true tears (アニメ) まとめwiki内検索 / 「true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~序章~」で検索した結果

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  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~序章~
    true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~序章~ 「やっぱり阿蘇山かな」 「えぇー定番過ぎない?」 「な、この菊池渓谷ってのはどうだ?紅葉の名所らしいぜ」 「よく見なさいよ。九州じゃまだ見ごろには早いわよ」 「ちょっと遠いけど球泉洞がいいな。洞窟って神秘的な響きじゃない」  眞一郎、朋与、三代吉、あさみ、そして比呂美の5人は、修学旅行の自由行動のコースを検討していた。 「熊本城から水前寺公園。これが一番無難だよなあ」 「うわっド定番」 「なぁんか8割以上はこのコースにしてそう」 「自由行動なのに団体行動にしか見えないみたいな・・・・」 「でも、定番になるだけあって一番充実してると思うよ。市外に出るよりも見学時間が長く取れるのもいいと思う」  結局、眞一郎の提案に比呂美が賛成し、反対意見を出すものもなしというところで話がまとまり...
  • hiromiss
    ...MAMAN書き氏 true MAMANシリーズ 01:true MAMAN 不器用な子なの 02:true MAMAN いつになったら 03:true MAMAN それなら、やることは一つ 04:true MAMAN 私がそうしたいだけだから 05:true MAMAN 落ち着け、そんな訳、ないだろう 06:true MAMAN 外伝 やっぱりあんこよね 07:true MAMAN もしよかったらだけど 08:true MAMAN あなたを見ている人がいる~序章~ 09:true MAMAN あなたを見ている人がいる~比呂美の章1~ 10:true MAMAN あなたを見ている人がいる~眞一郎の章1~ 11:true MAMAN あなたを見ている人がいる~比呂美の章2~ 12:true MAMAN あなたを見ている人がいる~眞一郎の章2~ 13:true ...
  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~前夜~
    「もう仕度全部終わった?」 「え?ああ、旅行の?うん、もうばっちり」  部活の後、ロッカールームで着替えながら、朋与と比呂美は明日からの修学旅行の話をしていた。 「朋与はまだなの?」 「あたしももう終わってるんだけどさぁー、荷物が多くて多くて」 「・・・・三泊四日で移動は制服なんだから、そんなにならないと思うんだけど」 「はあ?何をおっしゃいますか比呂美さん?旅館の中でまさかジャージで歩き回るつもり? 旅館着いてすぐとお風呂の後、それに夜のパジャマで最低9着は要るでしょう?」 「そんなに着替えても気がつく人いないって」 「あぁ~ヤダヤダ、これだから亭主持ちは。よろしい、教えてあげましょう。 「修学旅行の旅館の中、それは学校の中でありながらプライベート空間でもあるという二つの 世界の狭間。女子はここで学校とは少しだけ違う顔を見せるの。普段は制服姿しか見ていな い同級生...
  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~2日目~
    「……間違えてる。このスケジュール絶対間違えてる」  眞一郎がぐったりとしながら言う。 「…去年と変わらないはずだよ?キャプテンも言ってたし」  比呂美がやんわり制すが、こちらもかなり参っているようだ。 「高岡キャプテンも九州が嫌いになりそうな旅行だった、て言ってなかったっけ?」  朋与が力なく指摘した。  修学旅行二日目、長崎である。朝旅館を出た後、バスで長崎に向かったが、大渋滞に 巻き込まれ、予定を2時間以上もオーバーしてやっと到着したのだった。  ここでハウステンボスやグラバー邸を観光し、海路で熊本入りして二泊目、が本日の予 定である。 「ま、これで夕方から船ってんだからきついわな」 「ねー早く行こうよー。時間もったいないよー」   眞一郎のグループで元気なのは、乗り物に乗ると条件反射で寝てしまうあさみと、ほぼ 徹夜で賭けポーカーをして、同じく道中爆睡の三代...
  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~一日目~
    「くううぅぅ、やっと歩けるー」  三代吉が大きく伸びをする。眞一郎もそれに続く。  朝、駅に集合してからサンダーバード、新幹線、バスと乗り継ぎ、ようやく最初の目的地、 海の中道海浜公園に到着したところである。  ここで少し遅い昼食をとった後、適当に散策時間を設けて次の目的地へ、という計画にな っていた。  季節外れのバーベキューで腹を満たした後、園内に散っていく。富山に比べれば、やはり 格段に暖かい。 「しかしさっきから、あんまりグループ行動になってないんだな。2,3人でバラバラに動いてる 感じだ」  眞一郎が思った通りを口にすると、あさみが訳知り顔に首を振った。 「わかってないなー仲上君。これは最初の大きなチャンスなんだよ」 「チャンス?なんの?」 「告白よ、こ・く・は・く。今まで気になってたけど話すきっかけのつかめなかったあの人と、 ここでカップル成立すれば...
  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~三日目・復路~
    「……あった」  眞一郎はショーケースを見て呟いた。  熊本城下の土産物屋で、ついに眞一郎は自分の希望に叶う品を見つけたのである。  青磁ではなく白磁だったが、細やかなフルーテッドが入ったペンダントで、白地に椿の 花が描かれたデザインは、眞一郎から見て、旅館で見たペンダントよりむしろ比呂美には 似合ってるように思える。  問題は…… 「高え……」  値段は旅館で見たものよりはるかに高かった。いくらなんでも予算オーバーだ。 「でも、これなら比呂美にも……」  簡単には諦めがつかない。  あまり比呂美に何かをプレゼントしたことはない。バイトもしていない高校生では資金 力に問題があるし、比呂美もそれをわかっているから、何かを欲しいとは言わない。誕生 日も安物のマグカップを揃いで買っただけだ。  だが、昨日のキーホルダー。あんな安物でもあんなに喜んでくれた。口には出さな...
