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Feathers & Machineguns

Feathers & Machineguns/Cuevox


※当楽曲の著作権はCuevox氏に帰属します


不思議の国の女王様はいつだってひとりでした。
女王様が命じればトランプの兵隊達は薔薇の華を赤く染めたし、帽子屋はいつだってなんでもない日を謳歌していたし、チェシャ猫はいつでもチェシャ猫でした。
女王様は不思議の国の女王様だったし、不思議の国は女王様の望むとおりに不思議でした。

だって女王様は、不思議の国の中でしか女王様ではいられなかったのですから。



光回線のトンネルを抜けて白ウサギを追ってきたアリスがやってきたことがそもそもの始まりだったのです。
この閉じた不思議の国に部外者が立ち入ることを女王様は許しませんでした。
さっそくトランプの兵隊たちがお城を目指すアリスに立ちはだかるようファイアウォールを展開します。
回線を幾重にも幾重にも電子の壁が遮断しましたが、特A級ウィザードのアリスにはそんなものは無に等しかったのです。



不思議の国の女王様はいつだってひとりでした。
現実を受け入れられない女王様はたった一人で不思議の国に引きこもりました。
不思議の国は女王様の思うとおりで、現実と違って何もかもが満たされていました。

だって女王様は、不思議の国の中でしか女王様ではいられなかったのですから。



女王様の大好きだった赤い薔薇園も撒かれたウィルスによって真っ黒に壊されてしまいました。

どうして?

どうして?

女王様はどうしてアリスがそんなことをするのかわかりません。
だってここは女王様の国なのに。
だってここは女王様の国なのに。

でもアリスはやめません。

だって不思議の国を壊すのはアリスの役目なのですから。



「難攻不落のWONDERLANDも攻略ね」

アリスはそう言って女王様に微笑みました。

「どうして、こんなことをするの」

柔らかな羽毛布団のベッドでうずくまりながら、女王様はそう目の前のアリスに問いかけました。

「どうしてって、ハッカーだから。愉快犯なんてそんなもんでしょう」

アリスはこうも言いました。

「あんただってそうじゃない。サーバにこんな目立つ防壁迷路なんてつくっちゃってさ」

「違うもん、これは、誰にも来て欲しくなかったからッ」

「ハァ? なに言ってんの」

アリスはチェシャ猫もビックリのニンマリとした笑顔を浮かべて言いました。



「そんな電脳に引きこもったヤツの怯えた顔が見たくてやってんじゃない」



不思議の国の女王様はいつだってひとりでした。
女王様にはそれなりの才能だってあったはずなのに、誰も彼女を見てはくれませんでした。
だから彼女はその力でたくさんのサーバを侵略しては不思議の国を拡張していきました。

最初は自身の力の誇示のつもりでした。
これだけたくさんのウィルスと防壁に囲まれた難攻不落の要塞は何人たりとも寄せ付けません。
でもそれは、きっと女王様が現実から身を守るためのココロの壁でしかなかったのもしれません。

だって女王様は、不思議の国の中でしか女王様ではいられなかったのですから。



現実は結局残酷でした。
いいえ、おとぎ話が結局おとぎ話でしかなかった程度のことなのです。
不思議の国のアリスだって、ただひたすら現実を撒き散らして不思議の国の不文律を壊すだけ壊しまくって現実へ返っていったではありませんか。

「ひどい、こんなの、ひどいよ」

「そうねそうね、わかってる。現実はいつだって残酷よね」

そう言ってアリスは右手に携えたマシンガンを女王様に向けました。

「でもきっと、これだっておとぎ話だよ」



飛び散るだけ飛び散った羽毛が晴れたベッドルームには、綺麗な女王様の薔薇が咲いておりました。
アリスが去った不思議の国には、マシンガンの雨の後に女王様の大好きな真っ赤な薔薇が咲き乱れておりました。

でもやっぱり女王様は、不思議の国の中でしか女王様ではいられなかったのです。



【GAME OVER】

最終更新:2012年06月21日 05:07