まだ途中です
「WAWAWA忘れ物~っと」
「た……たにぐち……?」
「え!? おわっ!!」
予想外の人物だった。
俺は驚きのあまり固まり、谷口もなんだか妙なポーズで固まっている。
しかし硬直がとけた後「ごゆっくりぃ」と絶叫して走り去りはしなかった。
「え……えーと、その、なんだ、涼宮は今度AVでも撮り始めたのか?」
ごくりと生唾を飲む音が聞こえ、俺ははっと気づいて少しでも前を隠そうと身じろいだ。
ここで素直に古泉にやられたと言っていいものだろうか。
いや、なんか色々とややこしいことになりそうな気がする。やめとこう。
「っ、た、たにぐちぃ」
とりあえず助けてくれ、と言う前に俺の唇は奪われていた。
「んぅぅ!?」
へたくそだが勢いだけはあるキスだった。
そして今の敏感になった身体にはそんな刺激ですらものすごくきつくて、俺はキスされながらいってしまった。
「っは、な、なに……」
いきなり何しやがる!
息を整える俺の目の前で、谷口はかちゃかちゃとズボンのベルトをはずし始めた。
「悪い、キョン、俺……」
うわあーどう見ても盛りのついた童貞です本当にありがとうございました。
谷口はベルトをはずしズボンを下ろし下着も下ろして俺に覆いかぶさってきた。
うわあ、嫁入り前なのにしっかり見ちまったじゃねえか。
っておいおいおいおい待てよ冗談だろ!? 正気か!
「ちょ、待ておま、お……っ」
「すまん、いくぞっ」
「っぁあ!?」
谷口のアホ童貞野郎は自分の性欲にとらわれてるのかローターを抜くのも忘れてそのまま突っ込んできやがった。
突っ込まれた俺はたまったものじゃない。
ローターが押されて更に奥深くを刺激する。
あ、当たっ、当たってる、なにこれ……!
「やぁ、き、つ……ひゃぁあん!」
朝比奈さんのような甲高い悲鳴が出て思わず赤面する。
「うっ……すげえ」
感想はいいから抜いてくれ、できればお前のブツもローターも!
じゃないとやばい、やばいって、
「ひぅっ、や、ああ」
「あっ、あっ、キョン、俺、もう……っ」
え、早過ぎないか? それともこんなもんなのか?
いや早く抜いてもらえるにこしたことはないな、このままいくと俺がやばい。
ぐっぐっと何度か抜き差しされ、腰に震えが走る。
谷口が獣みたいに叫びながら突き入れてきた。
「うおぉっ、出るぞッ」
「っ……や、ひぃぃっ!」
あ、熱い……!!
全身を痙攣させ、俺の意識はスパークした。
「ん……」
一瞬意識を失っていたようだ。
「え? ……ひっ!?」
目を開けると、谷口はがっついた犬みたいに腰を振っていた。
「ふっ、くっ、ふんっ」
勢いに任せた稚拙な動きだが、若いだけあって回復が早かったんだろう。
下手な鉄砲でも数うちゃ当たるってか……って当たったらまずいだろ!
お、俺、中に出されたよな、どうしよう、もし子供とか出来ちゃったりしたらどうしよう!?
一気に現実的な恐怖が押し寄せてきて、俺の目からぼろっと涙が溢れた。
嗚咽を殺すこともせず泣き出した俺に気づいて、流石の谷口も我に返ったらしく腰の動きを止めた。
「うっく、ひっく、うぇえ、っ、んっ」
「あ! WAWAWA悪い、すまん、キョン!」
ようやく正気に戻ったか。
さっきまでとは別人のようにうろたえ、焦り、俺から退く谷口。
「すまん、マジすまん!!」
「んっ」
中に入っていたものが抜け、白と微妙に赤が混じったような液体がこぼれる。
何回出されたんだろう?
「ぅ、こ、こどもできちゃったら、どうしようう」
「そ……そんときは、責任を取って嫁にもらうから」
そんときはって、それってつまり子供できなきゃ責任取らないのかよ、人の処女奪っといて!
「おやおや」
空気が凍りついた。
いや、凍りついたのは俺だけで、谷口はアホ面で後ろを振り返った。
アホ面とは天と地ほどに差がある端正な顔の持ち主が腕を組んで立っていた。
俺は蛇に睨まれた蛙状態だった。
肺まで止まったみたいに動けない。
「それは困りますね、彼女は僕がもらう予定なんですから」
「……古泉? え? なんでこいつがここに?」
状況を把握できていない谷口が更なるアホ面を晒す。
お前逃げろ、殺されるぞ!
殺されないとしてもきっと社会的に抹殺される!!
なんというプレッシャー。
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
『谷口は古泉の前で俺に乗っていると思ったらいつのまにか降りていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超能力だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえもっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
――――現実逃避はこの辺にしておこう。
とにかく古泉は笑顔で谷口の腹に蹴りを入れた。
「うぐっ!?」
蹴り飛ばされた谷口が腹を押さえて転がる。
本気だ、古泉は本気だ。表情が笑顔なのに怖い。
俺の身体は歯の根も合わないほどガチガチと震えだした。
谷口は咳き込みながら顔を上げた。
「げほっ、な、なにすん、だよ!?」
古泉はそれを冷笑で見下ろす。
「……こういうことですよ」
小さな音がして、俺の中に入ったままだったローターの自己主張が激しくなった。
「っあぁあああぁ!!」
ローターの刺激に身悶える俺とスイッチを入れた古泉を、谷口は交互に見て、
「ま……まさか、お前がキョンを」
古泉が一歩、床の上の谷口に近づく。
早く起き上がって逃げろ、マジにやばいって!
