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***マッチ売りの僧正
(第116スレ>>647-649、>>691-692より ID:+BWLXGYl0・ID:Qpy6CxBF0)

「マッチ売りの怪僧」 

ゆきのふるクリスマスイブのことでした。プレゼントのつつみをかかえた人びとが、むほうちたいをたのしそうにあるいていきます。 
そのとおりでは、まずしそうな僧衣をきた怪僧が、マッチをうっていました。 
「マッチはいりませんかな?」 
「恐竜の人、マッチをかってくだされ。」 
「マッチなら新世界へ!!」 
みんなさっさととおりすぎてしまいます。怪僧からマッチをかう人はだれもいません。 
「このさむさでだれもかう人がいないとは…やっかいのたねだ、ヒザをついてやりすごすいがいなかろう」 
怪僧はあさからなにもたべていないので、おなかがすいてたおれそうです。 
でま、マッチをうっておかねをもってかえらないと、ちちーじにぶたれてしまいます。 
怪僧がしょんぼりとおりをわたろうとしたときです。 
    ピュン   ズバァ 
クマの人がものすごいいきおいでビームをはなってきました。 
「ぐわぁ熱っ!」 
怪僧はあわててたおれこみました。 


そのとき、はいていた草履がぬげて、どこかへいってしまいました。かたほうはみちのむこうにころがっています。 
怪僧がひろいにいこうとしたとき、「わあい、タダでいいもの見つけたえ~」 
いじわるな男の子が、ぞうりをひろってにげていきました。 
怪僧はとうとうはだしになってしまいました。このままいえにかえったら、ちちーじからどんなにしかられるかわかりません。 
しかたなく怪僧はのこりのマッチをもって、とぼとぼとあるきだしました。 
いえのまどからあかるいひかりがみえました怪僧がちかづいていくと、中から楽しそうなわらいごえがきこえてきます。 
「待ってください彼女はわたしの婚約者ry」 
「またわちしの前でたちあがるズドン」 

「ははーじの生きていたころ、うちでもああしてクリスマスのおいわいをしてましたな。あァ~…」 
まどのなかではクリスマス・ツリーがかがやき、子どもたちがたくさんのプレゼントをもらってよろこんでいます。 
つめたいゆきがふりつづいています。 
怪僧はさむさにふるえながら、ゆきのかからないのきしたでヒザをつきました。 
おなかがすいて、もううごけません。怪僧は、こおりのようにひえきった手にぜぇぜぇいきをふきかけました。でも、すこしもあたたかくなりません。 
「そうだ。マッチをもやすいがいなかろう。」 
シュッ!あかるいほのおがもえあがります。すると、不思議なことにその中から、あかあかともえるストーブがあらわれました。 
「あァ~…、あたたかい。」 
怪僧はこごえた手をストーブのほうへのばしました。とたんにマッチの火がもえつきて、ストーブもきえてしまいました。 
「どうっ…厄介の種だ」 


怪僧がもう一本マッチをすってみると、こんどはかがやくほのおのなかに、山のようにあたたかそうなものがあらわれました。 
前方に狂った大将の人、後方にかんごくの入獄の湯。 
「わぁ、あたたかそう!」 
すると、大将の人が怪僧のほうへとんできました。 
「海賊にゃ生き場所はいらん!」 
しかし、怪僧が手をのばすと、マッチがもえつきてぜんぶきえてしまいました。 
「おーおー」 
怪僧はいそいでマッチをとりだし、また一本すりました。シュッ! 
ほのおがかがやき、あたりはあかるくかがやきました。いつのまにか怪僧は大きなクリスマス・ツリーの下にいます。 
「おーおーさっきまどから見えたツリーよりずっとりっぱですな。これは珍しいものをみた…」 
ツリーにはたくさんのろうそくがきらきらとかがやいています。 
「参った…なんて綺麗さ…」 
怪僧がおもわず手をのばすと、マッチはふっとゆれました。 
けれども、ろうそくのひかりはますますつよくかがやきながら空へのぼり、そのままたくさんのほしになりました。 
そのほしのひとつが、すうっとながれぼしになりました。 
「おーおーこんやだれかがかみさまのところにいくのですな。ばばーじが生きていたころ、おしえてくれたもの。死亡フラグいがいなかろう。」 
怪僧は空を見上げながら、優しかったばばーじのことをおもいだしました。 
怪僧はマッチをもう一本すりました。すると、ひかりの中になつかしいばばーじがニコニコほほえみながら怪僧のほうへ光をためています。 
「コッチヘくるといいよォ~」 
「ばばーじ!」 
怪僧はむちゅうでばばーじのむねにとびこみました。 
「あァ、ばばーじあいたかったですぞ。」 
怪僧は大すきなばばーじのうでの中で、くるしかったいままでのことをはなしました。 
「今楽になるよォ~」 
「なぜわたしを一人ぼっちにしていってしまったの?もうおいていかないでくだされ。ばばーじのいるところについていくいがいなかろう。」 


そのとき、怪僧のもっているマッチがきえそうになりました。 
「あっ、マッチの火がきえると、ばばーじもまたいなくなってしまうのですな…さっきの大将の人やかんごくの湯のように……」 
怪僧はいそいでのこっているマッチをあつめ、ぜんぶいっぺんにすりました。 
マッチのたばがもえあがり、あたりをひるまのようにあかるくてらします。 
ばばーじはしっかりと怪僧をだきしめました。かがやくひかりにつつまれて、ばばーじと怪僧はゆっくり空にまいあがります。 
「ばばーじ、どこへ行くのですかな…?」 
「かみさまのところだよォ~」 
二人は空にむかってだんだんたかくのぼっていきます。 
ばばーじは怪僧にむかってやさしくいいました。 
「てんごくにいったら、ははーじもおいしいごちそうをよういしてまっているよォ~」 
怪僧はうれしそうににっこりわらいました。 
あさがきました。町の人々は、クリスマスのおいのりをするためにきょうかいへでかけます。 
とおりにでた人びとは、雪の中にたおれているマッチ売りの少年をみつけました。 
「アパパパパこんなところに男の子がたおれているッチ!」 
「すぐにいしゃをよぼう。」 


たぬきのひとは少年のつめたい手をとり、くびをふりました。 
「だめだ。もうしんでいるよ。」 
少年はやさしいほほえみをうかべ、まるでねむっているように見えました。手にはマッチのもえかすをにぎっています。 
「こんなすこしばかりのマッチであたたまろうとしたのね。」 
まわりにあつまった人びとは、みんな少年のしんだことをかなしみました。なかでもきのうのよる、マッチをことわった恐竜の人は、わっとなきだしていいました。 
「葬式が起きるぞ…!!」 
まちの人々はきょうかいで少年のおそうしきをだし、かみさまにいのり、まずしい人にもしんせつにするようになったという冗談でも悲しい話でしたとさ。 

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