安価『ボクの初体験…3つとも、貰ってくれる?』4



注文を待つ間、何を話そうか考えあぐねていると

「直人って、もしかして男の時の名前だったりする?」

と、彼に尋ねられた。否定する理由も隠す理由もないので頷く。

「訂正しなくてよかったのか?今の名前とは違ったよな。」
「風見くん相手だしなぁ~…特に気にしたことはないよ。
 なんだかんだで彼女も男の部分が残ってるってとこで納得してる。」
「そういうものなのか?」
「そういうものです。」
「第一付き合い長いし、今更呼び名変えられても逆にこっちが戸惑っちゃうかも。
 あ……でも鈴城くんは今の名前で呼んでくれなきゃ駄目だからね。」
「そりゃまぁ、当然。男の時の白詰さんの事は何も知らないわけだし。」
「ボクとしては男だった時の事なんて知られたくないけどね。」
「どうしてだ?」
「どうしても何も今更昔の事聞かれても……もう戻れないのだし。」
「……ごめん。」

彼の一言で急に苛立ちを覚え、先ほどまでの雰囲気をぶち壊してしまった。
男への未練か、それとも芽生え始めた女心が傷つけられたせいか。
どちらにせよ、どうして傷ついたのかはいまいち把握しきれない。我ながらめんどくさい女になったものだ。
ボクが元々女性ならこんな悩みは無いんだろうな。

「ボクの方こそごめんね、変な空気にしちゃって。」
「いや、俺がデリカシーなさすぎたな。悪い。」

やや間を空けてから意味もなく謝罪しあった後、2人とも俯いて押し黙ってしまった。
注文を待つ間、周囲の喧騒しか聞こえてこない。

「お待たせ致しました。こちらアイスコーヒーでございます。」

2人の間に立ち込めた暗雲を払拭するかの如く、風見くんがアイスコーヒーを運んできてくれた。
タイミングを見計らっていたのだろうか。

「残りのご注文につきましてはもう少々お待ち下さい。
 ………ってこのまま引っ込みたい所だけど、何やってんだ色男。」
「え?いや、ははっ……悪い。」
「直人泣かせたら承知しないぞ。」

きっとボクらの様子を見ていたのだろう。彼を一方的に咎めている。
咎められている最中、彼は申し訳なさそうにぽりぽりと頬を掻いていた。

「……ったく………何の為にあんな話をしたと思ってんだ。」
「あんな話?」
「あ…………」
「な、なんでもない。」
「はは………」

ぽろっと零した彼女はしまったという表情し、笑ってごまかす。
一方、それを聞いた彼は怨嗟を込めた表情を風見くんに向けていた。
今朝口走っていた話なんだろうな。と、記憶の糸を手繰り寄せる。

「……鈴城くんに何か吹き込んだの?」

何故だか苛立ちを隠し切れず、静かに怒気を込めて彼女に尋ねた。
今朝は彼から聞き出そうともしなかったのにも関わらず。
―――どちらから聞いても事実は変わらないはずなのに。

彼女からの返答はなく、暫しの沈黙。
周囲の喧騒は遠くに聞こえ、ボクら3人だけが切り取られてしまったかのようだ。

アイスコーヒーに入っていた氷が少し溶け、カランと音を立てた。

「な……なんでもないからさ、き、気にしないでくれると嬉しいな。」

ようやく開かれた口からは、納得のいく返答は出てこなかった。
出来るならボクもそうしたかったよ。
いや、今朝はそうしたんだ。

「いたっ…直人、ま、待って!引っ張らないでっ!」

席を立ち、彼女の腕を引っ掴む。

「ごめん、鈴城くん。ちょっとここで待ってて。」
「え?あ、ああ……」

彼に向き直って一言だけ声をかけてから彼女を廊下へと連れ出した。
他の客や店の人たちの注目を集めていたのは想像に難くないだろう。
尤も、今はその様子を確認する気は無い。
目の前の不愉快な出来事に比べれば些細な事だから当然か。

「――――――委員長!出来るだけ早く戻るからあとお願い!」
「猫の手も借りたい位なのだけどね。……出来るだけ早く戻ってくるんだよ。」

引き摺られながらも、彼女はカーテンで仕切られていた店の厨房らしき場所から出てきた委員長に声をかけていた。
交代の時間だったのだろうか。

「青春ねぇ~。」
「あの2人、変にこじれなきゃいいのですが……」
「大丈夫よぉ~、あの子から仲良しだって話はよく聞くもの~。」

店を出る間際、彼女の母と委員長が何かを話している様子が伺えた。



――――――――
―――――
――



模擬店は校舎の3階、すぐ上は屋上だ。
店は階段近くの教室を使っていたので、そのまま彼女を屋上へ連れていった。

「…………………」

階段を登っている最中、彼女は黙ったままだ。
ボクへの弁解でも考えていたのだろう。

―――ギィ~

錆び付いたドアノブを回すと、屋上への扉が軋んで音を立てた。
扉を背にして、彼女を前へと押し出す。

「もう1回尋ねるけど」
「……………」
「鈴城くんに何を言ったの?」
「えっと……その…………」
「ごまかそうなんて考えてないよね?」
「や……その、どうしてそこまで怒ってるの?」
「質問してるのはボクの方なんだけど?」
「……………………………」

