DEAD SPACE単発クロス
行方不明の2等陸士2名の捜索、及びそれに関する報告書
5日前に第51管理世界の採掘船『ISIMURA』の調査に向かったスバル・ナカジマ2等陸士、ティアナ・ランスター2等陸士に関して
上記の2名は第51管理世界の採掘船『ISIMURA』により発せられた救難信号の調査に向かう。
現地の宇宙船に同行し、目的のISIMURAに到着。
しかし、この際にトラブルが発生。同行した宇宙船が破損、航行が不能になった。
同行した陸士2名は宇宙船のクルー、ザック・ハモンド、ケンドラ・ダニエル、アイザック・クラークと協力しISIMURAの調査、及び宇宙船の修理を開始。
2名はアイザック・クラークと共に行動、ISIMURA内部の探索を行う。
2名が第51管理世界に向かってから4日目、連絡が途絶えたため新たに第51管理世界に管理局員を派遣。
ISIMURA付近の宙域に、調査に向かったティアナ・ランスター2等陸士のデバイス、『クロスミラージュ』の信号をキャッチ。
宇宙空間を漂っていた信号を発する保存用ボックスを回収、内部にはビデオメッセージが入ったデータディスクとクロスミラージュが入っていた。
データディスクが閉じられていたパッケージには、血液(後の検証でティアナ・ランスター2等陸士のものと一致)で『ISIMURAに近寄らないで』と書かれていた。
「見えてますか? これからここで起きたことを話します。ティア、いい?」
「OK、話していいわよ」
「えと…、私スバル・ナカジマとティア…、ティアナ・ランスターはここ採掘船『ISIMURA』の調査に来ました」
「ここに来た際に乗って来た宇宙船は、ISIMURAに近付いた際に重力に引かれてISIMURAに衝突、航行が不能になりました」
「そこで私達と宇宙船のクルーの人達でISIMURAの調査、宇宙船の修理を並行して行うことになったのです」
「私とティアは技師のアイザックさんと一緒に行動して、ISIMURA内部の調査、修理に必要な部品を集めに向かいました」
「そこで…、『あいつら』…、『ネクロモーブ』が現れたんです」
「ネクロモーブが突然現れて私とティア、アイザックさんは一先ずISIMURAの中に逃げ込みました」
「そうしたら…、ISIMURAの内部はネクロモーブで埋め尽くされていたんです…」
「私達はなんとかネクロモーブを撃退しながら内部の調査を続けました。でも…その時からおかしな『幻覚』が見え始めたんです…」
「死んだはずの私のお母さんが…、お母さんが見えるんです…、そして、手招きしてくるんです」
「始めは私も単なる見間違いかと思ったんです…、でも、次第に私の頭がおかしくなり始めました」
「色んな場所でお母さんが出て来て…、手招きもして声も掛けてくるんです」
「次第にお母さんの所に行きそうになって、ティアナやアイザックさんに何度も止められました…」
「こうしている今も、お母さんが手招きしてます…、『スバル、こっちにおいで』って声も聞こえます…」
「それで…、それで…、あとは…」
「スバル、もういいわ、私に代わって」
「うん…、ごめん、ティア…」
「私の名前はティアナ、ティアナ・ランスターです」
「このISIMURAで起きたことの大まかな事は先程スバルが話した通りです」
「詳しい原因は不明ですが、どうやらISIMURA内部に遺されたデータを読んでみたところ、ISIMURAに来た人間が例外なく認知症に似たような症状を起こしています」
「主な症状は幻覚、うわ言の繰り返し、発汗、不眠、攻撃性の向上などです」
「そして内部を探索する内に、『印』と呼ばれるものがあることが判明しました」
「この『印』が何を指しているかはわかりません、しかし、このISIMURAで起きたことと何らかの関連があることは確かです」
「アイザックさんとは途中で逸れてしまい、通信機もネクロモーブに破壊されました」
「もう、私達にできることは…」
「嫌だよ…助けて…、恐いよ…、お父さん…、お母さん…、ギン姉…、助けて…ここから出して…」
「…少し外します」
「スバル」
「ティア…、恐いよ…」
「大丈夫、ね?」
「…」
「スバルがこれで落ち着くなら、いくらでも抱き締めてあげるし、頭も撫でてあげるから。だから、もう泣くのはやめよう」
「うん…、ごめん…」
「気にしないで」
「あ、更に幾つか伝えておきたいことがあります」
「スバルが『お母さんの幻覚が見える』と言いましたが…、現に私も死んだはずの兄、ティーダ・ランスターの幻覚が見えます」
「スバルと同じように手招きして声も掛けてきます。」
「どうやらここで見える幻覚は、その人の関わりの深い、すでに死んだ人間が見えるようです」
「ログデータの中にも幻覚について幾つか残されていましたが、やはり認知症らしき症状を患った人は、全員が関わりの深い、既に死亡した人間の幻覚が見えるそうです」
「やはりISIMURAで起きた認知症は、ただの認知症ではありません。恐らくもっと別の『何か』がこの症状を引き起こしています」
「あと、ISIMURAの内部に巣くっているネクロモーブについて」
「ISIMURAを襲ったのは間違いなくネクロモーブです。」
「ネクロモーブは、その名の通り死体です」
「正しくは死体に寄生した、寄生型のエイリアンだと思われます」
「ISIMURAに侵入したネクロモーブが、ISIMURAを襲い人々を次々と殺して新たなネクロモーブを作り出していたみたいです」
「そして、その中で運良く生き残った人が救難信号を発信、今回の調査の切っ掛けとなりました」
「既にISIMURAの中に足を踏み入れた時点で…、私達の運命は決まっていたようです…」
「今の私達に出来る事、それはここからの脱出ではなく、ISIMURAで起きたことを伝えることです」
「これから保存用のボックスに、現在録画しているこのビデオメッセージ、それから私のデバイスであるクロスミラージュ、可能な限りのログデータを入れます」
「それと、最後にお願いがあります」
「このメッセージを見た人は、もしかしたら私達がまだ生きているかもしれない。等といった考えは捨てて下さい」
「ISIMURAは…、もうダメです。これ以上の犠牲を増やしたくありません」
「だからお願いがあります。メッセージを読んだ方は、時空管理局にこのメッセージとデバイスを届けてください」
「そして…、ISIMURAを跡形もなく破壊してください」
「アイザックさんも、既にどこかで生還を諦めていました。だからもうISIMURAに生存者はいません」
「以上です。そして、さようなら」
行方不明の2等陸士2名の捜索、及びそれに関する報告書
確認されたビデオメッセージ、そして同時に中に入っていたデバイス、クロスミラージュ。ログデータ。
保存ボックスに封入されていたデータから、ビデオメッセージに現れた2名はスバル・ナカジマ2等陸士、ティアナ・ランスター2等陸士と確認。
ログデータに遺された情報から、採掘船『ISIMURA』内部で発生した事件の詳細が判明。
後日、次元艦隊を派遣し、一斉砲撃による採掘船『ISIMURA』の破壊を決行する。
尚、ログデータから今回の事件には、第51管理世界に事件との関連が疑われる宗教団体の存在が発覚。
近日中に局員を派遣し、今回の事件との関連性を明らかにする。
殉職したスバル・ナカジマ2等陸士、ティアナ・ランスター2等陸士の葬儀は、家族、及び関係者の主張により、親族と関係者のみで行われる。
尚、殉職した2名は2階級特進とする。
管理局の報告書より抜粋
最終更新:2009年10月21日 22:43