ツルとカメ-44
雀の鳴き声が聞こえて目が覚めた。
体を少して感じるのは肌とシーツが擦れる滑らかな感触。次に来るのは人間の温度で、
それが伝わってくる意味を理解してボクの思考は完全に覚醒した。
「……そうだった」
何故直接素肌にシーツが当たるかといえば、
「……昨日、そのまま寝ちゃって」
随分とだらしなくなったな、と少し自己嫌悪。以前は、そう少なくとも半年程前までは
線引きがはっきりしていたような気がする。こんな風にエッチをすることは何度もあった
けれど、終わったら部屋に戻っていた。一緒に寝るなんて考えたことも無かったし、主人
とメイドっていう感覚もはっきり自覚していた。ホウ様は対等な友人として扱ってくれた
けれど、それでもケジメみたいなのは存在していた。さっき考えた通りに寝る場所は別に
したり、ご飯を食べる時間や内容そのものが別物だったり、数えていけば、それこそキリ
がないくらいに。対等なもの、と言ったら部活くらいだったかもしれない。
しかし今は違う、部屋の中を見ると以前との差がよく分かる。
脱ぎ散らかされた服、行為に使った道具、改めてだらしなくなったと思う。悪くはない、
と思う部分もあるけれど、ちょっと違和感のようなものがあるのも事実。以前はエッチを
した後は、物を片付けたり服を着たりと後始末をしていた。ボクとこんなことをしている
ことがバレないように、という意味合いもあったけれど、それ以外のものがあったのだ。
ジレンマや切なさに起因するそれを、何て言ったんだっけ。
ダメダメ、また悪い方に思考が進んでる。
「……片付けなきゃ」
隣で寝息をたてているホウ様を起こさないように、そっとベッドを抜ける。既に早番の
人が暖房を着けているので寒くないけれど、体を冷やしちゃいけないので布団を直した。
ホウ様も軽く体を丸めただけで、特に変わった様子はない。安らかに目を閉じている姿は
マリア様みたい、どんな夢を見てるんだろう。
いけない。
そのまま眺め続けたいと思う衝動を抑え込み、取り敢えず自分の服に袖を通す。長年の
経験から行為は一瞬、これはボクの数少ない特技の一つだ。それを誇りに思うと同時に、
心も引き締まってくる。メイド、って仕事の自覚も沸く。これで後は服の皺が無かったら
完璧なんだけど、全裸で部屋を出る訳にもいかないし。ボクにはそんな変態チックな趣味
は無い。最近ホウ様は少しアブノーマルな方向に進んでいるけど、まさか、露出系の趣味
は無いよね。訊くことは出来ないけど、また寝顔を少し見る。
数秒。
いけない想像をしてしまった自分の悪い部分を戒めてから、掃除に戻る。まずは昨日の
プレイで使った道具、これは見られると本格的にマズいから最優先で。双頭ディルドーや
ローター、これは最初に見たときは驚いたけど今となったら可愛いものだ。音をたてない
ように、しかし手早く拾ってバッグに詰め込んでゆく。洗うのは後でも出来るから良い。
それにしても大きなバイブだ、こんなものがボクやホウ様の中に入っていたなんて、素に
戻っている今だと照れや羞恥よりも驚きの方が大きい。
次に向かったのは手錠や荒縄、痛くないのかなと思ったけどホウ様は気持ち良さそうに
していた。ちょっと興味があるけど自分で使う勇気は無いし、何だか怖い。終わった後に
どんな状態になるのか、そんな自分が想像出来ないからだ。乱れるホウ様は綺麗だけど、
だからこそ恐くなってしまう。でも、これもまだ可愛い方。
横を見ると転がっているのは鞭やロウソク、ボンテージ服。これは見ないでバッグへと
強制突入させる。あまり使用頻度は高くないけど、割とお気に入りみたい。ボクはあまり
好きじゃない、ホウ様の綺麗な肌に傷が付くのは嫌な感じ。
「……でも、無傷でも」
最後に控えた大物を見た。
タライと、リッター型の大きな注射器。これは最近、殆んど毎晩登場するようになった
ものだ。何に使うのかは言わなくても分かる、けど言葉には出しにくいもの。この部屋に
トイレとお風呂があって良かったなと思う、そうじゃなかったら大変なことになっていた。
逆に言えば、この部屋にあったからこそ出来たプレイなのかもしれないけど。
ダメダメダメダメ、思い出したら負け。
専用のタオルで放出部分を拭ってポケットへ。アルコールを何度かスプレーしてタライ