彼女は俯いてスカートの裾を掴んで、雨風に晒されてしまった子犬のように震えていた。
本来なら隠し事をしていた彼女が責められていて然るべきなのに、これではボクの方が罪悪感を感じてしまう。
おまけにこのままではだんまりを決め込まれて埒が明かない。
ここはボクの方から答えて逃げ道を失くせばいいか。

「ボクの預かり知らぬ所で、ボクの事で彼と内緒話してたのが気に入らなかったの。
 風見くんだったから特にね。」
「わ、私だったからなの……?」
「そうだよ。………ったく、いきなり弱々しくなっちゃって。
 いつもの雰囲気は何処に行ったんだか。
 大体、人の恋人にちょっかい出すなんてどうかしてるよ。」

答えるついでに挑発じみた言いがかりをつけてしまっていた。
頭では理解しているのに口は止まらない。

「そんな気は全然……」
「大方、片想いの相手と駄目だった時のキープ、とか考えてたんじゃないの?」
「ち、違う違う違う……だってその………と…………ってるから」

ボクに責め立てられているせいか、彼女の返事は声が弱々しく掠れて聞き取れず、その事で余計にイライラして声を荒げてしまう。

「ぜんっぜん聞こえない!はっきり言ったらどうなの?!」
「……だからっ!アイツと……氷山と付き合ってるから!アイツ一筋だからっ!
 キープなんて考えてもないし、ましてやちょっかいなんて出すわけないっ!」

彼女の口から出てきた名前は、彼女の十年来の幼馴染であり、我がクラス唯一の男子生徒だ。

「…え?………えぇッ?!う、嘘だよね?」
「嘘じゃないっ!アイツに確認してもらっても構わないから…!」

彼女の目は真剣そのもので、嘘を付いている様にはとても見えない。
馴れ初めには興味が湧いたけど、今は後回しにして本題に入ろう。

「はぁ……解った。確認するまでもなさそうだし。………それで、鈴城くんに何を話したの?」
「そ、そこに戻るんだ…」
「当然。ボクはキミの質問に答えた。今度はキミがボクの質問に答える番。」
「い、言わなきゃ……駄目?」
「駄目。」



――――――――
―――――
――



「………風見くんはエスパーか何かなの?」
「只の一般高校生。超能力なんて持っていませんの事よ。」

風見くんが彼にした話とやらは、概ねボクの意図を捉えていた。
妙に突っ込み所満載の返答だったのでイラっと来たのだが、突っ込むと彼女のペースに巻き込まれるので敢えて流す。

「……だったら何でボクの思考が筒抜けなのか教えてよ。」
「否定しないの?」
「……また質問に質問で返してる。」
「ごめんごめん、つい、ね。まぁ……直人って昔からソコらへん解りやすかったしさ。」

ソコらへんとはどの部分なのだろう。
そもそも、自分はおとなしくて感情を表に出さない方だと思っているのに。

「どういう意味?」
「…んー。だから、思い立ったら即行動!脇目も振らずに目標に向かって猪突猛進!───って感じ。」
「……え?」

速攻で自分自身の評価を覆されてしまった。

「確かに見た目はおとなしいし、表情には出さないんだけど、行動に出ちゃってるのよね。色々と。
 ちょっとした視線だったり、仕草だったり、あの告白だったり。」
「………それで、全部彼に話したんだよね?」
「全部と言っても、あの時はあくまでも私の推量でしかなかったけどね。」
「はぁ………」

屋上に来る前は頭に血が登って噴火しそうだったのに、今では鎮火どころか背筋が凍りつく思いだ。
溜息の1つや2つ、漏れてしまっても仕方が無い。

「いきなりどうしたのよ、さっきまでは嫉妬塗れの橋姫みたいな顔してたのに、今はすっかり青ざめちゃってまぁ……」
「どうしたもこうしたも……だってさ、鈴城くんは全部知ってるって事じゃないか……」
「そうとも限らないけど。まさか私の話を全部鵜呑みにするほど馬鹿じゃないでしょ?」
「だと良いけど……もしもそれが原因で別れる事になったら、一生風見くんを怨むからね……」
「んー…流石にそんな事は無いと思うよ。その……ごめんね。直人の事だからつい心配になっちゃってさ。」

彼女の言葉にまたもやイラっとしてしまう。
親切心もここまで来れば憎悪の対象になるのだなと、しみじみ思う。

「心配なんかしなくてよかったのに………」

俯いて、怨みがましく突き放したのにも関わらず、彼女は慈しむような目でボクを見ていた。
その事に、そして自分自身の愚かさにも嫌気が差してくる。

「あれだけ様子が変だったら流石にね。心配しない方がおかしいって。」

悪気が無いのは解る。純粋に友人として大切に思われているのも解る。
解るが故に憎らしい。

「………心配なんかじゃなくて、ボクの事見下して優越感に浸ってたんじゃない?
 さすがクラスの誰よりも早く女の子になった人だよね。おまけに余計なお節介まで…っ」
「優越感なんて無いし、ましてや見下してなんか……その、確かに余計なお節介だったかもしれないけど、私は友達として苦しんでる直人の事を……」

