ツルとカメ-47
「ニンニクとニラとレバーとマムシドリンク、赤ワインと。あぁ、その前に」
先に本屋に寄らないといけないか。三階の本屋は通路が狭いから、荷物を持って歩くと
他人の邪魔になるだろう。それにしてもツルも妙なものを読むと思う。今日頼まれた本も、
新感覚推理小説自滅探偵シリーズ『えぇい、儂は部屋に戻るぞ!! こんな誰が殺人犯かも
分からん状況なのに一緒の場所になど居られるか!!』というものだ。以前に一度、ツルに
勧められて読んでみたのだが序盤に探偵が殺されるのはどうかと思った。このシリーズは
他のものも似たような内容らしく、毎回探偵役が死ぬので新刊が出る旅に主人公が変わる
のだという。僕の理解している推理小説と違う、と言うかこれは推理小説の中に分類して
良いのだろうか。だから新感覚なのだとツルは主張していたが、どうにも難しい問題だ。
そう考えながらエレベーターを待っていると、聞き慣れた声がした。
「あ、カメさーん!!」
呼ぶ声に振り向けば、緩やかに波打つロングの金髪を持つ少女が満面の笑みを浮かべ、
大きく手を振っているのが見える。その度に豊かな乳が上下に動いて存在感を強く放ち、
周囲の男共の視線を釘付けにしていた。こんな人混みの多い場所で揺れる乳を見せ付ける
など、実にけしからん。センスには見られて喜ぶような妙な性癖は無いだろうから、その
恥ずかしい状況を僕が解決してやるしかないだろう。僕はセンスに近付いて乳が揺れない
ように鷲掴んで固定、だが次の瞬間、いきなり頭部に強い衝撃が走った。その痛みに振り
向けば、またしても巨乳の女性が立っていた。センスと同じウェーブの金髪を肩口で切り
揃えたその人は、垂れ目がちなセンスとは対照的な鋭い釣り目をこちらに向けている。
年は三十の手前だろうか、どことなくセンスと似た顔をしているその人は、
「お姉さんですか?」
「あ、ママ。いきなり殴ったら駄目デスよ」
「母親だと!?」
馬鹿な、どう見ても高校生の娘を持っているようには見えない。それにアメリカ的母親
といったらビア樽のような体型の穏やかな人物相場が決まっているというのに、根底から
概念が崩されてしまったような気がする。それにしても良い乳だ、大きさはセンスよりも
上なのに垂れていないし、全体的な雰囲気が何ともエロい。露出が少ない服装なのに体の
ラインが分かるし、特にロングスカートで覆われた両足は抜群の曲線を描いている。
「センスに聞いていたよりも頭がおかしい男の子ね。会っていきなり体を見るのは失礼よ」
「すいません、つい。あまりにも美しかったので、目を奪われてしまいました」
言うとママさんは余裕の笑みを浮かべ、こちらの頭を撫でてくる。
「口説いても何も出ないわよ?」
これが年上の力か。
このまま胸に顔を埋めたくなってしまったが、人妻に手を出すのは御法度というものだ。
それに相手はアメリカ人、下手をしたらアメリカ仕込みのマーシャルアーツを叩き込まれ
てしまうかもしれない。それだけなら痛いだけでなくエロさもあるのでまだ耐えられるが、
これがいきなりピストルでも出されようものなら即日アウトだ。日々ツルやセンスの打撃
に耐え続けている僕でも、流石に鉛弾を受けたら生きてはいられない。
「ところでカメさんは買い物デスか?」
「そんな感じ、晩飯が楽しみだ。そっちは服でも買いに来たのか?」
尋ねると、驚いたように目を丸くした。
「どうして分かったんデスか?」
「最近また乳が大きくなってきただろう。だから下着でも」
センスとママさん、二人に殴られた。
「ママ、やりすぎデスよ?」
「センス、一つ教えてあげるわ。人間下を見たらキリが無いのよ?」
センスも僕を殴ったとかママさんも初対面なのに随分と失礼なことを言うとか言いたい
ことは山程あるのだが、ママさんの迫力に負けて何も言えなかった。親子でこんなに差が
あるのは珍しいと思うが、よく考えてみたら僕も人のことは言えないことに気が付いた。
ツルは叔母さんにそっくりだが、僕の方は両親のどちらとも似ていない。
「それでカメさん、せっかく会ったんデスし、一緒に回りまセンか?」
僕は頷き、
「いざ下着屋に」
また殴られた。
◇ ◇ ◇
食品売り場や本屋に寄ったりとデートと言うには地味過ぎるコースを回った後、センス