ごとクローゼットの中へしまい込む。バッグを隠したら道具は終了。
頭の中からエッチなものを無理矢理排除して、次の作業に向かう。床に散らばった服や
下着を拾い集めて、これを誰にも見付からないように洗濯場へ持っていくのだけれども、
何気にこれが一番難しい。このお屋敷は朝の四時からフル稼働するから、本当の意味で人
が居ない場所というのは少ないからだ。もしボクがホウ様の服を持っているのを見られて
しまっても変に思われることは無いと思う。ボクはホウ様の専属メイドだし、朝から働く
なんてことは少なくないからだ。だからと言って油断出来るものではないし、そう考えて
コソコソしても妙に思われる。それにエッチをした後の独特な匂い、分かる人は分かる。
そんなこと全てに気を遣いながらの仕事は、ある意味ではさっきのタライよりもキツい。
それでも苦にならないのは、
「……ホウ様のことが、大好きだからだね」
自分で言って、少し恥ずかしくなった。
聞く人も見る人も居ないのに照れて俯けば、視界に入ってくるのは、
「……ぱんつ」
どうしよう、匂い、嗅ごうかな。
ダメダメ、それじゃあ変態になる。
ホウ様が身じろぎでもしたのか、背後で衣擦れの音がして、心臓が一段高く鳴った。
「……セーフ?」
数秒。
答えが帰ってこないことに安堵をしつつ、下着に近付いていた鼻を上げた。振り返って
ボクは会釈を一つ。両手が塞がっているからスカートを摘むことが出来ないけれど、礼の
角度に気を付けて出来たので自分に及第点。
「……それではホウ様、また後程」
頑張らなくちゃ。
◇ ◇ ◇
「ちょっと値が張りますけど、出来れば2LDKくらいは欲しいですわね」
ホウ様はお部屋のカタログとにらめっこ中。2LDKって、そんなにお部屋があっても
使わないと思うんだけどな。あ、でも使用人のお部屋とホウ様の個室ってことを考えたら
必要かもしれない。ボクもお屋敷では個室を貰っているし、今朝考えたケジメってものの
こともある。ボクは自分のプライバシーをあまり気にしないタイプだけど、ホウ様だって
見られたくないものもあるだろうし、線を引き直すには丁度良い機会かもしれない。
ボクはメイド。
ボクは恋人。
その二律背反するものを両立させるという意味では、このルームシェアは絶好の機会だ。
「オウ、聞いてますの?」
「……はい、しっかりと」
最初は少し頬を膨らませていたけれど、すぐに笑顔になって頷く。可愛いなぁ、ホウ様。
生徒会に居たときは立場上カメ君に注意をしないといけなかったけど、馬鹿なことばかり
していた気持ちは良く分かる。きっとカメ君もツルちゃんに対して同じように考えていて、
その結果エッチなことばかりしちゃったんだろう。ボクだって、そんな気分になる。
「オウはどの部屋が良いんですの?」
「……ボクは、ホウ様が好きなものを」
決まりませんわね、と言うと溜息を吐き、ホウ様はソファに横になる。スカートが大胆
に捲れ、青い下着やすらりとした太股が見えた。こんな姿も以前までは考えられなかった。
二人きりのときでも、学校に居るとき程じゃないけれど凜としていたのに。
「……ホウ様、はしたないですよ」
「良いじゃありませんの、他には誰も居ませんわ」
「……そうじゃなくてですね」
スカートを直して、さっきのホウ様のように吐息。
さて、ここからどう言おうかな。
「……ホウ様にとって、ボクは何ですか?」
「愛しい人ですわ」
目を細めて、囁くように言う。これはヤバい、あまりの色気に鼻血を出しそうになった。
今まで何度も裸や喘ぐ姿を見てきたからエロ耐性はかなり付いていたと思っていたけれど、
まだまだだったみたい。でも、今はそれよりも大事なことがある。
「……ボクはメイドです」
「それも分かってますわ。だからこそ耐えてきたのだし、二人で頑張っているのですわ。
あ、カメ君にも後で改めてお礼を言わないといけませんわね。オウを勇気付けてくれて」
分かってない、そう叫びたくなった。
ホウ様は好きだけど、それこそ愛しているけれど、今のホウ様は何だか違う。どの辺り
が違うかと言われたら困るけれど、違和感のようなものがある。何だろう、上手く言葉に
出来ないのが、とてももどかしい。言わなくちゃいけない筈なのに、それが出てこない。
とても、とても大切なことだと分かっているのに。
「どうしましたの?」