  • true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~三日目・往路~
     三日目は自由行動である。  眞一郎、比呂美、朋与、あさみ、三代吉は予定通り市内観光コースに出た。  予定を立てているときはほとんど皆市内に出るのでは、と予想していたが、実際には そこまで多くなく、半数ほどは阿蘇まで足を伸ばしていた。 「あたし達も阿蘇にすればよかったかな?」 「いいよ。もう乗りっぱなしは飽きた」 「あたしも~」  しかし、市内観光にしても移動手段は使わなければならない。5人ではタクシーにも乗 れないため、市電を使うことにした。 「実は私トラムって初めて」 「実は俺もだ」  何故か嬉しそうな比呂美に、眞一郎が応える。富山にもLRT(路面電車)はあるのだが、 眞一郎は利用した事がなかった。そんなどうでもいいことでも比呂美と共通点があったこ とで嬉しいと思う自分が、妙におかしかった。 「なぁ~にニヤニヤしてんのよ?」  顔に出てしまったらしい。慌て...
  • true MAMAN最終回後の小ネタ
    ...aQL 627 true MAMAN最終回後(十一幕後)として読んでください  卒業式が終わった。  高校生活の終りである。全ての卒業生にとって大なり小なりさまざまな想い出を残し、ひとつのステージを終えた。  その中の極一部にとっては、最後の一ヶ月に鮮烈な記憶を残した者たちもいる。黒部朋与、浅海絹もそんな一人だった。 「さーパーティーだ、パーティー!食うぞー!歌うぞー!騒ぐぞー!」 「朋与、はしゃぎすぎだよ」  あさみが窘める。結局名古屋の大学には落ち、春からは朋与と同じ大学に通う事になっている。 「いいじゃない、今日くらい、無礼講よ、無礼講」 「今日『くらい』?するといつもはあれでも自重してるつもりだったのか?」  三代吉が茶化す。が、その三代吉も浮かれているのか、顔が崩れ気味だ。 「朋与。騒いでもいいけど今日の目的は忘れないでね」 「わかってるわよ。朋与さんにまかせない!」...
  • true MAMAN 最終章~第二幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第一幕~ 「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」 「明けましておめでとうございます。どうぞお上がり下さい」  比呂美が6組目の来客を迎え入れる。今度の一家は理恵子の父方の叔父とその息子 夫婦で、眞一郎から見れば「大叔父」に当たる。  大叔父と比呂美は互いに初対面だが、事情は既に理恵子から聞かされているらしく、 少なくとも表情に出しては困惑しなかった。  これで合計19名、思ったよりは少ないが、全員揃った事になる。  少ない理由は、比呂美と同世代の、例えば大叔父の息子夫婦の子供などが全く来て いないせいもある。 「あの、みなさんお子さんは連れてこられないんですか?」  理恵子に訊ねると、 「お酒も入るし、もっと小さい頃なら子供同士で遊ばせる事も出来るけど、高校生に なるとね」 「でも、それ...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第三幕~
    true MAMAN 最終章~第二幕~ 「センター試験は、どうだったんだ?」  ひろしが、眞一郎と比呂美に訊いた。 「自己採点ではギリギリだけど通ったよ」 「私も、なんとか行けそうです」  眞一郎と、比呂美がそれぞれに答える。 「そうか。それなら、あとは志望校の対策に、専念できるな」  1月も下旬である。センター試験の後の悲喜こもごもはあったが、眞一郎も比呂美もそ の時点からの方針転換を強いられる事もなく、予定通り地元と東京の大学への出願書 類をまとめていた。 「この後の予定は、どうなっている?」 「えーと、16日に美大、25日と3月7日にこっちの大学前後期で受ける」 「私も、15日が東京で、後は同じです」 「前後期両方受けるのか?」 「一応不安なもんで」 「でも、東京の合否発表は後期の前ですから、それによっては後期は受けなくて大丈夫 ですけど」  ...
  • true MAMAN もしよかったらだけど
    true MAMAN もしよかったらだけど 今回もママン視点ではありませんが本編です ママン視点で書いてみたら思ったほど明るくならなかったので書き直しました 時期的には最終話で眞一郎と比呂美がやっと結ばれた直後位、まだ比呂美とママンの関係が少し固いです 「はい。じゃあそういう事で。すいません、よろしくお願いします」  比呂美は電話を切り、大きく息をついた。電話をかける前よりも身体が重い。  熱があるのだ。 (もう随分長いこと風邪なんてひかなかったのに・・・)  少なくとも仲上家に引き取られてからは初めてのはずだ。  仲上の家を離れて、一人で暮らし始めた。眞一郎と兄弟でない事もはっきりした。そして、なによりも、眞一郎から告白 された。ずっと隣にいてくれると言ってくれた。  何もかもが、1年半前とは違っていた。何もかもがあまりにも上手く行き過ぎて、気が緩んだのだろうか? (仲上の家には連絡した...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~終幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第十幕~ 「比呂美ちゃんが――いなくなったの」  理恵子の言葉を眞一郎が理解するまでに数瞬、問うべき言葉を考え付くまでに更に数瞬を 要した。 「いなくなった?いつ?なんで?どこに行ったの?」  理恵子は首を振る。 「わからないの。比呂美ちゃんの夕食を下げた後、私も少し何か食べようと思って外に出て、 暫らくして戻ってきたら、ベッドにいなくて・・・・」  理恵子の顔は、それこそ病人のようだった。 「元気になってくれたと思ったのに」  理恵子が自分の本心を打ち明けた後、比呂美はようやく笑ってくれた。理恵子の切ったり んごを食べ、病院の夕食を平らげた後、安心したように眠った。  恐らく、この四日間熟睡できた事などなかったのだろう。比呂美の眠りは深かった。  理恵子は比呂美の寝顔を眺めていたのだが、今夜はこのまま一緒にいて...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第一幕~
    ...atwiki.jp/true_tears/pages/282.html  サイレンが聞こえる。  雪の中、理恵子は不安の中でサイレンの方角へ走ってゆく。  『そこ』にはパトカーと、救急車が止まっていた。  既に集まり始めていた野次馬を掻き分け、前に出る。  『そこ』では、バイクが炎上していた。赤々と燃え上がる炎が、辺りを照らしていた。  救急隊員が担架に乗せて怪我人を運ぶ。その一方で警官が現場保存に奔走していた。  その警官の足下に、シートが掛けられている。即死したのだろうか。救急車は決して死 者を乗せることはない。  理恵子は恐慌寸前の目で、そのシートに目を凝らす。ほとんど全身が隠されていて姿は 見えない。だが、シートの隙間から、明るい色をした髪がかすかに覗いている。そしてシ ートからはみ出したマフラーはピンク色をしていて―― 「――!...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第六幕~
     true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第五幕~ 事故から四日が過ぎた。 病院に近いファミレスに、比呂美の友人達が集まっていた。 愛子、ルミ、カナ、あさみ、それに三代吉だ。 場は極めて重苦しい空気に包まれている。 「どうにかならないかしら・・・・」 カナがため息をついた。 この三日間、三代吉を除く四人は毎日入れ替わりに比呂美を見舞っていた。 だが、見舞いで病室にいる間、比呂美は泣きながら謝り続けるのである。 『迷惑かけてごめんなさい』 『私の為にごめんなさい』 『大切な時期なのにごめんなさい』 見舞いに行くことで比呂美がむしろ病んでいくような錯覚さえ覚える。とはいえ、あれ ほどまでに不安定な比呂美を一人にする事も出来ず、皆、見舞いに行っては比呂美が 泣き続けるのを見守っていたのである。 だが、それも限界に近かった。このままでは自分達はともかく、比...