彼女の行動はお節介どころか最善だったと思う。
そう思うのに、今だけはどうしてもそれが許せない。

「それが見下してるって言ってるの!!勝手に見抜いて、ボクから相談したわけでもないのに勝手に動いて
 勝手に鈴城くんに変なこと吹き込んで……先に女になった余裕ってやつなの?」

あとはもう、異性化してから溜まっていた鬱憤が堰を切るように溢れ出し、それを彼女にぶつけていた。

「そんなつもりじゃ………私だってそれなりに苦しんでやっとこの体を受け入れられたんだよ?
 なのに随分と酷い言い草じゃない!」
「苦しんで?やっと受け入れた?……やっぱり解ってないんだね。」
「私が何を解ってないって言うのよ……」
「キミの環境だよ。異性化した環境。友達でも、家族でも、クラスでも。」
「直人、何を言って──」
「キミが羨ましいよ!いつも傍に親友が居て!守って貰って!ボクの知らぬ間に異性としても気持ちを通じ合わせてて!
 それにキミのお母さんも同じ経験してるんでしょ?!おまけに異性化した時はクラスのほとんどは男子だったよね?!
 キミは自分で認識する前に、周囲から自分が女になったって理解してもらって!」

ああ、そうか。ボクは、すんなり女性になった(と、ボクは思っている)風見くんが羨ましかったんだ。
羨ましくて、首が痛くなるほど彼女の事を見上げていた。だから彼女の親切を見下されたと勝手に勘違いしたんだろう。
やっと許せない理由が理解できて、でもそれはボクに非があるはずなのに、俯いたまま恨み言を全てぶちまけていた。

「それは……そうだったかもしれないけど…」
「だったかもじゃなくて、そうだったの!それなのにボクの時は自分で認識しているのが当然で!
 クラスは女子だらけになってて、見えない壁がはっきりと感じられて…………
 輪に入っていけなくて…………寂しくて………」
「……………………………」
「だから必死に……罪悪感に苛まれながらでも女の子になろうとしてるのにっ!!」
「………ちょっと待って、罪悪感って何の話?」
「鈴城くんに対してだよ!好きでもなかったのに告白したんだもん、騙したようなものじゃないかっ!だからだよ!!」

取り繕う隙間もない位吐き出した後、彼女からの返答は何も無かった。
只の我侭なんだから当然だ。
きっと侮蔑の目を向けられているだろうと思って見上げると、彼女はボクを見ていなくて、何故かボクの後ろに視線を注いでいた。
……後ろ?

「…………え?」

疑問に思って振り返ると――――

「……どうして…」

―――喫茶店で待っているはずの

「嘘……ど、どこから聞いて……」
「……ほら、注文来てたし戻って食べないか?」

―――バシッ

差し伸べられた彼の手を払い除け、屋上から脱兎の如く逃げ出した。

「あ……」
「………どうして最悪のタイミングで出てくるの?」
「悪い!説教なら後で聞くッ!」

3階への階段を一足飛びで駆け下りて、廊下を走り抜けた。
後方からは誰かが追いかけて来る足音が聞こえる。当然、彼だろう。

「直人の足に追いつけないだろうけど………そういう問題でもないか。」



――――――――
―――――
――



それからは校舎内を駆け回っての2人だけの鬼ごっこだ。
鬼は彼、ボクは逃げ惑う憐れな村人A。………本当に色んな意味で憐れだった。
同情も軽蔑も区別も分別も要らない。只逃げる事だけを考えての全力疾走。

―――ギィ…バタン

校舎はA棟とB棟の2つに分かれていて、先ほどまで居たSF研の模擬店があった方がA棟。
たった今逃げ込んだ屋上があるのがB棟。
一度A棟の1階まで降りて体育館、学食前、講堂、その他諸々の場所を経由して撒いたのを確認してからB棟に移ったのだから、バレる心配もないだろう。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

ここまで肩で息をする程に走り回ったのは2ヶ月ぶり。
発症してからやめた陸上部の練習以来だっただろうか。

「―――こんなものさえ付いてなければ辞めずに済んだのにさ。」

自嘲気味に胸を持ち上げてみると、しっかりとした重みが両手いっぱいに広がっていた。
嬉しくともなんともない。極度のナルシストでなければこんなものは只の邪魔にしかならないのだ。