の強い要望で向かった先はゲーセンだった。ワンコインで最新のシューティングをクリア
したホクホク顔のセンスを見ていると、こちらも和やかな気分になってくる。
「満足したか?」
「はい、それはもう」
にへら、と笑みの形に崩れた表情でジュースの缶を傾けるセンスを見て、一つ気付いた
ものがあった。ミチルのように食べ物を扱う場所でバイトをしている者は例外になるが、
この年頃の殆んどの女の子は爪がそれなりの長さを持っている。勿論それが全ての女の子
に当てはまる訳ではないが、男のように短く切る者は多くない。ごつごつした男の手とは
違って華奢で繊細な指を持つ女性の手は、指先の丸さが出ると少し不格好に見えることが
あるからだ。指が太く見えたりもするので、爪を少し伸ばし指先を隠していることが多い。
だがセンスは真面目という性格を抜かして考えても、少し短いような気がした。若干では
あるが普通よりも深く切っているし、また空手などをしていることもあり、意識して手を
観察してみると男の手のように見えないこともない。それは僕のものと比べると、やはり
女の子のものだ。だが雰囲気というか、細かな部分で女の子のものとは違っている。
「どうしたんデスか?」
「いや、珍しい手だなって」
「あんまり見ないで下サイ、恥ずかしいデスよ」
頬を赤らめて手を下ろしてもじもじと指を動かす、その細かい仕草は女の子のものだ。
では何が理由かと考えて視線を巡らせ、一つの篋体を見たときに気が付いた。
それは先程センスが頑張っていたシューティングの篋体で、今は別のプレイヤーが巨大
なボスを相手に連打を重ねているところだった。左手でレバーで自分の機体を振りながら、
右手は高速でのボタンの押しを連続させている。上下に指を動かして叩くのではなくて、
パネルに指先を当てたまま左右にスライドさせて、だ。摩擦を減らす為なのか、指先の肉
ではなく爪を当てての行為。普通ならば爪が割れるような行動だが、そのことへの躊躇い
が無いのは注意深く見てみると気付く爪の短さ故か。なんとなしに他の篋体を見てみても、
激しく指を動かすプレイヤーの殆んどが自分の指先をあまり気遣わない動きでキャラなど
を暴れさせていた。それら全員に共通している部分と言えば、やはり短く切り揃えられた
爪だった。そうした視点で見ていて気付くのは、一つの事実。
「センスも、本当にゲームが好きなんだな」
訊いた訳ではなく実感の意味を込めて言っただけなのだが、その言葉にセンスはこちら
の瞳を覗き込んできた。意図的にしたのだろうか、真正面から合わさってきたサファイア
のような二つの澄んだ青が、強い意思を持って視界の中心へと固定される。
数秒。
「大切にしたいから、デスよ」
間を置いた後に、センスは言葉を続けた。
「わたしが何で空手をしているか、知ってマスか?」
僕の記憶が確かなら、エクササイズとして空手をしていると言っていたような気がする。
その他に剣道長刀弓道とあらゆる距離に対応出来るように学んでいたのを聞かされたとき
は驚いたものだが、それがゲームと何の関係があるのだろうか。ベクトルも内容もゲーム
とは全く違うものだし、共通点と言っても、センスが夢中になっているということ位しか
思い浮かばない。その僅かな共通点とて、センスのことを知らない存在からしてみたら、
消えてしまう程度のものなのだ。
首を傾げる僕から目を反らして空中を見上げると、友達の証なんデスよ、と言葉が続く。
「エクササイズが理由っていう理由は、まだ半分なんデス。わたしが11歳のとき、パパが
テンキンゾクになりまシタ。そのときにわたしは一杯泣きまシタ、大好きな友達と別れて
しまうのが嫌だったんデス。そのときの友達の一人のエミリィちゃんが、わたしに教えて
くれたのが空手でシタ。いつもカメさんに使う、あの正拳突きデス」
成程、これを覚えていれば、いつでも思い出せるという訳か。チーちゃんが僕と一緒に
よく行っていたエロ本墓場のことを気にしていたのと似たようなものだろうか。
「剣道はコロラド州のアリスちゃん、長刀はテキサス州のマレッタちゃん、弓道はユタ州
のクリスちゃんから教わりまシタ。後はヨークシャー州でカポエィラをエミリアちゃんに