  • true MAMAN最終章・私の、お母さん~第六幕~
     [[true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第五幕~]] 事故から四日が過ぎた。 病院に近いファミレスに、比呂美の友人達が集まっていた。 愛子、ルミ、カナ、あさみ、それに三代吉だ。 場は極めて重苦しい空気に包まれている。 「どうにかならないかしら・・・・」 カナがため息をついた。 この三日間、三代吉を除く四人は毎日入れ替わりに比呂美を見舞っていた。 だが、見舞いで病室にいる間、比呂美は泣きながら謝り続けるのである。 『迷惑かけてごめんなさい』 『私の為にごめんなさい』 『大切な時期なのにごめんなさい』 見舞いに行くことで比呂美がむしろ病んでいくような錯覚さえ覚える。とはいえ、あれ ほどまでに不安定な比呂美を一人にする事も出来ず、皆、見舞いに行っては比呂美が 泣き続けるのを見守っていたのである。 だが、それも限界に近かった。このままでは自分達はともかく、比呂美がもたない。 今いる全員...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第十幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第九幕~ (やっぱりな・・・・)  三代吉は病室に入ってすぐ、そう思った。  朋与の様子を見れば、比呂美がどうなっているか予想はつくというものだ。  比呂美は何も言わずに泣いていた。もう自分を責める言葉も、詫びる言葉もない。ただ、 涙を流し続けている。  愛子とあさみはそんな比呂美に、それでも言葉をかけてはいたのだろう。だが、今はそ の言葉も尽きたようだった。 「比呂美ちゃん・・・・」  愛子がそれでも比呂美に呼びかける。何か話しかけ続けなければ、比呂美が消えてしま うのではと恐れているようだった。 「もう、いいの」  比呂美の返答はこれだけだった。ついに会話を拒絶するようになってしまった。 「みんなももう、お見舞いに来なくていいよ。あさみ、もうすぐ受験でしょ?」 「あ、あたしは、大丈夫だけど・・・・」  あ...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第五幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第四幕~  病院の前に車を付け、ひろしが中から飛び出す。  あせる気持ちと懸命に闘いながら手術室に向かう。手術室の前には、既に何人も集 まっていた。  自宅で連絡を受けた理恵子と眞一郎、友人経由で報告を受けたらしい愛子とルミ、 見慣れぬ中年男性は担任だろうか。  ひろしは理恵子に問いただした。 「どうなんだ、容態は?」  理恵子は蒼白になった顔貌を上げることも出来ずに、それでも必要な答えは返した。 「脳波に異常はないそうです。・・・・ただ、その・・・・赤ちゃんの方が・・・・・・・・今、そのた めの処置をしてくれているのですけど」 「・・・・そうか」  ひろしはそれだけ答えた。組合の会合先に連絡が入った時、既に比呂美の妊娠につ いても聞いていた。 「それで、そっちは、どうなんだ?」 「まだなんとも。・・・・ずっ...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第七幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第六幕~ 「黒部さん・・・・」 「こんなところで、何してるって訊いてるのよ、仲上眞一郎!」  眞一郎が今までに聞いたことのない朋与の姿だった。声を震わせ、泣き腫らした目は 真っ赤で、眞一郎はスコットランドの伝説にあるバンシーを連想した。  すぐに慄然とした。バンシーは人の死に現れる妖精だったからだ。不吉な想像が頭を よぎった。 「比呂美に、何かあったのか・・・・?」  不用意な一言は朋与の逆鱗に触れた。朋与は雪の中を眞一郎に近づいていき、彼 の手前1mの辺りで止まった。 「何か?別に昨日と何も変わってませんとも!昨日と変わらず比呂美は泣き続けて、 昨日と変わらず自分を責め続けて、昨日と変わらずあなたに迷惑かけてると謝ってた わよ!ああ、そう言えば今日は雪がまた嫌いになったとか言ってたわね。それとも何? ご高名...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第八幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第七幕~  朋与が眞一郎に感情をぶつけた日から、二日遡る。  理恵子は比呂美の病室にいた。  前日の、自分が帰った後起きた件については既に医師から聞いてい る。  聞いて尚、比呂美にかける言葉がなにもなかった。  どうすればいいのかわからない。何を言えばいいのかわからない。  花を生け、窓と反対側に飾る。外の雪はなるべくなら見せたくな い。 「・・・・お花、ここに飾るわね。少しは華やぐでしょう」  花は赤いガーベラだった。香里の好きだった花である。比呂美が好 きな花かどうかはわからないが、嫌いはしないだろう。 (私は、この娘の好きな花すら知らない)  理恵子は、自分が比呂美の事を何も知らないのだと思い知らされて いた。この二年間で比呂美の理解者になれたと少しでも考えていた事 が、ただの思い上がりでしかなかった...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第九幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第八幕~  再び、四日目の夜。  朋与はルミらに付き添われて家に帰ると、そのまままっすぐに自室に篭り、中から鍵をか けてベッドに臥せっていた。  部屋は妹と共有であり、本来なら鍵をかけるのはルール違反なのだが、それを破ってでも、 独りになりたかった。  眞一郎を殴った手が痛む。  朋与にしても、眞一郎が比呂美の為に何もしていなかったとは思っていない。停学騒ぎの 際に比呂美を侮辱した男子と取っ組み合いの喧嘩をした事も知っているし、家庭の問題が眞 一郎の母親との関係であるならば、眞一郎がでしゃばれば事態が悪化するだけだったろう事 も察している。  それでも、眞一郎には強く、比呂美を任せられる男であって欲しかった。  比呂美はそれほど強い娘ではない。両親を失った比呂美は、辛い現実から守ってくれる存 在も、現実からの逃げ...