「そもそも女にならなければ良かったのになぁ……」

付け加えた愚痴が更に己が惨めさを際立たせる。

「思いっきり自爆しちゃったし……恋愛ごっこもコレでオシマイ。」

溜息混じりに事実を確認するように呟いて、自身にトドメを刺す。
そして、たった今何気なく出した独り言を反芻する。

恋愛"ごっこ"。少なくとも彼にとっては本気だったであろうごっこ遊び。
けれども、それはこちら側にとってみれば過程に過ぎず、欲しい結果は別にあった……はずだ。

「でもこんな終わり方って無いよね……ぶちまけて嫌われて逃げ回って終了、だなんて。」

その上結果にも辿り着いたとは言えず、只ボクが酷い奴だったと知られてしまっただけ。
涙が一筋、頬を伝う。

「何で……泣いてるんだろう。嫌われたく、なかっ―――」

ここまで呟いて、はたと気付く。ボクは嫌われたくなかったんだ。どうして?
……………そんなの決まってる。

「ははっ……失恋した後に自覚できたなんて、性質の悪い冗談だ……」

どうしてあの時逆ギレしたんだろう、どうして屋上へ連れて行ったんだろう、どうしてドアを開けっ放しにしていたんだろう。
自身の想いを自覚すると、後悔が止め処なく溢れ出す。
出入り口の脇にあった貯水タンクに背を預け、座り込んで未練がましく泣きじゃくった。

―――ガチャッ

しばらく泣いてようやく落ち着くと、今度は唐突に扉が開かれそうになっていたので、慌てて出入り口からは見えないように貯水タンクの裏側へ隠れた。
誰か来たのだろうか?催し物も特になく、立ち入り禁止の札が貼られていたはずのこんな場所に。

「本当に居るんだろうな?さっきも屋上だったじゃないか。」
『多分ね。直人のやつ、悲しい事があったらいつも屋上に隠れる癖があったからさ。
 それにそこはB棟の屋上、さっきのはA棟の屋上。場所が違うよ。』
「屁理屈だろ、それ……」

影からこっそり誰が来たのかを視認すると、携帯電話片手の鈴城くんだった。
誰かと話しながらの様だ。
ああ、そうか………
会話内容までは聞こえないけど多分電話の相手は風見くんで、勿論彼女の入れ知恵でここまで来たのだろう。

「余計な事を……」

彼には聞こえない様、ボソっと呟いてから彼の様子を観察する。
隙を見て脱出しなければいけないからだ。

「で、ぱっと見、ここには居ないぞ……」
『隠れてるに決まってるでしょ。あ、ちょっと待って。下手に探すと逃げられるかもしれないから。』
「じゃあどうすんだよ。」
『……あのね、物凄く機嫌が悪いのは解ってるけど、半分自業自得なんだからね。あの時キミが出てこなければ、まだ穏便に済んでたはずなんだよ?』
「う"……そこを突かれると痛い。いや、その…な?喧嘩になりそうだったから止めようと思って……」
『はいはい、ったく、直人の為じゃなかったらこんな手伝いしないんだからね?須々木野ーっ、ちょっと直人に…話か…て……る?』
「……電話が遠いぞ、誰と話してんだ?」
『いいから、そこでじっとしてて。』
「あ、ああ?解った。」

暫く話していたかと思ったら、今度はピタリと静かになった。
特にボクを探す様子も無く、何か待っているような……

―――プルルルル

「ひっ?!」

ポケットに入れていたボクの携帯がけたたましく鳴り始めた。
……しまった。そういう事か。慌てて取り出して相手の番号を見ると、委員長からの電話だった。
電源切っておけば良かっ―――

―――ガシッ

「えっ?!あ、や…その……」

携帯に気を取られている隙に彼に腕を捕まれていた。我ながら中々に間抜けな構図だ。
とりあえず、携帯をポケットにしまい込む。

「……やっと見つけた。」
「………は、離してよ。」
「駄目だ。」

てっきり恨み言でも浴びせられるのかとビクついたのに、語調自体は柔らかだった。

「………どうして?全部聞いてたんだよね。」
「全部じゃないけど大体は。」
「……だったらわかるよね?」
「何がだ?」
「だからその………」

どうして怒らないのだろう、どうして何も言わないのだろう、どうして―――

「泣いてるのか?」
「?!……な、泣いてないよ。」
「嘘付くなよ。目、真っ赤だ。」

極力俯いて顔を見せないようにしていたにも関わらず、彼にはお見通しらしい。
ハンカチが差し出される。首を横に振って拒否をした。

「どうしてそんなに優しいの……?」
「彼女に優しくない男なんて居ないだろ。」
「……ボクみたいに酷い女じゃなくてさ、もっと良いひと探した方がいいよ。
 どうせまだ2週間しか―――――」
「2ヶ月前」
「え?」

彼に言葉を遮られ、思わず顔を見上げてしまう。
頭の上に疑問符を抱えているボクとは違い、彼の目はその心を表すかのように真っ直ぐボクを見据えていた。

「2ヶ月前、ちょうど連休明けにさ……校門前でこう、そわそわしてなかった?」

五月の連休明けと言えば、丁度ボクが発症してしまってから初めて学校に行った日だ。
あの時は不安や恐怖で押し潰されそうになっていて、校門で踵を返して家に駆け戻り、学校を休もうかとも思った位だった。
その様子を見ていたのだろうか。

