カスケ:(ヒトガタでとことこ歩いてきた)いい月よのう。

フェンネル:(前から歩いてきてばったりてきな感じで)カスケではないか。どうしたのだ? 
いい夜、とは言えないやもだが、少し話でも付き合ってはくれぬだろうか?

カスケ:ああ、よいぞ。じじいでも、涙をぬぐう言の葉にはなれよう。

フェンネル:たしかに老人やもしれないが(ちょっと笑って)
涙か、、涙というより、悩んでいる、という感じではあるな。(苦笑して)

カスケ:(壁際にドアを作り、ドアをがちゃり。中には広めの部屋、テーブルとソファが)
儂の空間は、音が漏れぬ故にな。
見目がどうにも殺風景なのは許せ。

フェンネル:ああ、卿の空間か。気遣い感謝する。(入ってきょろきょろと見渡す)
そんなことは構わぬよ。
いつだって、持ち物は自分自身と、大切なものが少しあればいいのだ。

フェンネル:話したいことは…。
エティックに、いつ真実を、どうやって話すか。
ルナと、メリッサと会ったとき、なんて言葉をかけるか。

カスケ:出会った当初から思っておったが、フェルネリアン
おぬしは質問をもう少し絞った方が良いぞ?
同時に複数の思考はできても、口はひとつじゃからな(笑)

フェンネル:(声をあげて笑って)質問か。ならば端的に明確に話そう。
余はエティに真実を話そうと思っている。少しずつな。

カスケ:そろそろ、隠す方がいびつになってくる頃合いじゃ。
確かに、幾ばくかの真実は告げた方が良かろうよ。(ソファにゆったり座る)

フェンネル:(自分も向かいの席に腰掛けて)はた目から見ていても、忘却の霧は薄まっている。
このまま思い出してしまったのなら、暴走するのだろうと分かる。
それでだ、賢者よ。
卿はエティックに関してなにか意図的に自分から言わないことがあるのではないか?

カスケ:儂は隠者ゆえにな。かくすことは得意じゃぞ?

フェンネル:卿が何を隠しているのか、総てわかるわけではないが。
今あえて訊こう。
「メルリースとしてのエティックの権能は?」

カスケ:………。
話したくない、と言ったら?

フェンネル:ならば聞かぬ。強要はしたくない。

カスケ:なら、そうしてくれい。

フェンネル:しかしだ。余も生半可な覚悟で聴いているわけではない。
ならば聞き方を変えるのはどうだ。
これだけイエスかノーで答えてくれたらもうこの話題には触れはしまい。
もちろん、聴くのは卿が頷いた場合だけにする。

カスケ:ああ、それでも構わぬ。
ただ、儂に尋ねる前に考えたか?
「生命創造」を越える神の権能とはなんなのか、と。

フェンネル:考えた。
あれかあれ、もしくは両方だろうと思っている。
つまり、生命以上のものの創造か破壊だ……。(ちょっと言葉を選んで、どこか辛そうに)

カスケ:ほっほっほ、やはり、微妙に考えが偏って固執するのう、おぬしは。

フェンネル:自覚はある(苦笑して) 
ならば、違うのだな? いや、違うとはいっていないか。

カスケ:エティックの力は、『感情』により変化する。
…儂が言えるのはここまでじゃ。

フェンネル:……感謝する。それが聞けただけで充分だ……。
(カスケの言葉から色々なものを感じ取って、深く謝意を示して)

カスケ:しかし、それをまず聞かれるとは思わなんだな。
もっと別の「謎」を追求されるかと思っておったわ。

フェンネル:卿の言っている謎とは、エティックが「今現在」ここにいる理由、とかであろうか?

カスケ:さあのう、おぬしの脳内は儂にも読めんて。

フェンネル:だからこそ、というわけではないが、エティックに真実を打ち明けたほうがいいと思うのだ。余の想いとしてはな。

カスケ:ふむ。
爆弾に着火する可能性も考えてのことだな?