「ええ、片付けなければならない用事ができてしまったので席を外していましたが、まさかその間にこんな屑に奪われるとは思ってもみませんでしたよ」
その視線が俺へと移動する。
「せっかく自分から犯して欲しいっておねだりするまで焦らしてあげようかと楽しみにしてたんですけどね」
そんなもん楽しみにすんな、それに俺はそんな台詞死んでも言わない。
言うくらいなら舌噛み切って自害を図ってやる。
「あなたのそういう意地っ張りなところはたいへん魅力的ですよ。もっとも、屈服し、堕ちた瞬間の魅力はそれを上回るでしょうが」
古泉は谷口の肩に足を置いたかと思うと次の瞬間ためらいもなく蹴飛ばした。
「ぐあっ!」
谷口の身体は簡単に転がり、床の上で痛みに這い蹲る。
その手の甲に古泉の上履きが乗った。
「ひっ……」
「この汚らしい手で彼女に触れたんですよね」
ぞっとするほど冷酷な微笑でぐりぐりと踏みにじる。
将来が心配な谷口の額に汗が浮かんでくるのが見えた。
あいつ、このままだと本当に殺されかねない。
「や、めっ」
ローターのせいでうまく喋れないながらも懸命に制止する。
俺はわかっていなかった。
俺が谷口をかばうのは逆効果だってことを。
「う……ぐっあ」
谷口の手に乗せた足に体重をこめ、古泉は虫けらを見る目で谷口を見てから、わからないなと俺に視線を向けた。
「どうしてかばうんです? あなたは彼に汚されたのに」
それをお前が言うのかよ。
お前が俺にしたことだってかなりひどいじゃないか。
「僕はあなたを愛していますが、彼はただ欲望が暴走しただけでしょう。一緒にされたくありませんね」
俺からしたらお前の気持ちなんてどうでもいい。
俺の気持ちが全てだ。
そのとき、うめき声の隙間から谷口が言葉を発した。
「お……俺、だって」
谷口、無理にしゃべらなくていいから!
「俺だって、キョンが、好き……っだ」
「た、谷口……」
谷口が、俺を?
アホで女好きでいっつも馬鹿な話しかしてない、俺にとって悪友だと思ってたこいつが、俺のことを好きだって?
谷口は痛そうに顔をしかめつつ続けた。
「そりゃ、AVみたいなお前見て、暴走しちまった、ことは……否定できね、けど……っ、気づいたんだ、俺は、お前が好きだっ、てことによ、だから」
「谷口」
「好きな女をめぐって戦うっつう、かっこくらいつけさせてくれや」
さすがお調子者、女の前でかっこつけようとするその姿勢を貫くとはね、天晴れというべきか。
こんなときだというのに、すごく谷口らしくて、少し救われた気になった。
でもそれと命の危機とは別だ。
お前だって気づいてるだろ、対峙する古泉が洒落にならないくらいおっそろしいオーラをまとっていることに。
「も、いい、逃げろ谷口……!」
勢いで俺をレイプしたことは許せないが、死んでもいいと思うほどじゃない。
だから今はひとまず保留にしといてやる。
谷口はなんとか身体を起こそうとしながら、古泉を睨んだ。
でも、古泉はそんな視線でひるむようなやつじゃない。
「僕と戦うと? 身の程知らずもいい加減にしていただきたいですね」
冷笑で応じ、出しっぱなしだった谷口の股間を無造作に踏みつけた。
「うぐああ!!」
谷口の顔が蒼白になり、ぶわっと脂汗が浮いた。
「そうやって這い蹲っているのがお似合いですよ」
古泉は足に、ぐ、と力をかける。
このまま本気で踏み潰すつもりなんだろうか。
こいつならやりかねない。
俺は震えながら、掠れる声で叫んだ。
「こ、こい、ずみっ」
古泉が俺を見る。谷口を見るときとは違った温度で。
「ああ……あなたもそんなに出されて、ちゃんと処置しないといけませんね。あなたがこんな男の子供を宿すかもしれないなんて許しがたいですから」
泡を吹き力の抜けた谷口を縛り上げて転がすと、古泉は俺の前で止まり、かがみこんだ。
視線がそこに注がれる。
散々ローターで弄ばれた上に、谷口に何度も中で出されてどろどろのそこ。
「後でアフターピルを用意しますね。あなた、今日危険日ですし」
「な……っ」
なんでそんなことがわかるんだ。
まさか機関は生理周期のデータまでとってやがるのか?
古泉が入り口に指を沈める。
「ひぁっ……!」
くぷ、くちゅ、と音を立てながら掻き出すように指が動いた。
挿れられっぱなしだったローターのコードが引っ張られて、入り口付近の浅いところまで抜けかけた。
「や、ぁ、ああっ」
「あなたを孕ませる絶好の機会だと思ったのに、今回は諦めざるを得ませんね。残念です」
孕ませるって、孕ませるってなんだよ!?
俺はざあっと青ざめた。
じゃあ、もし谷口が来なかったら、俺は……。
自分がどんな目に合わされていたのか、その結果どうなっていたかを想像してしまって、貧血でくらくらとぶっ倒れそうになる。
俺をレイプしたという時点で谷口も許せるものではないが、古泉よりは怖くない。
谷口は単なる女好きのアホな暴走野郎だが、今俺の目の前にいる古泉は人畜無害の超能力少年ではない、計画犯罪を企てたサイコ野郎だ。