1「だれ…が…」
検体アライさん1「みず…ごは……ん……」
検体アライさん1は、脱水症状で動けなくなり…
検体アライさん1「」
…そのまま二度とその場から自力で移動することなく、衰弱死した。
449 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:17:36.14 ID:o9miv4GoO
中には、人の畑に辿り着く検体もいた。
検体アライさん3「美味しいのだ!美味しいのだあああ!」ムシャムシャ
検体アライさん3は、野良ではない。
故に『成体になったら人の畑に手を出すな』という、インターンシップのルールを知らない。
だから、堂々と畑に侵入し、野菜を貪る。
尚、この畑持ち主には実験協力の合意を得ており、謝礼金には食われた作物の損失額の倍額を加算して払うことを説明済みである。
検体アライさん3「ん?こっちから、もっといい匂いがするのだあ!」ノソリノソリ
畑のそばの大きな籠の中に、揚げパンが入っているのを見つけた。
452 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:37:02.21 ID:o9miv4GoO
検体アライさん3「食べるのだ~!」シャカシャカシャカシャカ
検体アライさん3は、何の疑問も持たず籠に飛び込んだ。
検体アライさん3「はぐがぶぅ!」ガブゥ
そして、揚げパンにかぶりつき…
籠罠「」ガッシャアアン
…籠罠に捕らえられた。
検体アライさん3「のだぁ!?なんなのだああああこれはあああ!のだっ!のだっ!」ガシャンガシャン
野良アライちゃん達と違って、姉妹が罠に捕らえられる所など見たことがない。
野生のネズミですら多少は罠を警戒するが、人間との暮らしに慣れた検体アライさん3には、警戒心など有りはしなかった。
保健所職員「はいはーい回収しますねー」ガラガラ
検体アライさん3「おお、助けに来てくれたのか!これで元の暮らしに戻れるのだ~」ホッ
そんな訳がない。
検体アライさん3「息が苦しいのだああああああああああ!」ドッタンバッタン
検体アライさん3「ぶ…ぐ……」
検体アライさん3「」ビグッビグッ
検体アライさん3は、炭酸ガス室で殺処分された。
無論、これも保健所と連携した実験の一過程である。
安全に殺処分できるかを試すということの。
453 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:46:46.64 ID:o9miv4GoO
中には、人間に食べ物をねだるアライさんもいた。
検体アライさん4「うぅ~…お願いなのだ、人さん…。アライさんをペットにしてほしいのだ…」グーギュルルー
JK「キモーイ」スタスタ
検体アライさん4「うぅー!食べ物よこせー!」ガバッ
JK「寄んなきめーんだよ!」ドガァ
検体アライさん4「いだいのだああ!」ドサァ
検体アライさん4「うっ…うっ…なんでぇ…。チビの頃は、研究員のみんな、アライさんに優しくしてくれた、のにぃ…」ブルブル
検体アライさん4「研究員…さん…。自由なんかいらない…のだ…たすて…て…なの…だ…」ブルブル
検体アライさん4「」ガクゥ
検体アライさん4も、やがて力尽きた。
454 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:53:16.40 ID:o9miv4GoO
脛から下が無く、サバイバル知識もない検体アライさん達。
もはや、生き抜くための武器は何も無いのであろうか。
いや…たった1つ、最後に残った唯一の武器がある。
アラしこ民「あーーーーーーーーーーーーーーめちゃシコ!!!」パコパコ
検体アライさん5「のだっ!のだっ!あー気持ちいいのだああ!」アヘアヘ
…『容姿』である。
成体アライさんの姿は、耳と尻尾を無視すれば、人間の女子中学生とさほど変わらない。
故に、ちょっと倫理崩壊気味の男性に、よくしてもらうチャンスがある。
455 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/08/31(金) 23:57:55.48 ID:o9miv4GoO
アラしこ民「ふぅ…気持ち良かったよ。はい、ご飯だよ」ドサドサ
検体アライさん5「美味しいのだあ!美味しいのだあ!」ムシャムシャ
検体アライさん5は、男の手作りとみられるおにぎりをたくさん食べた。
検体アライさん5「ふぅ~大満足なのだ。人間、アライさんをお前のペットにしてほしいのだ!」
アラしこ民「ああ^~するする!こっちおいで」スタスタ
男は、検体アライさん5を車に乗せた。
検体アライさん5「やっと新しい飼い主さんが見つかったのだ…もう自然の中はこりごりなのだ…」
一人と一匹は、男のアパートへ入っていった…。
研究員「…」スタスタ
…そのアパートへ、研究員が近付いてきた。
457 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:05:51.61 ID:2mS5XUa5O
ピンポーン
研究員「あの、すいません…。そのアライさん、実験中で森で観察してるので…返してください」