フェンネル:その可能性も充分に考えている。
その場合は、、どのような爆弾か、想像ができぬ。対応が後手に回るやもしれぬな。
しかし、放置して隠して暴走するならば、話したほうがいい。
エゴであるかな(ハッと笑って)

フェンネル:なぁ、カスケよ。
善い気持ち。神聖な気持ち、相手を思いやる気持ちから、悲劇が生まれるはずはないと、余は、そう思っていたのだ……。

カスケ:では、なぜ『メルリース』は生まれた?
母が娘を思い、弟が姉を思い、姉が弟を思う気持ちから、なぜ世界は崩壊の危機に?

フェンネル:そうなのだ。
卿から聞いた話で、誰もが、王自身でさえ、弱く臆病であったかもしれぬが、そこまで邪悪だったわけではない。

カスケ:邪悪など存在しなくても、悲劇はその辺に転がっておるよ。

フェンネル:だから、だからこそ想うのだ。
エティックに真実を伝えなければと。
そうでなければ、エティックは、何も信じられなくなるのではないかと。
余はそれは、自分の事以上に、辛いのだ。

カスケ:では、フェルネリアン。おぬしの巧みな想像力を儂がかきたてよう。

フェンネル:(顔をあげてじっとカスケを見ます。)

カスケ:おぬしはある日、父である王に言われた。

「お前は死者であり、その心臓は動いていない」
「お前はもう数百年も前に死んでいる」
「お前は罪もないのに、愛する者を人質に取られ殺された」

フェンネル:そんなことは云うつもりはないのだ。
そんなことを伝えたいとは思ってはいない。

カスケ:「その後、おまえは邪神となった」
「お前は世界を滅ぼすだろう」
マユラを殺したのは、お前自身でもあるのだ」

カスケ:………さて。
おぬしの心の爆弾は、着火したか?

フェンネル:……(カスケを無言で思い切りにらんだ。言い方悪いですが、たとえでも殺すぞ、みたいな目)

カスケ:もし、マイナスの感情をおぬしが抱いたとしたら。
エティックの感情はそれ以上だと思え。
そして、感情の揺らぎが何を生むか。
……儂はのう、ひとつも嘘は言っておらぬのだぞ?

フェンネル:わかっている。
そんなことを、伝えようとは思ってはいないのだ。
余は、エティに……ただ言いたいのだ。伝えたいのだ。
卿は嘘を言ってはいなかった。
卿は愛し、愛されていた。…昔も、今も。
余が、卿から聞いて、真っ先に感じたことだ。
ただそう言いたかったのだ。笑うならば笑うといい。
エティは愛していた。愛されていたのだと。
それを、改めて伝えたいだけなのだ。

カスケ:しかし、それだけでは済まぬのだ。
愛を伝えたくとも、愛の主を知らねばならぬ。
その相手が今どうしているかも知りたくなろう。
ぼろぼろと漆喰が剥がれるように、醜い真実が、小僧の前に現れるであろう。

フェンネル:わかっている…! 
では、伝えずに放置しろとでもいうのか…!

カスケ:儂はのう、フェルネリアン。
エティックから「記憶を奪った真犯人」じゃ。

フェンネル:(再び顔をあげてじっと見やった)

カスケ:思い出さぬよう封印した儂自身が、思い出させることを望むとでも?

フェンネル:思い出さずともよいと、卿は云うのであろうな。
余は、大切な人間たちから、もっとも大事なことを伝えられないという、そのことが、死にも叶う裏切りだと想うのだ。
…しかし、卿は、今でなくともよいと、そう言いたいのだな??

カスケ:…………。
今、おぬしが仲間と思っておる中で、最も悪であるのは、儂かも知れぬ。

フェンネル:余は、エティックをずっと見てきた。
エティは、いいやつだ。純粋だ。
裏切ることも、裏切られることも慣れてはいない、知らなかったと言っても良い。
そんなエティだからこそ、余は、賭して誠実でありたいのだ。

カスケ:ああ、誠実でありたいというおぬしの気持ちは痛いほどわかる。
その「誠実」が、小僧の何を守るのか、儂は尋ねたい。

フェンネル:エルピダ、希望だよ。(迷いなく答えた)
傲慢であるかもしれぬがな。
おそらく、卿は、その言葉を知りながら、あえて今までは積極的につかもうとしてこなかったものだ。

カスケ:儂は、『メルリース』の生き死にに、さほど興味は無いのじゃよ。

フェンネル:かつての大切な、大切な人だったのに? 
いや、だからこそ??