  • true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第四幕~
    true MAMAN 最終章・私の、お母さん~第三幕~ 「ちょっと、そんなもんで足りるの?」  朋与がさすがに訊いてきた。 「うん、足りるよ」  比呂美がにっこり笑いながら即答する。 「ダイエットでもしてるの?そんな必要なさそうだけど」  あさみも疑問なようだ。 「ダイエットじゃないけど、バスケやめて運動減っちゃったから、カロリー計算はしてるよ」 「一時食欲なかったみたいだけど、昨夜は普通に食べてたし、食欲は戻ってきてるよ」  これは眞一郎だ。 「だから新婚アピールはいいっての」  珍しく三代吉が突っ込む。  ファミレスである。学校も2月になると授業らしい授業もなくなる。午後の授業もないの で、帰りにファミレスで食事をしようということになった。  その席上で、比呂美はサラダとパスタのみ、しかもパスタは半分ほどしか手を付けて いなかったのである。  その...
  • true MAMAN特別編  自分の親に出来なかった事を
    「行ってきます」  眞一郎が学校に向かい、ひろしも酒造所に戻って行った。残った理恵子は食器を洗おう と台所に運ぶ。  床が柔らかくなったような感覚に足下を見た。何も変わっていない。二、三度足踏みし てみたが何も起こらない。特に床が腐っているわけでもないようだ。  首を傾げながら洗い物を続ける。蛇口から流れる水を見ながら洗っていると、水が二重 にぶれて見えた。目を瞬(しばたた)かせてもう一度見直す。最初は普通に見えた水道水 がまた二重になった。次いで軽い頭痛。ようやく理恵子にも事態が飲み込めた。  理恵子は風邪を引いていた。 「――三十七度七分か。今日は寝ておけ」  昼に戻ってきたひろしは理恵子が居間で横になっているのを見ると、何も言わずに体温 計を持って来た。 「すいません。お昼も作らないで」 「いい。上で寝てろ。昼は適当に食う」  それから一瞬間を置...
  • true MAMAN
     カチッ  カチッ、カチッ  マウスを操作して、帳簿を入力していく。最近になってソフトをアップデートしたため、どうも勝手が違う。  ああっ、また間違えた。  若い人ならすぐに慣れるのだろうけれど、私のような年齢になると、使いもしない機能足したせいで操作が変わっても、 使いづらくなるばかりだわ。  理恵子は何の建設性もない文句を心の中でパソコンに叩きつけていた。 「おばさん、いる?」  勝手口が開き、眞一郎と同年代の、小柄な女の子が顔を出した。  愛子だ。 「どうしたの?」 「蔵の人に訊いたら、ここから入っていいって言われて。後で家にお酒配達してもらえないですか。急なお客が来る事に なっちゃって」 「わかったわ。誰かに持って行かせます。急ぎではないのね?」 「うん、どうせお酒は夜だから。帳簿つけてるんですか?」 「そうなの。なかなか...
  • true MAMAN あなたの代わりになれるかな~完全版~
    ... ノート true MAMAN史上最長編です。前編としたものを修正・再録しています。 命日ではなく湯浅夫妻の結婚記念日としたのは、命日だと比呂美も気付いて寺に来そうだからです。眞一郎含め4人揃うラストもよさそうでしたが、ここはひろしだけが理恵子を理解する、と見せたかったので、こういう形にしました。 あと、予定外ですがここでシリーズのメインテーマバラしてます。 true MAMANは「理恵子と比呂美が、本当の親子になる物語」をテーマにしています。「お義母さん」ではなく「お母さん」と呼ばせたいのです。
  • true MAMAN あなたを見ている人がいる~序章~
     台所に立って、理恵子は夕食の支度をしていた。  ――さあ、どうしたものかしら。  支度をしながらも理恵子は、全く別の思索に頭の大部分を支配されていた。  三者面談はもうすぐだった。今回の面談では進路についての具体的な話しをしなけれ ばならない。具体的な話をするには親子でまず話し合わねばならないが、仲上家の2人 の子供は、将来について、話し合う事を好まないようだった。  一向に跡を継ぐと言ってくれない息子も悩みの種だが、娘の方は別の意味で尚深刻だ った。  そして先刻、学校から電話が入った。進路希望調査票(いつの間に書いたのか、そんな もの)の内容についての確認だった。 「あなた、お話があります」  食後のひと時だった。眞一郎はもう自室に戻っている。理恵子は、敢えて眞一郎がいなく なるのを待っていたのである。 「ん、なんだ?」 「今日、学校から連絡があったんですけど・・・・進路の事で」 ...
