「愚痴……ぐち……?」
はい、細かいことでもけっこうですよ。
「愚痴………………ん~、何か答えないと成立しないですよね?」
おや? 愚痴なんかないって口ぶりですね?
「まあ……思いつかないってことは、そうなる……のかな?」
珍しいですね。こういった質問を向けますと、皆様大概ここぞとばかりに不満を仰るんですが。
「そういうもんですか?」
ええ。大きなものから小さなものまで。
小さなものだと本当に多岐に渡りまして、『ダンディなくせに下戸』『口ひげはいいけどあごひげは剃ってほしい』など様々な意見がありましたね。
そういったちょっとした不満もございませんか?
「…………いや~? やっぱりコレって言うほどのものは思いつかないです」
それは素晴らしい!
すぐに愚痴が思いつかないほど、互いにわかりあってるということですね。
「いや、それは多分違います」
と、言いますと?
「なんか、うまく言えないんですけど……まだあいつのこと全部わかってるってわけじゃないんです。 あいつとは元々は友達で、それで付き合うようになって……だけどまだまだ友達として過ごした時間のが長くて。
だから、全部わかってる、っていうのとはまた違う気がするんです」
でしたら、なぜ、これといった愚痴がないんでしょう?
ただいま、恋人としての時間のほうがまだ短いと仰いましたが、彼氏様の今まで知らなかった点を知った時、それがそのまま不満に変わることもあったのでは?
「ない……って言ったら嘘になる、かな? でもあいつの変な癖を見つけても、すぐに気にならなくなるから」
それは無関心や諦めからの許容では?
「いや、それは違います。そういうマイナスな考え方じゃなくて、理解とか納得とかそんな感じです。
こう、なんかあっても、わりとすとんって飲み込める感じで。
もちろん、たまにはどうしたって理解できなくて腹の立つことだってないわけじゃないんですけど……。
…………あいつは、俺のことをちゃんとわかってくれたから。それで、いまもずっとわかろうとしてくれてるから。
だから俺もちゃんとあいつのことをわかって、受け止めたいと思ってるんです」
わかりました……!
それでは最後にお聞きしたいのですが。
あなたにとっての最高の男像のようなものを、あれば、お答えいただきたいです。
「ん~……優しくてたまに意地悪で。
ちゃんと俺の気持ちを聞いてくれて、ちゃんと自分の気持ちを話してくれて。
顔に似合わずけっこう男らしくて少しだけ子供っぽいところがあって
……ずっとそばにいたいって思える相手、です」
……はい、ありがとうございました!
最終更新:2009年03月07日 00:32