大童貞男

―大童貞男(オオワラワ サダオ)は童貞である!!!

西暦20XX年!
世界はよくわからない現象の脅威に包まれた!!
その名も女体化!
15~16歳までに童貞を捨てなければ、体が女性になってしまうというこの現象!
病気とも人類の間違った進化ともつかぬソレは、世界に瞬く間に広がり、
世の男どもを恐怖のズンドコへと叩き込んだ!
或る者は戦慄し!
或る者は、恥も外聞も捨てついでに童貞も捨てた!
しかしそれを嘲笑うかのように、女体化の脅威は着々と人類を蝕んでいた!

だがしかし!
童貞・大童貞男は、そんな中、自らの心に希望の光を見出していた。
否!
その瞳に鈍い光を宿していた!

この物語は、貞男の辿った、別に奇跡の軌跡でも何でもない至って普通のどうでも良い代物である!!


第1話「変貌」

「フッフッフ…。ようやく長年の苦労が報われるぜ…。」
電灯を消した暗い部屋で、俺は布団に入り一人呟く。
俺の名は貞男。この歳まで童貞を貫いてきたロリヲタだ。
なんだか原因の大半は俺の名前にあるような気がしているが
そんなコトを考えていたところで先には進めない。
もちろん、俺だって好きで童貞だったワケじゃないんだ。
下校中の小学生に声をかけて防犯ブザー鳴らされたり、
近所の学校の水泳の授業を覗いていたら用務員に見つかったり、
俺だけのょぅι゙ょGETのために、日々弛まぬ努力をしていたにも関わらず、
俺のモノになってくれる可愛いロリっ娘が今日まで手に入らなかっただけなのだ。
しかしその苦労も今日で終わる。

女体化。
世間では主に童貞野郎が何故か絶望していたり、
人類の新たなる進化だとか、宇宙人の仕業だとか、新種の病気だとか、
変態野郎の願望が空想具現化だとか言われているが、
正直言って、俺には騒ぐ理由がわからない、いや、見当たらない。
なんと言っても堂々とアレやらコレやらできるのは大きい。
そんなコトに比べたら、たかが肉棒の1本や2本を失うコトなど、些事に過ぎないのだ。
…やべぇ、色々考えてたらおっ勃ってきやがった。
野望に一歩近づくための犠牲とは言え、10年以上苦楽を共にしてきた
股間の肉棒も、今夜でお別れと思うと、些事とは言え少し寂しい。
最後に一発やっておくか…。
「そうだ。俺はこれを、リアルで手に入れるんだ。」
お気に入りのエロドウガーを使って俺は、肉棒に最後の別れを何度も告げ、
そして、賢者として眠りについた。
サダオ、15歳の誕生日前日のコトである。

翌朝。

「ちょっとサダオ!起きなさいってば!」
(なんだようるせぇな、疲れてるんだからまだ寝かせてくれよ…。)
半分眠ったままの意識の底で、軽く抗議をする。
布団の上からガックンガックン揺さぶられるがとりあえずスルー。
「朝から委員会あるんだから、待ってあげらんないのよ!?」
(誰も頼んでねーよクソ、早いんならほっといてくれよ…。)

―摘出 玲(ツミデ レイ)
今まさに俺の布団を剥ぎ取ろうとしている女の名前だ。
ショートの黒髪で風紀委員の会長、女子剣道部のエースで得意なのは実力行使。
どこかのマンガからそのまま飛び出してきたような鬼風紀委員長様なのだが、
そいつはいわゆる隣に住む幼馴染というヤツで、これがまた鬱陶しい。
よく友人にからかわれたモノだが、寧ろこうも長くいると女として見れないのが
当然であり、つまりは女兄弟のようなモノではないのだろうか。
そもそも俺は同年代以上に興味は無いのだが…まぁそれは別の話だろう。
例え興味があったとしても、こんな凶暴な女に嫁の貰い手がいるわけがない。
この前も、道を聞いてきたょぅι゙ょと話しているだけで、
さらう気だと、いきなり鳩尾に竹刀突きを貰って酷い目にあったわけだし…。

そんな俺の何に対してかわからない脳内解説を余所に、
レイは俺の布団を引っ剥がす。布団を掴む俺の抵抗も虚しく、
腰の入った動きで一気に引き剥がされるが、次に来たのはいつもの打撃ではなく…。