  • 35スレ目のヤンデレと独占の妄想
    ...に修学旅行編予告編 true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~序章~ 「やっぱり阿蘇山かな」 「えぇー定番過ぎない?」 「な、この菊池渓谷ってのはどうだ?紅葉の名所らしいぜ」 「よく見なさいよ。九州じゃまだ見ごろには早いわよ」 「ちょっと遠いけど球泉洞がいいな。洞窟って神秘的な響きじゃない」  眞一郎、朋与、三代吉、あさみ、そして比呂美の5人は、修学旅行の自由行動のコースを検討していた。 「熊本城から水前寺公園。これが一番無難だよなあ」 「うわっド定番」 「なぁんか8割以上はこのコースにしてそう」 「自由行動なのに団体行動にしか見えないみたいな・・・・」 「でも、定番になるだけあって一番充実してると思うよ。市外に出るよりも見学時間が長く取れるのもいいと思う」  結局、眞一郎の提案に比呂美が賛成し、反対意見を出すものもなしというところで話がまとまり、その他の行動予定を 書き込...
  • true MAMAN 外伝 やっぱりあんこよね
    「ん~おいしい、やっぱり運動の後はあんこよね~」 「朋与、この前は運動の後はアイスに限るって言ってたよ」 「揚げ足取るなっ。要は甘いものが一番って事よ」  今川焼き屋「あいちゃん」店内である。部活も終り、比呂美と朋与は、たまにはとこの店に寄道して、今川焼きを 食べていた。  当然、焼いているのは愛子である。  他に客もなく、店内は目下、女子高生3人の独占だった。 「愛ちゃんごめんね。騒がしくて他のお客さん逃げちゃったみたい」 「今の時間はいつも誰もいないんだから、気にしないの」 「そうそう、あたし達でその分たくさん食べればいいんだから」  太るよ、と比呂美が茶々を入れると、高音域の笑い声に包まれた。大声で騒いでも迷惑にならないのは、やはり 気楽だ。 「ところで比呂美、最近どうよ?」 「え?どうって?」 「とぼけなさんな。仲上眞一郎の事ですよ」  愛子の心の中で、愛子の耳が二回り巨大化した。...
  • true MAMAN 不器用な子なの
    「――そう、わかったわ。それじゃ、あなたも気をつけて」  理恵子は電話を置き、居間の比呂美を見やった。  比呂美はお茶にも口をつけず、虚ろな目を下に伏せている。  理恵子は目を瞑り、ほんの数瞬考えをまとめ、居間に戻った。  麦端祭りの後、後片付けをしていた理恵子は、下駄を片方脱いでふらふらと歩く比呂美を発見したのだ。  名前を三度呼んだところでようやく足を止めた比呂美を自宅に連れ帰り、着替えをさせて居間に座らせて、お茶を 淹れた。  比呂美はその間一言も発しなかった。  もっともこの1年、理恵子と比呂美の間に会話らしい会話はほとんどない。その責任のほぼ全面は理恵子にあり、 双方の努力によって改善は見られるものの、理恵子はまだ、比呂美から話掛けられた事がない事実を苦く認識して いた。  だが現在の沈黙は根本的に意味が異なる。 ...
  • true MAMAN ここにいるよ…
     学校が終わり、眞一郎と比呂美は二人で帰路に着いていた。  比呂美はごく自然に腕を眞一郎に絡めている。 「いよう、若夫婦。今日も仲いいねえ」  道往く人の冷やかしも気にならなくなった。慣れというのは凄いものだ。 「ねえ眞一郎くん、このまま夕飯のおかず買いに寄っていい?」 「もちろん、今日は何にするんだ?」 「ううん、と。とりあえず店で安いもの確認してから決める」  二人は市内のスーパーに入る。  カートを取り、カゴを乗せる。  比呂美は、このスーパーで2人でする買い物が大好きだった。  デートのような特別な事はなく、あまりにも日常な行為。それを2人で一緒にできると 言うのが嬉しい。  比呂美と眞一郎は、個人的には不安や悩みを抱えていたものの、それも2人でいる間 は些細な問題に思えた。世界の全てと言ってもいい互いが、自分の隣で夕食の買い物 をしている。その事実の前...
  • true MAMAN 番外編 今、俺は最低なおっさんじゃなかったか
    「社長、今日本当にいいんですか?」 「ああ、気にするな」 「俺、嬉しいッス。坊ちゃんや比呂美さんの学校の文化祭が見れるなんて。社長、ありがと うございますッ!」 「礼を云われる事でもない。それと、社長は止めておけ」 「?わかりました、社長!」 「・・・・・・・」  俺は肩をすくめ、後は無言で歩いた。  そう、今俺は住み込みの少年を供に、麦端高校の文化祭を見に行くところだ。  今まで子供の文化祭など見に来たことはない。運動会だって最後に行ったのは眞一郎が 小三の時だ。それ以降は理恵子一人に任せてきた。  それが今年に限って 「あなたも一度くらいは眞一郎達の文化祭を見に行ってはどうですか。まだあなたが学生 だった頃の先生も何人か残っているのでしょう?」  と言って、いつの間にか少年連れて文化祭行きが決定していたのだ。  当時の担任どころか、俺の同級生で今あそこで教...
  • true MAMAN 私が怒ってるのは・中篇
     眞一郎と比呂美、それに朋与が教室に戻ってきたのは昼休み終了直前である。  そして、戻ってくるまでに、食堂での「事件」は既に先行して広まっていた。 「おい、眞一郎。どこ行ってたんだよ?」 「どこって・・・・比呂美のところだよ。謝って来いって言ったのお前じゃないか」 「食堂の話、お前らより先に教室に入って来たぞ」 「な!?どんな話だよ?」 「昨夜湯浅が寝言で4番の名前言って、それでお前が嫉妬して、挙句湯浅が逆ギレした ことになってる」  眞一郎の口が四角く開かれ、そのままの形で教室を見渡した。目の合った同級生が ことごとく顔を背ける。 「なんだ・・・・それは」  やっと言葉を吐き出した。  食堂を出た後、体育館に入った比呂美を追ったが、朋与に 「謝るにしても作戦を練り直して」  と追い返され、行き場もなく地べたの小屋に向かったのだった。  これで乃絵に出くわした...