教わったり、バージニア州ではテコンドーをシェイラちゃんに教わったり」
ちょっと待て、何で全員格闘系なんだ。
「どれも毎日、練習を欠かしたことはありまセン。大晦日のときも」
寝不足でそんな練習をしたら、それは確かにブッ倒れるだろう。だがそれだけの価値が
あるものだ、ということでもある。だがゲームとそれと、どこに
繋がりがあるのだろうか。
「カメさんと仲良くしようと思ったきっかけ、分かりマスか?」
「いや、何か気付いたら馴染んでいたような」
「最初にカメさんの家でやったゲームデスよ、とても楽しかったデス」
思い出した、確か操作を教えたときに偉く喜んでいたような気がする。
「皆と共通の遊びが出来て、とても嬉しかったんデス。だから、こっちでの思い出として
続けよう、と思ったんデスよ。嫌がって泣いて拒絶していたわたしにも変わらずに接して
くれたカメさんとも仲良くしていこうって、そう決めたのもそのときでシタ」
そんな理由があったのか。
「そして、カメさんに教えて貰ったものがもう一つあるんデスけど」
はて、何だろうか。
◇ ◇ ◇
ここはデパートから徒歩数分のラブホテル、その中のランクが高めの一室だ。出来れば
こんな展開は避けたかったのだが、『どうしても』と乞われて、こうして来てしまった。
それだけなら何とか説き伏せたのだが『これが最後になるかもしれないデス』と言われて
無視出来る程、僕は悪人ではなかった。センスの性格からして狙った訳ではないだろうが、
ゲーセンでの『繋がり』の話を聞いた後では、それは尚更だった。
「わぁ、広いデス。それにベッドもフカフカで、それにカラオケまでありマス!!」
随分なはしゃぎようだ、そんなに珍しいのだろうか。僕はアメリカに行ったことがない
ので向こうの内装がどうなっているのかはAVの中でしか知らないが、こちらの国の方が
充実していると聞いたことがある。センスは向こうの国に居たときは入ったことが無いと
いうが、それを抜かしても楽しいことには変わりないようだ。ここにどれだけの差がある
のか少し興味があるが、分からないのは少し残念だ。
「あ、冷蔵庫がありマスよ。ジュース付きデス!!」
「勝手に抜くなよ、抜いた時点で料金が発生する。テレビは無料で見放題だが」
『Oh, ohh!! I'm come'ing!!』
言うなりセンスはテレビを点けたが、いきなりのハメ映像に涙目になってこちらに振り
向いてきた。アメリカの深夜番組では毎日のように流れていると思ったのだが、どうやら
センスは耐性が低かったようだ。過去にも何度かしているし、これから同じことをすると
いうのに何とも不思議な娘だ。だがそこがセンスの長所かもしれないとも思う。どこまでも
純粋で純朴で、現実を有りのまま理解し、そして受け止めている。反応は様々なものだが、
共通している部分は『素直』というところだ。
「カラオケは無料デスか?」
「ここは無料だった筈だけど、残念なことにアメリカ国歌は無いぞ?」
また涙目になったが、何を見付けたのか再び笑みを取り戻す。
「凄いお風呂デスよ!! ジャグジーやバブルバスも出来るみたいデス!!」
そう叫んで風呂場に駆けてゆくと、楽しそうに蛇口を捻る。鼻唄に合わせて尻が揺れ、
短いスカートの中の下着が見えそうになっていた。あくまでも見えそうで見えないのだが、
そこが逆に良い。自分から覗きに行く場合は別だが、受動的な立場の場合は露骨にパンツ
が見えるなど邪道以外の何物でもない。寧ろパンチラどころか、見えない方が良い。
数秒。
これはいかんと思い、
「ところでセンスよ」
つい眺め続けそうになっていたが、思考を真面目なものへと切り替えた。少し残酷かも
しれないが、じっと待っているのは性に合わないしタイミングを図ってばかりいたら前に
進めないような気がしたからだ。それにこれは僕だけでなくコイやツルなど皆にも関わる
大事な話だ、はっきりとさせておいた方が良い。
「ここに入る前に話していただろ?」
それはホテルに入る前から、ずっと気になっていたこと。
「最後かもしれないって、どういうことだ?」
びくりとセンスの背が震え、こちらに向けられていた顔がバスタブに戻る。センス自身、
あまり意識したくなかったことかもしれない。だがこれは、意識して見なければいけない
