-windowlicer-
妖怪「窓なめ」。
Aphex twinことリチャードというアーティストはとにかくきもちわるい。
これは賞賛の言葉なのであるが、とにかくまあ、作る曲に一貫性が無い。スタイルが変幻自在なのである。
ただ本人のいらんおちゃめっぷりが遺憾なく発揮されるとき、耐性の無い人間はまず敬遠してしまうはずである。
リチャードの音楽は、とかく実験的である。
ある曲ではアウトロの不気味なノイズ音をスペクトグラム解析にかけると作曲者本人の悪意丸だしの笑顔が現れるなど、まあ、そういう人なのである。
で、windowlicker。
そんなリチャードとこれまた映像界の怪人クリス・カニンガムが手を組んだ悪意ムンムンのMVをぜひ見てほしい。
ひどい内容の寸劇の後、リムジン(笑)から顔を出すリチャード(一部本人)がこれまたひどい。
とりあえず動画も貼ったので見れ、背後に気をつけろよ。
このMV、見て解るとおり出だしの寸劇が放送禁止用語のオンパレードである。
ようつべのほうではピー音無しのバージョンが見れるが、大事なのはこのピー音で、これが作中頻発する【censored】の元ネタとなった。
サイボーグの人たちはお下品な言葉を発しようとすると検閲されてピー音にされてしまうのだ。
当初、この話は単発で終わらせるつもりだった。
というのは、「サイボーグ女があれやこれやされるのは世の中に割と見かけるのに何で男サイボーグのが見当たらないのか」というしょーもない思いつきだったためで、ディーゼルが主役の抜き小説として本来は仕上げようと考えていたものだったからである。
ところがこれがなかなかに楽しくなってきてしまい、どうせなら何か盛り上がりを入れようと考え戦闘シーンを入れてみた。
そしたらこれまたイイ感じに締まってしまい、単発にするのがもったいなくなってシリーズ化することに決めた。
そして一話のテーマ、サイボーグの偏執性に「窓なめ」のイメージを重ねてこのタイトルを引用したわけである。
原曲が持つ、肉声ベースの官能的な不協和音と、機械でありつつも艶かしい生殖のシーンもぴったりハマってる気がしている。
例のシーンを執拗に描いたのは「メカニズムしての生物的官能」みたいなのが好きだからである。
僕は思春期に辞書で生殖に関する単語を引いてその解説に興奮したクチである。
まったくもってかわいそうな思春期であった。
最終更新:2014年05月22日 01:47