  • true MAMAN 私が怒ってるのは・前編
     4時限目である。外は朝からの雨が勢いを弱め、それでも止むことなく降り続いている。 空は濃い灰色、黒板に目を向ければ英語のグラマー、どっちを向いても眠くなる。  三代吉は同級生達の顔貌を見回すことにした。睡魔との闘いに苦戦する者、既に 敗北を喫している者、機械のようにノートを録り続ける者。各々が各々らしい過ごし方を していた。  頭に何かが当たった。三代吉はもう一度周りを見渡すと、黒部朋与がこちらを見ていた。  足下に落ちた紙を拾い上げ拡げて見る。紙には「比呂美と仲上君何かあったの?」と書 かれていた。  もう一度朋与を見る。目配せで合図してきた。合図のままに眞一郎と比呂美を見る。  一見いつもの光景だった。比呂美は授業に集中し、眞一郎は時折比呂美の事をチラチ ラと気にする。だが、言われて見れば今日はいつもと違った。  眞一郎はほとんどずっと比呂美だけを見ていて、授業...
  • true MAMAN 明日がいい日でありますように
     土曜日の午後。  天気はやや風の強い晴れ。  天気予報によれば明日も晴れ。 「これなら、予定通り、決行できそうだな」 「そうッスね!俺、楽しみッス!」 「それじゃ、明日は予定通りということでよろしいのですね?」 「ああ、そうだな」 「比呂美、今日はうちに来るんだろ?」 「うん、おばさんのお手伝いするから」 「明日ホントにいいのか、俺たちまで呼ばれて?愛子が私も手伝える事あれば、て言って たぞ」 「ありがとう。でもお台所、3人入ると少し手狭だから」  同じ日の放課後である。比呂美は帰宅後、仲上の家に来る事になっていた。  もう今では校内でどんな話をしていても周囲の目を気にする事はない。昼休みに校庭で 堂々のプロポーズをして以来、それまでの好奇や冷やかしの視線も気にならなくなってい た。  それはともかく、仲上家来訪の目的である。比呂美は料理の手伝い...
  • true MAMAN 私が怒ってるのは~中編~
     眞一郎と比呂美、それに朋与が教室に戻ってきたのは昼休み終了直前である。  そして、戻ってくるまでに、食堂での「事件」は既に先行して広まっていた。 「おい、眞一郎。どこ行ってたんだよ?」 「どこって・・・・比呂美のところだよ。謝って来いって言ったのお前じゃないか」 「食堂の話、お前らより先に教室に入って来たぞ」 「な!?どんな話だよ?」 「昨夜湯浅が寝言で4番の名前言って、それでお前が嫉妬して、挙句湯浅が逆ギレした ことになってる」  眞一郎の口が四角く開かれ、そのままの形で教室を見渡した。目の合った同級生が ことごとく顔を背ける。 「なんだ・・・・それは」  やっと言葉を吐き出した。  食堂を出た後、体育館に入った比呂美を追ったが、朋与に 「謝るにしても作戦を練り直して」  と追い返され、行き場もなく地べたの小屋に向かったのだった。  これで乃絵に出くわしたら最悪だな、とも思ったが、幸い...
  • true MAMAN 私がそうしたいだけだから
    「今日は悪かったわね。お休みだったのに」 「いえ、特別することもありませんでしたから」  日曜日である。理恵子と比呂美はショッピングモールを歩いていた。  理恵子は先代からの付き合いのある料亭に所用があり、それに比呂美を同行させた。今はその帰りである。  比呂美を同行させたのはいくつかの付け届けの品を持ってもらうためだが、第一の目的は勿論比呂美を紹介するためで ある。仲上家の娘として、そしてほぼ確実に将来的な嫁として、覚えをめでたくしておくのは早いに越した事はない。  今は帰り道、隣街のショッピングモールに立ち寄っている処だった。 「あの・・・何か買って帰られるんですか?」 「とりあえず夕食のおかずは買っていきましょうか。比呂美ちゃんも今日は家で食べていくといいわ」 「はい、ありがとうございます」  知らない者が二人を見たらどう見えるだろうか。親子でない事はお互いの言葉使いから気付くだろう...
  • true MAMAN 私が怒ってるのは~後編~
     翌朝、眞一郎の目覚めは最悪だった。  昨日アパートで最後に見た、比呂美の笑顔の癖に今にも泣き出しそうな顔が何度も夢 に出て、その度に目を覚ました。眠りが浅い。  顔を洗い、 着替えを済ませて居間に入る。胃が重くて食べる気が起きない。ご飯に味噌汁をかけて 無理やり流し込む。 「やだ、眞ちゃん、お行儀の悪い」 「・・・・ご馳走様」 「ちょっと、こんなに残して」 「行ってきます」  理恵子の声を無視して家を出る。外は曇り。気分も全く晴れない。 「どうかしたのか、眞一郎は?」 「なんだか元気がないみたいで・・・・」  理恵子はほとんど手を付けられていない朝食を片付けながら外を見た。  教室に着いたとき、まだ比呂美はいなかった。クラスの連中は、一瞬こちらを見たものの、 昨日のような好奇の視線はない。  それでも席に着くと、他のクラスからわざわざ教室まで覗き...
  • true MAMAN 私が怒ってるのは~前編~
    4時限目である。外は朝からの雨が勢いを弱め、それでも止むことなく降り続いている。 空は濃い灰色、黒板に目を向ければ英語のグラマー、どっちを向いても眠くなる。  三代吉は同級生達の顔貌を見回すことにした。睡魔との闘いに苦戦する者、既に 敗北を喫している者、機械のようにノートを録り続ける者。各々が各々らしい過ごし方を していた。  頭に何かが当たった。三代吉はもう一度周りを見渡すと、黒部朋与がこちらを見ていた。  足下に落ちた紙を拾い上げ拡げて見る。紙には「比呂美と仲上君何かあったの?」と書 かれていた。  もう一度朋与を見る。目配せで合図してきた。合図のままに眞一郎と比呂美を見る。  一見いつもの光景だった。比呂美は授業に集中し、眞一郎は時折比呂美の事をチラチ ラと気にする。だが、言われて見れば今日はいつもと違った。  眞一郎はほとんどずっと比呂美だけを見ていて、授業はほとんど聞いていない。...
