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アライちゃんのおうち・その20

383: 名無しさん (ワッチョイ 0543-be06) :2019/07/07(日) 03:27:26 ID:ulRnjgQU00
おさんぽしてたら、ひとりぼっちのありゃいしゃんがいたのりゃ・・・

「あのこにはかいぬししゃんいないのかー?」

リードに繋がれたペットアライちゃんが歩みを止め、公園の奥のブランコに目を向けて呟いた。

「どうしたの、アラりん?」

リードを握ったわたしも立ち止まりアラりんに声をかけた。

「あのこ、とってもさみちそーなのりゃ」

アラりんと呼ばれたペットアライちゃんは飼い主の女性を見上げ、続けた。

「ちょびっちょ・・・ちょびっちょらけ、あのことおはなししたいのりゃ・・・」

辺りは夕暮れでどんどん暗くなっていくし、どうしよう?そう考えているとアラりんは哀しそうに俯いてしまった。

「うゆー・・・」

そんな顔されたらダメって言い辛い。

「しょうがないなー、ちょっとだけだよ?」

甘いのはわかってるんだけど・・・。

「はーいのりゃ!」

そう言って嬉しそうに両手を挙げるアラりんを見るとわたしも嬉しくなる。

アラりんはとてとてとブランコのアライちゃんに近づいていく。わたしもリードを掴んだままついていく。

「ありゃいしゃんはひとりぼっちなのりゃ?」

アラりんが声をかけるが、ブランコのアライちゃんはアラりんよりもわたしが気になるようだ。わたしを見上げて

「ふぅーっ…!ふぅーっ・・・」

っと毛を逆立てて威嚇している。

人が相当に怖いのだろう、唸ってはいてもぶるぶると震えている。

わたしはしゃがみ込んでブランコのアライちゃんに目線を合わせる。

「大丈夫?お腹空いてる?」そう静かに声をかけると少しは落ち着いたみたい?

アラりん用のおやつを1つ分けてあげる。

「うゆぅ・・・ひとしゃんはこわくない・・・のりゃ・・・やさしくていーひとなのか・・・?」

しっぽをフリフリさせ始めた。

「ありゃりんのかいぬししゃんはとおおおってもやしゃしーのりゃー!とっても、とぉーってもいだいなのりゃぁあ!」

アラりんもブランコのアライちゃんにアピールしてくれた。

「いいにおいなのりゃー、おいちそーなのりゃー!」

そう言うとブランコのアライちゃんは手渡したおやつのジャーキーを勢いよく食べ始める。

「ひとしゃんがたべものくれたのりゃ!ありがとなのりゃー!あむあむあむあむあむあむっ!」

先程までの沈んだ表情が一転し、サラミを必至に口の中に押し込んでいく。

「誰も取らないからゆっくり食べなよ」

そうは言ったがもう殆ど残っていない。

「ぐしゅっ・・・ぐしゅっ・・・やさしーひとしゃんもいゆのりゃ・・・いーひとなのりゃ・・・」

色々あったのだろう、サラミを食べ終えたブランコのアライちゃんはわたしとアラりんを

交互に見る。少し涙ぐんでいる様だ。

アラりんがアライちゃんに声をかける。

「ありゃいしゃんはひとりぼっちなのりゃ?ありゃいしゃんのかいぬししゃんはどこにいゆのりゃ?」

ブランコのアライちゃんは
「ありゃいしゃんはのらなのりゃ・・・」
目を伏せて、
「ごはんくれてまもってくれゆかいぬししゃんはいないし、のらねこやからすにまいにちおっかけられゆのりゃ」
そう寂しそうに答えた。

アラりんはブランコのアライちゃんに
「あらいしゃんにありゃりんのおともらちになっちぇほしーのりゃ!」
と言って手を差し出した。

ブランコのアライちゃんはぴょんとブランコから飛び降りるとアラりんの手を取って嬉しそうに笑った。

「ありゃいしゃん、おともらちははじめてなのりゃー!」

二匹は嬉しそうに走り回っている。

どちらもようやくヨチヨチ歩きの状態なのに勢いのままに走り回っている。

おいかけっこの最中に躓いて転んでも、今度は二匹でゴロゴロ転がったりして泥だらけで笑っている。

残念だけどわたしと遊んでいる時にはあんなに楽しそうにはしていない。

そのうちにアラりんがアライちゃんの手を引いてこちらにやって来る。

「おねーしゃん、このこおうちにつりてってほちーのりゃ!とぉーってもなかよちになったのりゃ!ほんちょのいもーちょみたりなのりゃ!」

やれやれ、やっぱりかー。

とは言えこんなに嬉しそうなアラりんは初めてだ。どうしよう・・・。

アラりんはもらわれっ子だ。

元の飼い主は会社の同僚だった。結婚するので引き取って欲しいと言われ半ば強引に押し付けられたが一緒に過ごすうちにアラりんの魅力に気づき、すっかり好きになってしまった。

