飛行船の前(コハク、アーサー、キールがいる)
アーサー「つまり……。」
アーサー「コハクさんはキール君に言われて、あそこで眠っていたんですね?」
コハク「うん。」
コハク「あそこがあたたかいって聞いたからねえ。」
アーサー「キール君は、どうして旅館をすすめたんですか?」
キール「えっと、あたたかいところを教えてってたのまれたから……。」
アーサー「それで旅館を?」
キール「うん。」
キール「
リンファさんはあたたかい人だってウワサになってたから。」
アーサー「ああ、なるほど。」
コハク「すごくあたたかかったようだー。」
キール「あ、シャオちゃんの口ぐせ!」
コハク「へへー♪」
アーサー「ええと……。」
アーサー「ともかく、旅館の前で眠るのは、メイワクになるのでやめましょう。」
コハク「うん。分かったの。」
アーサー「それは良かった。」
キール「あ。ところで二人とも知ってる?」
コハク「なにを?」
キール「バドさんのところの新商品処分品、『なんでもつかめる手袋』って。」
コハク「新商品なのに処分品なの?」
アーサー「コハクさん、意外と鋭いつっこみですね。」
コハク「『なんでもつかめる手袋』かあ。」
コハク「人の心でもつかめるものなの?」
フレイ「えっと、私に聞かれても……。」
キール「あ、フレイさんは知ってるかな?」
キール「バドさんのところの新商品処分品。」
キール「『なんでもつかめる手袋』って。」
フレイ(どこから突っ込んだらいいんだろう……。)
アーサー「『なんでもつかめる手袋』ですか。」
アーサー「さて、今度はどんな商品で失敗するつもりなんでしょうね。」
バド『人によってはなんでもつかめる手袋』だったはずなのに、」
バド「ちょっと情報があらぬ方向にいっちゃったなア。」
バド「大事にならないように、赤字覚悟で手袋をきたえないト……。」
リンファ「コハクちゃんが眠りに来たんです。」
リンファ「お部屋に案内しようとしたら、私の前で寝ちゃって……。」
リンファ「あんまりかわいかったから、そのままおふとんをかけておきましたけど。」
次の日 鍛冶屋『のらりくらり』
コハク「『なんでもつかめる手袋』って、ホントに売ってるの?」
バド「ああ、あれナ。ちょっと待ってろヨ。」
バド「……よっこらしょっト。」
コハク「わあ。ぎっしり売れ残ってるねえ。」
バド「まったくダ。」
バド「ちなみにこっちは、『いろいろつかめる手袋』に改名したかラ。」
コハク「こっちは、って?」
バド「『なんでもつかめる』の方は、あんまり作れなくってナ。」
コハク「そっかあ……残念なの。」
コハク「それで、いろいろって何がつかめるの?」
バド「ちょっと熱くて、つかみにくいものとカ。」
バド「ちょっと冷たいものとカ。汚れてさわりたくないものとかだナ。」
コハク「それって、普通の手袋とどうちがうの?」
バド「お客さんがちがうと思ったところが、ちがうところなんじゃないかナ。」
バド「なんなら、一つ試してみたらどうダ?」
コハク「もらっていいの?」
バド「まあ、どうせあまりものだしナ。」
バド「その代わり、つかめるいろいろは自分で見つけてくレ。」
コハク「はいはーい♪」
コハク「普通の手袋と、この手袋のちがい……。」
コハク「なかなかムズカシイ問題かも。」
バド「コハクとキールって、おもしろいよナ。」
バド「どっちも、人の言葉を簡単に信じちゃうけど、」
バド「人に話すだけのキールと、実際にやっちゃうコハクとで、」
バド「結果が全然違うんだもんなア。」
次の日 花屋『カーネーション』
エルミナータ「今日も事件の匂いがするわ……。」
コハク「どこからなの?」
エルミナータ「どこからでもよ!いつもどこかで事件は起こってるわ。」
エルミナータ「でも、イマイチ手がかりがつかめないのよね……。」