  • true MAMAN 落ち着け、そんな訳、ないだろう
     何度も何度も考えた  もっとうまくやれなかったのかと 「眞一郎もいないのか」 「ええ・・・・・・」  理恵子の声に力がない。 「特に大丈夫とは思うが携帯にはかけたのか?」 「それが・・・・電源を切ってるみたいなんです・・・・・」 理恵子はいつもの席に座ったが、完全に落ち着きを失っていた。 「もし何かあったら、私のせいだわ・・・・・・・」 「そんなに心配しなくても・・・・・」  言葉ではそう言ったものの、自分でも声が震えるのがわかった。最悪の想像が頭をよぎった。 「私、探してきます!」 「待ちなさい!闇雲に探しても!」  だが、理恵子は私の声も聞こえていないようだった。そのままガタガタと玄関で音が聞こえ、出て行ったようだった。  まったく。これでは俺が動くわけにいかないじゃないか。  一人居間に残されて、俺は拳を額に当て、考えをまとめようと務めた。  だが、考えれば考えるほどに、想像は悪...
  • true MAMAN やっぱり、嫌われてるのかな
    「おばさん、手伝います」  比呂美が台所に入ってくる。  今日は仲上家で夕食をご馳走になった。その後片付けを手伝おうとしたのだ。 「ありがとう。でも、こっちは一人で大丈夫よ」 「でも、ご馳走になりっぱなしじゃ――」 「本当に大丈夫だから。あな――比呂美ちゃんはゆっくりしていて」 「あ・・・・はい」  ――その夜、比呂美は布団の上に座り、枕を抱えて考えこんでいた。 「わかんない・・・・」  翌日、眞一郎と比呂美は帰りに海に来ていた。珍しい事ではないが、今日は眞一郎 が誘った事がいつもと違う点だった。 「比呂美、何かあったのか?」  朝から比呂美が少し落ち込んでいる気がして、気になっていたのだ。 「え?何もないよ。なんでそんな事訊くの?」 「いや、なんかお前、元気ない気がしてさ・・・・何もないならいいけど・・・・」 「別に・・・・何もないよ。ただ・・・・...
  • 自作のウエディングドレス
     true tears  SS第二十九弾 自作のウエディングドレス  比呂美はふたりの絵本のために結婚雑誌を買って来た。  部屋で眞一郎と寄り添って眺めていても、実感が湧いてこない。  眞一郎は比呂美に頼みごとをしてくる。  眞一郎父は博、眞一郎母は理恵子、比呂美父は貫太郎、比呂美母は千草。  眞一郎くんに竹林で告白された。私の部屋に戻ってシチューを食べてくれてから、眞一郎く んはすぐに帰った。寝不足で疲れていたためで、翌朝には学校でホームルームの前にクラスメ イトに交際を知られてしまった。私が眞一郎くんと一緒に下校しようと誘っていたので、約束 を守ってくれた。海岸では雪が降るという私の奇跡が叶って、眞一郎くんに携帯で写真を撮っ てもらった。眞一郎くんは私とのキスを雪の海でするという決意を満たしてくれた。  お父さんとお母さんのことを思い出して...
  • 比呂美の停学 後前編 純との決別
     true tears  SS第九弾 比呂美の停学 後前編 純との決別 「交換条件はどうでもいい」  停学中の比呂美は、眞一郎が帰宅してから石動家に赴く。  純と再会してバイク事故の謝罪と弁償をしようとする。  純から新たな提案を持ち掛けられて、比呂美は判断を保留する。  眞一郎からの想いが不確実なものへと変わりつつある。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  眞一郎とのすれ違いである後後編を、第十話放映までに描きたいと思います。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいます。  前作の続編です。  true tears  SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html ...
  • true MAMAN あなたの代わりになれるかな~前編~
    「行ってきます」  学校に行こうとする眞一郎を理恵子が呼び止める。 「あ、眞ちゃん、待って」 「ん?」 「悪いけど、今日は比呂美ちゃんのところでお夕飯食べてもらえるかしら?お母さん、 ちょっと出かける用事があるの」 「あー、それはいいけど、父さんはどうするの?」 「お父さんも、今日は出前か何か頼んでもらえませんか?申し訳ないのですけど」 「・・・・ああ、わかった」  ひろしは一瞬だけ理恵子の方を見て、すぐに食卓に目を戻しながら答えた。 「なんなら比呂美に来てもらおうか?うちなら台所も使い慣れてるし」 「余計な気は遣うな。俺は、適当に食べるから」 「お父さんもこう言ってるし、二人でお食べなさい。お母さんもそんなに遅くはならないから」 「わかった。じゃ、そうするよ。行ってきます」  眞一郎が改めて挨拶をして家を出ると、理恵子は食卓に戻った。 「すいません、急に」 ...
  • 明るい場所に
     true tears  SS第十二弾 明るい場所に 「まずはメガネの話をしよう」  比呂美が仲上家を出て行ったという事実を、眞一郎は受け入れる。  思考をまとめるために、比呂美の部屋で比呂美のいた場所に立ってみる。  ほんの少しでもわかり合いたくて。  新たな決意をしてふたりの思い出の場所に向う。  第十一話の内容を予想するものではありません。  石動純は登場しませんが、展開上、名前は出てきます。  眞一郎応援記念に描いてみました。  前作より前の出来事です。  true tears  SS第十一弾 ふたりの竹林の先には 「やっと見つけてくれたね」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4523.txt.html  以前に書き込んだ第十話の眞一郎部屋と比呂美部屋の台詞の修正版を、 最後に...