でも、アラりんはどこか遠慮がちで、わたしに嫌われまいと我慢をしたり、距離を感じていた。

そのアラりんが始めてわたしにわがままを言っている。

二匹のアライちゃんを飼うのは金銭的にも大変そうだけど・・・アラりんが喜ぶなら、頑張るか!

「いいよ、ただしアラりんもアライちゃんもちゃーんとわたしの言うことを聞いていい子にしてね?」

「「はーい!なのりゃー!」」

二匹は声を揃えて元気に返事をする。

わたしは泥だらけのアラりんたちを抱えて家に戻った。


384: 名無しさん (ワッチョイ 0543-be06) :2019/07/07(日) 03:28:20 ID:ulRnjgQU00
家に戻ってからは、もう大変だった。

まず泥だらけの二匹を抱えてお風呂場に直行、湯船に浅くお湯を張ってアラりんたちを降ろす。

わたしも湯船に入りたっぷりのボディソープで二匹を優しく洗ってあげる。

特にアライちゃんは怖がらせない様にマッサージをする様に洗ってやる。

「のおぉりゃあぁぁー、あったかきもちいいのりゃぁー、かいぬししゃんしゅきしゅきーなーのりゃぁー」

アライちゃんはうっとり目を細め気持ち良さそうにわたしの手に身体を預けて来た。

よく見ると右の耳の先っぽは噛みちぎられたのかギザギザに切れている。

身体にも毛皮が擦れていたり切り傷や噛み跡らしきものがあちこちに見られた。

アライちゃんたちの自慢のタネのしっぽもゴワゴワで毛もところどころ抜けていた。

ひとりぼっちで苦労したんだろうな、そう思うとアラりんと同じ様に大事にしてあげようと思った。

ずっとここにいるならいつまでもアライちゃんでは可哀想だ。何か良い名前ないかな?

わたしはアライちゃんの耳を見て、
「アライちゃん、アライちゃんのこと、アラみみって呼んでいい?」
そう尋ねた。

「ありゃみみ?ありゃりんみたいなのりゃ?」

「そうそう、人間は1人づつお名前があるんだよ。アライちゃんのお名前、アラみみでどうかな?」

アライちゃんは嬉しそうにバンザイして
「ありゃいしゃんはありゃみみ!きょーかりゃありゃみみなのりゃー!!!」
そう宣言した。嬉しそうで良かった。

アラみみの身体を流し今度はシャンプーとリンスで丁寧に洗ってあげた。

ボロボロの毛並みはともかく、すっかりツヤツヤになった。

退屈そうにバシャバシャとひとり遊びしていたアラりんも綺麗にしてやると二匹の身体をふかふかのタオルで拭きドライヤーを当てながらくまなくブラッシングをした。

「きもちーのりゃー、こんなのはじめてなのりゃー」

「かいぬししゃんのしゃんぷーはさいこーなのりゃ!これからはいつもきれーにしてくれるのりゃぁ」

ご満悦の二匹に今度はご飯を振る舞う。

二匹分のお皿にたっぷりとエサを盛り付け目の前に並べてあげた。

「のおおー、こりぇ、じぇんぶありゃみみのごはんなのりゃー?」

「なのりゃー、そっちのはありゃみみの、こっちのはありゃりんのごはんなのりゃ!」

「しゅごい・・・しゅごしゅぎりゅのりゃ・・・かいぬししゃん、おおしゃまみたいなのりゃー!」

アラみみは眼をまんまるにし、野良では手に入らない山盛りの餌にかえって尻込みしているみたい。

そんなアラみみにアラりんがマナーを教えている。どうやらアラりんの方がお姉さんみたい。

「ごはんのまえにはいたりゃきましゅしゅゆのりゃ、いたりゃきましゅ!なのりゃー!」

きちんといただきますしたアラりんは手をコスコスと擦りアラみみにも、いただきますを言うように促がした。

「い、いりゃりゃきましゅー、のりゃ?」

おー、アラみみもちゃんといただきますしてくれた。

「二匹ともいい子だね、さ、ご飯食べて!」

声をかけると二匹は山盛りの餌に頭を突っ込む勢いでどんどんエサを食べていく。

とくにアラみみは余程お腹が空いていたのだろう、次々と粒状のエサをかき込んでいく!