カスケ:エティックの姉であったかつての純粋な少女は、自ら「死」を覚悟し、それを全うするために赴いた。愛しきものを守るために行動した。
儂は、少女は歴史の中で死んだのだと思うておる。
悲劇であったのは、彼女の愛しきものは、結局助からなかったというだけの話。
儂は、他の者とは目線が違う。
見据えるものも、希望の先も違うのじゃ。

フェンネル:エティは、エティは、大切な人を思い出せないことが、怖いと、辛いと、かつて言った。
シャノンの家でプリンを食べたときかな。
思い出したい感情も、対象もわからない。思い出したいと。
しかし不安そうではあったが。

カスケ:ああ、そうじゃな。思い出せぬ事は辛い。

カスケ:先ほど、「たとえ話の中」で、儂は、マユラを殺したのはお前だというように語ったな。
全てを思い出したエティックは思うじゃろう。
「姉を殺し、あのような存在に変えたのは自分のせいだ」
その思いを、どうやって受け止める。
フェルネリアン。まだ神になったばかりの弱きモノ。

フェンネル:賢者よ、卿には色々なものが見えているのであろう。
希望しつつ、どこかで諦めているのだろう。
見えるから、変えられぬと思ってしまうのだろう。
でも、賭けてはみぬか? 
不安定なヒトの子の、弱くて、愚かで、あさましくて、それでも前を見ようとしている、その未知数な強さに。

カスケ:…(冷酷な瞳で、口元だけ笑った)
なんと、純粋な存在が出てきてしまったものよ。
まさに儂の計算通りと儂は笑うべきか。それとも、300年の前の自分を悔やむべきか。
そして儂は、計画を実行すべきかどうか。
今が儂にとって、千載一遇のチャンス。二度とは無かろうな。

フェンネル:卿の計画とは??(じっとじっと見やった)

カスケ:…まあ、言うだけ言ってみるかのう。フェルネリアン。
おぬしは、儂の意志に逆らってこの空間を脱出する術はない。

カスケ:『エティックの身代わりに死ね』

フェンネル:……………。

フェンネル:その覚悟がなくて、何を伝えると思っていたのだ、賢者よ?? 
余には、余自身しか、差し出せるものもないのに??(ふっと笑った)

カスケ:はあ、そう返すと思ったわい。

フェンネル:そう返すと思ったからそう言ったのだ。
しかし、本気だぞ。そうだな、2ドットくらいは。
いろいろ考えるのだよ、余の心臓の鼓動を、エティに分け与える事でもできれば、、とかな。

カスケ:もう少しあがいてくれるような、こう、王権にしがみつくような、あさましい人間であってくれとどこかで祈っていたのじゃがなあ。
そうだったら殺しやすいじゃろう。
儂は本気じゃよ、フェルネリアン。

フェンネル:わかっている。
余が犠牲になることで、エティやイリスが救われるのなら、それもまた、王族の役目であろう。友としての役目であろう。
余も本気ではあるのだぞ。

カスケ:300年前、少女が神の権能を絶望として振るう中、儂はひとり冷静じゃった。
儂はじっと考えておった。
『エティックを助ける方法』を。

カスケ:儂の昔語りをよく思い出すがいい。
少女も、少女の母も、動物も、全員が死を覚悟していた。
たったひとり、死など思いもしなかった、幸せだけを願って死んでいった者がおるじゃろう?

フェンネル:卿は、、卿の視点は、メルリースではないのだな。
不思議だった、卿はずっと、エティックを見ていた。
視点が違うのはそれだな??

