まず性別。少女より少年に多いと思われる。我々が出会う婦人の対人恐怖症は少ないが、そのかわりに男子例よりも重症になってからはじめて我々のもとにあらわれる。次に発症年齢。かなりはっきりしていて13-14才から17-18才くらいまで。この年齢をすぎて発症する時、一見対人恐怖症にみえてその実、精神病のはじまりだということがあるので、注意を要する。この時期に多発するということは、おそらくこの時期に達成すべき心理課題と関係があろう。
次に経過、つまり対人恐怖症の人の運命について。対人恐怖は10代後半から20代前半の青年男女を悩まし続けるが、20才代後半になると次第に苦悩の色を少なくしてゆき、30才前後にいたると、不安がなくなってしまうわけではないが、対人場面での不安をなんとか乗り越えて社会生活に参入しはじめる。
対人恐怖症者がとりわけ不安をおぼえる対人関係とは同年輩者関係からなる小グループにおける小さな関わり合いであった。そこにおいて彼らは同年輩者に馬鹿にされないかと案じながら、彼らに負けないために虚勢を張った。しかも対人恐怖症の好発年齢である13才-17才は、ちょうど同年輩者の友情形成の時期に当たる。不幸にも彼らはその課題を果たすべき時期にその課題の達成に失敗する。失敗した彼らはその欠陥をなんとか充填しおえるのに30才近くまで時間をかけなければならない。そういうふうに私はみえる。
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