あけるりネタ

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あけるりネタ - (2008/04/04 (金) 04:24:30) のソース

俺はトイレから教室に戻ると、俺の席で何かしていた比呂美が、慌てて自分の席に戻った。 
「比呂美、どうした?」 
「う、ううん、何でもない」 
首筋をかすかに赤くしながら答える比呂美。 
見るからに何かありそうな雰囲気だが…… 
「仲上君、ノート返してもらっていい?」 
黒部さんが話しかけてきた。 
「あ、借りてたんだっけ、ごめん」 
「いーよ」 
「それより、ちゃんと写せた?」 
「ああ、バッチリだ」 
「あははははっ、感謝してよ~」 
始業のチャイムが鳴る 
「じゃ、またねっ」 
黒部さんは、比呂美の親友ということで、俺とも気軽に接するようになっていた。 
それまでは知らなかったが、つき合うと案外良いヤツだ。 

--- 

「では、ここの和訳を……」 
うわ、当たるなよ当たるなよ…… 
俺は心の中で呟いた。 
「今日は13日だから……黒部、やってみろ」 
「はーいっ」 
予習万全の黒部さんが、意気揚々と立ち上がった。 
「サムはメアリに、最近の経済状態について一通り解説した」 
「というわけで、僕もお先真っ暗ってワケさ」 
ノートに書かれた訳を読み上げていく黒部さん。 
さっき俺が写させてもらった箇所だ。 
「今夜、部屋に来て……ぇぇええ?」 
「……って、なんじゃこりゃーっ!」 
教室に黒部さんの声がコダマした。 
「……メアリがサムを好きだったなんて、新しい設定だな。黒部、廊下に立っとれ!」 
……何やってんだ、アイツ…… 
俺のノートには正しい訳が書かれているのに。 


昼休みになり、すぐ黒部さんが現れる。 
「よく分からないけど、災難だったな」 
「え、あ……そうだね……」 
「あの……仲上、くん?」 
もじもじしている。何だか胸が高鳴った。 
「あの、その……今夜……OKだから」 
きゃっと顔を伏せる黒部さん。 
…… 
「何のこと?」 
訳が分からん。 
「何のことって、ノートの話よ」 
瞳を輝かせ、にじり寄ってくる黒部さん。 
「いや、あの……全く身に覚えがないんだけど……」 
「……え?」 
そこに比呂美が現れた。 
「ごめん、あれ書いたの私」 
「ぶふぅっ!」 
黒部さんがこけた。 
「あの……比呂美、何やったんだ?」 
「え……と、眞一郎君のノートだと思って……「来て」って書いちゃったかも……」 
「……」 
よりにもよって、そんなメッセージを…… 
正直、眩暈がした。 
「お……お……おのれらは、他人のノートで何しとるんじゃー!!」 
黒部さんが噴火した。 
「ごめん……」 
比呂美がしゅんとなる。 
「罰として、仲上君は没収です」 
「あっ」 
「おっ?」 
黒部さんが、ぐいっと俺の左腕を引く。 
「と、朋与?」 
負けじと比呂美も俺の右腕を引っ張る。 
「ぐあっ」 
「いいじゃない、比呂美。減るものじゃないし」 
「減ります」 
「まぁまぁまぁまぁ!」 
黒部さんの腕に力がこもる。 
「眞一郎は私と付き合っているのっ!」 
比呂美が教室中に響き渡る声で噴火した。 
…… 
…… 
ざわざわ 
そして歓声と冷やかしの声がわき起こる。 
「うわあぁぁぁ……」 
「ひ、比呂美?」 
ふらふらと、比呂美が俺から離れる。 
そして 
「ひゃぁぁぁぁっ」 
教室から飛び出していった。 
ツールボックス

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