カスケ:おぬしらの始祖に剣が渡ったのは、ただの偶然じゃ。
しかし、「神王」に関する内容の一部は、儂が吹き込んだものじゃ。

カスケ:儂は、…老いた梟は、長き旅の中、あるじとともに果てることを夢見て叶わなかった。置いてゆかれた。
どんな音も聞こえず、どんな光も見えず、死したあるじの面影だけを追いかけていた儂に、あの小僧は…儂が驚くほどの奇跡を。
もう一度、このものをあるじとしてもいいと思えるような笑顔をくれたのだ。

カスケ:動物たちはそれぞれ、思いが違う。
ソニアはメルリースを一番に思うておる。ブルーもじゃな。
しかし、フォルトは、母マリアンヌのほうに忠誠を誓った身じゃ。

カスケ:そして、儂が最も愛する存在は、あの小僧なのじゃよ。(悲しく笑った)

フェンネル:………!!(突然カスケを抱き締めて泣き出した)
余は、余は卿が想うような聖人でも神でもないのだ。
余は、余は、卿と同じなのだ。
エティックのことが大事なのだ。メルリースではなくてエティックなのだ。
卿なら気づいているであろう? 
余は、その感情の名前にも気づかずに、メルリースに嫉妬していた。
メルリースを助けたいとはもちろん想っている。偽りはない。ただ、エティックなのだ。そうしてフォロンで、ルナなのだ。
あさまじく、自分勝手な王子なのだ……。
13だった14の王子には、初めてできた親友が、世界より大事な時があるのだ……。
しかし、そんなことを言うのは、王となる者失格なのだ。
余は王権を放棄することはできぬ。
だから、これは卿にだけ吐き出す、真実のたわごとだと思ってくれ。

カスケ:…おぬしも、小僧よな。(なでなで…)

フェンネル:(撫でられてしばらくは年相応の子供らしく泣いてますが、一頻り泣いたらさっと涙を止めて拭って真顔になります。それくらいの分別はある)

カスケ:おぬしの髪色が、瞳が、一族のそれと違っていたことは…。
きっと、儂に、あの少女が怒ったのじゃな。
馬鹿なことはやめろ、本気で怒ると。腰に手を当てて、ぷんすかと。
弟は、そんなことを絶対に喜ばない、と…。
目に浮かぶわ。ありありとその姿が…。

フェンネル:そう思ってくれるのか? 
誰もが忌み嫌ったこの髪色、これは、、誰より優しかった、少女の怒りなのだと。

カスケ:絶望のメルリースが7つに割られる瞬間も、儂は非常に冷静じゃった。
「一体化」している間ならば、儂も他の能力を発動させるくらいはできる。ま、ほんの一瞬じゃが。
ほぼ自我を失っていた他の者と、儂は違っていた。

カスケ:儂はエティックの「肉体」を、儂が可能な限り再構築し、エティック自身の時魔法で『安全な時空』へと飛ぶようセットした。
行き先がどこになるかは、儂もさすがに余裕がなくてな。
曖昧な、しかし、必ずや安全な場に出たのであろう?

フェンネル:それは卿も、知っての通りであろうが。(ちょっと笑った)

カスケ:儂はその頃、砂漠で寝ておったが?

カスケ:儂にはルナのような力は無い。あの肉体は死んでおる。
エティックは死者のままじゃ。

カスケ:儂はな。
短剣を持つ人間が少しずつ神と化していくことを利用し、「王」を名乗る者への復讐もちまっとかねて、『イリスリード次期王の肉体から魂を抜き取り、ネロの手を借りて、エティックの魂を入れる』という作戦をたてておった。

カスケ:「イリスリードの次期王は、メルリースという存在を探す旅に出なければならない」
上記の内容を、王が代替わりするたびに行う風習と見せかけるのに、永く時を使った。
旅は一年であるという期限をつけ、安全だと思い込ませた。

フェンネル:(冷静に話を聞きます)

カスケ:時が来れば、儂は、リーリアによって起こされる。
そして儂は作戦を実行し、『記憶を完全に失った神王』が祖国へ帰還するという…まあ、ざっとそういう計画じゃよ。

カスケ:年格好が近い少年の肉体に宿った魂は、もう何にも縛られず、自由に、生きたいように生きる。
過去ももう、思い出さなくてよいと。
…さすが儂も神の一員、なかなか傲慢じゃろう?