首を傾げるホウ様の頭を抱いて、深く息を吸った。
「カメ君じゃありませんけど、オウの胸って気持ち良いですわね」
そう呟き、ホウ様は腰に腕を回してくる。
まるで幼子が甘えるように、自分のだらしない姿を気にもしないで。思いきり頭を胸に
押し付け、ときたま細い声を漏らす。見下ろせばまたスカートが捲れていて、下着も脚も
剥き出しの状態だった。盛りの付いた猫みたいだな、なんてかなり失礼なことを一瞬だけ
思ってしまった。酷い人だね、と自分のことなのに悪く言ってしまう。
でも、そう思ったのも事実で。
「オウとの大学生活も楽しみですわね」
そうか、そうだったんだ。
違和感の正体が、やっと分かった。
「……もっと」
息を吸う。
「……もっと、ちゃんとして下さい。このままだとボク、ホウ様嫌いになります」
ビクリ、と腕の中の体が震えた。
「……こんなの、嫌です」
胸から顔を離し、見上げてきたのは泣きそうな顔。『甘やかして』あげたくなったけど、
心を鬼にして視線を真っ向から受け止める。ここが勝負時、ここで引いてしまったら後で
絶対に後悔するだろうし、後戻りも出来なくなる。カメ君にも申し訳ないし、ホウ様にも
申し訳が立たなくなる。これは、ボク達の為に大切なことだから。
何が駄目だったのか、それはきっとボクとホウ様両方のスタンスだ。
最初に誘ったのはボクの方、崩れたのは二人の責任。最初はとても楽しかった、二人で
悩んで迷って考えて、そして答えを模索していた。でも答えが出たら、それこそ酷いもの。
幼馴染みだから気安いというものもあったんだろう、性別が同じだから隠すものも少ない
ものだった。それまでの
繋がりを一歩踏み出してホウ様に近付いていたと思っていたけど、
それは間違いだった。逃げていた、と言っても良いかもしれない。ホウ様は答えの結果に
溺れて甘えて、ボクは答えの結果に溺れて受け止めて、そこから二人でグダグダになった。
素の自分を見せるというのは、気取らないとかダラダラするというのと違う。そんなもの、
甘えているだけだ。そう、今のホウ様のように。
こんなもの、ボクは望んでなんかいなかった。
もっと楽しくて、充実していて、そして何より、
「……ずっと、笑っていられるような」
それには今のままじゃ、駄目なんだ。
辛いことだけど、嫌われても良いとさえ思える。一方通行なんて知ったことじゃない、
そんなのは女の子でありながらホウ様を好きになったときに覚悟していた。好きになって
から十年以上、ずっと言えずに耐えてきた。だからそれが伸びるだけなんて、全然平気。
こんなホウ様を見ている方が、ずっと痛くて辛くて切なくなってくる。
「オウ?」
「……もう一回言います、今のホウ様は嫌です」
言っちゃった、と頭の中の感情的な部分がボクを非難する。こんな素敵な人とは、もう
二度と出会えないかもしれないのに。それをわざわざ棒に振るなんて馬鹿みたい、ずっと
後悔するかもしれないよ。良いじゃない、ホウ様が一緒に居てくれるんだから細かいこと
にこだわらなくても楽しく暮らしていけるんだよ、と。そう何度もボクの心を責める声を
振り払い、ホウ様の頭に手を伸ばす。
「……ホウ様」
肩を震わせて目を閉じるホウ様の髪に指を滑らせ、逆の手で背中を撫でた。
「……何でボクが、こう言ったか分かりますか?」
無言。
返事は来ない。
「……ボクはホウ様が大好きです、大好きで大好きで堪りません。……でも、今のホウ様
を見ていると、嬉しくないんです。前は見ているだけで幸せでしたし、今も少し幸せです。
……でも、それ以上に嫌な感情が止まらないんです。……ホウ様が、壊れていってるから。
……確かに楽かもしれません、対等なのかもしれません。……でもそれは絶対に悪い意味
での楽や対等で、だから今のままじゃいけないって思うんです」
疲れた、こんなに喋ったの久しぶり。でもまだ足りない、ボクが本当に言いたいことは
まだまだ伝えきれていない。これも大事なことだけど、その奥にある言葉が出てきてない。
「……ホウ様」
「この場合、この言葉が正しいのか分かりませんけれど」
更に言葉を続けようとしたのを遮り、
「ありがとうございます」
そう言って、ホウ様は唇を重ねてきた。
「目が覚めましたわ。今まで辛い想いをさせて……って言葉にすると嘘臭いですわね?