「おいちーのりゃ!おいちーのりゃぁぁぁ!あむあむあむあむあむあむっ!」

「かりかり、んまんまなのりゃー!」

「んまんま、たっくしゃん、んぐんぐんぐっ!かいのししゃん、おなまえもあいちーごはんも、とってもうれちーのりゃ!しゅきしゅきなのりゃー!」

アラみみが食べるのを待つやめてわたしにお礼を言ってくれた!これは素直に嬉しい。

野良は乱暴な、言葉遣いで生意気って聞いてたけど、アラみみはとってもいい子だ。わたしも嬉しい!



「ごちしょーしゃま!のりゃー!」

アラりんに習ってアラみみも

「ごりろーしゃまのりゃー!」

と続けた。アラみみはすっかりリラックスした様子で表情から随分と緊張が抜けているみたい。

わたしは二匹を膝の上に乗せるとそっと背中を撫でてあげる。

「きもちーのりゃー」「しゅきしゅしなのりゃー」二匹ともお腹いっぱいでお眠みたい。

ウトウトしながらアラみみが少しだけ自分の家族のことを教えてくれた。

「いもーとはねこのごはんになったのりゃ・・・おねーしゃんはおっきーとりのごはんになったのりゃ・・・おかーしゃんはわゆひとしゃんにつれてかれたのりゃ・・・

ひとりぼっちでさみちかったのりゃー・・・」

そっか、大変だったねー。でも、もう何も心配いらないよ。アラみみにはアラりんもわたしもいるからね。

二匹をしばらく撫でてやるとすぐに寝息をたて始めた。

二匹を毛布でくるんであげてケージに入れる。

いつもは入り口に置いているケージを今日はベットの横、直ぐに見える位置に移動してわたしも床についた。

明日は休みだし、アラみみを動物病院で診てもらおう。ついでにアラりんも、必要なら予防注射とか、全部やってしまおう。

そう考えながら電気を消した。


385: 名無しさん (ワッチョイ 0543-be06) :2019/07/07(日) 03:29:00 ID:ulRnjgQU00
「かいぬししゃーん!おはよーなのりゃー!

ごはんたべゆのりゃー!たべたらいっしょにあしょぶのりゃ!」

アラりんの声だ。

「はいはい、アラりん、おはよう。今日はご飯食べたらすぐにお出かけだよー」

「のりゃっ!くゆま?くゆまでいくのりゃ?たのちみなのりゃ!」

「・・・むにゃ、かいぬししゃんのこえなのりゃ・・・おはよーなのりゃ」

アラみみも起きたみたい。

「アラみみ、ご飯食べたらお出かけするよー」

わたしはご飯を食べ終えると二匹を移動用ケージに入れ車に積み込むとペットアライちゃんの診察もしてくれる動物病院に向かった。

「いりょんなけものがいるのりゃー!!」
嬉しそうなアラりんとは対照的に
「ひいっ、ねこなのりゃ!いぬもいるのりゃ!びぇぇぇー、おっきいとりもいるのりゃあっ!かいのししゃーん!!」
とアラみみはすっかり怯えている。

「はいはい、すぐに終わるからねー」

ケージの隙間からおやつジャーキーをあげて落ち着かせる。

事前に予約していたからかすぐに診察室に呼ばれた。

先生に二匹を見せ病気や寄生虫の検査をお願いすると先生は二匹をケージから診察台に移し、毛を搔き分けるように何箇所かを調べた。最後に小さな装置を首筋に当てると申し訳無さそうに口を開いた。

