「お兄ちゃん、起きて!もう学校に行く時間だよ!」
母親に言われ、私は兄貴を必死に起こす。いつもの見慣れた光景だ。
兄貴は狸寝入りが大の得意で、いつも布団から出ようとしない。
起きているはずなのだが、目は閉じている。
起きているのか確認するため、兄貴の股間をバットで強打したときには、激しく怒られた記憶がある。
「お兄ちゃん、起きて!」
私は布団に包まっている兄貴の体を何度も揺すったが、なかなか布団から出てこようとしなかった。
でも今日に限って、布団からでようとすることを拒んでいる気がする。
不思議には思ったが、早く起こさないと母親に起こられてしまう。
私は強引に布団を引っ剥がした。
「お兄ちゃん!いい加減にしないと・・・」
私の言葉はそこで止まった。
引っ剥がした布団の中には、明らかに兄貴ではない人物がいた。
「以前の兄貴」
・ボサボサの髪
・私と同じくらいの背丈(160センチ)
・ぼよーんと太ってる
「今日の兄貴」
・サラサラの髪、何かCMに出てきそう
・私より低い背丈(150センチは切ってる)
・胸のところがぷっくらと
小動物のようにふるふると震えている可愛い女の子がそこにいる。
私は悟った。
兄貴は童貞だったんだな、って。
最終更新:2008年08月02日 16:13