フェンネル:悪くない計画ではあったな。
そして最高の素体が今ここにいるではないか?
今でも、その計画を望むか、賢者よ?

カスケ:だから言ったであろう、フェルネリアン。
おぬしが、もう少し自らの生にあがいてくれれば。もう少し、穢れていれば。

フェンネル:(それを聞いて哀しそうに笑った)

カスケ:時空がエティックの安全を確認したその時、運命に選ばれたのは、金髪碧眼の王子ではなかった。
きっと、メルリースが儂を叱ったのじゃよ。
遺伝子的に、エティックに近い色彩になる一族じゃとふんでおったのになあ。
ルナが権能を使った際、イリスの始祖がその色じゃったから、いけると思うたのに。

カスケ:まさか赤い髪に銀の瞳とは。…代わりになれんわ、フェルネリアン。
おぬしの身体はエティックの器にはなれんよ。(微笑んだ)

フェンネル:(何といっていいか、少し考えてる様子)

カスケ:だいたい、小僧から親友を奪えまい?
いつも、いつでも儂は、小僧の幸せを一番に考えておったのだから…。

フェンネル:ならば余も、メルリースに叱られたのであろうな。
卿が話す計画は、正直、かなり、甘美なものであったのだから……。

カスケ:あの小僧に、もう二度と、愛する者を失う涙は流させぬ。
儂よりエティックのほうが、すさまじく強い神じゃからな。
儂がかけた記憶の封印などもろいものよ。
真実に気づいたとき、小僧が泣くのはもう、見たくない…。

フェンネル:しかし、卿よ、余はエティックと約束したのだ。
必ず王になって、エティックのような悲劇を繰り返させないとな。
だから、これでも王権にしがみついているのだよ。

カスケ:…あの肉体はもう死している。
あのままを維持できるのは、数年が限度じゃ。
それまでに、小僧を救ってやってくれるか?

フェンネル:必ず。
言霊にのせて……。誓おう。
誓いの約束のキスは、エティックのためにとっておくがな。
ああ、これが、王子のキスで目覚める姫の物語だったらよかったのだが。

カスケ:じじいは謹んで遠慮するわい(笑)

フェンネル:いろいろ話させてしまってすまなかったな。
エティに真実を話すのは、もうしばらくだけ、様子を見よう。
きっと今は、それでもまだ、その時ではないのだ(微笑んで)

カスケ:さあ、外の時間も流れておることじゃろう。
王子、そろそろおねむの時間じゃぞ?
子どもは寝ろ。

フェンネル:(ふっと笑って)寝よう。
しかし話していて気になったことがあるのだ。
余の瞳には花が咲いている、、卿には、その華が何に見える??

カスケ:植物にはあまり詳しくはないが…。
それはきっと、「弟を思う姉の魂」じゃよ。(微笑む)
メルリ-スが達せなかった、「命懸けで弟を守る」ことを、おぬしの姉は達したのじゃな。

カスケ:おぬしは胎内にいるとき、少々「弱い肉体」であったようじゃ。
もうひとりもな。
片方しか残れぬ。だから姉は、おぬしのほうを守ったのじゃ。

フェンネル:………………。

フェンネル:だとしたら……必ず。今度はもう、悲劇にはさせはしまいよ。
余の身体にも魂にも、メルリースの願いが宿っているのだろうからな。
ありがとう、話せてよかった。今日は失礼する。
よい夢を。賢者よ。
あるいは、夢も見ないような、完全なる暫しの安らぎがあるように、願っている。

カスケ:ああ。よい夢を。
その魂も肉体も、しかと大切にせよ。(音もなくドアが開いた)

フェンネル:(しっかりと頷いて出ていった)

カスケ:(見送った後、しばし部屋で一人、昔の思い出にふけっている)

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最終更新:2017年08月04日 08:25