情なき薔薇の血/シャノン


光の幸(さき)わいし森より来たりた花薗に

秘密めいて心地よく咲く大輪の薔薇は

穏やかに咲降りして蓄え湛えた 

知恵と棘とわずかな血の毒



ああ あなたの瞳が宿す森の明朝(あさ)と昨夜(ゆうべ)が

出会うことはないであろうが

ああ あなたの血肉(ち)と精神(こころ)と清魂(たましい)に

安息があることを 水邊の様に



光る素足で歩く ふと河邊の水面を覗き込み

ナルキッソスにもなれずに ああ何も感じず

涙さえ流さず ただ棘が刺さったその血潮を

水に流した しかしまだそれにも気づかずに



魂が重い鎖であるならば 私には不要ですと

微笑むは 彼の民の血 ならばあなたに願う

心穏やかに シャノン 水泡より軽き御心に

流るるは彼の民の血潮 永遠に縛り 花咲く



誇り高き英知よ降りて 朝夜に降り注がれん

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最終更新:2017年02月10日 16:37