◈チャプター7.蒼月の章ストーリー
- 神殿は崩れ落ち、月の女神は闇に葬られた。リンは何度も振り返りつつも、その歩みを止められなかった。
リンは月光を取り戻すほどだんだん明るくなったが、それに反して彼女の心に差す影はより濃くなっていった。
疑惑は謎に包まれたまま、膨らむばかりであった。膨らむのは疑惑だけではない。
「リリーダ。」
繰り返しその名を呼ぶ度に懐かしさが潮が満ちるように押し寄せる。過去でも、その記憶の中でも、リンは独りではなかった。
数々の感情がぐちゃぐちゃに絡み合い、立ち止まりそうになるリンの歩むべき道を照らし導いたのは熱望ではない、渇望だった。
「誰か。」
リンは誰かに会いたかった。自分も知らない、自身の話をしたかった。
「リリーダ。」
初めて聞く名から感じる懐かしさ。滲む夢が覚悟となり、リンの背を押した。
最終更新:2022年08月09日 13:46