「……うん。もしかしてあの時、ボクの事見てたの?」
「見てた、っていうか、すれ違った。……おはよう、って声もかけたんだけど、やっぱ憶えてないか。」
「へ?……ぜ、全然……でもその時って鈴城くんと知り合ってなかったよね……?」
「だな。悲しそうな顔しててさ、折角綺麗なのに勿体無いな、って思わず声かけちゃったんだよ。」
「……ごめん、憶えてなくて。」
「いや、俺もその時は事情知らなかったしさ、軽率だった。……まあ、それは単なるきっかけに過ぎなかったんだけど。」
「………きっかけ?」

皆目見当の付かない話を彼は続けている最中、ボクの腕を掴んでいる彼の手からは力が抜け、リラックスしているように見受けられた。
今なら振り解いて逃げられるかもしれない。
だけど何故か話の続きが気になって、その場にじっとしていた。

「そうそう。次の日からさ、校門くぐる辺りでほら、俺ら1年の教室見えるだろ。2階だし。」
「……うん。」
「こう、何の気なしに自分の教室の窓見上げたらさ、目に入ったんだよね。白詰さんが空見てるのが。」
「え?」

確かにボクの席はその当時窓際の席で、馴染めない自分の体とクラスに辟易していて、朝は窓から外の風景をいつも眺めていた。
遠くを飛ぶ鳥の姿や雲を見て、自由って良いなぁ等と馬鹿げた事を本気で夢想していたのだ。

「やっぱりその時も白詰さんの表情はさ、どっかこう……哀愁が漂ってて、どうしてそんな顔してんのかなぁって考えるようになったんだ。」
「………?」
「それから、毎朝校門くぐる時にE組の教室……っていうかまぁ、その、白詰さんの事を目で追うようになってたんだ。」
「…………どうして?」
「言わなきゃ駄目…か?」
「……………気になる。」
「い、いかがわしい意味じゃないからなっ。い、至って健全な……えっとだな…」

肝心な部分になると答え難いらしい。ひょっとしたら、今ボクが一番聞きたい言葉を彼から聞けるかもしれない。
ボクの様な酷い人間が抱いてはいけない期待が否が応でも膨らんでしまう。

「まぁ、その、なんだ……白詰さんにとっては誰でも良かったんだろうけど、以上の事からして俺としては願ったり叶ったりだったわけで………」

婉曲ではあるけども、一応の回答は得られた。得られたけども、曖昧にぼかしてあるのでイマイチ納得がいかない。
だけど、彼の照れ隠しも理解出来なくはない。

「………何が?」

が、しかし、どうしても遠回しなのが癪に障ってぶっきらぼうに尋ねてしまった。

「えっと、その…付き合う相手が。」
「………ボクだって―――」

告白する相手くらい、きちんと選んだつもりだった。

「―――選んだよ。選んで、望んで、鈴城くんに告白したの。」
「そうか。……理由、聞いてもいいか?」
「別に……構わないけど。」
「じゃあ、教えてくれ。」

今度はボクが胸中を吐露する番の様だ。
このまま逃げるのも可能だっただろうに、何故か動いてくれたのは足ではなく、口だった。

「鈴城くんだけだったんだ。ボクの目を見て話をしてくれた男の子が。」
「下心見え見えで声をかけてくる男子や、告白してきた男子のほぼ全員がさ、胸とか腰とかばっかり見てボクと話をするんだよね。」
「まるで体だけ求められてるみたいで気持ち悪くて怖かった。………だけどキミだけは違った。」
「学祭の準備で知り合った時から話すようになったけど、話す時は大抵目を見て話してくれた。」
「……………だから、キミを選んだ。怖くなかったから。」
「……えっと、自惚れてもいいかな?俺。」
「え?」
「駄目か?」
「……でももうボクなんか嫌われてて当然だろうし。」

彼は大きな溜息を付くと、ボクの背に両手を回して抱き寄せた。
勿論抵抗なんて出来るはずもないし、してもいないのに、口だけは感情とは正反対に拒絶の意思を示す。

「駄目だよ……キミの事は特に好きでもなかったんだから……鈴城くんの気持ちを弄ぶような事したんだから……」
「そりゃあさ、告白してくれた時は"好きでもなかった"って過去形なんだろうけどさ、今はどう?」
「い"…い、いいい…今?」
「そう、今。俺、何の断りもなく抱きしめちゃったけど、拒否してるようには見えないしさ。」
「………でも、嫌われて当然のような事したんだし。」
「あのさ、俺が嫌ったっていつ言った?」
「……え?」
「ひとっことも言ってないよな?……白詰さん、思い込み激しくない?」
「そ……そんな事は………ない、はず。」

う~ん、と一言唸った彼は、意を決した様にボクの目を見据えてこう切り出した。

「恥ずかしながら一目惚れでした。俺、白詰さんの事が好きだ。付き合って下さい。」
「……!………う、嘘でしょ」

一番欲しかった言葉を、一番言って欲しい人から聞いたのに、口だけは疑いの目を向ける。
確認するかのように、彼の次の言葉を誘い出すかのように。

「嘘じゃない。これから先ずっと君を好きでいる。」
「………根拠は?」
「無い。」
「無いの…?」
「無いけどはっきり言える。男だった時の白詰さんも含めてもずっと好きでいられる。」

