突然の大雨に家路を急いでいた時の事。
人のいないほぼ真っ暗な神社脇の道を駆けていると、道の真ん中に立派な和傘が開いたまま落ちていた。
あたりを見回しても持ち主らしき人物はいない。
借りようか迷っていると、風も無いのに傘が転がりながら近づいてきた。
そして俺の目前まで来ると、すうっと傘が浮き上がる。
まるで見えない誰かが持ち上げたように。
その時偶然稲光で辺りが明るく照らされた。立て続けに雷鳴が轟く。
同時に傘が飛び跳ねた。
「キャー!キャー!!嫌ー!!」
悲鳴を上げ、傘は再び地面に転がった。
見なかったことにして迂回しようとしたんだが、
「置いて行ったら怨みます!絶対絶対祟りますから!!」
と震える声で言われたので仕方なく傘を差して帰宅した。
なんとなく重く感じた左腕は、傘の下だったにも関わらず何故かびっしょり濡れていた。
傘は今でも家に居る。
雨の日には強制的に同行させられる。朝晴れている日でも事前にわかるらしい。
雷雨の時は「和服美女に腕をとられて相合傘」をしている様に周囲には見えるらしい。
いや、俺には傘しか見えません。
そして冷やかされる度に「そ、そんな破廉恥な事する筈ありません!!」と、
ばっさばっさ開いたり閉じたりされる。
それより何より最初に冷やかされて以来、和傘の手入れを調べている俺が居る…。
最終更新:2011年03月06日 08:58