「この二匹は野良アライさんの子ですね?残念ながら野良アライさんは幼獣も成獣も個人では飼育することが出来ません」

「ちょ、どう言うことですか?大体大きな方の子は人からもらったペットアライちゃんのはずです!」

「いえ、二匹とも間違いなくペットアライちゃんではなく、野良アライさんの子です。」

先生はため息をつき、話を続ける。

「飼育用に改良されたペットアライちゃんと違い野良アライさんは成長と共に気性が荒くなり身長も1mを超えます」

先生はなおも続ける。

「また野良アライさんは、畑を荒らしたり人を襲ったり、時にはペットや子供を襲い喰い殺す例もあるため条例で駆除対象とされています」

「そんな・・・」

診察台の二匹は不穏な空気を感じたのか寄り添い不安そうに聞き耳を立てている。

先生は二匹を元のケージではなく診察室のケージへ移しカギをかけた。

「な、なにしゅゆのりゃ!」「かいのししゃんたすけてのりゃー!」

二匹はとうとう騒ぎ出してしまった。

「先生、二匹をどうするんですか!?」

「残念ですが駆除対象の動物を生きたまま移送する事は出来ません。二匹はこの場で殺処分となります」

わたしは目の前が真っ暗になった。

「なにか・・・なにか方法は無いんですか?」

なんとか二匹を救おうと食い下がったが、
「ありません」
そうはっきり言われてしまった。

アラりん、せめてアラりんだけでも!

「ねえ、アラりん、アラりんはペットショップで買われたのよね?」

ケージの中のアラりんに尋ねた。が、帰って来た答えは・・・

「ありゃりんはまえのかいぬししゃんにきのおうちからしゃらわりたのりゃ!」

なんてこと!前の飼い主は彼氏から貰ったって言ってたけど、本人が野良だと認めてしまった!

「そろそろいいでしょうか?私も動物が好きで獣医をしていますから、殺処分しか選択肢が無い現状は辛いのです、分って下さい」

わたしはもう何も言い返せなかった。

「後は私たちでやりますから・・・」

先生の言葉を遮り
「いえ、飼い主として最後まで見届けます」
そう言ってその場に留まった。

先生たちにとっては「いつものこと」なのだろう。殺処分の用意が淡々と進められる。

「かいぬししゃーん、こあいのりゃ!ここやなー、やなのりゃあ!」

「だじでー、がいのじじゃん、だじげで、だじげでー!」

二匹の助けを求める声にわたしは何も答えられないまま準備は進んでいく。

ケージごと密閉用のアクリル容器に入れられると二匹は一層激しく助けを求めた。

「がいぬじじゃん、だじげでー!のりゃぁーん、のりゃぁーん、むじじないれぇー!」

「まもっでぐれるっでいっだのりゃ!がいのじじゃん、むじずずにゃー!まもっで、だじげで、じにだぐないぃぃぃーっ!」

とうとうケースに処分用のガスが注入され始めた。

「ぐゆじぃ、だじ・・・げ・・・で・・・あじゃりん・・・がいぬじじゃん・・・じゅぎじゅぎ・・・の、りゃ・・・」

アラりんはダラダラと涙とよだれを垂れ流しひくひくと痙攣を始めた。

「うじょ・・・じゅぎ・・・まもっじぇ・・・ぐりぇりゅ・・・で・・・じ、じに・・・だ・・・ぐ・・・」

アラりんより小ぶりなアラみみは金魚の様に口をパクパクさせ泡を吹いている。

股間は失禁しているのだろう、黄色いシミが見る見る広がり、水たまりを作っている。

二匹ともそれ以上声を発することも出来ず、時折空を掻く様に突き出した腕を震わせていた。

やがて痙攣も止まり二匹は折り重なる様に小便の水たまりに顔を伏せてしまった。

わたしは先生にお願いし二匹の亡骸を洗ってやると病院が用意してくれた火葬用の木箱に二匹を抱き合わせる様に寝かせると保健所ではなく、ペット用の火葬場に木箱を持ち込んだ。

わたしは二匹を失いひとりぼっちになった。


387: 名無しさん (スプー 9626-7439) :2019/07/07(日) 07:54:46 ID:vY8rXGsUSd
乙です
最後まで飼い主を恨まず好きだと言って死ぬアライちゃんだいすき

388: 名無しさん (スプー f8fa-4745) :2019/07/07(日) 08:36:16 ID:/9bLT/pgSd
乙です
幸せからのドン底いいですね
リアルアライグマも幼獣期は人懐っこいと言われてますからやっぱり飼われてるアライちゃんはいい子だとその後の展開とのギャップが気持ちいい


389: 名無しさん (アウアウ ff4f-be06) :2019/07/07(日) 12:27:05 ID:Ty7eGC7gSa
386
387
388
読んでいただきありがとうございます。

幸せになるぞー!ってとこで暗転しちゃう様な話が好きです。


※このページは、『アライさんアンチスレ避難所』様にあるアライさん、コバエさんなりきり用のスレッド『アライちゃんのおうち』をまとめたものです。




最終更新:2019年09月23日 23:36