異性化してしまってから結構な数の男子から告白された経験はあった。
だけど、ボクが男だった過去も飲み込んでくれるような事を言われたのは初めてだった。
多分もう、ボク自身はこの時蕩けてしまっていたに違いない。

「……自信、たっぷりだね。」
「そりゃあ、これから喧嘩もするだろうし、不安にさせる事もあるだろうけど、約束する。」
「……………」
「返事は―――」
「い、今こ、こここッ……ここでッ?!」
「―――返事は言葉じゃなくていい。嫌だったら、突き飛ばしてくれ。」
「………んっ」

優しく顎に手を添えられ、少しだけ上に持ち上げられた。
背に回されていたもう片方の腕には力が込められ、より密着した形となる。
嫌だったら~何て言っておいて、逃がす気が全く無いのが白々しい。
完敗だ。全く持って完敗だ。清々しい位に完敗なのだから、敗者は敗者らしく静かに目を閉じて甘んじて受け入れようじゃないか。
……それを嬉しく感じてしまうのは若干気が引けたけども。

白々しい行動とは裏腹に唇同士が触れるだけの優しいキス。まるで彼の性格を反映しているかのようだ。
息継ぎの吐息はお互いに荒く、おそらく初体験だったのであろう事を想像させる。
拙さが故の悦び、悦びが故の愛おしさが胸いっぱい込み上げてきた。
そのせいか、時間にすると数秒しかなかっただろうに周囲の時間が止まってしまったかのような錯覚を覚える。

そして唇が離れる瞬間、少しだけ寂しさを感じた。

「………参りました。」
「えっと……受け入れてくれた、で、いいんだよな?」
「………うん。」


――――バタン

気持ちを確かめ合った直後、開けっ放しであった屋上の扉が風に吹かれて音を立てて閉じた。
この時は気が動転していて、誰かに見られたのではないかと2人とも勘違いしてしまっていた。

「ぃッ?!」
「だ、誰ッ?!!」

お互いに先ほどとは違った理由で心臓の鼓動が早くなる。
周囲を見回すが、それらしき人影は見えるはずが無かった―――

「……誰もいないな。」
「ううん……」

―――はずなのに。
入り口近くの物陰からテール状にまとめられた髪が一束見え隠れしていた。
サイドテールかツインテールか、はたまたポニーテールか。
ま、こんな趣味の悪い出歯亀をしそうな人物且つ、テールな髪型の人は生憎と1人しか知らない。
頭隠して尾を隠さず。

「ん?見つけ――」

先ほどの会話中にポケットにしまい込んでいた携帯電話を取り出す。
その様子に気付いた彼の口に人差し指をあて、静かにするように促した。

「……なんで携帯出したんだ?」

今度は小声でボクに尋ねる。返事代わりとばかりにボクはとある友人の番号を呼び出した。

514 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(西日本)[sage saga] 投稿日:2011/06/25(土) 03:59:52.46 ID:tpgIDk0uo [14/21]
「し・か・え・し♪」
「………仕返し?」

―――Pi
『交わしたや~くそく、忘れないよ。目~、を閉じ、確かめる。押し寄せ~た闇、振り払ってす~す……』

「うわぁああああッ?!」

只の着信音ではなく、何かしらの着メロが響き渡ると同時に明らかに女の子のものであろう悲鳴も響き渡った。
勿論逃げられないように音のした場所に駆け寄り、隠れていた人物を引っ捕まえた。

「……ひぃッ、ま、待って、直人、これは誤解なの!」
「ど・こ・が?……見たよね?見たよねッ?!」
「だ、だ…だってさ、須々木野がさ!……あれ?」

ボクに腕を掴まれながらも、風見くんは何故か辺りをきょろきょろしていた。

「どこ見てるの?面白いものでもあった?」
「い、いや、だから……須々木野が様子を見ておかないと危なそうだから、ってさ……」
「委員長はここには居ないよ?キミ1人だよ?いない人に罪をなすりつけようとするのはズルくないかな?」
「チクショウ…須々木野逃げてるし………あ、いや、その……な、何も見てないから!見てませんからッ!」
「………本当に?」
「…うん」
「絶対に?」
「うん」
「必ず誓ってきっかり見てない?」
「…あー、もうッ!しつっこいなぁ!直人がキスしてるとこなんて見てないからッ!!」

