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「う…っ、ひ、ぅあ…あっ」
キョンは泣いていた、樹木にしがみついて。
時間は午後20時、季節は秋。月はとうにキョンと樹木の真上で光っている。

つい5時間前の午後15時、イツコとキョン子は部室で唇を軽く合わせていた。
啄むようなキスを何度も。唾液まじりで音を出したり、慣れない舌を使ってみたり。
そんなことを夕暮れの中カーテンも閉めずにずっとしていた。
その間他の団員は、朝比奈みくるの写真撮影を校内に商店街に、神社や池等を下校時刻が過ぎるまで駆け回っていた、普段なら。

午後16時、商店街にいる涼宮ハルヒ達は、バニー姿で寒さで体を震わしながら駆け回るみくるを色々なシチュエーションで撮っていたが、
みるみるうちに声に覇気はなくなっていく。
何度かシャッターを切ったあとにすぐ「…なんか疲れたわね、帰りましょ」と首にかけていた高そうなカメラをぱっと離して
いつもは言わないようなことを口にし立ち止まり、今まで光らせていた目の色は心なしかくすんでいた。
シチュエーションが切れたのか、長門はそう思い首を傾けてみたがハルヒには伝わらなかったらしい。
いきなりの表情の変わりようにびくびくしながら心配そうに見つめるみくるは着替えもままならなかったので、
長門に衣装を回収してもらい、ハルヒだけ先に部室帰って貰うことにした。

午後17時、長机を跨いでイツコはキョン子の下へ降りる。ぎゅ、とキョン子に腰を抱かれ、制服が皺になるかなあと考えながら背中に手を回す。
「今見られたら、どうなんでしょう…」
「終わるかもな…多分」
二人とも複雑な笑顔で冗談を言いあい、キョン子は開いている右手でイツコの太股に指を滑らせ、下着に指を入れる。
「…本当に、だい、はぁ…っ、あ、ぁっ」
最初のキスで既に濡れていた割れ目に指を這わせ粘液を絡めとり、クリトリスを
間から擦ると、イツコの口から言葉は休止され、代わりに甘い吐息と声がこぼれる。
「…今までだって大丈夫だったんだ、だから、…大、丈夫だ」と耳元で囁く。
下着から出した指をぺろりと舐めた、しょっぱいな、と言うと古泉は恥ずかしそうにムッとした。
大丈夫だという根拠も自信もいつだって何も無かったが、イツコを安心させよう
と嘘を言い続けていた、今日も。

午後17時半、少し乱暴に扉を開ける音が左から聞こえて、会話をそこそこに下着、制服の上から遊ぶように軽い愛撫をしあっていた二人は固まってしまう。
扉を開けたハルヒはむずがゆそうな顔をして「やっぱり。…あたし、帰る」
カメラを首に下げ、鞄は部室においたまま力無くそう言った。
やっぱりということは、いつか見られていたのか?とキョン子は思いイツコをごめんと抱きしめる。
「んむっ」と声をあげると机からバイブレータの音が聞こえ、キョン子を少し押し離し目をそちらにやり、見開く。
予想は出来たが、鳴っていたのはイツコの携帯だった。
ゆっくりと携帯を開けて目を動かす、悲しそうにキョン子を見て
「僕、行ってきますね。ちょっと、今日は、手こずり…そうなんです」
途切れ途切れに言葉を紡いで、ぎゅっとキョン子を抱きしめると、泣きそうな顔で手を振り走り出す。

午後18時、イツコは帰ってこない。戻る場所はきっと近い学校だろうと思い、キョン子は暗くなる中一人で待つ。
「まだかよ…」気だるげにため息をつくが、目は涙でいっぱいだった。

午後19時、ハルヒからキョン子にメールが来る。
:本文:
:あんたたち、そういう仲なの?:
あれを見てそれ以外思えるのか。と打ちかけたが、今の状態じゃ喧嘩になりかねない。と携帯を強く閉めて返信をせずに頬杖をつく。
未だにイツコは帰ってこない「ほんと、ごめんな」小さく呟いて机に突っ伏した。

午後20時、一瞬目を開けられない程目の前が光り、部室も街灯も明かりは消えて真っ暗になった。
「うわっ…何だ?」
怖くなったキョン子は窓の外を見て、廊下からも窓の外を見る。
今までは無かった一本の細く小さめな樹木が生えていて、何かのヒントになるかもしれない、と真っ暗の校舎を降りていく。
樹木の側に駆け寄ると一つの携帯が開いて置いてあり、それを手にとって見ると
「ごめんなさい
    いつこ」
と一言だけ書いてある。
「近くにいるのか?古泉…!…あ?」
声が低い。何かがおかしい。
キョンはぺたぺた体を触ると理由が解った、自分の体は硬い男の体に変わっている。
ということは古泉はこの細い樹木かもしれない近くに居ないから多分そうだ。
「…んでだよ、ハ、ルヒ」
拳をぎりっと握る。お前がやったのかよ、これ。
なんで今男にするんだよ、なんで古泉を木になんかするんだ。色々独り言を言って強がりはしたが
すぐに眉はぎゅっと下がり、涙がこぼれだした。
「…うあ、…んで、だよ」
樹木に抱きつき、ブレザーが汚れるが気にせずに抱きしめた。涙は止まらないまま。
ごめん古泉嘘ばっかりついて。
古泉がいない、俺しかいない。なんでなんだ、二人だけの世界にいろってか。
人ですら無いのに…皮肉にも程がある…。
キョンは嗚咽を交えながら古泉であろう樹木を抱きしめて泣き続けた。

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最終更新:2007年10月09日 21:44