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「やだ、これ解けよ!」
 縛られてんのが嫌なのもあるが、なによりぎちぎちで痛いし動けないしもう泣きそうだ。
 俺はこの状況で何をされるのかわからないくらい純情っこではなくそれなりに耳年増なので、怖くて怖くてどうしようもない。
「ダメですよ、解いたらあなた勝手に動くでしょう?」
 そう言ってやつが取り出したのは、俺も名前くらいは聞いたことがあるかなっていうピンク色の……いわゆる大人の玩具。血の気が引いた。
「な、何考えてんだこの変態! はなせ、はなせバカ!!」
 死に物狂いで暴れたが一向に解ける気配がない。
 それどころかますます手首に食い込んで痛みが増すばかりだ。
 絶望した俺はとうとう泣き出してしまった。
「ああ、泣かないで下さい」
 お前が泣かせてんだよ、お前がやめてくれさえすれば俺は今すぐ泣き止むことが出来るんだ。
 ひっくひっく泣く俺に向かってやつは笑い、
「……もっと泣かせたくなってしまいます」
 脳が沸いてるんじゃないかと思うようなことを言い出した。
 言い終わると同時に取り出したのは銀色に光る道具。
 しかしスプーンじゃない。カミソリだ。
 恐怖に固まる俺を見て、やつは勝手なことをぬかす。
「おや、素直に大人しくしてくださるとは少々意外ですね。では剃りますよ」
 元からそう濃いほうではなかったが、しょりしょりと剃られて丸裸にされていくそこを見ていることしかできないのは屈辱の極みで、もう死にたいほど恥ずかしい。
 でも不用意に動いて肌を切られでもしたらと思うと、しゃくりあげそうになるのを必死に抑え込んだ。
 この年でパイパンとか。つるつるになったそこに注がれる視線とか。
 古泉の持つカミソリを取り上げて手首に押し当てたい衝動はなんとか堪えたものの、ぼろぼろと溢れてくる涙までは我慢できなかった。
「ひっ……く、うぅっ……う」
 嫌だ。いやだいやだいやだ。
 やつは無毛のそこをそっとなぞり、割れ目に指を這わせてきた。
「これで見えやすくなりましたね。ところで少し濡れているみたいですが、もしかして剃られてるだけで感じちゃったんですか?」
 誰でもいいからカミソリを俺の首に当てて思いっきり引いてくれ。
 古泉はローターを口に含んで濡らし、俺の中に押し込んできた。
「いっ!」
 自慰もしたことがない俺は、当然中に何かをいれたこともなく、初めての感覚にパニックを起こした。
「やっ! やだあっ! やああ!」
 泣きながら首を振る俺にキスして、古泉は指を進める。
 狭い肉の道が、中に入っているものをきゅうきゅう締め付けるのがわかる。
「痛くはないようですね」
 そう言って笑い、目の前にスイッチをちらつかせる。
「ひ……や、やだ……やめっ、う!」
 カチ、とスイッチが入れられ、埋め込まれた機械が振動を始めた。
「やぁああああああぁあぁっ!!」
「すごい、気持ちよさそうですね。どんどん溢れてきてますよ」
「ふぁ! あっああ、やめ、バカ、止めろおおっ!」
 刺激が強すぎてたまらず、なんとか逃れようと身をよじるが、中のローターが動いてかえってまずい。
「そうですねえ、ちゃんと止めてくださいって言えたら考えないでもないです」
 調子に乗るこいつの息の根も止めてやりたい。
 しかし背に腹はかえられない。
 震えながらなんとか言葉を紡ごうと試みる。
「あぅ、とっ……とめ、ひっ! とめ、てくださ、い……!」
 言えた!
 ほっとした俺の身体の中で、一際強い振動音が響いた。
「ひゃうううううっ!!」
「あ、すみません、間違えました」
 くっ、こ、この野郎……!
「あっ……は、ああっ……」
 ぶるぶる震えながら快感の波をやり過ごす俺を、古泉はにやにや見下ろしている。
 間違えたとか絶対嘘だ、わかっててやってるだろ!