ボロを出してしまった彼女を見据えると、否が応でも彼女の腕を掴んでいる手に力がこもる。

「………ふ」
「あ…………」
「ふふふふふ…………」
「え、あ、や、その、えと………」
「やっぱり見てたんじゃないかぁあああああああああ!!!!!!」

腕を引き寄せ両手で頭を鷲掴み、こめかみに拳をぐりぐりと擦り付けた。

「い"いだいいだいいだいぃぃぃぃっ?!ご、ご、ごめ"ん"~~ゆ"る"じで~~~~……」
「ゆ・る・さ・な・いぃぃいいいいいい!!!」

しばしの間、痛みに悶える彼女の悲鳴が屋上に撒き散らされた。

「な、なぁ……もうその辺でいいだろ?な?」
「だ~めっ。……大体、鈴城くんも怒っていいんだよ?」

言葉とは裏腹に溜飲も多少は下がってきた頃合で、屋上の扉が音を立てて軋み、開かれる。
誰がやってきたのかと一瞥すると、それは風見くんの彼氏であろう男子生徒だった。

「………何やってんだお前ら」
「お仕置き中」
「なんだそりゃ……」
「と"ーや"~~だずげで~~~……」
「おまっ……あー……なぁ、白詰。そこらへんで勘弁しといてくれないか?ハルが何やったかは知らないが。」
「しょうがないなぁ~、風見くんの彼氏に頭下げられちゃったら離すしかないじゃない。」

彼女は解放されるとよろけながら氷山くんの胸に飛び込んだ。
そして優しく抱きとめられ、頭を撫でられ、いつも通りにふやけていた。
実は痛がっていたのは演技だったんじゃないだろうか。そんな事を思わせてしまう程に良い笑顔だ。

「んじゃ、オレ達は店戻るから。お前らもなるべく早く店に戻って来いよ。バッグ取りにな。」
「あれ?氷山くんもSF研のお店手伝ってたの?」
「ああ、こいつに頼まれて。まぁ、裏で皿洗いだけどな。」
「知らなかった。」
「教えてなかった。ごめんな、コイツが2人に迷惑かけちまって。」
「あはは…いや、俺は気にしてないから別に。」
「……鈴城くん、そこは気にしてほしい。」
「いや、気にする以前にどうみてもやりすぎだったろ……涙目だったじゃないか、その子。」
「む~~…」
「仲良くやれよ。」

ドアノブに彼が手をかけた所でふと気が付く。

「あ、氷山くん、どうしてここに居るのが解ったの?」
「ああ、コイツの帰りが遅いから探してたんだが、すぐそこの階段から降りて来た委員長に聞いた。」
「へぇ……」
「…………やめとけって、もう十分にウサは晴れただろ。オレ達の事もバレちまってるみたいだし。それで十分だろ……な?」
「ヤケに委員長のこと庇うんだね?」
「そんなんじゃねーよ。友達同士が喧嘩するとこなんて見たくねーだけだ。」
「はぁ……ちょっと前なら今の言葉も弄るネタになったのになぁ……」
「今は違うのか。」
「だってすごい真面目な顔してるし、風見くんとの仲も知ってるし、今のその様子見て弄ろうとするなんてボクには出来ないよ。」
「そうか、良かった。」

――――バタン

2人が屋上から居なくなると、キスをするまであった甘ったるい雰囲気も見られた後の張り詰めた空気もなくなり、微妙に白けてしまっていた。
白けた雰囲気にあてられたのか、多少自嘲気味に口を開く。

「あーあ、3つ目さ、言う前に奪われちゃった。」
「3つ目?」
「うん、ほら、ボクが最初に告白した時にさ。」
「あー………駄目だったか?」
「ううん、逆に嬉しいくらいだよ。只、キミに先を越されて悔しかっただけ。それに……」
「それに?」

516 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(西日本)[sage saga] 投稿日:2011/06/25(土) 04:01:02.42 ID:tpgIDk0uo [16/21]
これから言おうと思う事を考えるだけで、恥死しそうな位足のつま先から頭の天辺まで熱くなっていく。
なので、顔を見られないように彼の胸に顔をうずめた。

「ボ、ボクも鈴城くんの事、す、すす、す…好きになりました。
 その、いつからか、ってのは……自分でもイマイチはっきりしないけど……」
「はっきり解る事のが少なそうだ。」
「そんなもの……かな?」
「そんなもんだ。でもまぁ…白詰さんも俺の事好きになってくれてたってのは何となく解ってたけど。」
「え…えぇぇっ?!い、いつ?!どうして解ったのそれッ?!」

自分でも自覚出来たのはついさっきだと言うのに、この男は随分前から実は知ってましたみたいなドヤ顔をしている。
物凄く悔しいので理由を尋ねてみた。

「まぁ、その、確信を持てたのは今日なんだけどな。デート中の白詰さんの様子見てたら、なんとなく。」
「………え?」
「いやぁ、良い反応をどうもありがとうございました、みたいな。」
「…………ひょっとして、ボクにカマかける為に今日はいつもと違っていじわるだったんですか?」
「だったんです。」
「~~~~~っ!?」
「良い赤面をありがとう、白詰さん。」
「な、ななな、なにそれッ!そんなものに感謝しないでよッッ!!」
「ははっ、悪い悪い、白詰さんが可愛いから、つい。」
「つ、つい、って…もう………」