コハク「それなら大丈夫なの。」
エルミナータ「え?」
コハク「じゃじゃーん。いろいろつかめる手袋~♪」
エルミナータ「なにがつかめるの?」
コハク「いろいろなの。」
エルミナータ「なんでもつかめるの?」
コハク「つかめるものと、つかめないものがあるの。」
エルミナータ「…………。」
エルミナータ「まあいいわ。」
エルミナータ「じゃあこれからは、その手袋で事件の手がかりをつかんでちょうだい!」
コハク「りょーかい♪」
エルミナータ「じゃあ早速、
ヨクミール森に出発するわよ!」
コハク「なんで森なの?」
エルミナータ「そこに事件がありそうだからよ!」
主人公(……二人ともヨクミール森に行っちゃったみたい。)
主人公(大丈夫かなあ……。)
シャオパイ「コハクとエっちゃん、なにがあったんだ?」
シャオパイ「すごい勢いでヨクミール森の方に走っていったが……。」
ヨクミール森
エルミナータ「どこに行ったのかしら……。」
エルミナータ「あ、フレイ!コハクを見なかった!?」
主人公「いえ、見てませんけど……。」
エルミナータ「そう……。」
エルミナータ「悪いけど、ちょっと探すのを手伝ってくれる?」
はい・いいえ
▼はい
エルミナータ「ありがとう。」
エルミナータ「じゃあ、奥の方に行ってみましょう!」
▼いいえ
エルミナータ「じゃあ、奥の方に行ってみましょう!」
エルミナータ「……ん?まさか断るつもりなんて、なかったわよね?」
エルミナータがパーティーに加わる
エルミナータ「奥の方へ行ってみましょう。」
コハク「うう……。」
エルミナータ「コハク!何があったの!?」
コハク「うっかりしっぽをつかんじゃったのー。」
エルミナータ「じ、事件だわ……。」
モー!!
コハク「きゃあっ!」
主人公「ふう……。」
主人公「コハク!大丈ーー」
エルミナータ「ちょっと、大丈夫だった!?ケガはない!?」
コハク「うん……。」
コハク「ごめんなさい。めいわくかけて……。」
エルミナータ「まったくもう……。」
エルミナータ「でも、なかなかの働きだったわよ。助手ちゃん。」
コハク「え?」
エルミナータ「あなたがしっぽをつかんだから、この事件を解決できたのよ。」
コハク「あたしが……?」
エルミナータ「ええ!コハク行方不明事件をね!」
主人公(それはしっぽをつかんだというか、引き起こしたんじゃあ……。)
コハク「確かに、この手袋がなかったら、しっぽはつかまなかったの。」
主人公「え!?」
エルミナータ「そして、しっぽをつかまなければ、この事件は起こらなかった!!」
エルミナータ「つまり!!」
コハク「因果応報だねえ。」
エルミナータ「……あー、こほん。」
エルミナータ「けどね、コハク。一つだけ約束してちょうだい。」
コハク「なあに?」
エルミナータ「ひとりで危ないことはしたらダメ。」
エルミナータ「これからは、なにかあったら、まず私を呼びなさい。」
エルミナータ「いいわね?」
コハク「うん!」
エルミナータ「よし!」
エルミナータ「それじゃあ、家に帰りましょうか。」
コハク「あ!フレイちゃん!」
主人公「ん?」
コハク「ありがとう。かっこよかったの♪」
主人公「あ、うん。どういたしまして……。」
コハク「そういえば、バドさんどうなったかなあ……。」
主人公「ああ、それはたぶん、いつも通り……。」
コハク「いつもどおり?」
主人公「……さっき、コハクも言ってなかったっけ?」
コハク「うん?」
主人公「因果応報だって。」
鍛冶屋『のらりくらり』(挿入)
バド「今日もぜんっぜんお客さんが来ないなア。」
バド「いろいろつかめる手袋、いけると思ったんだけド。」
バド「やっぱり、お客さんの心をつかむのは難しいなア。」
そしてやはり、手袋は売れ残ったという……。
最終更新:2020年04月24日 23:42