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安価『罰ゲーム』前章

日中の暑さも大分和らいでくる真夏の午前零時近く。
夏休みである俺達は仲のよい友達を集め、俺の家にお泊まり保育をする。

9時頃から始めている大富豪も、いい加減飽きてきた。
周りの4人もだれはじめてきている。そろそろやめ時かな。

だって、俺の一人勝ちなんだもの。
さすが、ハンゲで鍛えた腕は伊達じゃないな。
皆弱っちいの。

「ねぇ、そろそろ辞めない?」
「そうだな・・・お前の一人勝ちだし。」
俺の右隣に座っている河原辺が、やる気のない声で言う。
はぁ、と大きなため息をつき、カードを床に叩きつける。
顔は無表情に近いが、恐らくは怒っているだろう。
そういえば、こいつは始まった時からずっと大貧民だったからな。
つまらなくても仕方ないだろう。

「最後は罰ゲームつけてやらない?」
「またお前の勝ちだろ?つまらねぇから。」
こう言うのは、左隣に座っている高野だ。
頬に手を当てながら、少しむすくれた顔をしている。

俺は辺りを見回す。
皆気力があるように思えない。中には眠っているやつもいる。

(つまらなくした原因は俺にあるが、提案したのはお前たちだろうが・・・)

そう思うと、俺もと途端にやる気がなくなってしまった。
大きくため息を吐き、頬を少し膨らます。これじゃただの我儘っ子だ。

不穏な空気が漂う中、とある人が口を開く。

「あの・・・いい罰ゲーム考えたんだけど・・・」
ここ5人の中で一番身長の低い東海林だ。
申し訳なさそうに辺りを見回しながら、低い態度で提案する。

「やっぱり、大富豪やろうって言いだしたの俺達だし・・・最後も芋野に付き合おうぜ。」
高野はさすがだ。よくわかってる。
俺は先ほどの状況から一転、にこにこと満面の笑みを浮かべる。
なんとも簡単な人間だろう・・・。

「それじゃ、新聞記者ゲームで罰ゲーム決めるか。」
数学のノートを勉強机から引き出し、後ろの2、3ページをはぎ取る。
ハサミで等間隔に切り、切り終わったやつを4人に渡す。
筆箱をぽんと中心の輪のところに置き、皆に思い思いの言葉を書いてもらう。

1・いつ
2・どこで
3・誰が(大富豪の最下位。つまり大貧民)
4・何を
5・どうする

「みんな、好きなように書いてね。それにこれはどんなのが出ても絶対だからね。」
負けるわけがないと確信している俺。釘をさすように強く言う。
誰かは分からないが、俺の言葉を聞いて舌打ちした奴がいたようだが、まぁ気にしないでおこう。

「みんな書き終わったね。俺トイレ行ってくるわ。」
皆が書き終わったのを確認すると、俺はすくっと立ち上がってトイレに向かう。

その時は、まさかそんなことになろうとは思わずに・・・。







身も心もすっきりとした俺は、颯爽と部屋のドアを開ける。
中の様子を見ると、既にカードは配り終えているみたいだ。
相変わらず、皆から覇気を感じられない。
俺はどかっと自分の元にいた場所に座る。
目の前にいる峠が「早くしろよ」というような目線で俺のことを見てくる。

(ま、せいぜい頑張るんだね)
弱い相手は見下してみる俺の性格。本当に最低だとつくづく自分でも思う。

「ようし、始めるか!」
場を盛り上げるため、張りのある声を出す。
どうせ最後も俺が勝つだろう、と心の中で思いながら。








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最終更新:2008年08月02日 15:55
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