弄ばれている事にどうしても不満を持ち、頬を膨らませる。
不満の裏には嬉しさとか楽しさとか、悦びが見え隠れしているのだけども。

「悪かったって、そう拗ねないでくれないかな。お詫びに1つだけ何でも言う事聞くからさ。」
「……ほんとに?」
「まぁ、俺に出来る範囲で、だけど。」

こんな魅力的な提案をされてしまうと、考え付く願いごとはたった1つしかない。

「………じゃあ、名前で呼んで欲しい。勿論今の名前で。」
「えっ?!……いや、それはちょっとハードル高くないっスか?!」
「キャラ変わってるよ、鈴城くん。……いいじゃん、その……せ、折角両想いになったんだし。
 無理難題ってわけじゃあないよね?」
「ぐ……出来なくはないけど……」
「じゃあ、お願い♪」
「その代わり、ナオも俺の事名前で呼んでくれないか?」
「……ぇ?」

さらっと名前を呼ばれた事と彼の反撃が合わさって、途轍もない破壊力を持ってボクの意表をブチ抜いた。
………要するに、また顔から火を噴いたわけで。

「駄目か?」
「駄目じゃない、けど………あのさ、今の状況わかってるよね?」
「状況?」
「そう、状況。」

やられっぱなしでは悔しいので、近寄って彼の背に両手を回し、抱きついた。
邪魔でしかないボクの胸が、良い感触と共にぽよんと押しつぶれて形を変える。

「こんな状況でコウくん♪なんて呼んじゃったら、我慢……出来なくなっちゃうよ?ボク。」
「な、ななな、なんの我慢ですかーーーーーっ?!」
「あれあれあれ~~?腰辺りに硬いものが当たってるんですけど~?」
「い、いやいやいやいやいや、こ、こここ、ここでは不味いだろっいくらなんでもっ?!」
「あははっ、流石に学校じゃあ、ね。冗談だよ。」
「はぁ……か、勘弁してくれよ。り、理性が持たない……ッ」

彼の再反撃も誘発しかねない諸刃の剣だった反撃は、どうやらクリティカルヒットしてくれたようだ。
勿論、再反撃されるのは覚悟の上と言うか、むしろされたかった位なのでちょっと残念ではあったのだけど。
しかしながら、やはり彼の狼狽えている姿を見ると気分が落ち着く。精神的に優位に立てるからだろうか。
彼としては甚だ不本意だろう事は承知の上だけど、やめられそうにない。

「そうそう、コウくんはやっぱりそういう反応をしてくれなくっちゃ。」
「い、いや、しかしだな……ペースを握られるのは男の沽券に、その、あれだ……」
「……ふーん。そんなにリードしたい?」
「まぁ……そりゃあ、出来れば。ナオが嫌がらない程度に、だけどさ。」
「そんなコウくんに耳寄りなお話があります。」
「どんな話だ?」
「今日ね、ボクの両親……帰りが遅いんだ。」
「え、えっと……そ、そ、それはその……お、俺達にはまだ…は、早くない、か?」
「ど~せコウくんの事だから、こうでもしないと進展してくれません。初キスまで2週間もかかったんだよ?」
「し、し、ししし、しかしだな……」
「しかしもかかしもないんだよ。ボクとしてはこんな風に誘うのすんごい恥ずかしいんだからね。」
「……そ、その割りには随分落ち着いてるな。」
「落ち着かせてくれたのはキミなんだけどなぁ。観念しなさいっ。それとも、やっぱりボク相手じゃ………嫌?」
「んなッ?!そんなわけあるかッ!好きだッ!」
「~~っ!?……またそうやって不意打ちするし、答えになってないしっ!」
「悪い、不安にさせたと思ってさ。」
「じゃあ……ボクを不安にしたお詫びも兼ねてさ―――」



「ボクの初体験、貰ってくれる?」


おしまい



あとがき

Q1.>>184
各キャラのフルネームとか諸々気になります。
A1.
主人公s:
白詰 奈緒
鈴城 幸

E組クラスメイト:
風見 春
氷山 冬弥
委員長(須々木野 夏奈)

F組クラスメイト:
斉藤

Q2.>>184
特ににょたのスペックうp
A2.
白詰:身長160cm 50kg 3サイズ上から 84 59 83 のDカップ
風見:身長155cm 48kg 3サイズ上から 88 58 84 のEカップ
委員長:身長163cm 47kg 3サイズ上から 72 57 78 のAカップ

SIMPLE2000シリーズ ザ・格差社会。

Q3.長すぎor(and)おもんない
A3.すいません…orz

Q4.寸止めですか?
A4.寸止めです。

Q5.他には何か書いた事はあるの?
A5.安価お題『高校に入って1ヶ月、同じクラスの男子が4月生まれの童貞ばっかで、オレ以外は全員女体化…何このハーレムWWW』と『魂』

Q6.上記のと世界観繋がってんの?
A6.繋がってますが、続き物ではないので別に読まなくても。

Q7.トリ付けないの?
A7.迷ってます。一応今回はあとがきにのみ付けてみました。

Q8.このあとがき、どっかで見たことある
A8.気のせいです

Q9.まだ何か書くの?
Q9.安価↓

お粗末様でした。


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最終更新:2011年07月04日 03:01
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