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    true tears」Blu-ray BOX http //www.truetears.jp/bd/ ●映像特典 ┣TV未放送の新作エピローグ映像(約3分)を含む第13話特別版 ┣第13話特別版 オーディオコメンタリー ┣true tears舞台紹介映像(約20分) ┣デジタルイラストギャラリー(true tearsの版権イラストを網羅) ┣「雷轟丸とじべたの物語」ピクチャードラマ ┣第1話~第10話ダイジェスト ┗true tears PV Ver.2.0  舞台は日本海側北陸・富山県。絵本作家志望の高校生・仲上眞一郎は、 過去のトラウマによって涙を流せなく成った少女・石動乃絵と出会う…。 ○TV放映日程・NET動画配信 2008年1月5日(土)から放送開始 tvkテレビ神奈川 . 毎週土曜日 25:00~25:30 KTV関西テレビ   毎週火曜日 26:45~2...
  • ブリダ・イコンとシ・チュー
     true tears  SS第二十一弾 ブリダ・イコンとシ・チュー  竹林でわざと逆らいながらも交際を受け入れた比呂美は、眞一郎と部屋に戻る。  眞一郎母が持って来てくれた鰤大根と眞一郎に約束したシチューの謎に挑む。  前作の続きです。  true tears  SS第十一弾 ふたりの竹林の先には  http //www39.atwiki.jp/true_tears/pages/96.html  true tears  SS第二十弾 コーヒーに想いを込めて  http //www39.atwiki.jp/true_tears/pages/245.html  眞一郎くんと抱擁しているときに雪が降ってきた。  もう積もらずに淡く消えてゆきそうだ。  私は眞一郎くんの背中に回した両腕に力を強めてしまう。 「そろそろ戻ろう。部屋の鍵が開いたままだったし...
  • テンプレ
      true tears 真実の涙**滴目 1 : 舞台は北陸地方・富山県。絵本作家志望の高校生・仲上眞一郎は、 過去のトラウマによって涙を流せなくなった少女・石動乃絵と出会う…。 =========重要項目======= ・煽り、荒らしは徹底放置。→削除依頼:http //qb5.2ch.net/saku/ ・2chブラウザ(無料)の導入を推奨。→ttp //www.geocities.jp/jview2000/ ・sage進行推奨。E-mail欄(メール欄/メ欄)に半角小文字で「sage」と記入。 ・ニコニコ動画、YouTube(ようつべ)、ファイル共有関連の話題・URL貼りは厳禁。 ・次スレは 980を取る→スレ立て宣言→スレ立てる。無理なら代役を指名すること。 ======================== バンダイチャンネル:ttp //www.b-ch.com/cgi-b...
  • 38スレ目の若奥様の妄想
    ...sattochan/truetears/hiromi/tt0155.jpghttp //www23.tok2.com/home/sattochan/truetears/hiromi/tt0156.jpghttp //www23.tok2.com/home/sattochan/truetears/hiromi/tt0157.jpg 添い寝したくならない?w 571 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/16(金) 00 36 22 ID OTVkHppL 568 下二枚と同じ画像は俺の家宝だった。 だが、画質が良いのでそれを家宝にしなおす事にするw 574 ◆sattoAlWHM sage 2008/05/16(金) 00 38 30 ID +NyPpmR/ 571 同じだった奴 差し替えたw 577 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2008/05/...
  • 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い
     true tears  SS第十弾 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い 「全部ちゃんとするから」  純と決別をしようとしたが、新たな提案を持ち掛けられた。  比呂美にとって保留したくなるものだった。  だが純との唯一の相違点は、眞一郎からの抱擁への解釈だ。  比呂美は眞一郎の意図を探ろうとしつつ、新たな段階へ移行しようとする。  ふたりの関係は交わる事無く、さらに変わってゆく。  第十話の内容を予想するものではありません。  与えられた情報から構成してみました。  雑誌によるネタバレあらすじは含めておりません。  できるだけ明るい展開を心掛けてはいますが、今回は無理でした。  第九話の抱擁に関するイメージを壊してしまう危険性があります。  さらに強敵になった比呂美を描いています。  前作の続編です。  true tears  SS...
  • 雪が降らなくなる前に 前編
     true tears  SS第二十二弾 雪が降らなくなる前に 前編  竹林での告白の翌日、まばらにクラスメイトが登校して来る。  三代吉が眞一郎に比呂美との近況を訊く。  教室に入って来た比呂美は真っ先に眞一郎の席に歩み寄る。  長くなりそうなので分けます。  前作の続きです。   true tears  SS第二十一弾 ブリダ・イコンとシ・チュー  http //www39.atwiki.jp/true_tears/pages/275.html  true tears  SS第十一弾 ふたりの竹林の先には  http //www39.atwiki.jp/true_tears/pages/96.html  true tears  SS第二十弾 コーヒーに想いを込めて  http //www39.atwiki.jp/true_tears/pages/245.html    昨晩、帰宅してか...
  • true MAMAN あなたを見ている人がいる~比呂美の章1~
     カフェの窓際の席で、理恵子は腕時計に目を落とした。  ――もうそろそろね。  改めて外を見ると、比呂美が歩いてくるのが見えた。比呂美もこちらに気付く。比呂美 が外から会釈し、理恵子は微笑みで応じた。  話は30分前に遡る。 「比呂美ちゃん?私だけど。申し訳ないのだけれど、今から駅まで来れるかしら?眞ちゃ んの服を見立てて欲しいのだけど」  理恵子が比呂美を買い物に誘うのは、これが初めてだった。外出に同道させて、その 帰りに一緒に買い物をした事は何度かあるが、こうして買い物の為だけに呼び出すのは 今までになかった。  店内に入り、理恵子の前に座った比呂美は緊張しているように見えた。  聡明な娘だ、今日の呼び出しの、本来の目的に、あるいは気付いているのかもしれない。 「ごめんなさいね。何か予定があったのではないかしら?」 「いえ、大丈夫です。・・・・・・・あ...
  • @wiki全体から「true MAMAN特別編・こんな想い出もいいよね~序章~」で調べる

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