「はぁっ!?」

悲鳴とも驚愕ともつかぬ間の抜けた声だった。

「あ゙ー、ったく、目ぇ覚めちまったじゃねぇか…。」
「ちょっ…なっ…!?」

起き上がって文句を言いながらレイを見るが、聞こえていないらしく、
こちらを見たままクチをパクパクさせている。

「お、おばおばおおばおばさぁーーーーんッ!」

…と思えば、階下に凄い勢いで叫びながら飛ぶように降りていくレイ。
原因は言わずもがな、女体化だろう。
俺は逸る気持ちを抑えながら、顔を洗いに階下の洗面所へと向かう。

「…うーん、期待はずれか。」

俺としては、ロリッ娘になってょぅι゙ょとキャッキャウフフするのが
Bestな展開だったわけなのだが、
しかして鏡に映る俺の姿は、ムッチリ巨乳のお姉さまと言った風貌なのだ。

「はぁ、とりあえずメシだな…。」

顔を洗ってリビングに顔を出す。
…と共に、いきなりレイに正面から両肩をつかまれた。

「あなた!自分の体は大切にしなさい!?」

哀れむような目で俺を見ながら話すレイ。

「は!?何を…。」
「何をじゃないわよ!いくらなんでもいきなりベッドインは無いわよ!
家出!?ケンカ!?酔った勢い!?援交!?失恋からのやけっぱち!?誘拐!?
いずれにせよ風紀委員として放って置く訳にはいかないわ!
あなた、どこの学校よ!?他校だってこんなの許さないんだからね!?」

うっかり問い返すと、レイは打って変わって捲くし立てた。
唐突で5割は理解できなかったが、何故か起こっているらしい。

「まぁまぁ、良いじゃないの。私は安心したよォ。」
「おばさん!でも…ッ!」

奥から出てきたおふくろは、
今にも俺の胸倉につかみかかりそうなレイと俺の間に割って入る。

「そりゃあね、朝に息子の布団から見知らぬ女の子が出てきたらびっくりはするよ。
でもねぇ、今までそういう話が影も形も無かった馬鹿息子だからねぇ~。
こんな美人さん捕まえたのなら、ようやく私も安心できたってモノよ。」
「でもサダオがこんな…こんなコと一緒なんて、おかしいですよ!」

俺を置いてけぼりで口論(?)しているレイとおふくろ。
どうやら俺は、俺の布団から突然出てきたコトから、
俺の彼女のような存在だと思っているらしい。

「ねぇあなた!サダオに弱み握られてるとか、脅されたとか無いの!?」
「そうねぇ。突然すぎてちょっとびっくりだけど…そこまでするコだったかねぇ。」

しかも俺、酷い言われようだ。自覚はしているが、言って良いコトではないだろう。
少し遊んでもバチは当たるまい。

「ふぅん…。怒ってるみたいだけど、あなたサダオの何なの?」

定番のセリフでつついてみる。普段散々ボコられてる仕返しだ。

「んなッ…何…って…。」
「私は私の意志で寝ていた。それだけ。あなたは突然やってきて何なワケ?」

みるみる朱に染まるレイの顔。
こんな攻勢に俺が出たのも久しぶりだ。

「そ、そんなコト、あなたには関係な」
「あるよ。朝早くに叩き起こされるて迷惑だ って。」
「え…。」
「それに、あなたにはもう来て欲しくないと思ってる。」
「そんなコト、突然現れたあなたに言われたって!」
「それはお互い様。最初に言ったと思うけど?」
「そ、そうよ!サダオに確認して…。」
「もうサダオは布団にはいないよ。」

2階に上がろうとするレイの背中に言い放つ。

「は!?何を言って…。」
「いないって言ってんの。サダオは俺なんだから。」

この間、5秒

「…!?」

おー、混乱しとる混乱しとる。
俺は寛大な人間だから、思考が整理できるまで待ってやることにしたが、


「この、変態!ロリコン!やろぉぉぉぉおおおーーーーーーーーッッッ!!!!」
「のぎゃぁぁぁぁーーーーーーーーっっっっっ!!!」


そんな俺にレイがかけたのは言葉ではなく、レイの素晴らしい伸びのアッパーで…

俺はリビングで宙を舞った…。


つづく?

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最終更新:2008年10月05日 14:33
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