でも、もし許してくれるなら、もう一度チャンスを与えてくれるのなら、頑張りますわ」
一拍。
「二人の関係を、大切にする為に」
ホウ様の唇から溢れた簡潔な一言、それを聞いた瞬間、目頭が熱くなるのが分かった。
伝わっていた、言葉に出さなくても一番大切なものを理解してくれていた。それが何より
嬉しくて、ぎゅっとホウ様を抱き締める。
「……ホウ様、二人で頑張ろう。二人でもっと、二人がもっと良くなる為に」
頷き、返ってくるのは再度のキス。
それは唇を横に滑り、頬に辿り着く。
「……あの、汚いですよ?」
「オウの涙ですもの、汚いことなどありませんわ」
オウの味がします、と言葉を続けてホウ様は音をたてながら吸ってきた。柔らかな舌が
ぬるりと頬を撫でて擽ったいけれと、それ以上に感じるエッチな感触が体を火照らせて、
頭が白くなってくる。カメ君としたときとは違う感じ、そのときよりもずっと凄い。
そのまま手が伸びてきて、ボタンを外し始めた。
「……や、ちょっと、ホウ様?」
「オウがいけないんですのよ? こんなに可愛いから」
「……可愛いって!?」
そんな、誉められると抵抗出来なくなる。それに可愛いって、ボクが、そんな、ホウ様
の方がずっと可愛くて綺麗で格好良くて素敵でマグナムでアルティメット何とかで凄くて
エクセレントでエレガントで、もう何が何だか分からなくなってくる。
その間にもホウ様は作業を続けていたらしく、気付けば下着だけになっていた。
「……落ち着きましょう、ホウ様。何だかカメ君みたいになってますよ?」
「私はあんなに変態じゃないですわよ? これは愛です」
「……そうですか。……カメ君も同じ言い訳してますよ?」
嘘!?、と退け反るホウ様の隙を突いて、ボクも服を脱がせてゆく。襟を開いてゆく度に
白い肌が大きく露出して、半分程ボタンを外した辺りで大きな胸が姿を現した。綺麗だな、
という感想と、羨ましい、という気持ちが沸いてくる。肌はキメが細かくてすべすべだし、
胸も大きいだけじゃなくて形も良い。アラブ系の血が入っているボクの肌は、ホウ様とは
対照的だ。自分の血が嫌いな訳じゃないけど、ホウ様の白い肌は羨ましい。血は関係無い
けれど、胸も羨ましい。平均より少しだけ小さいボクは、ちょっと劣等感を感じてしまう。
ふと頭に浮かんだのは、知り合いの女の子の姿。
「……ツルちゃんも大変だね」 近くに胸がとても大きな娘が二人も居るし、カメ君はおっぱい大好きだし。
「……ボクは、違うよね?」
好きなのは、ホウ様のおっぱいだし。
上半身の服を全て外し、ブラも取ると桃色の先端が見えた。人のことを言えないけれど、
そこはもう既に固くなっていた。指で転がすと、鈴が鳴るような澄んだ声が聞こえた。
「……ホウ様、エッチ」
「オウこそ、こっちは」
ホウ様の手がボクの下半身に伸ばされ、
「こんなに濡れてますわ」
下着の中にまで指が侵入してきた。
「これは、何の液かしら?」
耳元で囁かれ、顔が熱くなる。
恥ずかしくて答えられないけど、それに構わずホウ様の指の動きは続いてゆく。入口の
周りを指でなぞられたり、敏感な部分を摘まれたり、まだ中に指が入っていないのにイキ
そうになってくる。でもイキそうになった瞬間に弱くなったり止められたり、絶妙な加減
で調整しているみたいで、どうしてもイクことが出来ない。
「……今日は、Sモード、ですか?」
「早く質問に答えなさい、これは何の液?」
指の動きが、ゆっくりと再開する。
霞んだ視界でホウ様の顔を見ると、それは愉悦で歪んでいた。気高くて、誇り高くて、
そして誰よりも人の上に立つ姿が似合う表情。怖いものの筈なのに、ホウ様からはそんな
恐怖は全く感じられず、寧ろ永遠に眺めていたくなってしまうもの。
「ほら」
逆らえない。
「……あい、え、きです」
恥ずかしい、こんなエッチなこと言っちゃうなんて。
「よく出来ましたわね、ご褒美です」
指が割れ目に侵入してきて、動きが激しいものに変わった。深くて、えぐるような動き。
僕の中身を全部掻き出してしまうんじゃないかと思うくらいのピストンに合わせて、股間