アラしこ民「ぜーーーーーーーーーーったいヤダね!!!!!こんな可愛い子、お前に渡すもんか!!!!」
研究員「はぁ…じゃあこうしましょう。そのアライさんのお世話と観察日誌を、研究記録として報告して頂けませんか?謝礼金出しますんで」
その後、
アラしこ民はうまく検体アライさん5を飼育し続けることができたようだ。
自然の恐ろしさを嫌というほど味わったせいだろう。
ワガママを言ったり、自由になりたいと駄々をこねたりは、していないとの報告であった。
凶暴化した成体ペットアライさんを、一度自然の中に放すことで、己の無力さを死ぬほど味わわせる。
それは、ペットアライさんのいい教育になるのかもしれない。
460 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:13:41.58 ID:2mS5XUa5O
その後も、何度も同様の実験が繰り返された。
その結果…
ヨチライフ手術を施された検体アライさんは、一匹として、自然の中で自力で2週間以上生きることはできなかった。
このことから、1つの結論が導き出された。
すなわち…
『ヨチライフ手術を施せば、たとえ脱走したとしても、高額な開腹手術無しに避妊ができる』と。
つまりヨチライフ手術は、脱走した個体が繁殖するのを防止することを目的とした施術なのである。
そして、その効果は幾度もの実験により、十分信頼できるものと結論付けられたのであった。
…これが、ヨチライフ手術義務化の際に行われた検証実験である。
462 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:18:12.83 ID:2mS5XUa5O
尚、アライドール手術については、このように森へ放す実験は行っていない。
なぜならアライドール手術を行ったアライさんは、二本足で立てるから。
爪がないせいで木登りは下手だが、それでも十分に野良として生きていける身体能力は残っているだろう。
実験をするまでもない。
故にアライドール手術をしたペットアライちゃんは、個人ではなく法人でしか飼育できない。
脱走したペットアライさんが出した被害を、事業主が負担するには、法人の財力が要るからだ。
463 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:26:21.88 ID:2mS5XUa5O
アライちゃんの開腹避妊手術ができる獣医はまだまだ少ない。
そのため、一度の施術には犬や猫の避妊手術の2倍…3万円が必要となる。
それに加えて、牙と爪を生えないようにする手術は1万円。
アライちゃんが生まれて間もないうちに施術をするなら、費用合計は4万円。
つまり、アライドール手術をしたペットアライちゃんは、嫌が応にも最低価格が4万円スタートになってしまうのである。
だが、それでもアライドール手術済みアライちゃんを購入し、事業へ利用する法人は多い。
大盛況の
アライカフェ等は、1匹のアライちゃんで、購入費用のウン十倍ウン百倍の利益を叩き出すという噂もある…。
464 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:32:48.61 ID:2mS5XUa5O
無論、個人で飼育するとしたら、最低4万円スタートのアライドールアライちゃんは高過ぎる。
脱走したときのリスクも大きい。
故に、個人飼育用として、安上がりなヨチライフ手術が存在するのである。
尚、アライちゃんの飼育については、手術の他にも『アライ縄張り法』という法律がある。
ペットアライちゃんがアライしゃん以降にまで育った場合、必ずケージに入れるか、鍵付き首輪で家の敷地内に繋いで育てなくてはならない、という法律だ。
家の中で放し飼いにしていると、窓やドアの鍵を勝手に開けて脱走する危険性があるため、それを防止することが目的だ。
いずれ、アライ縄張り法について詳しく説明する機会があるかもしれない。
466 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:36:53.01 ID:2mS5XUa5O
さて…
前置きが長くなったが。
そろそろ、あの話の続きを語るときが来たようだ。
アライちゃん工場で産まれ、離乳食を食べ、言葉を覚え…
『自分は飼い主を喜ばせるために作られた道具である』と、繰り返し洗脳教育をされた個体を。
アライ飼い主が飼った、最初の一匹となった個体を。
どうやら、あのアライちゃんの『その後』を語るときがきたようだ。
467 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:37:59.26 ID:2mS5XUa5O
続きはまた、次回綴るとしよう。
468 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/09/01(土) 00:38:43.98 ID:2mS5XUa5O
つづく
最終更新:2019年02月10日 23:23