問題なのだと思う。それ故に、僕とセンスはこんな場所まで来たのだから。それに素直と
いう言葉を体現したかのようなセンスがする誤魔化しの行動は、はっきり言って違和感の
塊のようになっている。どこまでもセンスらしくない。
沈黙。
「わたしがこっちに来た時期を、覚えてマスか?」
確か、五月の初めだ。
「わたしが覚えている格闘技の数、少し計算してみて下サイ」
ゲーセンで聞いたのが全てなら、確か六つ程。
「あ」
何と無く、センスの言おうとしていることが理解出来た。センスがこれまで回ってきた
土地はここを合わせて計七ヶ所、平均すると一年間で一ヶ所を回ったことになる。そして
ここに居た期間は約一年程、つまり今までのパターンから考えると後数ヵ月でこの土地を
離れることになるかもしれないのだ。
「分かりまシタか?」
振り返った表情は辛うじて笑みの形になっているが、いつもの明るさや強さが足りない
ものだった。その表情のままセンスは立ち上がると、服を脱いでゆく。
「思い出作り、には少し早いかもしれまセンけど」
僕も無言で服を脱ぎ、センスへ近付いてゆく。そして薄く目を伏せた彼女に近付いて首
を掴み、そのまま一気に捻りを加えて投げた。ずぶねり、という相撲の技だ。別に格闘技
ということにこだわった訳ではなく、キスをすると見せかけるには、と考えたときに思い
付いたのがこれだったというだけだ。深い意味は無い。
バスタブには湯が溜っていたのが見えたので、打ち身などの心配はなかった。二人分の
体積と重量を受けた湯は、大きな音と水柱を上げ、僕達の体に降り注いだ。
「馬鹿だ、お前は馬鹿だ」
本当に馬鹿だ。
「これから確かに別れるかもしれないけどな、でも、今生の別れじゃないだろ? それに
先のことばかり考えて不安になって、それでヘコんでたって意味ないだろ!!」
数秒。
暫く呆気に取られていたような様子だったが、センスは顔を自然な笑みへと変化させた。
背を震わせて小さな笑い声を漏らし、続いて僕の頬を両手で挟んで固定するとアメリカ的
にキスを連続させてくる。頬に、鼻の頭に、首筋に、唇に、躊躇わずに何度も何度もキス
を重ね、あるいは甘噛みするようにして喜びの感情を示してくる。
「そうデスよね、ありがとうございマス!! だからカメさん、大好きデス!! ところで」
何だろうか。
「その、固くなったおちんちんが当たってるんデスけど」
「馬鹿野郎、こんなエロい状況で立たない方がおかしいだろうが」
「さっきまで真面目なお話をしてまシタよね?」
「思考と体の反応を一緒に考えるな」
どうしてこんな質問をするのだろたうか、不思議な娘だ。しかし疲れて論理的な判断が
出来なくなっていたんだろう、センスに罪はない。これからのことで不安もあっただろう、
これ以上責めるのは酷というものだ。
「因みにカメさんの思考は?」
「センス転校乳乳尻乳尻乳乳」
無言で殴られた。
「まぁ、そんなカメさんも含めて好きなんデスけどね」
嬉しいことを言いながら、センスは股間に顔を埋めてくる。プール嫌いな上に泳げなく、
また体も小さいなど様々な理由がありツルでは不可能だった潜望鏡だ。湯に顔の下半分を
沈め、こちらを上目遣いで見上げながらセンスはストロークを開始する。これは湯が鼻に
入ってきたりもするし、簡単に息継ぎが出来ないので実は結構慣れが必要らしいのだが、
流石は優等生のセンスなだけのことはある。開始の数秒間は少し手間取ったようだったが
すぐにコツを掴んだらしく、大して苦しそうな顔をすることもなく舌の動きを連続させる。
頭を上下に動かすと目に湯が入ってくるらしく、基本の動きはストロークを止めて舌での
刺激に重点を置いたものになった。たまには深く飲み込んできたりもするが、舌で擦って
くるのが殆んどだ。その代わりに、余すところなく全体をねぶってくる。
「気持ち良い、デスか?」
頷き、センスを見つめて気付いた。
「随分とエロいな」
「せっかくなので、もっとアグレッシブになろうかと思いマシて」
本場の出身だから言葉の意味を間違えることは無いだろう。アクティブ『積極的』では
なく、アグレッシブ『攻撃的』らしい。言いながらも、センスは自らの股間を指で慰め、