から水の音が響いてくる。数秒、それとも数分だったのか、気付いたらボクは達していた。
ずるり、と引き抜かれた指が目の前で、透明な糸を引きながら開かれる。
それを口に含むと、丁寧にしゃぶる。男の人のものを舐めるように舌を絡ませ、わざと
大きな音をたてるのがホウ様の好み。あまり頭を動かさず、舌と唇の動きで全体を味わう。
自分の愛液、というのが妙な気分だけど、薄い塩の味とホウ様の指の味が混ざったそれは
麻薬のように思考をとろけさせてゆく。
「オウ、私にも」
喋れない代わりに頷いて、ホウ様の下着の中へと指を滑り込ませた。そこはもう、洪水
のようになっていて、濡れた生地が指に張り付いてくる。更に奥に指を進めると、お尻の
穴の方までベトベトになっていた。ボクの舌でこんなに感じていてくれた、それが嬉しい。
唇から指が引き抜かれ、ホウ様の唇が重なってくる。伸びてきた舌がボクの舌に絡み、
抜かれた指は再び割れ目の方に入ってきた。上下の両方から責められて、体全体が溶けて
いくような錯覚を覚えた。腰が抜けて、体に力が入らなくなる。それなのに手だけは元気
にホウ様の股間を弄っていて、自分の体の部品なのに別の生物のようにすら思えた。掌を
開いて、前と後ろの穴を同時にこじる。あまり深くは差し込めないけれど、どちらも同時
に責めると快感が堪らなく強いらしい。ボクの指が痛くなるくらいに、腰が淫らに動く。
ホウ様は息を荒げ、
「もう、オウは本当に可愛いわね。それに、いやらしい」
覆い被さるようにして、押し倒してきた。そのままボクのブラと下着を外して、自分も
下着を脱いだ。ボクもホウ様も、今着ているのは靴下だけ。ボクの胸の先端が露になって
乳首同士が直接擦れて、もっと気持ち良くなってくる。
膣内の肉が指を強く締め付けてきて、ホウ様の限界が近いのが分かった。同時にボクの
限界もどんどん近付いてくる。ホウ様の指の動きは激しくなるし、それはボクも同様だ。
「オウ、一緒に、重なって、最後まで」
「……はい」
お互い指を引き抜き、唇を重ねて舌を絡ませる。流れ込んできた唾液を飲み込んでから
腰を僅かに上げると、割れ目にとても柔らかな感触が来た。最近は道具を使ってばっかり
だったから忘れかけていた、ホウ様の感触。お互いの大切な部分が擦れ合う感触は、ただ
それだけで気持ちが良い。膣内にものが入ってくることは無いけれど、他のどんなプレイ
よりもボクはこれが大好き。直にホウ様と触れ合っている、そう実感出来るから。
体全体を揺らすと、もう達しそうになった。我慢の限界が近かったからという理由だけ
じゃない、溶け合う感触みたいなものがある。唇から、舌から、押し合って潰れるお互い
の胸から、その先端の部分から。擦れるクリトリスも、割れ目も。絡んだ指先や脚すらも
余すところなくボクの脳髄に快楽という信号を与えてくる。触覚だけじゃない。ホウ様の
甘くて良い匂い、口の中に広がるホウ様の味、ホウ様の喘ぎ声や割れ目が擦れる水の音。
雪原に立っているとさえ思えるような肌の色と、太陽の光を反射する金色の髪。五感全て
がボクを包み、刺激し、限界に導いてゆく。
「……や、ホウ様、もう」
「私も、私も、もう」
ぎゅっとお互いに強く体を抱き締め合って、そしてボクとホウ様は同時に達した。
は、と吐息。
「……ホウ様、そろそろカタログの続きを。……それと、きちんと脱いだ服を」
「……もう少し、こうしていません?」
ダメダメ。
「……ちゃんと、ケジメを」
仕方ないですわね、と言ってホウ様が立ち上がろうとして、
「……やっぱり、このままで。……このままでもカタログは読めます」
つい引き留めてしまった。
「良いんですの?」
「……ボクが道を間違えそうになっても、今度はきっとホウ様が正してくれますから」
二人で歩いて、どっちかが道を間違って、それでも正しく歩こうとお互いに頑張って。
「……大切に、しましょうね」
「勿論ですわ」
そう言って、ホウ様はダイブしてきた。
最終更新:2007年08月04日 19:04