 思いつく限りの罵倒を胸のうちで吐き、そのうちのいくつかを実際に言葉に出す。
「ばか、うそつき、しね、――やぁぁあぁっ!?」
 ぐちゅ、と指が突っ込まれた。
 振動を続けるローターがより奥に押し込まれることにもなり、うあ、やばい、今一瞬雪景色のような真っ白の世界を見たぞ。
「ちょっと口が過ぎますね」
 お前が悪いんだろこの大嘘つき。
 睨みつける前に内部で指が蠢いた。
「っゆ……ゆび、うごかすなぁっ……!」
 くちゅくちゅと濡れた音を立ててかき回す。
 ローターの刺激とあいまって、感じすぎて苦しい域に達している。
 俺は息も絶え絶えに訴えた。
「と、止めるっ、て、言ったのにぃっ」
「考えないでもない、と言ったんです。そして考えた結果、止めないことにしようと決めただけですよ。嘘はついていません」
 畜生ぬけぬけと!
 ローターが身体の中で低く唸り声をあげる。
「はぁっあぁぁああ! やぁ! ひっあ!」
 身体がしなり、縛られた腕がぎしぎしと音を立てた。
 こんなの、頭がおかしくなりそうだ。
「やっ……やら、やぁ」
「やっぱりお嫌ですか?」
 当たり前だ! さっきからずっとそう言ってるだろ。
「そうですよね、あなたは強なんかじゃ物足りませんよねえ? すみませんでした、ちゃんと最強にして差し上げますから」
 ちょっと待て、まだ上があるってのか……っ!?
「ぅ、ふああああああ!!」
 そのときだ、ローターとは別のバイブ音が鳴り響いたのは。
「……?」
 嫌な予感がして古泉を見ると、古泉は制服のポケットから携帯を取り出した。
 冷や汗が流れ、心臓が早鐘を打ち始める。まさか、まさか……。
 古泉は携帯を操作していたが、やがて顔を上げるとものすごくいい笑顔で再び携帯をポケットにしまった。
「残念ながら、久々の閉鎖空間のようです。いやあ、タイミングが悪いですね」
 普通に考えれば、俺にとってはラッキーなのだろう。
 しかしちっともそうは思えなかったし、相変わらず嫌な予感は消えない。
 なぜなら、次に来るだろう展開が読めるからだ。
「でも大丈夫です、僕が戻ってくるまでそのままスイッチ入れておきますから。ちゃんと気持ちいいままですので、安心してくださいね」
 古泉のその言葉は、俺にとっては死刑宣告にも等しかった。
「やっ……やだ! やだああ!」
 怒りやら羞恥やら悲しみやらで混乱してわあわあ泣き出す俺の頬にキスをして、古泉は立ち上がった。
「なるべくすぐ帰ってきますけど、あなたが待ちくたびれて眠ってしまわないように、意識を失わないレベルまで振動数を落としておきますね」
 その言葉通り、体内の機械が少し大人しくなる。
「……っく」
 しかしあくまでも少しでしかなく、変わらずじりじりと責めさいなむ。
 ただ決定的ではないというだけだ。
 それはつまり、気絶も許されないということか。
「ひっ……ひっく、うう、ひっく」
 失神して夢の世界に逃げることも出来ず、俺は泣きながら震えていた。
 もうどのくらい経っただろう。時間の感覚がよくわからない。
 古泉が出て行ってから、中のローターをなんとか抜こうと太ももを擦り合わせたり縛られた手首を解こうともがいてみたが、全部無駄に終わった。
 それどころか、よりローターを深く誘い込む結果になり、もがいたせいで中で位置を変えるローターをより強く意識してしまったりともっと悪いことになった。
「はっぁ、う、っく、んん……」
 もう余計なことはせず大人しくしているのが一番被害が少なくて済むと悟った俺は、熱い息と涙をこぼしながら、止まらない刺激に悶えていた。
 何回いったかわからない。
 数えてはいないが、ひどいときは続けて二度三度といったし、相当な回数になっていることは間違いないだろう。
 また意識が持っていかれるような、何かがくるような感覚があった。
「あ、や、やだ、もういきたくない、いきたくないよぉ」
 力なく首を振って、言葉だけでも抵抗を試みた。
 涙と涎でぐしゃぐしゃの顔に髪の毛が貼りつく。
「っ――――!」
 ぶるぶると太ももが痙攣し、身じろぎした拍子に身体の中から液体が溢れてくる。
 つらくて苦しくて気持ちよくてなにがなんだかわからない。
 こんなのってない。これって拷問だよな?
「……!」
 自分の泣き声に混じって、誰かの足音が聞こえた。
 古泉が戻ってきたのか?
 じっとドアを見つめる俺の前に現れたのは――――

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最終更新:2007年07月31日 14:45