ツボに来たらしいタイミングで尻を揺らして大きく湯を揺らしている。水中の行為なので
粘度のある独特の水音は聞こえてこないものの、しかしフェラをしていたときよりも強く
なった波が体全体に、確かに行為を伝えてきた。
「あの」
不意にそれが止み、
「そろそろ、入れてほしいデス」
その性格上、はしたない、と思っているのか湯船に入っていること以上に頬を赤らめて、
可愛くおねだりをしてくる。そして一旦体を離すとこちらの肩に手をかけて目を伏せて、
ゆっくりと唇を重ねてきた。それに応えるべく、僕もセンスの頬を挟んで舌を唇の間へと
割り込ませてゆく。今度はずぶねりなどをせず、ただセンスを求める為にキスをする。
「嬉しいデス」
えへへ、と小さな声を浴室にリバーブさせ、センスも舌を伸ばしてきた。互いに口内を
貪り、舌を絡ませ、存在自体を味わうようにしてキスを続ける。別れてもまた会えるし、
日常としての部分を言うならば明日学校でも会うことが出来る。しかし離れたくないと、
言葉にはしていなくても、そう言っているように感じた。
息継ぎに唇を離したのを合図に肩から胸、脇腹を通って細い腰へと両腕を伸ばし、
「入れるぞ?」
浮力で普段より軽く感じるセンスの体を抱えると、肉棒の先端を割れ目に当てがった。
抱き締めるようにして腰を手前に引き込みながら、僕も腰を突き出して一気に深いところ
まで埋めてゆく。何度か経験もしているし、湯の中なので普通にするよりも幾らか負担も
少ないだろう。そう考えて、湯の抵抗を無視するようにやや激しくグラインドを開始した。
腰を跳ねる度にワンテンポ遅れて逆方向の波が作られ、水面に浮かんだ豊かな二つの胸が
それに合わせて左右に揺れる。見ていて何とも気分の良い光景だ。
「や、あんまり、見ないで、下サイ」
成程、揺れるのを見られるのが嫌か。
センスの意見を尊重し、腰を抱いていた腕の片方を離して胸へと移動させた。揺れない
ように掴んで固定すると、ゆっくりと指を食い込ませてゆく。布越し状態で何度も揉んだ
ものだが、やはり生は一味違う。すべすべとした感触や、いつもよりも少ない力を込める
だけで形が変わるのが堪らない。それを堪能しながら、反対の胸へと顔を埋めた。両手を
腰から離すと自由に動かせなくなるので、代わりに唇と舌で胸を固定する。固くしこった
乳首を吸い、甘噛みし、丹念に周囲をなぞりあげてゆく。その度にセンスの腰がびくりと
震えて、膣内の肉も淫らに踊り狂う。体勢上表情は見ることが出来ないが、途切れること
なく響く甘い声。唇から垂れているのだろう、不規則な感覚で降りてくる透明な糸のお陰
でなんとなく予想は出来た。僕以外が見ることはない、いつもの雰囲気を裏返したような、
寒気を感じる程に艶やかなものだ。それを脳裏で思い描くと、背筋が震えた。
は、という声が聞こえ、頭に細い腕が回される。見た目は華奢な普通の女の子の腕だが、
伝わってくる感触はしなやかなもの。アズサ先生のものに似ていたが、それよりも脂肪は
少なく、鍛えられたものだと感じることが出来るものだ。それとは対照的な感触の胸へと
顔を強く押し付けられ、気持ち良いと言うよりも不思議な気分になってくる。その行為で
更に気持ち良くなったのか喘ぐセンスの声が一段と高くなり、膣内が痙攣して締め付けを
強くする。僕も少しタイミングが遅れる形になったが、ほぼ同時に絶頂に達した。
「いっぱい、出まシタね」
「……出ましたよ」
今日のセンスは危険日と記憶していたのに、対面座位で押し付けられていたので膣内に
出してしまった。そのことに後悔があったが、出された本人は悪い気分ではないらしい。
鼻唄を歌いながらセンスはバスタブから上がり、垂れてきた白濁液を流そうとシャワーを
股間に当てて悶えている。それを僅かばかりの希望と思いながら少し面白い光景を眺めて
いると、不意にこちらに振り向いた。しかし眺めていた僕を咎めるのではなく、瞳にある
のは純粋な、いつもの気軽な質問をするときに浮かべる疑問の色だ。
「あの、わたしが言うのもアレなんデスけど」
何だろうか。
「買い出しは大丈夫デスか?」
「あ」
晩飯を作れずに苛々しているツルの姿が脳裏に浮かび、僕はバスタブから脱出した。
最終更新:2007年08月17日 19:51